【全15件】「静岡県」で採用に使える補助金は?対象の費用と上限額をまとめて紹介!
今年こそ採用に予算を回したい。そう考えて静岡県内の市のページを開いたものの、対象経費の欄を読んでも自社のやりたいことが当たるのか判断がつかない……。そこで止まってしまった方は多いはずです。
県内には、採用に充てられる枠が実際にいくつもあります。ただ、対象経費の一覧だけを読んでも結論は出ません。決めているのは、そのすぐ下にある「対象にならないもの」の行のほうです。
2026年8月に県と市町が公表していた内容をもとに、15件を対象外の行から読む順番に並べ直しました。では見ていきましょう。
この記事でわかること
- 静岡県内で企業が使える採用まわりの枠は何件あり、県と市町にどう割れているのか?
- 採用活動の費用そのものに出るのは、15件のうち何件なのか?
- 同じ採用目的の制度なのに、対象外の欄に正反対の費目が並ぶのはどこか?
- 制度が費目を外すやり方は、どの4つの型に分かれるのか?
- 奨学金の返還支援は、県内のどこまで広がっているのか?
要件や様式の中身は、制度ごとの記事のほうに置いています。
ここで扱うのは、いずれも自治体が原資を持つ補助金です。厚生労働省の雇用関係助成金とは財源も窓口も別で、入金までに立て替えが要る点も違います。国の枠を調べるべきか迷っている方は、先に両方の全体像を確認しておくと選び直しが減ります。
参考記事:『【国と自治体】採用に使える助成金と補助金は?自社が対象かの見分け方を徹底解説!』
静岡県で採用に使える補助金は15制度
静岡県内で採用活動やその周りに使える制度は、2026年8月時点で15件でした。県が2件、市町が13件という分かれ方です。
| 区分 | 数と内訳 |
|---|---|
| 制度の合計 | 15件(県2件・市町13件) |
| 制度を確認できた自治体 | 14(県と12市1町) |
| 静岡県の市町数 | 35(23市12町) |
| 自治体別の内訳 | 静岡市・浜松市・三島市・伊東市・熱海市・富士市・御殿場市・掛川市・焼津市・藤枝市・磐田市・伊豆の国市・長泉町が各1件 |
制度を置いていたのは、35市町のうち12市1町にとどまります。町で確認できたのは長泉町の1件だけでした。それ以外の22市町に拠点があるなら、見る先は県の2件と国の助成金になります。
ただし県の2件のうち、奨学金返還支援のほうは実施している11市町に事務所が無いと使えません。この11市町のうち伊東市・焼津市・藤枝市・長泉町の4つは、上の12市1町とも重なります(一覧は後の節に出します)。
どちらにも入っていない市町なら、県の枠として残るのは副業・兼業の1件です。ただ、制度が無いと決まったわけではないので、商工担当課のページは一度開いておきましょう。
県の2件と市町の13件に分かれる
県の制度は2件あります。1つが副業・兼業人材確保事業費補助金、もう1つが中小企業等奨学金返還支援事業費補助金です。前者は外部の専門人材を受け入れるときの手数料や報酬、後者は従業員の奨学金返還を支援した額が対象になります。
市町の13件は12の市と1つの町に1件ずつという分かれ方で、2件以上を並べている自治体はありませんでした。県内で人口の多い静岡市と浜松市も1件ずつです。
制度の数と自治体の規模は、静岡県ではほとんど関係していません。件数を決めているのは、規模ではなく政策の重心のほうです。
対象になる企業規模の条件も15件で共通していません。県の副業・兼業人材確保事業費補助金のように常時使用する従業員数1,000人未満と数字で書く枠もあれば、中小企業等としか書かない枠もあります。
近くの市に制度が無いことは、自社の市に無い理由になりません。まず自社の所在地の1件を開くほうが早いはずです。
名前に採用が入るのは3件だけ
15件の正式名称を並べて数えると、「採用」の2文字を持つのは3件です。浜松市中小企業等採用活動支援事業費補助金、伊東市中小企業等採用力強化事業補助金、伊豆の国市採用活動事業費補助金になります。
| 名前に含まれる語 | 件数 |
|---|---|
| 「採用」を含む | 3件 |
| 「人材」または「人財」を含む | 5件 |
| どちらも含まない | 7件 |
どちらも含まない7件のうち4件は、名前に「奨学金」が入っています。残る3件は雇用創出促進、新たなビジネススタイル整備支援、地元企業魅力発信という名称で、採用と結び付けて検索することはまずありません。
「静岡県 採用 補助金」で調べて出てこないのは、制度が無いからではありません。名前が制度の中身を示していない、というだけの話です。探し方のほうを変えると当たります。
Tips|制度名で調べて出てこないとき
- 自社の市町名に「補助金 一覧」を足して、商工担当課のページから開く
- ページの中は「採用」ではなく「人材」「雇用」「奨学金」でも探す
- 費目が書かれていなければ、制度のページから交付要綱そのものを開く
予算の上限で年度の途中に終わる
金額も対象もばらばらな15件ですが、揃っている点があります。いずれも予算の範囲内でしか交付されず、枠が埋まればそこで受付が閉じます。
書き方は自治体ごとに違います。三島市は「期限内であっても予算の上限に達した時点で終了」、焼津市は「申請期限にかかわらず、予算に達した時点で受付終了」、静岡市は「予算に達し次第、一旦受付を終了する場合があります」。
言い回しは違っても、伝えていることは同じです。受付期間の最終日まで枠が残っている前提で計画を組むと、動き出す前に外れます。
浜松市は制度のページに「【令和8年8月20日現在】申請数が当初の予算上限に達しつつあります。申請をご検討中の場合は早めの申請をお願いいたします」と注記を出しています。
金額のほうは、当初予算まで開くと出てくる制度があります。伊東市は市の令和8年度当初予算で中小企業等採用力強化事業補助金に100万円を計上していて、上限5万円で割れば20件で枠が尽きます。
焼津市は当初予算の主要事業に、この補助金を含む人財確保支援事業(地方創生)2,325万円を出しています。浜松市がこの制度に充てている令和8年度の当初予算は2,000万円です。
伊東市の5万円を当てにしている方へ。対象になる5区分と、採用できた人数を市へ報告する決まりはこちらに書きました。
参考記事:『【上限5万円】「伊東市中小企業等採用力強化事業補助金」は成功報酬型の紹介手数料も対象?対象経費を解説!』
締切の日付だけからさかのぼって日程を組むと足をすくわれます。動くと決めた時点で、担当課に今年度の枠が残っているかを聞いておかれると安心です。先着順と明記していたのは、15件のうち浜松市だけでした。
制度は年度が替わるたびに書き換えられます。熱海市は令和8年度から補助率を2分の1以内から3分の2以内へ引き上げました。発注や申請へ動く前に、各自治体の公式ページで現在の内容を当たってください。
対象外の行が制度の輪郭を決める
ここからが本題です。15件を交付要綱まで開いていくと、対象経費の一覧だけでは自社に当たるかどうかが決まらないことが分かります。
決めているのは、対象経費のすぐ下に置かれた「対象にならないもの」の行のほうです。しかも目的が同じように採用へ向いている制度どうしで、外している費目が逆になっている例があります。1つずつ見ていきます。
浜松市はホームページの改修を外す
浜松市の中小企業等採用活動支援事業費補助金は、制度のページに対象経費を3つ挙げています。就職情報サイトの求人情報等掲載料、ダイレクトリクルーティングの利用料、合同企業説明会の出展料です。
ここまでを読むと、採用サイトの話は書かれていないだけに見えます。ところが交付要綱を開くと、対象経費に第4号として「その他市長が必要と認める経費」が定められていました。範囲が広がったように読めます。
続く第5条第3項に、対象にしないものが5つ並びます。その2つ目が「自社等のホームページの改修や保守に関するもの」でした。採用サイトを対象から外しているのは、この一文です。
3つ目の「求人冊子等の紙媒体を主とした求人掲載料等」も同じ場所にあります。交付要綱を1本開くかどうかで、判断が反対側へ動く制度だと思われます。
浜松市で掲載料の枠を使うつもりの方へ。「JOBはま!」への登録から上限40万円までの条件は、こちらに書きました。
参考記事:『【上限30万円】「浜松市中小企業等採用活動支援事業費補助金」は採用サイトに使える?外れる理由を解説!』
藤枝市は求人サイト登録料を外す
藤枝市の地元企業魅力発信事業費補助金は、交付要綱の第1条に「中小企業者の人材確保を支援するため」と書かれています。目的は採用に定められています。
対象経費は別表にまとまっていて、印刷製本費、通信運搬費、手数料、保険料、使用料及び賃借料、その他の経費の6費目。手数料の欄は「他者の開催するイベント等への参加料・負担金」と説明されています。
その説明の直後に、括弧書きが付いています。「(求人サイト登録料や合同企業説明会参加料等は除く。)」人材確保を目的に掲げた制度が、募集の露出にかかる費用を名指しで外しています。
理由は要綱の定義を読むと見えてきます。この制度が対象にしているのは、児童・生徒・学生やその保護者、求職者に向けた会社や工場の紹介、見学、仕事体験を行う事業です。募集そのものではなく、来てもらって見せる場に絞られています。
見学や仕事体験の予定が無いうちは、この枠を採用の予算に数えないほうが回り道になりません。
成果報酬型の扱いは市で逆になる
分かりやすく逆を向いているのが、人材紹介の手数料です。
伊東市の中小企業等採用力強化事業補助金は、対象経費を5区分に分けていて、その第5号が「人材紹介会社を利用した成功報酬型の人材採用に要する経費」。成功報酬型に限るという限定は付きますが、対象の側に名前が挙がっています。
焼津市の多様な人財確保事業費補助金も同じ向きです。対象事業に「成功報酬型求人サイト等への求人情報の掲載等」が入り、対象経費の手数料の欄には「斡旋手数料等」とあります。
長泉町にいたっては、中小企業者等人材確保支援事業費補助金の対象経費が「職業紹介事業者への手数料(正社員を採用した成果により支払う経費をいう。)」の1本だけです。成功報酬そのものが制度の中心にあります。
一方で三島市は、これを対象外に置いています。地域人材支援事業費補助金のQ&Aは、成果報酬型の経費を外したうえで、判断するのは経費の名称ではなく性質だと言い切っています。
同じ静岡県内、同じ採用のための制度で、線が反対に引かれています。人材紹介を使うかどうかで、候補になる市が入れ替わります。紹介会社に頼む前提の方は、伊東市・焼津市・長泉町から確かめるほうが早く決まります。
焼津市は決済手段で対象から落ちる
外し方は費目名だけではありません。焼津市の制度には、支払い方についての注記があります。
制度のページと交付要綱は、クレジットカードやスマートフォンアプリなど、特典が付与される決済手段で払ったものを補助対象経費から外しています。
費目としては対象でも、払い方を選び間違えるとその分が落ちます。支払い方は担当者レベルで決まってしまうことがあるので、社内で先に共有しておきましょう。
同じ制度は、消耗品費の括弧書きで1万円以上の備品購入費も外しています。伊東市も「補助対象事業以外で使用できる備品購入費等」を対象外に置いていて、採用のために買ったものでも普段の業務で使えるなら外れる書き方です。
外し方は4つの型に分かれる
ここまでの例を並べ直すと、制度が費目を外すやり方が4つに整理できます。
| 外し方の型 | 実例 |
|---|---|
| 費目の名前を挙げて外す | 浜松市(自社等のホームページの改修や保守/紙媒体を主とした求人掲載料)、藤枝市(求人サイト登録料・合同企業説明会参加料)、焼津市と伊東市(備品購入費) |
| 契約の形で外す | 三島市(成果報酬型の経費。名称ではなく性質で判断する) |
| 支払いの相手や手段で外す | 三島市(役員・親族・資本関係のある関連会社への支払い、自社施設の使用料)、焼津市(カード決済・アプリ決済等)、浜松市(関係会社への委託、一社単独の説明会) |
| 着手の順番で外す | 三島市・焼津市・伊東市・掛川市・浜松市(交付決定前や支払済みの経費は対象外)、藤枝市(事業開始の20日前まで)、伊豆の国市(採用活動事業を開始する日まで)、長泉町(補助対象経費を支払う前まで) |
4つ目は特に効いてきます。15件のうち少なくとも8件が、契約や着手の前に申請することを条件にしていました。伊東市の案内チラシは「※ 既に事業に着手している場合は、補助の対象になりません。」と1行で書き切っています。
費目を見る前に対象から外れる条件は、ほかにもあります。風営法で規制される業種と、暴力団関係者を外す条項が、多くの制度で定められていました。
県の奨学金返還支援は対象企業の要件に風俗営業と暴力団排除の2項目を並べ、浜松市は交付要綱で性風俗関連特殊営業と暴力団員等を外しています。磐田市は風営法の5類型と暴力団、長泉町は風営法に加えて政治団体・宗教団体、伊豆の国市は暴力団排除条例と公序良俗を外しています。
該当しそうな業種なら、対象経費の欄より先にここを読むほうが早く済みます。
費目が合っているかを調べる前に、自社が発注済みかどうかで候補が半分に減る、という順番です。対象に入るかどうかを決めるのは制度を持つ市町の側なので、見積を取る前に交付要綱を開いて、担当課へ一度電話で確かめておかれるとよいでしょう。
採用の費用に正面から出る6制度
15件のうち、採用活動そのものにかかる費用に出る制度は6件でした。ほかは採用したあとや、採用とは別の目的で設けられています。
| 制度 | 補助率と上限 |
|---|---|
| 三島市地域人材支援事業費補助金(人材確保事業) | 2分の1以内・上限20万円(3事業の合計)。1年度1回 |
| 焼津市多様な人財確保事業費補助金 | 2分の1以内・上限20万円。同一申請者につき1回まで |
| 伊東市中小企業等採用力強化事業補助金 | 2分の1以内・1事業者あたり上限5万円。1事業年度当たり1回限り |
| 浜松市中小企業等採用活動支援事業費補助金 | 2分の1以内・上限30万円(掲載料は4分の1以内)。浜松市奨学金返還支援補助金の認定企業は上限40万円 |
| 伊豆の国市採用活動事業費補助金 | 2分の1以内・上限10万円。合同説明会出展・企業PR動画制作・求人情報掲載のうち、同一年度に使えるのは1つだけ |
| 長泉町中小企業者等人材確保支援事業費補助金 | 3分の1以内・上限20万円。1事業所につき1年度1回 |
三島市はツールの3点を名指しする
三島市の地域人材支援事業費補助金は、人材育成・人材確保・副業人材等活用の3事業をまとめた制度です。人材確保事業の対象経費には、特設ホームページの作成・改良、PR動画の作成、パンフレットの新規作成または改正にかかる経費が並びます。
頭に「人材確保のみを目的とした」という限定が付いた書き方です。
採用サイトと動画とパンフレットが、1つの費目に並んで名指しされています。そのうえで上限20万円は3事業の合計にかかり、申請は1年度に1回だけ。年度の初めに、この20万円をどこへ当てるかを決めておく制度だと思われます。
焼津市は別表に委託料を置いている
焼津市の多様な人財確保事業費補助金は、名前から外国人材の話に見えます。ところが交付要綱の第2条第2号を開くと、その定義に「学校を卒業する予定の者」が入っていました。
新卒採用が定義に入っていることは、要綱を開かないと分かりません。対象経費の別表にも「ホームページ作成に係る委託料」が費目として定められています。金額は税抜で計算する作りなので、上限20万円に届くには税抜40万円の経費が要ります。
新卒向けの採用ページを作る予定がある方へ。対象になる事業の中身と、申請が1回に限られる条件はこちらに書きました。
参考記事:『【上限20万円】「焼津市多様な人財確保事業費補助金」は誰の採用に使える?対象経費を解説!』
伊東市は紹介手数料まで対象に置く
伊東市の中小企業等採用力強化事業補助金は、上限が5万円と小さいのですが、対象の広さでは6件のなかで最も手が広い制度です。
ウェブサイトの開設と改修、就職情報サイトと求人情報誌への掲載、合同企業説明会と採用説明会への出展、職場体験とインターンシップの募集、そして成功報酬型の人材紹介。募集を始める段階から契約が決まるまでが並んでいます。
申請した翌年度の3月末までに、採用できた人数を市へ報告する決まりも付いています。採用の手段をまだ絞り切れていない方には、当てやすい枠だと思われます。
浜松市は募集の露出だけを見る
浜松市の制度は、上限30万円と6件のなかで最も大きい枠です。浜松市奨学金返還支援補助金の認定企業なら、上限が40万円まで上がります。ただし対象は募集の露出に絞られ、掲載料の補助率は4分の1と一段低く設定されています。
そして、この枠には手前に関門があります。浜松市が運営する求人サイトJOBはま!に登録し、そこで正社員を募集していることが要件です。市外に本社がある場合は、就業場所を市内に限定した正社員の求人を出していることを書類で示します。
過去にこの補助金で掲載料の交付を受けている企業は、掲載料が対象外になります。制作費のほうは先に触れたとおり要綱で外れるので、この30万円を採用サイトに当てる計画は立たないと見ておくほうが安全です。
県の2制度は県だけで完結しない
市の制度を見たら、次は県です。ただし静岡県の2件は、県庁へ申請書を出せば済むという作りになっていません。どちらも、県だけでは完結せず、もう1つ経由先があります。
副業と兼業は拠点を通した仲介が要る
副業・兼業人材確保事業費補助金は、人材紹介手数料、副業・兼業人材への報酬、県外の人材が県内の事業所を訪れる旅費が対象です。補助率は10分の8以内で、1人当たり50万円が限度。金額の水準は県内でも高いほうです。
対象になるのは、静岡県プロフェッショナル人材戦略拠点と拠点に登録のある人材紹介会社の連携による仲介、または全国事務局とパートナーシップ協定を締結している大企業との連携で人材を受け入れる場合に限られます。
自分で見つけてきた人に払う手数料は、この制度の対象になりません。過去に拠点を通した副業・兼業人材の活用をしたことがない企業の初回のみ、業務委託等の契約期間が6か月以内という条件も付きます。
申請の期限は、人が働き始める日を基準に決まります。数日の差で外れる作りなので、受け入れる日が決まった時点で産業人材課へ確かめておかれると安心です。
奨学金の申請先は県ではなく市町
もう1件の中小企業等奨学金返還支援事業費補助金は、県と市町が連携して1つの制度を動かす形です。補助率は支援対象者1人当たり3分の2以内で、8万円が限度。その年に返還する額の合計の3分の1以内という枠もかかります。
書類の提出先は県ではなく市町です。実施している市町は令和8年5月1日現在で11。伊東市、裾野市、伊豆市、長泉町、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、袋井市、菊川市です。
裏を返すと、この11市町に事務所が無ければ県の制度としては使えません。県のページを見て使えると判断してから気づく順番になりがちなので、実施市町の一覧を先に開くほうが早く決まります。
プロ人材の補助は令和7年度末で終了
同じ県のページには、もう1つ制度名が並んでいます。プロフェッショナル人材確保事業費補助金です。ただしその横に「令和7年度末で廃止」と添えられています。
制度名で検索すると、廃止前に書かれた解説がまだ上位に残っていることがあります。県外の人材を正社員で採るときの手数料を見てもらう枠として案内されていた制度なので、これを前提に計画を立てていたなら組み直しが要ります。
年度をまたいだ制度の入れ替わりは、静岡県に限った話ではありません。県の一覧ページでは、廃止の表示まで目を通してください。
奨学金返還支援は14市町で使える
15件のうち4件が、奨学金の返還支援に出る制度でした。この分野だけは、静岡県内で使える範囲が飛び抜けて広くなっています。
| 制度 | 補助率と上限 |
|---|---|
| 静岡県中小企業等奨学金返還支援事業費補助金 | 3分の2以内・1人あたり8万円。県と11市町の連携 |
| 静岡市奨学金返還支援事業補助金 | 中小企業は3分の2・1人あたり年12万円。大企業は2分の1・年9万円 |
| 富士市中小企業等奨学金返還支援補助金 | 支給額の9割・1人あたり年20万円。1事業者につき年100万円 |
| 熱海市中小企業等奨学金返還支援補助金 | 3分の2以内・1人あたり年12万円。1事業者につき年60万円 |
県と11市町が1つの制度を分け合う
県の制度は、県と11市町が費用を分け合って動いています。企業から見れば申請先は1つですが、制度としては県と市町の両方が関わる形です。
そのため、支援額が申請先の市町によって異なる場合がある、と県のページに注記が付いています。同じ県の制度でも、受け取れる額が所在地で変わる可能性があるということです。
対象になる従業員は、支援を受ける年度の3月31日に35歳以下で、雇用日の属する年度の初日から5年を経過していない無期雇用の方です。就業規則等で奨学金返還支援を定めていることも要件になります。
若手の定着に手を打つなら、就業規則の整備のほうが先に来ると思われます。
静岡市と富士市と熱海市は独自に持つ
連携に入っていない市が、独自に制度を置いている例が3件ありました。静岡市、富士市、熱海市です。
静岡市の制度は交付要綱の施行日が令和7年11月1日と新しく、大企業も補助率を下げたうえで対象に含めています。中小企業は3分の2で従業員1人あたり年12万円、大企業は2分の1で年9万円。補助期間は最大6年間です。
富士市中小企業等奨学金返還支援補助金は、市が「人材アシストU-30」という愛称で案内しています。目を引くのは支給額の9割という補助率です。1人あたり年20万円、1事業者につき年100万円が上限になります。
ただし対象従業員は富士市民で、年度末に30歳未満という条件が付きます。熱海市は令和8年度から補助率が上がり、2分の1以内から3分の2以内へ。1人あたり年12万円、1事業者につき年60万円で、初回は事前相談が要ります。
県の連携11市町に、この3市を足すと14市町。35市町のうち4割ほどで、企業向けの奨学金返還支援が使える計算になります。
出るのは採用したあとの費用
数の多さは魅力的ですが、使いどころは採用の費用とは別の場所にあります。この4件はどれも、募集にかかった費用には1円も出ません。出るのは、入った人に会社が支給した手当や、代理で返還した額に対してです。
つまり、採る前の投資には使えず、採ったあとの負担を軽くする制度です。申請できるタイミングも違います。採用活動の補助金は発注の前、奨学金の返還支援は支援を実施する前後になります。
呼び名が近くても、社内で決裁を回す時期はずれます。募集の露出に手が足りないときの当てにはならないので、同じ枠として数えないほうが予算は組みやすくなります。
募集の露出に出ない5制度
残る5件は、募集そのものの露出には出ません。ただし外れ方は同じではありません。目的からして採用ではない枠と、目的は採用にあるのに対象経費が露出に届かない枠が混ざっています。
| 制度 | 条件 |
|---|---|
| 静岡県副業・兼業人材確保事業費補助金 | 10分の8以内・1人あたり50万円。県の拠点を通した仲介が前提 |
| 磐田市副業・兼業人材活用促進事業費補助金 | 2分の1以内・1人あたり上限24万円。年度内2人まで |
| 御殿場市雇用創出促進事業費補助金 | 市内正規従業員1人当たり25万円。設備投資が前提 |
| 掛川市新たなビジネススタイル整備支援事業費補助金 | 2分の1以内・上限5万円。小規模企業者限定 |
| 藤枝市地元企業魅力発信事業費補助金 | 2分の1以内・上限20万円。工場見学や仕事体験の実施が前提 |
副業と兼業は雇用契約を結ばない
県の制度と磐田市の制度は、どちらも副業・兼業の人材を受け入れるときの費用に出ます。磐田市のほうは補助率2分の1以内で1人あたり24万円、年度内2人まで。こちらも静岡県プロフェッショナル人材戦略拠点の利用が前提です。
対象経費は、副業・兼業人材に支払う報酬と、登録人材紹介会社に支払う紹介手数料および業務委託料。採用サイトや採用ツールの制作費は、どちらの制度にも入っていません。
そして受け入れるのは、業務委託契約等で職務や期間を限定して働く方です。正社員の募集とは別の枠になります。人手が足りないというより、特定の分野の知見が要るときに向く制度でしょう。
御殿場市は設備投資が前提になる
御殿場市の雇用創出促進事業費補助金は、市内正規従業員1人当たり25万円という分かりやすい金額です。ただし、その手前に条件があります。
制度が対象にしているのは、市内で新たな設備投資等により市内雇用が増加する企業です。施設の新増設・改修・取得が起点で、改修と取得は事業開始日から3年、増設と増築は5年以内に申請する決まり。3年間の雇用水準の維持も要件に入ります。
採用活動の費用に出る制度ではなく、投資と雇用の増加に対して後から出るものです。市外・県外の正規従業員と市外のパートタイマーは対象になりません。
建物や設備の計画と採用の計画が同じ年に重なっている会社だけ、ここを開く価値があります。
掛川市と藤枝市は外れ方が違う
掛川市の新たなビジネススタイル整備支援事業費補助金は、対象事業が「新しい生活様式」と「働き方改革」の環境整備と定められています。交付要領の別表に並ぶのは、ECサイトの開設費用、キャッシュレス決済の導入、インターネット回線の整備、動画作成など情報発信力強化に係る経費などです。
動画という語はありますが、「ホームページ」「採用」「求人」の語は要領の本文にありません。
ただし行き止まりではありません。交付要綱の別表には「その他これらに類する経費として市長が認める経費」という一行があり、採用サイトが入るかどうかはこの一行の判断になります。窓口に当たるなら、この一行を指して聞くことになります。対象は市内の小規模企業者で、上限は5万円です。
藤枝市の地元企業魅力発信事業費補助金は、外れ方が掛川市と逆です。交付要綱第1条は「中小企業者の人材確保を支援するため、児童、生徒、学生、その保護者又は求職者に…発信する」で、目的は採用にあります。
外れるのは費目のほうです。別表の6費目は印刷製本費・通信運搬費・手数料・保険料・使用料及び賃借料・その他の経費で、採用サイトも採用動画も求人広告も名前がありません。第2条第1号が対象事業を会社や工場の紹介・見学・仕事体験に限っているためです。
掛川市は目的の側で、藤枝市は費目の側で外れます。窓口へ持ち込んだときの答えも変わります。掛川市は目的から説明することになり、藤枝市は見学や仕事体験を実際にやるかどうかの話になります。
藤枝市で工場見学や仕事体験を考えている方へ。対象になる費目と、事業開始の20日前という期限はこちらに書きました。
参考記事:『【上限20万円】「藤枝市地元企業魅力発信事業費補助金」は採用サイトに使える?対象になる費用を解説!』
発注の順番を決めてから枠を選ぶ
静岡県内で確認できた枠は、2026年8月時点で15件。採用の費用に正面から出るのは6件で、上限は5万円から30万円です。補助率はおおむね2分の1なので、20万円が戻る枠でも動かす金額は40万円になります。要件を満たしても、予算が尽きれば交付決定は出ません。
効いているのは金額の差より、対象外の行と着手の順番のほうです。15件のうち8件は契約や発注より前に申請を出すことが条件で、人材紹介の手数料のように市で線が逆を向く費目もあります。当てる枠を選ぶより、何をどこへ発注するかを先に決めるほうが、返ってくるものは大きいはずです。
私たちのような地方企業では、「採用はもうあきらめている」という会社も少なくないと思います。地方採用ワークスは、地方企業の採用を専門に、募集の露出から受け皿づくりまでを包括的にご支援しています。製造、建設、運送、医療、飲食など、人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。
どこから手をつけるべきか、いまの状況をお聞かせいただければ一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。