2026.11.02
【年8.4万円】「愛媛県奨学金返還支援制度」は誰に出る?会社の負担と時期を解説!
「愛媛県中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度」は、県と県内企業等が基金に出すお金(出捐)で、奨学金の返還を助成する制度です。自社がいつ、いくら出し、会社に何が戻るのかは、案内の冒頭だけでは読み取りにくいと思います。
本記事では、2026年10月時点の愛媛県の公表内容をもとに、公式HPの内容をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!
この記事でわかること
- 県の認定を受けた人を採ったとき、県と会社が1年にいくらずつ出すのか
- 採用の費用に回せるお金はあるのか、会社は基金へいつ何を出すのか
- 県から認定者の一覧が届いても、どう応募を獲得するかは自社で決めること
愛媛県には、県と市町の両方に採用や雇用に出る制度があります。市町の制度まで見比べたい方は、自治体別に整理した記事からどうぞ。
【2026年度・11選】「愛媛県」で採用活動に使える補助金は?求人掲載・説明会・人材紹介の費用をまとめて紹介!
愛媛県で求人広告や合同説明会にお金をかけたい。そう思って県庁の商工や雇用のページを開いても、人材確保という名前の制度は並ぶのに、自社の求人にかかる費用に出るのかが読み取れない……。そこで手が止まっている方は多いと思います。 実は、県内には採用活動の費用に使える制度が11件あります。求人サイトの
※本記事は各自治体公式ページの内容を元に、「より分かりやすく」を趣旨にまとめさせていただいたものです。記載の内容については、一切の責任を負いかねますので、必ず申請前には各自治体の担当窓口までご相談いただきますようお願いいたします。
愛媛県奨学金返還支援制度の概要

出典: 愛媛県「愛媛県中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度 登録企業の募集について」のページ(2026年10月時点)
「愛媛県中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度」は、県の認定を受けた人が登録企業で1年勤めて奨学金を返したとき、県と会社が2分の1ずつ基金に出し、その人の返還に充てる制度です。会社にお金は入りません。県が出すのは1人あたり年8.4万円まで(IT人材確保枠は年10.08万円まで)、最長7年です。
| 補助金名 | 愛媛県中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度(IT人材確保枠を含む。県の資料の略称は「愛媛県奨学金返還支援制度」) |
|---|---|
| 相談先 | 愛媛県 経済労働部 産業支援局 産業人材課(電話: 089-912-2509。IT人材確保枠は 089-912-2506) |
| 補助対象 | 採った社員の奨学金(日本学生支援機構の第一種・第二種)の返還。県と会社が基金に出した額を、県が日本学生支援機構へ払う |
| 補助上限(補助率) | 1年の助成額は年間返還額の3分の2か16.8万円の低いほう(IT人材確保枠は5分の4か20.16万円)。県と会社が2分の1ずつ。最長7年 |
| 期限 | 会社の登録は随時。採る人の雇入れ日までに登録企業の認定が要る。会社の出捐は毎年12月頃、県の納付通知書で |
注意したいのは、求人広告費も求人サイトの掲載料も、採用サイトづくりの費用も、この制度の対象にならないことです。この制度で動くお金は、会社から県の基金へ、基金から日本学生支援機構へと流れ、途中で募集の費用に充てる場面がありません。
登録できるのは3分野の会社かひめボス宣言事業所
IT人材確保枠ではない一般の枠(以下、本枠)に登録できるのは、大学生などの採用を予定していて、愛媛県内に事業所がある会社です。県内に主たる事業所が無い会社は、採った人を県内の事業所で働かせる予定があることが条件です。
そのうえで、県の「ひめボス宣言事業所」の認証を受けているか、ものづくり・IT関連・観光の3分野の業種に当たることが求められます。ものづくりは建設業・製造業・卸売業と小売業・土木建築サービス業、IT関連は情報通信業、観光は宿泊業と飲食サービス業・旅行業です。ひめボス宣言事業所なら業種は問われません。
IT人材確保枠には、業種の条件がありません。こちらは別の登録で、県内に主たる事業所があるか、採った人を県内の事業所に在籍させる会社なら申し込めます。
暴力団と関係のある会社、風俗営業などを行う会社、社会保険や労働保険に入る義務があるのに入っていない会社、労働関係の法令に違反している会社は外れます。会社の規模は、どちらの枠でも問われません。
採る相手は就職前に県の認定を受けた人
本枠で助成を受けられるのは、日本学生支援機構の第一種か第二種の奨学金を借りている大学生と大学院の修士課程の学生で、卒業までに応募して県の認定を受けた人です。卒業から3年以内の既卒者も、申請の時点で県外に住み、県内へ移って登録企業に就く予定なら、就職前に応募できます。
県の認定を受けていない人を採っても、この制度の助成は付きません。認定を受けた人は、選考の中で登録企業と連絡を取るとき、認定を受けていることを人事担当者に伝えるよう県から求められています。代表者や取締役の3親等以内の親族が、経営を継ぐために入る場合などは外れることがあります。
IT人材確保枠は、短期大学・高等専門学校・専修学校の学生や既卒者も対象です。その代わり、基本情報技術者試験など、情報処理技術者試験のレベル2以上に合格していることが条件で、ITパスポート試験は含まれません。
卒業から3年を過ぎた人や、県内に住んでいる人の中途採用は、本枠では支えられません。そうした採用に使えるお金を探しているなら、国の助成金と自治体の補助金を並べて見ると選びやすいと思います。
参考記事:『【国と自治体】採用に使える助成金と補助金は?自社が対象かの見分け方を徹底解説!』
補助が出るのは採った人が1年勤めて返した場面だけ
この制度のお金が動くのは、採った人が1年勤め、返還を続けた年だけです。1年は10月から翌年9月までで、その間ずっと正社員として勤めていることが条件です。助成の額は、本枠なら1年に返した額の3分の2、IT人材確保枠なら5分の4で、それぞれ上限があります。県と会社が出すのは、その2分の1ずつです。
| 枠 | 1年の助成額の上限/会社の出捐の上限 |
|---|---|
| 本枠 | 16.8万円/8.4万円(7年で58.8万円) |
| IT人材確保枠 | 20.16万円/10.08万円(7年で70.56万円) |
例えば毎月14,000円を返している人なら、1年の返還は168,000円で、本枠の助成額はその3分の2の112,000円です。会社の出捐は56,000円になります。月23,000円なら3分の2が16.8万円を超えるので、助成額は16.8万円、会社の出捐は84,000円です。
本枠で支えられるのは、原則1社2名までです。採用の実績に応じて、予算の範囲内で3名以上も認めることがあるとされています。採る人の雇入れ日までに、会社が登録企業の認定を受けていることも条件です。
県内に主たる事業所が無い会社で採った人が県外で勤めた期間や、返還を猶予されていた期間は、計算に入りません。
逆に、次の場面では出ません。
- 正社員の募集で、求人媒体に広告を出した
- 採用サイトや採用動画、パンフレットを作った
- 採用活動の代行を外部に頼んだ
- 合同説明会や就職イベントに出展した
出捐の額を決めるのは、採った人が前の1年に返した奨学金の額です。求人広告や採用サイトにいくらかけても、その数字は動きません。県の基金が支えているのは、県内に迎えた人が働きながら続けている返還のほうです。
内定を出す前に、登録企業の認定まで済ませておく
認定を受けた人を採っても、雇入れ日の時点で会社が登録企業になっていなければ、その人は支援の対象になりません。登録は県の審査を経て登録証が届く形なので、内定を出す前に申請まで済ませておくべきでしょう。
出捐は毎年12月頃に県の通知書で納める
採った人が入社した年度は、会社が県へ採用の状況を報告します。学生として採った人なら助成は入社の翌年度から始まり、本人が毎年10月頃に県へ交付申請を出し、会社はその人の在職状況を9月から11月頃に報告します。申請に要る在職証明書を出すのも会社の役目です。
県が助成額を確定すると、12月頃に会社へ出捐額の通知が届き、期日までに基金へ納めます。県から日本学生支援機構への支払いは3月頃の予定で、この流れが最長7年続きます。
会社が出捐しないと、採った人への助成の交付決定は取り消されることがあります。本人の責任ではない理由で出捐しないときは、その人の同意を得ることが登録企業の義務です。認定を受けた人を採らなかった年や、採った人が9月末までに辞めた年は、出捐はありません。
登録は随時で電子申請から出す
登録は随時で、県のページにある電子申請のフォームから申し込みます。本枠とIT人材確保枠はフォームが別です。添付するのは、3か月以内に発行された履歴事項全部証明書と会社概要の2点で、ひめボス宣言事業所として申し込むなら認証書などの写しも付けます。
県が審査し、適正と認めれば登録証が届きます。本枠では、令和4年11月以降に登録した会社は、廃止の申請をするまで登録が続きます。
登録すると、県のホームページや大学などへ配る資料に会社名が載り、県が認定した人の一覧も届きます。会社の側も、自社のホームページや広報物で制度を知らせるよう求められています。
今治市と松山市は出捐の分を市が補助
今治市と松山市には、県のこの制度に登録した会社が基金へ出捐した分を、市が補助する制度があります。今治市の「今治市奨学金返還支援制度導入企業応援補助金」は出捐した額の全額を補助します。
松山市の「松山市奨学金返還支援制度登録企業応援補助金」は出捐した額の2分の1で、上限は42,000円(IT人材確保枠は50,400円)です。今治市は市内に事業所がある個人か市内に本店がある法人、松山市は市内に本店がある法人が対象で、どちらも市税の滞納が無いことが条件です。
どちらの市も、県の基金へ出捐したあとに、その年度のうちに申請を受け付けます。県から出捐の通知が届いたら、今治市は産業振興課(電話: 0898-36-1540)、松山市はふるさと納税・経営支援課(電話: 089-948-6548)へ、出捐した年度の末日までに書類を出します。
参考記事:『【年8.4万円】「今治市奨学金返還支援制度導入企業応援補助金」は何に使える?順番を解説!』
参考記事:『【4.2万円】「松山市奨学金返還支援制度登録企業応援補助金」は何に使える?要件を解説!』
まずは補助金活用の前に、「どう応募を獲得するか?」を考えよう!
本枠の支援は、原則1社につき2名までです。それも、県の認定を受けた人が自社を選び、入社して1年勤めたあとの話です。
認定者の一覧は県から届きますが、認定を受けた人は登録企業以外の会社にも自由に就職できます。その一覧に頼るのではなく、どう応募を獲得するかは自社で先に形にしておけます。
採用活動は、もう「片手間」では回りません…
その「どう応募を獲得するか」は、いまは空いた時間で片付く話ではなくなっています。採れる人そのものが減って、残った人の取り合いになっているからです。
①働き手が減り、若い人は都市部へ出ていく
15〜64歳の人口は7329万人で、1年で26万5千人減りました。そのうえ20〜24歳の若い層は、4年続けて、東京圏以外のどの道府県からも東京圏へ流れ出ています。少ないパイを、地方の会社同士で取り合う構造です。
参考サイト:『総務省「人口推計」(2026年3月1日現在・確定値)』『総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」(日本人移動者)』
②求人は求職者の2倍を超え、応募は取り合いになる
実際、愛媛県の新規求人倍率は2026年7月時点で2.59倍です。ひと月に新しく出てくる求人だけで、新たに仕事を探し始めた人1人あたり2件を超えます。取り合いに負ければ、人は入ってきません。
全国で正社員が足りないと答えた企業は51.3%です。建設では66.0%、運輸・倉庫では65.6%で、業種によっては3社のうち2社が足りないと答えています。同じ求人を同じように出していては、この取り合いからは抜けられません。
参考サイト:『厚生労働省「一般職業紹介状況」(2026年7月・季節調整値・就業地別。都道府県別はJILPT公表値)』『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』
③仕事はあっても人がいない、で終わってしまう
人手不足をたずねた調査では、たとえば「工事案件はあるが、原材料の高騰と人を集めることが困難で、受注したくてもできない状況」(土木建築サービス)という声が出ています。採れないことが、そのまま仕事の取りこぼしになります。
採れないあいだにも、いま居る人が辞めることはあります。「1人採れれば足りる」と構えると、辞めた分を埋めるだけで終わります。募集は、事業を続ける限り止まりません。採用は片手間の仕事ではなく、会社を続けるための経営戦略です。
参考サイト:『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』
採用が厳しい地域でも、3か月で応募17人・内定3人
地方採用ワークスでご支援した例を1つご紹介します。
岐阜県大野郡白川村の、従業員20名ほどの総合建設会社様では、支援開始から3か月で応募が17人、うち3人の内定に至りました。有資格者の採用にもつながっています。
足りないと答えた企業が66.0%に上る建設で、しかも採用が厳しい地域での結果です。同じ結果をお約束できるものではありませんが、条件が厳しくても、打ち手は残っています。
地方採用ワークスは、都市部より母数が少ない地方の採用を専門に、数多くの企業様をご支援してきた会社です。地方の企業が中心ですが、都市部の企業様からのご依頼もいただいています。採用ブランディングの設計から採用サイトの制作、応募を獲得したあとの一次面接やフォローまでをご支援しています。
いまの状況をお聞かせいただければ、どう応募を獲得するかの設計から、ご一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。