【年8万円】「静岡県中小企業等奨学金返還支援事業費補助金」は何に使える?申請先を解説!

静岡県の「奨学金返還支援制度」のページには、県と11市町が連携する制度で、申請書は市町へ出すと書かれています。社員の返還を支える手当のうち会社にいくらが戻り、どの窓口から動けばいいのかがつかめないまま、導入を決めかねていませんか。

本記事では、2026年10月時点の県の公表内容をもとに、公式HPの内容をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!

この記事でわかること

  • 手当や代理返還に払った額のうち、何割が年いくらまで戻るのか
  • 募集にかけた費用も、手当と同じ「奨学金返還支援事業」の経費に数えられるのか
  • 交付申請に載せる若手を迎えるには、補助とは別に応募の集め方が要ること

静岡県には、県と市町の両方に採用や雇用に出る制度があります。市町の制度まで見比べたい方は、自治体別に整理した記事からどうぞ。

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※本記事は各自治体公式ページの内容を元に、「より分かりやすく」を趣旨にまとめさせていただいたものです。記載の内容については、一切の責任を負いかねますので、必ず申請前には各自治体の担当窓口までご相談いただきますようお願いいたします。

静岡県中小企業等奨学金返還支援事業費補助金の概要

静岡県の公式サイトにある「奨学金返還支援制度」の案内ページ。企業向けの連携制度の見出しの下に、35歳以下を新規に採用して返還を支援する企業を県と11市町が支える旨の一文と、東部・中部の実施市町の名前が並んでいる

出典: 静岡県「奨学金返還支援制度」のページ(2026年10月時点)

「静岡県中小企業等奨学金返還支援事業費補助金」は、奨学金を返している社員を手当や代理返還で支えた中小企業等に、支えた額の3分の2以内を補助する制度で、申請は県が連携する11市町に出します。県と市町から会社に戻る額は、社員1人につき年8万円が上限です。

補助金名 静岡県中小企業等奨学金返還支援事業費補助金
相談先 社員が勤める事業所がある市町の担当課。制度全体は静岡県 経済産業部就業支援局 産業人材課(電話: 054-221-2573)
補助対象 就業規則などに定めて、奨学金を返している社員に払った返還支援の手当等。会社が貸与機関へ直接返す代理返還も対象
補助上限(補助率) 社員1人あたり年8万円(支えた額の3分の2以内・その年の返還額の3分の1以内)。採用年度から最大5か年度。裾野市・伊豆市は年12万円
期限 交付申請は、支援する日の2週間前か12月10日の早いほうまで。令和8年度は4月〜12月の支援が対象。焼津市・藤枝市は予算に達し次第終了

注意したいのは、求人広告費や求人サイトの掲載料、採用サイトの制作費には使えないことです。補助の対象は、暦年の1月から12月までに社員の返還を支えた経費と決められていて、その中身は手当か代理返還です。

対象は11市町に事務所がある県内の中小企業

静岡県内に本店か主たる事務所があり、伊東市・裾野市・伊豆市・長泉町・島田市・焼津市・藤枝市・牧之原市・吉田町・袋井市・菊川市のどこかに事務所を持つ中小企業者等が対象です(令和8年5月1日現在)。

申請先は本店の所在地ではなく、対象の社員が勤める事業所がある市町です。社員の勤務先が11市町の外にある場合、その社員の分は申請できません。

申請する日の前3年間に労働関係法令に違反した会社、県税や県内の市町村税に未納がある会社、風俗営業や暴力団員等も外れます。

中小企業者の条件は、牧之原市と袋井市の案内ページに業種別の数字で載っています。資本金と従業員数のどちらか一方が収まっていれば中小企業者です。

業種分類 資本金の額または出資の総額/常時使用する従業員の数
製造業・建設業・運輸業 3億円以下/300人以下
ゴム製品製造業 3億円以下/900人以下
卸売業 1億円以下/100人以下
サービス業 5千万円以下/100人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業 3億円以下/300人以下
旅館業 5千万円以下/200人以下
小売業 5千万円以下/50人以下
その他の業種 3億円以下/300人以下
社会福祉法人・特定非営利活動法人など -/2千人以下

組合・連合会、一般社団法人、医業または歯科医業を主たる事業とする法人の条件も、同じ表に並んでいます。

対象の社員は採用年度から5年以内の35歳以下

対象になるのは、雇用期間の定めがない社員(試用期間を含む)で、11市町の事業所で働き、雇われた日に奨学金を返しているか、返すことが決まっている人です。

対象は、採用した年度の初めから5年以内で、35歳以下の社員です。年齢は、支援を受ける年度の3月31日の時点で見ます。チラシは、1人あたり年8万円を採用年度から最大5か年度、合わせて最大40万円と案内しています。

いつ採ったかも問われます。会社が返還支援の制度を設けた日、申請先の市町の要綱の施行日、県の要綱の施行日(令和7年10月1日)のうち、いちばん遅い日以降に採った人だけです。県の説明資料は、既存の従業員に支援した分を対象外としています。

伊東市・裾野市・伊豆市の3市では、その市に住んでいることも条件です。役員や、事業主と同居する3親等以内の親族は外れますが、親族でも勤務の実態と勤務条件がほかの社員と同様と認められれば対象です。ほかの自治体から返還の支援を受けている人も外れます。

奨学金は日本学生支援機構のものに限らず、自治体や大学、民間企業が貸すものも対象です。静岡県看護職員修学資金貸付金のように、特定の職種に就くなどで返還が免除される奨学金は外れます。

いまいる社員の返還を支えたくて調べていた方には、この補助金は合いません。採用や雇用に出るお金には国が出す助成金もあり、自治体の補助金とは仕組みが違います。その違いを整理した記事から、次の候補を選べます。

参考記事:『【国と自治体】採用に使える助成金と補助金は?自社が対象かの見分け方を徹底解説!』

補助が出るのは新しく採った社員を支えた場面だけ

計算のもとになるのは、社員の返還を支えるために会社が払ったお金です。就業規則や社内規程に定め、その定めにもとづいて払うことが前提になります。支え方は2通りあり、本人に手当として払っても、会社が日本学生支援機構などの貸与機関へ直接返す代理返還でも構いません。

代理返還は、貸与機関がその仕組みを設けている場合に使えます。日本学生支援機構にはこの仕組みがありますが、設けていない貸与機関もあり、県の説明資料は手当と代理返還の両方を規程に書く形も示しています。

補助は、1月から12月までに支えた額の3分の2以内で、社員1人につき8万円が限度です。そのうえ、社員がその年に返す額の3分の1も超えられません。令和8年度は、4月1日から12月31日までの支援が対象です。

例えば牧之原市と袋井市のページは、年24万円を返している社員に、会社が年12万円を支えた例を載せています。補助は12万円の3分の2にあたる8万円で、会社の負担は4万円です。牧之原市は、この8万円を県と市が4万円ずつ出すと説明しています。

1社で何人分でも申請できます。補助は年ごとに計算するので、交付申請も毎年度、市町に出し直します。

逆に、次の場面では出ません。

  • 正社員の募集で、求人媒体に広告を出した
  • 採用サイトや採用動画、パンフレットを作った
  • 採用活動の代行を外部に頼んだ
  • 合同説明会や就職イベントに出展した

補助の財源を県と市町で分け合う仕組みでも、お金の行き先は迎えた社員の返済1つです。県は、市町が会社に出す補助のうち2分の1以内を受け持っています。財源が2つに分かれていても、募集の段階で会社が払う費用を受け止める先は、そのどちらにもありません。

代理返還を選ぶなら、手当で払う定めも規程に残しておく

奨学金を借りている先は、社員ごとに違います。代理返還だけを規程に書くと、その仕組みが無い貸与機関から借りた人には払う手段がなくなります。手当の定めも並べておけば、採った人に合わせて払い方を選べるはずです。

申請は支援する日の2週間前までに市町へ

申請は、手当を払うより先に済ませます。交付申請は、社員に支援する日の2週間前か12月10日のどちらか早い日までに、市町へ出します。原則は、支援より前に交付決定を受けておく決まりです。

その年の4月30日までに出した申請は、1月1日以降の支援までさかのぼって対象にできます。令和8年度は、4月30日までの申請で4月1日以降の支援を含められる扱いでした。

まず規程を整え、社員を採ってから交付申請を出し、交付決定を受けて支援を始めます。令和8年度分は、最後の支援日から30日以内か1月31日の早いほうまでに実績報告を出し、額が決まってから請求書を出すと、補助金が会社に払われます。

書類は、交付申請書や事業計画書、規程の写し、雇用契約書の写し、社員の返還額が分かる書類の写しなど7点に、市町が求めるものを足します。焼津市は、申請の前に商工観光課へ相談するよう案内しています。

県のホームページには「制度対象企業」のページがあり、制度を入れた会社の名前が市町ごとに並んでいます。

裾野市と伊豆市は上限が年12万円

裾野市と伊豆市に申請する会社は、同じ申請のまま、上限が社員1人あたり年12万円に上がります。

裾野市は、社員が返す奨学金の2分の1を、県が年4万円まで、市が年8万円まで補助すると案内しています。伊豆市は、支えた額の10分の9(1,000円未満は切り捨て)を、社員1人につき12万円まで補助します。

例えば伊豆市のページは、手当を年10万円払った社員が3人いる例を載せていて、10万円の10分の9に3人を掛けた27万円が補助です。2市とも、社員が市内に住んでいることが条件になります。

富士市・熱海市・静岡市は市の独自の制度

県の制度を実施していない市にも、会社の奨学金返還支援に出る市の制度があります。どれも県の制度とは別の仕組みで、申請先もそれぞれの市です。

市 率と上限
富士市 手当等として払った額の9割・1人あたり年20万円。1社につき年100万円まで
熱海市 3分の2以内・1人あたり年12万円。1社につき年60万円まで
静岡市 中小企業は3分の2・1人あたり年12万円。大企業は2分の1・年9万円

同じ社員の返還に、県の制度と市の制度を重ねて受けることはできません。県のチラシは、ほかの自治体から返還の支援を受けていないことを社員の条件に挙げています。

対象の社員の条件も市ごとに違い、富士市は申請の日に富士市民で、年度末に30歳未満の正規雇用の人に限っています。浜松市にも、市と認定を受けた会社が費用を半分ずつ持ち、本人の返還を支える仕組みがあります。

これらのほかに独自の制度を持つ市町があるかどうかは、事業所のある市町の商工担当の課に尋ねると分かります。

参考記事:『【年20万円】「富士市中小企業等奨学金返還支援補助金」は何に使える?対象者を解説!』

参考記事:『【年12万円】「熱海市中小企業等奨学金返還支援補助金」は何に使える?対象の社員を解説!』

まずは補助金活用の前に、「どう応募を獲得するか?」を考えよう!

手当の負担を県と市町の補助で軽くする。この制度を使う狙いは、そこにあるはずです。支援を払い終え、実績報告を出して額が決まるまで、年8万円は会社に入りません。

それまでの手当は会社が先に払います。申請先の市町は採った社員の勤務先で決まるので、人がいないうちは、どこに交付申請を出すかも定まりません。申請先を決めるにも、どう応募を獲得するかを先に決めておく必要があります。

採用活動は、もう「片手間」では回りません…

その「どう応募を獲得するか」は、いまは空いた時間で片付く話ではなくなっています。採れる人そのものが減って、残った人の取り合いになっているからです。

①働き手が減り、若い人は都市部へ出ていく

15〜64歳の人口は7329万人で、1年で26万5千人減りました。そのうえ20〜24歳の若い層は、4年続けて、東京圏以外のどの道府県からも東京圏へ流れ出ています。少ないパイを、地方の会社同士で取り合う構造です。

参考サイト:『総務省「人口推計」(2026年3月1日現在・確定値)』『総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」(日本人移動者)』

②求人は求職者の2倍を超え、応募は取り合いになる

実際、静岡県の新規求人倍率は2026年7月時点で2.18倍です。ひと月に新しく出てくる求人だけで、新たに仕事を探し始めた人1人あたり2件を超えます。取り合いに負ければ、人は入ってきません。

全国で正社員が足りないと答えた企業は51.3%です。建設では66.0%、運輸・倉庫では65.6%で、業種によっては3社のうち2社が足りないと答えています。同じ求人を同じように出していては、この取り合いからは抜けられません。

参考サイト:『厚生労働省「一般職業紹介状況」(2026年7月・季節調整値・就業地別。都道府県別はJILPT公表値)』『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』

③仕事はあっても人がいない、で終わってしまう

人手不足をたずねた調査では、たとえば「工事案件はあるが、原材料の高騰と人を集めることが困難で、受注したくてもできない状況」(土木建築サービス)という声が出ています。採れないことが、そのまま仕事の取りこぼしになります。

採れないあいだにも、いま居る人が辞めることはあります。「1人採れれば足りる」と構えると、辞めた分を埋めるだけで終わります。募集は、事業を続ける限り止まりません。採用は片手間の仕事ではなく、会社を続けるための経営戦略です。

参考サイト:『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』

採用が厳しい地域でも、3か月で応募17人・内定3人

地方採用ワークスでご支援した例を1つご紹介します。

岐阜県大野郡白川村の、従業員20名ほどの総合建設会社様では、支援開始から3か月で応募が17人、うち3人の内定に至りました。有資格者の採用にもつながっています。

足りないと答えた企業が66.0%に上る建設で、しかも採用が厳しい地域での結果です。同じ結果をお約束できるものではありませんが、条件が厳しくても、打ち手は残っています。

地方採用ワークスは、都市部より母数が少ない地方の採用を専門に、数多くの企業様をご支援してきた会社です。地方の企業が中心ですが、都市部の企業様からのご依頼もいただいています。採用ブランディングの設計から採用サイトの制作、応募を獲得したあとの一次面接やフォローまでをご支援しています。

いまの状況をお聞かせいただければ、どう応募を獲得するかの設計から、ご一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

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