【全92件】「千葉県」で採用に使える補助金は?対象の費用と上限額をまとめて紹介!

採用サイトを作り直したい。求人媒体の掲載料を軽くしたい。そう考えて自分の市の商工のページを開き、補助金の一覧を上から下まで読み、何も見つからないまま閉じる。千葉県ではこれがよく起きます。

枠が無いからではありません。取りこぼしの大半は、商工の一覧の外に置かれた枠でした。企業立地の優遇制度と、介護や障害福祉の課のページ。この2か所に、事業者が受け取れる枠がまとまってあります。

以下は54市町村と県を1つずつ当たった、2026年8月時点の内容です。まず何件あるのかから見ていきます。

この記事でわかること

  • 千葉県内で会社の側にお金または参加の席が出る採用まわりの制度は何件あって、県と市町村にどう分かれるのか?
  • 枠を確認できたのは何市町村で、町や村にも事業者向けの枠はあるのか?
  • 商工の一覧を読んでも出てこない枠は、どの課のページにあるのか?
  • 募集にかけた費用の名前で開く枠はどれで、いちばん大きいのは幾らか?
  • 残る89件は、何を条件にして開くのか?
  • 申請の前に人と会う手順が要る枠はどれで、無料の枠には何社分の席があるのか?

根拠にしたのは、県と各市町村が公開している案内ページ、交付要綱、制度案内、募集の案内です。制度ごとの申請の段取りは、個別の記事のほうに置いています。書き手は株式会社リーピーが運営するメディア「地方採用ワークス」です。

千葉県で採用に使える補助金は92制度

県の商工労働部と、54市町村の商工・産業振興・企業立地・福祉の各課のページを順に開きました。会社や法人の側がお金または参加の席を受け取れる採用まわりの制度として、2026年8月時点で内容を確認できたのは92件です。

区分 数と内訳
制度の合計 92件(県8件・市町村84件)
枠を確認できた自治体 県と38市町村
枠を確認できなかった自治体 16市町村
千葉県の市町村数 54市町村(37市16町1村)
件数の多い自治体 松戸市7件・千葉市5件・流山市5件・浦安市5件

国の助成金は、この92件とは別の仕組みで動きます。窓口も、動ける時期の決まり方も重なりません。国の制度を確かめたい方はこちらの記事からどうぞ。

参考記事:『【国と自治体】採用に使える助成金と補助金は?自社が対象かの見分け方を徹底解説!

会社の側に出る枠を92件と数えた

数え方を先に断っておきます。1件と数えたのは、募集の露出・採用ツール・採用活動の経費に費目名がある枠と、雇用そのものや人材の確保・定着を目的に掲げて事業者に出る枠まで。受け取るのが会社・法人の側であるものに限りました。

いちばん大きいのは、企業立地や企業誘致に伴って出る雇用奨励金の扱いです。「操業開始に伴って新しく雇った市民1人につき何万円」という形の枠を、それぞれ1件として数えました。新規雇用者の人数に単価を掛ける枠まで含めて92件です。

この条件から外れたものもあります。求職者本人や移住者本人にだけ渡るもの、たとえば長柄町や九十九里町の奨学金返還支援、各市町の移住支援金、住宅取得奨励金は入れていません。

県の移住支援金のうち会社側が受け取るのは、マッチングサイトへ無料で求人を載せられる枠のほうで、そちらだけを1件と数えています。

枠があったのは38市町村

千葉県には37の市、16の町、1つの村があります。今回、事業者向けの枠を確認できたのは県と38市町村でした。市だけでなく、酒々井町・栄町・多古町・横芝光町・大多喜町・御宿町の6町と長生村にも枠があります。

内訳は県が8件、市町村が84件。県の8件は産業人材課の6件と、健康福祉指導課の介護人材向け2件に分かれます。後者は商工労働部の管轄ではないため、県の「しごと・雇用」のページからは辿れません。

残る16市町村は取れなかった

枠を見つけられなかった16市町村は、茂原市・柏市・市原市・四街道市・八街市・印西市の6市と、神崎町・東庄町・九十九里町・芝山町・一宮町・睦沢町・白子町・長柄町・長南町・鋸南町の10町です。

商工・産業振興・企業立地・福祉の各課ページと補助金の一覧を開いたうえで見つけられなかった、という意味で、無いと確かめきれたわけではありません。

内訳が公開されていないために数えられない枠もあります。市原市の企業立地奨励制度は8種類の奨励金があると案内されていますが、それぞれの中身と額が出ていません。芝山町の企業誘致措置も「基準に該当するものには奨励金の交付措置があります。問い合わせてください」とだけで、種類も額も分かりません。

茂原市・東庄町・一宮町・長南町・鋸南町は、県の企業立地の一覧に「以下の市町村にも優遇制度があります」として名前が挙がっているのに、市町のページ側で雇用の費目に辿り着けませんでした。一覧に名前がある以上、無いと決めてしまう前に、その市町の商工の担当課に当たっておきましょう。

枠は商工ではなく企業立地と福祉にある

なぜ商工の一覧を読んでも出てこないのか。答えは所管の分かれ方にあります。採用の枠が、必ず商工の担当課にあるとは限りません。しかも千葉県では、商工の外にある枠を県がまとめた一覧がすでに公開されています。

探し先 そこに並んでいるもの
県企業立地課「立地企業への優遇制度」 37市町村の企業立地優遇制度ページへの直リンク
県産業人材課「市町村単独の障害者雇用促進事業等について」 15市町の事業者向け奨励金を担当課・電話番号つきで掲載
各市町村の介護保険課・障害福祉課・こども課 事業者向けの人材確保・定着の補助

どちらの一覧も県サイトの「しごと・雇用」「企業誘致」の直下にあり、非公開でも会員限定でもありません。ただ、名前に「補助金」も「採用」も入っていないため、検索でも一覧でも視界に入りにくい置かれ方です。

企業立地の一覧に37市町村が並ぶ

県の企業立地課が、37市町村の優遇制度を直リンクしています。この37の制度ページを1つずつ開くと、26件に「新規雇用者1人あたり何万円」という雇用奨励金が入っていました。額は1人10万円から60万円までです。

同じページの下には「以下の市町村にも優遇制度があります」として、成田市・野田市・茂原市・東庄町・一宮町・長生村・白子町・長南町・鋸南町が挙がります。リンクが無いぶん見落としやすい行です。

この種類の枠は「企業誘致奨励金」「企業立地促進補助金」といった名前で、採用の担当者が商工のページで探す語と重なりません。制度名ではなく、所管の側から開くほうが早いです。

障害者雇用の一覧に15市町が並ぶ

もう1本が、県産業人材課の「市町村単独の障害者雇用促進(就労支援)事業等について」(令和7年4月1日現在)です。「1.市町村単独の企業への助成制度」に、市川市・船橋市・松戸市・野田市・成田市・佐倉市・習志野市・流山市・八千代市・我孫子市・浦安市・白井市・酒々井町・栄町・多古町の15市町が並びます。

担当課と電話番号まで載った一覧が、県にあります。しかも所管はばらばらで、市川市は経済観光部商工課、白井市と習志野市は福祉部の障害福祉課。商工から探すか福祉から探すかで、見つかるかどうかが変わります。

福祉の課に置かれた枠が18件ある

介護保険課・障害福祉課・こども課・高齢者支援課の側にも、事業者が受け取る人材確保の補助があります。県の2件と市町村の16件で、確認できたのは18件でした。下の表は、その課にある枠を自治体ごとに数えたものです。

自治体 福祉の課にある枠
千葉県 2件。介護人材確保対策事業費補助金、外国人介護職員定着促進事業補助金
富里市 3件。介護人材確保育成支援、介護支援専門員人材確保、幼稚園教諭等人材確保
浦安市 2件。訪問介護等事業所事務職員雇用費補助金、障がい福祉サービス等従事者住宅手当
習志野市 2件。障がい者職場実習奨励金、介護職員初任者研修等費用助成
白井市 2件。雇用促進奨励金、障害者職場実習奨励金
船橋市 1件。外国人介護人材受入促進事業補助金
市川市 1件。介護人材確保対策事業
松戸市 1件。介護人材育成事業費補助金
袖ケ浦市 1件。介護人材確保育成支援事業補助金
香取市 1件。介護人材確保事業補助金
多古町 1件。障害者等しごと体験事業
長生村 1件。介護人材確保対策事業補助金

同じ名前の枠でも、担当する課は自治体ごとに違います。障害者職場実習奨励金は、市川市と松戸市では商工の課、習志野市と白井市では障害福祉の課にあります。枠の名前で探すより、課で探すほうが早いのはこのためです。

船橋市の外国人介護人材受入促進事業補助金は、1人あたり最大50万円・1法人年2人分まで。事業者の所在地が市外でも対象です。市内事業者限定という前提で読み飛ばすと落とします。なお白井市の雇用促進奨励金は、市の企業立地優遇制度のページに「新規受付終了」の表示が出ています。

Tips|所管の側から開く

自社の市町村名に「企業立地 優遇制度」と「雇用促進奨励金」を足して引き、そのうえで介護保険課・障害福祉課のページを開きます。所管は商工・産業振興・企業立地・福祉に分かれるので、労働の部署だけを追うと抜けます。県の一覧には担当課と電話番号まで載っています。

自治体別に見ると38市町村に散る

自社の市に枠があるかは、件数の多い順に並べた表から引けます。枠の数は自治体によって7件から0件まで開きます。近くの市に無い枠が自分の市にあることは普通に起きます。

枠が3件以上あるのは11自治体

自治体 件数と枠の中身
松戸市 7件。企業立地の雇用奨励補助、雇用促進奨励金、障害者職場実習、介護人材育成、デジタル化、採用コンサル派遣、合同企業説明会
千葉市 5件。賃借型と所有型の企業立地補助、資格取得支援補助金、中小企業人材育成・能力開発推進支援補助金、産業振興財団の人材採用力向上等支援事業費補助金
流山市 5件。求人情報発信等支援、雇用促進奨励金、障害者職場実習、企業立地の雇用奨励金、職場づくり
浦安市 5件。高年齢者・障がい者雇用促進、障がい者職場実習、訪問介護の事務職員雇用費、住宅手当、バス乗務員確保
野田市 4件。雇用促進奨励金、障がい者職場実習、トライアル雇用後の常用雇用、退職金共済
成田市 4件。若手人材確保支援、奨学金返還支援、雇用促進奨励金、企業立地の雇用奨励金
富里市 4件。企業立地の雇用促進奨励金、介護人材確保育成、介護支援専門員、幼稚園教諭等
市川市 3件。雇用促進奨励金、障害者職場実習、介護人材確保対策
習志野市 3件。障がい者職場実習、介護職員初任者研修の助成、公共交通の免許取得
袖ケ浦市 3件。奨学金代理返還支援、地元雇用奨励金、介護人材確保育成
南房総市 3件。がんばる事業者支援の雇用創出、デジタル化トライアル、企業誘致の雇用促進

この11自治体で46件。市町村の84件のうち半分強がここに集まります。上位は商工と福祉の両方に枠を持つ自治体で、松戸市の7件も商工振興課4件、介護保険課1件、委託運営2件と散っています。

残り27自治体は1件か2件

自治体 件数と枠の中身
船橋市 2件。障害者職場実習、外国人介護人材の受入促進
館山市 2件。企業立地・雇用促進奨励金、デジタル化トライアル
木更津市 2件。人材確保事業奨励金、地元雇用奨励金
佐倉市 2件。障害者雇用促進奨励金、企業誘致助成金の雇用促進奨励金
我孫子市 2件。企業立地の雇用拡大支援費、障害者雇用促進奨励金の経過措置
君津市 2件。企業誘致の雇用促進奨励金、奨学金返還支援
白井市 2件。雇用促進奨励金、障害者職場実習
匝瑳市 2件。企業誘致条例の雇用奨励補助金、雇用維持対策
香取市 2件。企業立地の雇用促進奨励金、介護人材確保
多古町 2件。企業誘致条例にもとづく奨励金(雇用促進と従業員転入の2種類を含む1件)、障害者等しごと体験
長生村 2件。企業立地・雇用促進奨励金、介護人材確保対策

1件だけの16自治体は、銚子市・東金市・旭市・勝浦市・八千代市・鴨川市・鎌ケ谷市・富津市・山武市・いすみ市・大網白里市・酒々井町・栄町・横芝光町・大多喜町・御宿町です。

八千代市の高年齢者等雇用促進奨励金と、東金市・鎌ケ谷市の退職金共済の掛金補助を除けば、いずれも企業立地・企業誘致に伴う雇用奨励金でした。

2件を持つ上の11自治体は合わせて22件で、この27自治体では38件です。3件以上を持つ11自治体の46件と足して、市町村の枠は84件になります。

町と村にも枠はある

町と村にも、事業者が受け取る雇用の枠があります。大多喜町は新規雇用者1人につき50万円(限度額1,000万円)、横芝光町は新規常用雇用者1人につき20万円(上限1,000万円)、酒々井町は正規雇用者1人あたり年20万円を最大5か年。町の規模から想像する額より大きいものが並びます。

栄町の枠は、企業立地に紐づかない単独の制度です。令和7年4月1日以降に町民を新たに1年以上正規雇用した事業者に、正規雇用者1人につき10万円、障がいのある方の場合は1人20万円。1事業者あたり年50万円が上限、5人以上の正規雇用者がいることが条件です。工場を建てなくても届く形です。

長生村にも企業立地・雇用促進奨励金と介護人材確保対策事業補助金の2件があります。村だから無い、という前提で外すと落とします。町村に事業所を置いている方ほど、県の2本の一覧で自分の町の名前を先に探しておかれると安心です。

費用の名前で開く枠は3件

92件を「何に対して出るか」で並べ直すと、はっきり分かれます。求人媒体への掲載料や広告費が、そのまま費目になっている枠は3件です。

費用の名前で開く枠をもう少し広げると、県の2件が入ります。こちらの対象経費は掲載料や広告費ではなく、人材紹介の手数料です(上限150万円と50万円。後で見ます)。掲載料と広告費まで見ている枠は、やはり3件でした。

費用の名前で開く枠 中身
千葉市 賃借型企業立地促進事業補助金の社員採用補助 広告掲載費用・転職エージェントに対する費用・採用パンフレット。最大500万円。ただし市内に新たに拠点を賃借する企業が前提
木更津市 人材確保事業奨励金 立地奨励金の対象施設への人材確保を目的として行う事業の経費。2分の1・上限50万円
流山市 求人情報発信等支援補助金 掲載料・合説出展料・求人動画の外注費・人材紹介の成功報酬。3分の1・計70万円

3件のうち2件は企業立地にあります。商工の補助金一覧だけを見ると、いちばん大きい枠を見落とす構図です。

なお、この3件のうち制作物の名前まで費目に入っているのは、千葉市の採用パンフレットと流山市の求人動画の2件です。残りは掲載料と、人材確保の事業費という束ね方でした。

千葉市は社員採用補助で500万円

「千葉市賃借型企業立地促進事業補助金」の案内ページには、「千葉市に新たに拠点を賃借された企業に対し、賃借料・法人市民税・雇用奨励・オフィス移転費用・採用支援に対し助成を行います」とあります。この採用支援が社員採用補助です。

令和8年度の制度案内には「新拠点での従業員採用をサポート」の見出しで、例として広告掲載費用、転職エージェントに対する費用、採用パンフレットが挙がります。上限は最大500万円。大型特例(事業従事者50人以上)またはコア業種特例の企業が対象で、その他業種の賃借型認定企業は250万円です。

かつては市の雇用推進課にも千葉市中小企業者採用活動支援補助金がありましたが、単年度の交付金を財源とする事業で令和7年度に募集を終えています。県内最大の市の枠は、いま企業立地課にあります。

ただし新たに市内へ拠点を賃借する企業が前提で、既存の市内事業者がそのまま使える枠ではありません。拠点を動かす予定が無いなら、この500万円は視野から外して先に進むほうが早いです。

木更津市は人材確保が名前に入る

「木更津市人材確保事業奨励金」は、「立地奨励金の対象となる事業施設への人材確保を目的として行う事業」に要した経費が対象です。補助率は2分の1、上限50万円。名称にも対象経費にも人材確保が入る、県内では珍しい書かれ方です。

同じ木更津市には地元雇用奨励金もあります。地元雇用者の数に10万円を掛ける形で、操業開始の6か月前から交付申請日までに期間の定めのない労働契約を結び、継続して雇用していることが条件。短時間労働者は除かれます。

どちらも立地奨励金と組みで動く制度で、窓口は経済部産業振興課。市の補助金一覧ではなく、立地企業への優遇制度のページにあります。立地奨励金の対象施設が無ければ対象外になるので、そこだけ先に確かめておきましょう。

流山市は掲載料と動画と紹介料

「流山市求人情報発信等支援補助金」は、就職・転職情報媒体への掲載料と合同企業説明会の出展ブース代、求人動画制作の外部発注費、成功報酬型人材紹介サービスの利用手数料に、補助率3分の1で出ます。

上限は掲載料と出展料を合わせて10万円、求人動画が20万円、人材紹介の成功報酬が40万円。すべて申請した場合は合計70万円です。

ただし、この制度には経費の欄より手前に条件があります。募集する職種が、ハローワーク松戸管内の常用的雇用の有効求人倍率で直近2か月連続1.0以上であること。会社の業種ではなく、募集を出す職種で見ます。

流山市で求人動画や媒体の掲載料の費用を載せたい方は、どの職種が当たるかの見方まで並べた記事からどうぞ。

参考記事:『「流山市求人情報発信等支援補助金」はどの職種が対象?使える費用と申請の順番を解説!

採用サイトの制作費は窓口で確かめる

採用サイトの制作費を名指しした費目名は見つかりませんでした。ただし、無いと言い切れる状態でもありません。

千葉市の社員採用補助は対象経費を「広告掲載費用、転職エージェントに対する費用、採用パンフレット」と例示までにとどめており、令和8年度の交付要綱は市の要綱一覧に載っていません。採用サイトが読めるかは企業立地課に確かめてください。

流山市のほうは、交付規則が定めているのが掲載料・出展料・求人動画の外注費・成功報酬までで、制作費は入っていません。実施要領には、動画を自社のホームページ内に掲載するための費用も対象外だと書かれています。

ウェブサイトの制作費に費目名がある枠は、別に3件あります。ただし目的の欄が採用ではありません。

制度 ウェブサイトの上限
松戸市 中小企業デジタル化チャレンジ補助金 3分の2(機器購入費は2分の1)。ウェブサイト制作費の上限は25万円で、機器購入費にも別に25万円。総額の上限は50万円、下限は5万円
南房総市 市内事業者デジタル化トライアル補助金 3分の2以内で25万円。両方選択時の上限は50万円
館山市 市内事業者デジタル化トライアル補助金 3分の2以内で25万円。両方選択時の上限は50万円

松戸市の対象経費は「自社の業務プロセスを継続的に改善し、売上や生産性の向上につながるウェブサイトの制作費」、南房総市と館山市は「集客拡大に寄与するウェブサイトの制作費」です。どれも、人を採るためのサイトを想定した書き方ではありません。

松戸市はここから先が決まっています。申請要領の対象外経費が「既存のウェブサイトを公開したまま新規作成するウェブサイト制作費」と「LPのみのウェブサイト制作費」を挙げています。

コーポレートサイトを残したまま採用サイトを別に立てる形と、1ページ完結の採用LP。この2つは、担当課の判断より手前で外れます。乗る余地があるのは、コーポレートサイトの全面リニューアルに採用ページを含める形でしょう。

南房総市と館山市については、対象外経費までは確かめていません。この2市は見積書を作る前に窓口へ持ち込むのが確実です。

残る89件の多くは誰を何人採ったかで開く

では、残る89件は何に対して出るのか。多くは、誰を何人採ったかの側に条件が付いています。費用の見積書ではなく、雇用契約と住民票のほうを見る枠です。

下の表は主な仕切りを並べたもので、89件の全内訳ではありません。松戸市の合同企業説明会や採用コンサル派遣、千葉市の資格取得支援のように、人数ではなく取組の中身で見る枠もこの89件に含まれます。

仕切り 該当する枠
新しく雇った市民の人数 企業立地・企業誘致の雇用奨励金。県の一覧では26件
就職困難者・障がい者 雇用促進奨励金と障害者職場実習奨励金。15の市町が持つ
介護・障害福祉・保育の人材 県2件と市町村16件の計18件
奨学金を返している若手 県・成田市・袖ケ浦市・君津市の4件
デジタル人材と副業・兼業人材 県の2件
外国人留学生・既卒者 県の外国人材確保支援事業
概ね30歳代までの若者 成田市 中小企業若手人材確保支援事業
職場定着 中小企業退職金共済の掛金補助。野田市・鎌ケ谷市・東金市

同じ会社でも、採る相手を変えると入れる枠が入れ替わります。逆に言えば、採りたい人が決まっていない段階では、どの枠にも当たりません。

最多は人数に単価を掛ける奨励金

いちばん数が多いのが、企業立地・企業誘致に伴う雇用奨励金です。県の企業立地課が直リンクしている37市町村の優遇制度のうち26件がこの型でした。

額の幅は広く、南房総市といすみ市が1人につき60万円、大多喜町が50万円、旭市と袖ケ浦市が30万円、横芝光町と流山市が20万円、香取市が15万円。松戸市だけは形が違い、新規常時雇用者1名当たり月額3万円(上限500万円/年)という積み方です。

ただし、この型には共通の前提があります。新設・増設・移転に伴う雇用であること、雇った人が市町村内に住んでいること、1年以上継続して雇用していること。お金が付いているのは賃金や受入れの側です。

いま募集にかけている費用を軽くする性質のものではないので、拠点を動かす予定が無い会社は視野から外してよい型だと思われます。

就職困難者と障がい者の枠が15市町

県産業人材課の一覧に載る15市町の枠は、雇用促進奨励金と障害者職場実習奨励金の2種類に分かれます。

  • 流山市 各月に支給した賃金の30%(限度額15,000円)。市内に居住する就職困難者が要件
  • 松戸市 各月の賃金の30%(各月2万円を限度)
  • 市川市 第1回は対象労働者1人につき12万円(重度15万円)、第2回以降は継続雇用1月につき2万円(重度2.5万円)
  • 白井市 市民の常用雇用者1人10万円、障害のある方は1人30万円

職場実習の受入れに出る枠は船橋市・松戸市・市川市・野田市・流山市・習志野市・浦安市・白井市などにあり、5日以上の受入れで1人1回2万円という形が多く見られます。

市川市の雇用促進奨励金のように、国の特定求職者雇用開発助成金の支給決定が要件のものもあります。国の助成金の手続きが先に来るので、順番を間違えないようにしておきましょう。

介護と福祉は別の課にある

介護・障害福祉・保育の人材に出る枠は、県2件と市町村16件の計18件でした。福祉の課にある枠は、商工の一覧からたどる案内がありません。採用の担当者が自力で辿り着くのは難しい置かれ方です。

「松戸市介護人材育成事業費補助金」は、無資格の人を最長210日の有期雇用で受け入れ、勤務時間中に介護職員初任者研修を受講させる事業者に人件費や研修費を補助します。基準額は直接採用で1日13,820円の最大80日分、最大1,105,600円。所管は介護保険課で、採用前に連絡するよう案内されています。

「浦安市訪問介護等事業所事務職員雇用費補助金」は、目的の欄が「人材確保および定着」で、人件費230万円を限度にその半額が出ます。運転手の確保に出る枠もあり、習志野市は公共交通事業者の大型第二種免許取得、浦安市はバス乗務員の確保に補助を置いています。

介護・福祉・運輸の事業所を持つ会社は、商工の一覧より先に所管課のページを開くほうが早いです。

県は外部人材と奨学金に出す

県の枠で金額がいちばん大きいのは、「令和8年度千葉県デジタル人材マッチング支援事業補助金」です。補助対象経費は民間人材ビジネス事業者に支払う紹介手数料で、補助率は2分の1以内、上限150万円。人材の側にも、デジタル・IT分野の実務経験が3年以上、正規雇用という条件が付きます。

もう1件が「令和8年度千葉県副業・兼業人材活用促進事業補助金」で、紹介手数料に加えて報酬と旅費まで対象、補助率は10分の8以内、上限50万円。どちらも受付は令和8年4月1日から令和9年1月29日までですが、期間内であっても予算額に達した時点で受付終了と書かれています。

奨学金の返還を支援している会社に出る枠は4件です。県が支援額の2分の1で従業員1人につき年間10万円・1社5人まで、成田市が1人1月当たり8,000円、袖ケ浦市が支援額の4分の1で1人年5万円。君津市にも中小企業者奨学金返還支援助成金があります。

4件に共通して、奨学金返還支援制度を就業規則や賃金規程等に定めていることが前提です。規程の改定から始まる枠なので、今年度の採用に間に合わせたいなら、そこを先に置いておかれるとよいでしょう。

申請の前に会う手順と席の数がある

千葉県内の枠には、経費や人数のほかにもう1つ共通する特徴があります。書類を書き始める前に、人と会う手順が要件に入っています。該当するのは7件で、いずれも会わないまま申請しても要件を満たしません。

制度 先に会う相手
県 デジタル人材マッチング支援 プロフェッショナル人材戦略拠点
県 副業・兼業人材活用促進 プロフェッショナル人材戦略拠点
県 移住支援金対象法人の登録 本社所在地の市町
松戸市 デジタル化チャレンジ補助金 松戸ビジネスサポートセンターのアドバイザー
南房総市 デジタル化トライアル補助金 市主催のセミナーと経営診断
館山市 デジタル化トライアル補助金 市主催のセミナーと経営診断
南房総市 がんばる事業者支援事業補助金 千葉県よろず支援拠点

袖ケ浦市の奨学金補助と松戸市の介護人材育成も事前相談を求めていますが、こちらは「相談してから」という案内なので、要件として明記された7件とは分けています。

県の2件は拠点の仲介が前提

県のデジタル人材と副業・兼業の2件は、要件の書き方が特徴的です。「千葉県プロフェッショナル人材戦略拠点の支援を受け、かつ、拠点に登録された民間人材ビジネス事業者から紹介された人材を採用し、当該事業者に対して紹介手数料を支払うこと」。

つまり、自社で見つけた紹介会社に払った手数料では届きません。拠点に相談し、拠点が登録している事業者から紹介を受けた場合だけが対象です。採用の経路そのものが要件になっている枠があります。紹介会社を先に決めると、あとから当てはめ直せません。

南房総市と館山市のデジタル化トライアル補助金は、要件に「市が主催するセミナー及び経営診断を受けた者であること」が入ります。松戸市のデジタル化チャレンジ補助金も、松戸ビジネスサポートセンターのアドバイザーとの面談が先に要ります。

南房総市のがんばる事業者支援事業補助金は令和8年度から、申請前に千葉県よろず支援拠点の相談を受けることが要件に加わりました。雇用創出支援メニューは1人あたり60万円・最大5名までですが、建物・設備のメニューとの組でしか出せません。先ほどの企業誘致の奨励金とは別の制度で、金額がたまたま同じです。

松戸市のデジタル化チャレンジ補助金でウェブサイトを作りたい方は、採用サイトが手前で外れる線まで並べた記事からどうぞ。

参考記事:『「松戸市中小企業デジタル化チャレンジ補助金」で採用サイトは対象?外れる理由を解説!

無料の枠は席の数で切られる

業種も所在地もほとんど問わずに使えるものは、お金ではなく「出る場所」と「来てもらう人」の形で用意されています。ただし、こちらには席の数という上限が付きます。

席の数
成田市 合同企業説明会 65社(募集定員を上回る場合は抽選)
県 外国人材確保支援事業の合同企業説明会 15社(選考により決定)
松戸市 採用コンサルタント派遣 10社程度(定員に達し次第終了)

成田市中小企業若手人材確保支援事業の合同企業説明会は令和8年10月12日の開催で、募集は65社、参加費は無料。応募が定員を上回った場合は抽選で、企業PR力向上セミナーの申込企業を優先すると案内されています。先にセミナーへ出た会社が、説明会の席でも前に出る設計です。

松戸市は、人材採用に精通した専門家が会社を直接訪問する個別相談を無料で用意しています。令和8年6月から令和9年3月まで、1回1時間程度の面談を1社2回程度、定員10社程度。相談例は自社の魅力発信方法や若手人材に響く求人の書き方です。お金が出ないかわりに、時間と人が出ている形です。

どれも募集の時期が決まっている枠なので、年度の頭にカレンダーへ写しておきましょう。

運営は市ではなく委託先が受ける

問合せ先の書き方にも、気づいた点があります。成田市の若手人材確保支援事業も、松戸市の合同企業説明会・コンサルタント派遣も、運営事務局は市ではなく業務委託先の民間企業で、2市とも同じ会社が受けています。

申込みフォームも問合せ電話も、市役所ではなく事務局のものです。県の採用力向上サポートプロジェクトも同じで、申込み・問合せ先は千葉県商工会議所連合会になっています。

市のページを見て「うちの市はやっていない」と判断する前に、事務局側の受付が生きていないかを確かめておかれると安心です。

先に決まるのは、採る相手と当たる課

92件のうち、採用パンフレットや求人動画の制作費が費目に入るのは2件です。上限は千葉市の社員採用補助が250万円(大型特例・コア業種特例の企業だけ最大500万円)、流山市の求人動画が20万円で、補助率は流山市が3分の1。どの枠も予算の範囲内で交付する形なので、要件がそろっても交付は約束されません。

費用の名前で開く枠は3件、残る89件は誰を何人採ったかの側に条件が付いています。制作物の名前が費目に入る枠が2件しかない県で先に決まるのは、採る相手を誰にするかと、その枠がどの課の担当かのほうだと思われます。

私たちのような地方企業では、「採用はもうあきらめている」という会社も少なくないと思います。地方採用ワークスは、地方企業の採用を専門に、募集の露出から受け皿づくりまでを包括的にご支援しています。製造、建設、運送、医療、飲食など、人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。

どこから手をつけるべきか、いまの状況をお聞かせいただければ一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人
【全92件】「千葉県」で採用に使える補助金は?対象の費用と上限額をまとめて紹介! | 採用補助金
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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