【全74件】「埼玉県」で採用に使える補助金は?対象の費用と上限額をまとめて紹介!

県のサイトで「人材確保」と入れると、出てくるのは人材紹介の手数料に出る枠ばかり。採用サイトの制作費や求人媒体の掲載料を探しているのに、その費目にたどり着けない……という状態でしょうか。

制度が無いわけではありません。数え直すと、会社や法人が受け取れる採用まわりの枠は県内に74件ありました。ただ、その多くは商工の一覧にも県の人材確保のページにも顔を出しません。

以下は2026年8月時点で県と市町村が公表していた内容です。まず、県内に何件あるのかから並べます。

この記事でわかること

  • 会社や法人が受け取れる枠は県内に何件あり、県と市町村にどう分かれているのか?
  • 補助の宛先は何に付いていて、いくつの型に分かれるのか?
  • いちばん数が多い企業立地の雇用奨励金は、どの自治体にあるのか?
  • その枠は、採用だけを理由に申請できるのか?
  • 採用サイトや求人媒体の費用が費目に入る枠は、どこにあるのか?

個々の申請の段取りは制度ごとの記事に置いています。書き手は株式会社リーピーが運営するメディア「地方採用ワークス」です。

埼玉で拾えた枠は74制度

採用の枠は、商工のページだけにあるわけではありません。県は産業労働部・福祉部・企画財政部に、市町村は商工・雇用・福祉・保育・交通の各課に分かれています。事業者や法人の側が受け取れる採用まわりの枠として、2026年8月時点で内容を確認できたのは74件です。

区分 数と内訳
制度の合計 74件(県10件・市町村64件)
枠を確認できた自治体 県と44市町村(31市13町)
埼玉県の市町村数 63市町村(40市22町1村)
市町村の多い順 企業立地の雇用奨励金25件・中退共の掛金補助19件・保育士の宿舎借上6件

国の助成金は、この74件とは別の仕組みで動きます。窓口も、動ける時期の決まり方も重なりません。自治体の枠と国の枠のどちらを先に調べるか決めかねている方は、国の制度の全体像を先に開いてみてください。

参考記事:『採用で使える助成金と補助金

数えたのは会社が受け取る枠

1件と数えたのは、採用・人材確保・雇用の継続を目的か費目に持つ枠のうち、受け取るのが事業者・法人の側であるものに限りました。交付要綱の単位で1件です。

この条件から外れるのが、川口市の中小企業従業員等奨学金返還支援補助金と戸田市の若者奨学金返済サポート補助金です。名前は近いのですが、申請するのも受け取るのも従業員本人になります。会社に出る県の中小企業等奨学金返還支援のほうは、74件に入っています。

逆に、名前が採用でなくても入れたものがあります。保育士の宿舎借り上げ支援は受け取るのが施設の運営法人ですし、中退共の掛金補助も掛金を払う事業主に出ます。受け取り手をどちらにするかで分けたので、定着側の枠もこちらに入りました。

対象になる企業規模の条件は、74件で共通していません。「中小企業等」とだけ書く枠が多いので、人数や資本金の要件は当たる枠の交付要綱で確かめるほうが早いです。

74件は下限として数えている

この74件は、県内にある枠の全部ではありません。下限として読んでください。

はっきりしているのは保育士の宿舎借り上げ支援です。県内はほぼ全市が持っているとみられる類型ですが、交付の中身まで確認できたのは6市だけでした。

枠を確認できなかった19市町村も同じ扱いです。「無い」と確かめたのではなく、公開されている範囲から取れなかった、という意味になります。特に越谷市と草加市は保育施設を多く抱えていて、宿舎借り上げの類型がある可能性が高いところです。

自社の市町村が19に入っていても、無いと決める前に担当課へ一度電話で確かめておかれると安心です。

63市町村のうち44に枠がある

埼玉県の市町村数は63です。内訳は40市22町1村で、市の数は全国でいちばん多い県になります。このうち事業者向けの枠を確認できたのは44市町村、内訳は31市13町でした。

確認できなかった19市町村は、羽生市・草加市・越谷市・入間市・朝霞市・和光市・桶川市・蓮田市・幸手市の9市と、伊奈町・滑川町・小川町・川島町・皆野町・美里町・寄居町・宮代町・杉戸町の9町、それに東秩父村です。

町村部に枠が無いと決めると、10町の雇用奨励金を丸ごと落とします。県が1枚の表にまとめている企業立地の優遇制度に、毛呂山町・嵐山町・吉見町・鳩山町・ときがわ町・長瀞町・小鹿野町・神川町・上里町・松伏町が並びます。

中退共の掛金補助も越生町・ときがわ町・横瀬町の3町にあり、三芳町は2026年6月にインターンシップの受入補助を新設したところです。

拾いにくいのは、市の一覧に載っているのが国の制度だけ、という形です。東松山市の中小企業・個人事業主向け支援制度のページは「労働環境改善、人材育成・確保」に5つの制度を並べていますが、5件とも実施主体の欄が「国」です。

ただし市に枠が無いわけではありません。障害者福祉課が持つ障害者就労継続支援事業補助金があり、人材確保支援金として1人10万円が出ます。商工の一覧からは、この枠へたどり着けません。

県の10件は4つの課に分かれる

県の10件も、1つの部署にまとまっていません。

所管 制度
産業労働部 雇用・人材戦略課 即戦力人材確保支援事業補助金/副業・兼業人材活用促進事業補助金/シニア人材活用による賃上げ環境整備事業補助金
産業労働部 就業支援課(埼玉県中小企業団体中央会が実施) 中小企業等奨学金返還支援事業補助金
福祉部 高齢者福祉課 訪問介護等サービス提供体制確保支援事業補助金/通所介護事業所等の多機能化推進支援/外国人介護人材確保のための初期費用支援事業補助金/介護事業所と送り出し国との連携支援事業補助金/外国人介護職員が長く働ける、魅力ある埼玉介護の促進補助金
企画財政部 交通政策課 地域公共交通事業者の人材確保支援事業

数のうえで多いのは福祉部です。「採用の補助金だから産業振興のページにあるはず」という当たりの付け方だと、介護と交通の枠を通り過ぎます。奨学金返還支援の1件は申請先が県庁ですらなく、埼玉県中小企業団体中央会が受けています。

自社が介護・保育・交通のどれかに当たるなら、商工より先にその課の一覧を開くほうが早いと思われます。

Tips|自社の市町村の枠をたどる順番

まず市町村名に「補助金 一覧」を足して商工担当課のページを開きます。そこに採用の枠が無くても、福祉・保育・交通の課にあることがあります。工場や事業所を建てる計画があるなら、県の企業立地課が1枚にまとめている市町村の優遇制度の表も開いておくと、雇用奨励金の有無がまとめて分かります。

宛先は費目と経路と人数に付く

74件を、金額が何に対して決まるかで分け直すと3つになります。この記事は、この順に見ていきます。

補助の宛先 件数
採った人の頭数に付く 48件
払った費用の名前に付く 23件
県が用意した通り道に付く 3件

いちばん数が多いのは、採用にかけた費用ではなく、採った人の人数で金額が決まる型でした。採用サイトや求人媒体の見積を持って探すと、この48件はまるごと候補から外れます。費目で数える枠を探しているなら、先に見るべきは23件のほうです。

採った人の頭数に付く枠が48件

74件のうち48件は、費目ではなく人に紐づいて出ます。人を1人採った、1人分の掛金を払った、1人が資格を取った。見られるのは領収書の中身ではなく、その人が何人いるかのほうです。多くは1人あたりの定額ですが、掛金や手当の一部を補助率で見る枠もこの側に入ります。

頭数に付く48件の内訳 件数
企業立地・企業誘致条例に付く雇用奨励金 25件(24自治体)
中小企業退職金共済の掛金補助 19件(16市3町)
障害者雇用の単独枠 3件(川越市・所沢市・東松山市)
県の中小企業等奨学金返還支援 1件

企業立地の雇用奨励金が24自治体

48件のうち25件は、企業立地・企業誘致の条例に付いている雇用奨励金です。持っているのは24自治体で、戸田市だけが製造業向けとIT産業向けの2本を持っています。

一覧は県の企業立地課が公表している「補助金等に係る優遇制度」で、市町村の条例名と限度額と交付内容が1枚に並びます。県の雇用・人材戦略課のページからは、この表をたどれません。

自治体 雇用に係る交付内容と限度額
熊谷市 新規雇用者1人 正規50万円・非正規20万円(重点業種は80万円・30万円)。限度3,000万円、重点業種は5,000万円
深谷市 新規雇用者が5人以上となる場合に1人30万円を3年間。限度1億円
鶴ヶ島市 新規市民雇用者1人30万円を3年分、市内転入の既従業員1人30万円。限度9,000万円
戸田市 市内に1年以上住民登録のある新規雇用者1人30万円を1年間。限度30万円

持っている24自治体は、川越市・熊谷市・川口市・行田市・所沢市・飯能市・本庄市・狭山市・鴻巣市・深谷市・戸田市・久喜市・鶴ヶ島市・坂戸市の14市と、毛呂山町・嵐山町・吉見町・鳩山町・ときがわ町・長瀞町・小鹿野町・神川町・上里町・松伏町の10町です。

自分の市町がここにあれば、金額の大きい枠を持っています。1人あたりの単価は10万円から50万円、限度額は30万円から1億円まで開いています。

後で見るとおり、採用活動の費用そのものに出る枠でいちばん大きいのは県の150万円です。そこを上限だと思って探していると、桁が2つ違う枠を素通りします。

坂戸市の1件は、県の表には載っていません。市内在住の新規常用雇用者1人あたり年10万円を3年間という奨励金が、商工労政課の所管業務のページにあります。県の表だけを見て自分の市が無いと判断すると、この型を落とします。

立地が前提で採用単独では使えない

金額は大きいのですが、条件は重いほうです。この25件はどれも工場や事業所の新設・増設が前提で、採用だけを理由に申請することはできません。投資に伴って地元の雇用が増えたことに対して出る枠だからです。

そのうえ、雇う相手も指定されています。「市民を」「町民で1年以上継続雇用」といった書き方で、住んでいる場所と雇用の継続期間が条件に入ります。

今年の募集にかかる費用を軽くする性格のものではありません。ただ、設備投資の話が社内に出ているなら、採用の担当者が同じ条例を開いておく価値はあります。

中退共の掛金補助は16市3町

もう1つ数が多いのが、中小企業退職金共済の掛金補助です。国の制度に加入した事業主が払う掛金の一部を、市や町が上乗せで負担します。

区分 自治体
川越市・熊谷市・秩父市・所沢市・加須市・春日部市・狭山市・本庄市・深谷市・蕨市・戸田市・志木市・八潮市・富士見市・三郷市・ふじみ野市
越生町・ときがわ町・横瀬町

補助の額や期間、対象になる加入年数は自治体ごとに違います。所管も雇用支援課・産業振興課・商工観光課・経済戦略室と分かれ、蕨市のように商工会議所が取扱窓口の市もあります。

採用のための費用は出ません。ただ、退職金制度があること自体は求人票に書ける事実です。掛金の負担が軽くなるぶんを制度の新設に回せるなら、募集の材料が増えます。自社の市町の商工担当課に、上乗せの条件から聞いてみましょう。

障害者雇用は福祉と雇用支援が担当

障害者雇用の単独枠は3件です。金額の大きさよりも、どの課にあるかのほうが問題になります。

自治体 制度の内容
川越市(雇用支援課) 障害者雇用奨励金。ハローワークの紹介で市内在住の障害者を週20時間以上雇用し、6か月ごとに10万円を上限として交付。対象労働者1人につき最大20万円
所沢市(産業振興課) 障害者雇用推進企業支援補助金。市内在住障害者の新規雇用に週20時間以上で1年目10万円、週30時間以上で1年目20万円。職場実習奨励金は1回1人2万円
東松山市(障害者福祉課) 障害者就労継続支援事業補助金。人材確保支援金1人10万円、障害者就労支援奨励金1人5万円

3件とも、商工や産業振興の補助金一覧からはたどり着けません。川越市は雇用支援課、東松山市は障害者福祉課の所管で、事業者向けの支援制度をまとめたページには出てきません。

企業立地の条例の中に上乗せを持っている市もあります。所沢市は障害者である市民を新規雇用した場合に1人5万円から20万円を2年間足し、狭山市は障害者1人につき10万円、久喜市は1人30万円を加算します。

なお川越市の奨励金は、令和8年度から内容の一部が変わっています。

奨学金返還は社内の規程が先に要る

頭数に付く枠の残り1件が、県の「中小企業等奨学金返還支援事業補助金」です。従業員の奨学金返還を会社が手当として支援したときに、その額の一部が出ます。補助率は2分の1、上限は1人年9万円。県の多様な働き方実践企業の認定を受けていれば3分の2・年12万円に上がります。

この枠が補助するのは、就業規則や賃金規程など内容を明確に定めた文書に基づいて支給した手当です。従業員への貸付金は対象外で、制度そのものを社内に作っていないと支給の実績が作れません。求人票に手当として書きたいなら、規程の整備のほうが先に来ます。

県の3件は通り道が条件になる

74件のうち3件だけ、条件の立て方が違います。産業労働部 雇用・人材戦略課が持つ枠で、「何に払ったか」でも「何人採ったか」でもなく、誰を通して人を確保したかを条件に置いています。

制度 通り道と補助対象経費
即戦力人材確保支援事業補助金 埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点の登録人材紹介事業者を通してデジタル人材を採用。対象は人材紹介手数料
副業・兼業人材活用促進事業補助金 同じ拠点の登録人材紹介事業者、または拠点のマッチング事業を通じて初めて副業・兼業人材を活用。対象は手数料と本人への報酬
シニア人材活用による賃上げ環境整備事業補助金 埼玉県シニア人材バンクを通じてシニア人材を確保。対象は本人に支払う所定内給与または報酬

3つとも、経費の欄に並ぶのは人に渡るお金です。制作費も掲載料も入りません。裏を返すと、同じ人を自社の求人で採ったら3件とも対象から外れます。募集を始める段階で拠点やバンクに寄る道を選んだかどうかで、候補に残るかどうかが決まります。

拠点の紹介事業者を通した採用に出る

「即戦力人材確保支援事業補助金」は、拠点に相談したうえで、拠点の登録人材紹介事業者を通してデジタル人材を採用した場合に、紹介手数料の一部が出ます。

補助率 初回利用者は手数料の2分の1、2回目以降は3分の1
上限 150万円(過去に本補助金等の交付歴がある場合は100万円)
人数 1社につき1名まで
期間 就業開始日が令和8年4月1日から令和9年1月31日まで
募集 令和8年5月11日から令和9年2月1日まで。予算額に達した時点で終了

150万円は、費用に対して出る枠としては県内で大きいほうです。ただし対象はデジタル人材に限られます。その定義は募集要領と質疑応答に書かれていて、デジタル技術を活用して新事業や製品・サービスの創出や改善、生産プロセスの改善を実施する即戦力人材、という書き方です。

登録人材紹介事業者になるには県の雇用・人材戦略課への問い合わせが必要で、いま付き合いのある紹介会社が登録されているとは限りません。動くと決めたら、その紹介会社に登録の有無から聞いておきましょう。

副業と兼業は初回だけ10分の8

「副業・兼業人材活用促進事業補助金」は、同じ拠点を通す枠です。こちらは紹介手数料に加えて、副業・兼業人材へ支払う報酬そのものが対象経費に入ります。補助率は10分の8、上限は1件50万円です。

条件で目を引くのは対象者の一行です。「初めて副業・兼業人材を活用する中小企業等」と書かれていて、2回目以降は対象になりません。契約期間は6か月以内で、短い委託を1本、初回だけ手厚く支える設計です。過去に副業人材を使ったことがあるなら、この枠は候補から外して考えるのが先です。

シニアは人材バンク経由で給与に出る

「シニア人材活用による賃上げ環境整備事業補助金」は、埼玉県シニア人材バンクを通じてシニア人材を確保した中小企業が対象です。補助対象経費は、そのシニア人材に支払う所定内給与または労働に対する報酬。補助率は10分の8で、上限は採用・転籍が260万円、副業・兼業等が60万円です。

順番が独特です。賃上げにつなげる環境整備の方針を作って企業開拓員の確認を受けるのが先で、その方針に基づいてバンクを通じて人を確保する。確保してから制度を探す形だと、条件の順番が逆になります。シニアの採用を今年度に考えているなら、募集を出す前に方針づくりから始めるほうが損がありません。

費用の名前で数える枠は23件

残る23件が、払った費用の名前で数える枠です。採用サイトや求人媒体の見積を持って探すなら、当たるのはここになります。

費目に付く23件の内訳 件数
県の福祉部と交通政策課 6件
採用活動費とインターンシップ 3件(吉川市2件・三芳町1件)
保育士の宿舎借上支援 6件
介護・福祉と外国人材の確保定着 4件(川口市2件・上尾市・新座市)
交通の担い手確保 2件(日高市・白岡市)
女性の職場環境改善 2件(北本市・狭山市)

最後の2件は、女性の職場環境を改善する費用に出る枠です。北本市は補助率2分の1以下・上限50万円で、県の多様な働き方実践企業認定を受けていることが要件。狭山市の助成金は、2026年6月30日時点で受付を一時停止していました。

吉川市は別表に自社サイトを載せる

「吉川市人材確保支援補助金」は、市内の中小事業者が人を採るために払った費用の半分を市が持つ制度です。補助率2分の1以内、上限20万円、同一事業者につき同一年度内1回限り。所管は産業振興部の商工課です。

対象事業 別表に書かれている経費
就職情報サイト登録応援事業 求人活動のために就職情報サイトを新たに利用した経費
就職ガイダンス等出展応援事業 出展料、会場設営費、運搬費、資料作成料、有料道路通行料、旅費
企業紹介パンフレット等作成応援事業 印刷製本費/業務委託費用(企業紹介動画の作成、自社ホームページの新設又は改修等に係る費用)

3行目です。「自社ホームページの新設又は改修等に係る費用」が、業務委託費用として名指しで載っています。県内でこの書き方をしているのは、2026年8月時点で見つけられた範囲ではここだけでした。

一方で、この要綱に出てくる「紹介」は「企業紹介パンフレット」「企業紹介動画」の紹介で、人を紹介する意味では使われていません。人材紹介の手数料を指す費目は、この制度には無いということです。

吉川市はこの制度を2つの枠で走らせています。片方は市の予算、もう片方は国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金が財源です。

吉川市で採用サイトの制作費をこの枠に当てはめたい方は、どちらへ出すかを先に決めます。別表の9項目と併用の条件は、こちらの記事に置きました。

参考記事:『「吉川市人材確保支援補助金」はどちらの枠で出す?対象経費と併用条件を整理

同じ枠に、三芳町が2026年6月1日に新設したインターンシップ支援事業補助金があります。受け入れた事業者に交付する形で、補助率2分の1、町外の学生1人につき1万円、1事業者あたり年間上限10万円です。

町内に事業所が無くても、就業地を町内に限定した求人を出していれば対象になります。吉川市か三芳町に事業所か求人がある会社なら、ここから当たれば足ります。

介護の広報枠は一行の費目で始まる

県の「訪問介護等サービス提供体制確保支援事業補助金」には、4つの補助メニューがあります。そのうち採用に関わるのが「広報活動に係る支援」で、1事業所当たり30万円です。

対象は訪問介護・定期巡回随時対応型訪問介護看護・夜間対応型訪問介護のいずれかの事業所で、さいたま市・川口市・川越市・越谷市の事業所は各市の窓口に出します。

要綱の別添にある対象経費の例は、次の一行だけです。

介護人材や利用者確保のためのチラシ等の作成費用

紙もの以外は、この一行からは読み取れません。採用サイトの制作費を探しに来た方は、ここで候補から外しかねないところです。

求人サイトと紹介料は質疑応答に出る

答えは県が公開している質疑応答のほうにありました。国からの回答という形で、対象になるかどうかが1件ずつ示されています。

質問の内容 回答
求職サイトにおける求人広告の掲載費用、人材が紹介・派遣される際の紹介料等 どちらも補助対象となる
ホームページの改修のほか、SNS等での広報活動に係るコンサルタント委託費等 補助対象となる
路線バスや鉄道への広告掲載費、広報誌や新聞折り込み広告への掲載費 補助対象となる

要綱の一行では「チラシ等」だった費目が、質疑応答では求人サイトの掲載費と紹介料まで広がります。制度のページと要綱だけで判断すると、この枠は候補から落ちます。求人サイトへの掲載が年額契約なら2月以降を除いて按分する、といった数え方の指定もこちらにあります。

同じ高齢者福祉課の通所介護事業所等の多機能化推進支援でも、対象経費の例に「事務所のホームページの改修」が並びます。基準額は1事業所当たり150万円で、訪問の機能を新しく持つ通所介護の事業所が対象です。

同じ課には、外国人介護人材確保のための初期費用支援事業補助金もあります。登録支援機関や有料職業紹介事業者に払う人材紹介にかかる手数料が対象で、補助率2分の1・対象者1人当たり20万円です。

送り出し国との連携支援と、外国人介護職員のキャリアアップの枠は、2026年8月時点で令和8年度分が準備中でした。

市の側にも同じ種類の枠があります。川口市の社会福祉施設キャリアアップ事業補助金と、介護福祉士国家試験受験手数料・主任介護支援専門員研修受講料の助成。上尾市の外国人技能実習生等が使用する生活必要品の購入補助。新座市の介護資格等取得費補助金で、こちらは補助率2分の1・1人上限3万円です。

ホームページの作成や改修が費目に入るのは、吉川市の2枠とこの県の2件を合わせて4件です。介護の事業所なら、要綱の一行だけで外さずに質疑応答と対象経費の例まで開いてみてください。

保育士の宿舎借上は運営法人が受け取る

保育の分野には、家賃を持つ枠があります。保育士の宿舎借り上げ支援です。借りるのは施設ですが、補助金を受け取るのは保育士本人ではなく、施設を運営する法人の側になります。

内容を確認できたのは、さいたま市・川口市・所沢市・蕨市・本庄市・新座市の6市です。ほぼ全市が持っているとみられる類型なので、自社の市が並んでいなくても無いとは限りません。

採用の費用に出る枠ではないのに、募集の場面では効きます。住まいの負担が軽い求人は、県外や遠方から人を呼ぶときの条件になるからです。求人票に書ける条件を、市の制度が肩代わりしている形です。

二種免許の取得費は県と2市にある

運転手の確保には、免許の取得費に出る枠があります。県と2市で確認できました。

実施主体 内容
埼玉県 交通政策課 地域公共交通事業者の人材確保支援事業。第二種免許の取得や受験資格特例教習に2分の1(上限37,500円、特例教習は41,250円)。別に、事業者が行う独自の人材確保の取組に2分の1・上限15万円
日高市 公共交通担い手確保支援事業補助金。第二種運転免許の取得経費に上限30万円
白岡市 地域公共交通従事者確保支援事業費補助金。第二種免許取得支援と、乗務員に対し安定的な雇用を図るために支給した手当等の経費。いずれも2分の1・1事業者20万円上限

県の人材確保支援は、費目を限定していない数少ない枠です。対象は公共交通事業者に限られますが、独自の人材確保の取組という書き方なので、募集の中身に合わせて組み立てられます。

免許の取得費だけの枠と、雇用の維持まで見る枠が分かれていると読めます。

ホームページの費目は販路側にある

ホームページの費目がある枠は、県内にほかにもあります。ただし費目の名前だけを見て申請すると、目的の欄で外れます。「富士見市中小企業チャレンジ支援事業補助金」の交付要綱は、補助対象事業の1つをこう定義しています。

販路開拓事業(中小企業者等が、新たな販路の開拓を目的として、新規ホームページの作成又は既存ホームページの変更を行う事業をいう。)

ホームページの作成も変更も入っていますが、目的は「新たな販路の開拓」です。採用のためのサイトをこの定義に当てるのは無理があると思われます。「戸田市DX推進補助金」も似た形で、対象外経費に「広告宣伝費及び広告宣伝に類する経費」が並びます。

この2件は採用の枠ではないので、74件には数えていません。以下では、手続きの型を見るための例として引きます。ホームページの費目を見つけたら、費目名の上にある目的の一文まで開いてから見積を取るほうが早く済みます。

通り道を決めてから見積を取る

ここまでで、74件がどこにあり、何に対して出るのかが並びました。最後に、そこから期限をさかのぼった動き方を見ます。

相談が申請より先に来る

県の3件は、いずれも申請書を書く前に会う相手が決まっています。即戦力と副業・兼業は埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点に相談するところから、シニアの枠は方針を作って企業開拓員の確認を受けるところから始まります。

頭数に付く枠にも、同じ前倒しがあります。企業立地の雇用奨励金は、多くが工場等の設置の届出や指定の申請を先に求めます。建てる前に手を挙げていないと、採った人数を後から数えても対象になりません。中退共の掛金補助も、加入の手続きが先に立ちます。

費目で数える枠は逆向きです。吉川市は事業実施前の申請が条件で、進行中や完了済みの事業は対象外。戸田市DX推進補助金も、交付決定以前に着手した事業は対象になりません。

制作会社に見積を頼み、契約して着手してから制度を探す順序だと、こちら側が外れます。見積を取る前に要綱を開いて担当課へ一度電話で確かめ、採用に関する費用は独立した行で出してもらっておかれるとよいでしょう。

契約と支払で年度末が二重に切れる

県の3件は、募集期間の終わりが令和9年2月1日でそろっています。ところが実際に差が出るのは、その前後にある別の日付です。

何の期日か 県の3件での定め
契約日・就業開始日 令和9年1月31日まで(即戦力・副業兼業)
労働の対象期間 令和9年2月28日までの労働分・上限8か月(シニア)
支払の完了 令和9年3月10日まで(3件とも)
募集の締切 令和9年2月1日

募集の締切より、契約日の期限のほうが1日早く来ます。受付が2月1日まで開いているからといって、その時点から人を探し始めても間に合いません。年度の後半に動くなら、日程をさかのぼって考える起点は2月1日ではなく1月31日のほうです。

予算の残りは外から見えにくい

年度の途中で閉じる点も落とせません。県の即戦力人材確保支援事業補助金は、受付期間中に予算額に達した時点で受付を終了すると明記しています。

奨学金返還支援は「予算の範囲内に限る」、訪問介護の枠も「予算の範囲内において補助金を交付します」と書いています。狭山市の女性職場環境改善助成金は、前に触れたとおり受付を一時停止していました。

そして、いまどれだけ残っているかを公表している枠は多くありません。74件のなかには見つかりませんでした。参考になるのは74件の外にある戸田市DX推進補助金で、予算額500万円のうち残りは276万7,000円と公表されています(2026年7月30日時点)。

残りが見えない以上、申請を決めたら早めに窓口へ電話して受付の状況を聞くのが先です。要件をすべて満たしても、そこから先の交付までは別の話になります。

埼玉は宛先を見てから枠を選ぶ

県内74件のうち、ホームページの作成や改修が費目に入るのは4件です。上限は20万円から150万円、補助率が分かるのは吉川市の2枠の2分の1だけ。どれも予算の範囲内で交付する枠なので、要件を満たしても年度の途中で止まります。

74件のうち48件は採った人の頭数に付き、費目で数える23件も18件までが介護・保育・交通の担当課にあります。先に決めるのは枠選びではなく、自社がどの課の担当になるかのほうです。設備投資の予定があるなら企業立地の条例、無いなら商工の一覧の外まで開きます。

私たちのような地方企業では、「採用はもうあきらめている」という会社も少なくないと思います。地方採用ワークスは、地方企業の採用を専門に、募集の露出から受け皿づくりまでを包括的にご支援しています。製造、建設、運送、医療、飲食など、人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。

どこから手をつけるべきか、いまの状況をお聞かせいただければ一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

採用サイト制作のサービス詳細はこちら

この記事を書いた人
【全74件】「埼玉県」で採用に使える補助金は?対象の費用と上限額をまとめて紹介! | 採用補助金
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

この記事をシェアする

関連記事