【240万円】「特定求職者雇用開発助成金」はいまの求人で使える?対象になる採り方と支給額を解説!

「特定求職者雇用開発助成金」という名前にたどり着いたものの、要件と支給額のページを読み込むほど、いま出している求人の出し方が制度の前提と合っているのか分からないまま止まっていませんか。

本記事では、2026年8月時点の厚生労働省の公表内容をもとに、公式の案内をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!

採用に使える国の助成金は、この制度がすべてではありません。どれが自社に近いかを見比べたい方は、国の助成金と自治体の補助金を全体像にした記事からどうぞ。

この記事でわかること

  • 助成を受け取れるのは誰か?
  • どういう方を雇い入れると対象になるのか?
  • いくらが、いつ、何回に分けて入るのか?
  • どの経路で募集すれば対象になるのか?
  • 雇用が続かなかった場合に何が起きるのか?
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採用にかけられる予算が限られているなか、助成金を調べ始める。ところが出てくるのは、「特定求職者雇用開発助成金」、「キャリアアップ助成金」……と制度名が並んだページばかりで、自社が使えるのかどうかまでは分かりません。 本記事では、2026年8月時点の国と自治体の公表内容をもとに、制度を網羅するのでは

特定求職者雇用開発助成金の概要

厚生労働省の公式サイトにある「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」の案内ページ。令和8年5月1日以降、紹介時に60歳以上の高年齢者へ要件を見直す旨を図で比較したお知らせが載っている。

出典: 厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」のページ(2026年9月時点)

特定求職者雇用開発助成金は、ハローワーク等の紹介で就職が特に困難な方を継続して雇う労働者として迎えたとき、その方に払う賃金の一部が1人あたり定額で戻ってくる制度です。

まず、全体像です。

補助金名 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
相談先 事業所の所在地を管轄する都道府県労働局(求人の申込みと紹介はハローワーク)
補助対象 高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れること(支給額は助成対象期間において対象労働者が行った労働に対する賃金の一部に相当する額)
補助上限(補助率) 中小企業事業主は1人につき60万円・120万円・240万円(短時間労働者は40万円・80万円。いずれも定額で、支給対象期ごとにその期に払った賃金額が上限)
期限 支給申請は各支給対象期の末日の翌日から2か月以内。求人はハローワーク等へ紹介を受ける前に申し込む(紹介以前に選考を開始していた方を雇い入れる場合は不支給)

注意したいのは、求人サイトや自社での直接募集で採った方には使えないことです。ハローワークのオンライン自主応募も対象になりません。

ここから、助成を受け取れる事業主、対象になる方の類型、いくらがいつ入るか、求人を出す前の順序まで順に見ていきます。自社が当てはまるかどうかを確かめながら読み進めてみましょう。

助成の宛先は雇い入れる側の事業主

助成の宛先は、対象になる方本人ではなく雇い入れる側の事業主です。支給要領も「次のイからトまでのいずれにも該当する事業主…に対して支給する」という形で、支給の相手を事業主と定めています。

対象になる事業主は、会社の規模で絞られていません。中小企業事業主かどうかは、あとで見る支給額と助成対象期間の分かれ目として出てくるだけです。

一方で、採用日の前後に条件があります。採用日前後6か月間に事業主都合による解雇(勧奨退職を含みます)をしていないこと、同じ期間に倒産や解雇など特定受給資格者となる理由で離職した被保険者の数が、採用日における被保険者数の6%を超えていないこと(離職者が3人以下の場合を除きます)の2つです。

事業主(法人の場合は代表者)または取締役の3親等以内の親族を雇い入れる場合も、支給要領上は不支給とされています。身内を雇い入れて助成を受ける形は、はじめから想定されていないと考えておけばよいでしょう。

コースは対象になる方の別で4つ

この助成金は、対象になる方の別によってコースが分かれています。令和8年度の現行コースは次の4つです。

コース名 対象になる方の別
特定就職困難者コース 高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れる場合
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース 発達障害者または難治性疾患患者を雇い入れる場合
中高年層安定雇用支援コース 雇入れ日時点で35歳から60歳未満で、正規雇用に就くことが困難な方を雇い入れる場合(短時間労働者は対象外)
生活保護受給者等雇用開発コース ハローワークまたは地方公共団体で通算3か月を超えて支援を受けている生活保護受給者や生活困窮者を雇い入れる場合

前年度まであった成長分野等人材確保・育成コースは、令和8年3月31日で廃止されています。去年の資料で数えていると、コースの数からずれます。

本記事が扱うのは、いちばん間口の広い特定求職者雇用開発助成金(「特定就職困難者コース」)です。制度名でたどり着いたページが、自社に当たるコースの説明とは限りません。支給額も助成対象期間もコースごとに別に定められているので、まずは自社が迎えたい方がどのコースの側かを決めてから読み進めてください。

対象労働者は17の類型に限られる

支給要領0202は、対象労働者を次のように列挙しています。

  • 60歳以上の者
  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
  • 母子家庭の母等
  • 父子家庭の父
  • 中国残留邦人等永住帰国者
  • 北朝鮮帰国被害者等
  • 駐留軍関係離職者
  • 沖縄失業者求職手帳所持者
  • 漁業離職者求職手帳所持者
  • 手帳所持者である漁業離職者等
  • 一般旅客定期航路事業等離職者求職手帳所持者
  • 港湾運送事業離職者
  • その他の就職困難者
  • ウクライナ避難民
  • 補完的保護対象者

このうち駐留軍関係離職者からその他の就職困難者までは、雇入れ日現在の満年齢が45歳以上であることが条件になります。

年齢の上限は一律ではありません。満年齢65歳未満に限られるのは身体障害者から補完的保護対象者までで、先頭の「60歳以上の者」には上限がかかりません。制度概要パンフレットも「①の『高年齢者(60歳以上)』は65歳以上の方も助成対象となります」と注記しています。

支給額の分かれ目になる用語にも、公表元の定義がそのまま示されています。「重度障害者等」は「重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者」、「短時間労働者」は「一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者」です。

列挙のどれにも当たらない方を雇い入れた場合は、このコースの対象になりません。なお、この助成金が見ているのは新たに雇い入れる方です。いま雇っている有期雇用・短時間勤務の方の正社員化や処遇改善を考えている方は、そちらを担当する別の助成金を先に当たったほうが早いはずです。

参考記事:『【最大80万円】「キャリアアップ助成金」は自社も使える?対象になる取組とコースを解説!

支給額は定額・6か月ごとに分けて入る

支給額は「対象労働者の類型」「中小企業事業主かそれ以外か」「短時間労働者かどうか」の掛け合わせで決まります。中小企業事業主の場合は次のとおりです。

対象労働者の類型 1人あたりの支給額(助成対象期間)
短時間労働者以外:高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等、ウクライナ避難民、補完的保護対象者など 60万円(1年)
短時間労働者以外:重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円(2年)
短時間労働者以外:重度障害者等 240万円(3年)
短時間労働者:高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等など 40万円(1年)
短時間労働者:重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者 80万円(2年)

先に挙げた17の類型は、この表では高年齢者・母子家庭の母等など、重度障害者等を除く身体・知的障害者、重度障害者等の3つに整理されています。

精神障害者は「重度障害者等」の定義に含まれるため、短時間労働者以外で迎える場合は重度障害者等の行を見ます。

中小企業事業主以外には別の額と期間が定められていて、自社がどちらに当たるかは、冒頭でご紹介した全体像の記事のほうで扱っています。

支給は一度に行われません。起算日から6か月ごとに第1期、第2期と区切られ、助成対象期間に応じて2期から6期に分けて支給されます。起算日は、賃金締切日が定められていなければ雇入れ日、定められていれば雇入れ日の直後の賃金締切日の翌日です。

例えば、60歳以上の方を1人、短時間労働者以外として迎えるなら、総額60万円が1年かけて2期に分かれ、1期あたり30万円ずつ入る形になります。ただし期ごとの額が総額の等分になるとは限らず、公表元が挙げている中小企業事業主以外の例では、3期のうち2期が33万円、第3期だけ34万円です。

定額で示されていても、そのまま入るとは限りません。公表元は「支給対象期ごとの支給額は、支給対象期に対象労働者が行った労働に対して支払った賃金額を上限とします」としています。

最低賃金の減額の特例を受けている場合は助成率(重度障害者等以外3分の1、重度障害者等2分の1)を乗じた額になり、所定労働時間より著しく実労働時間が短い場合なども減額されることがあります。

求人媒体にいくらかけたかは、支給額の計算に入りません。この表は額の大きさを比べるためのものではなく、自社の雇い入れ方がどの行の、どの上限に当たるかを見るための表です。額の大きさを比べる読み方は、ここでは捨ててしまって構いません。

経路はハローワーク等の紹介に限られる

主な支給要件の1つ目は「ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること」です。

公表元が挙げる紹介機関は、公共職業安定所(ハローワーク)、地方運輸局(船員として雇い入れる場合)、適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等の3つで、3つ目は雇用関係給付金の取扱いに係る同意書を労働局長に提出している事業者に限られます。

事業主向けQ&Aは、求職者を直接募集した場合や求人サイトを利用した場合について「助成対象となりません」と答え、「ハローワークのオンライン自主応募の場合も助成対象となりません」と付け加えています。職業紹介とは、求人および求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんすることを指します。

職業紹介によらない雇入れは、あとから助成対象に戻せません。媒体経由で採ったあとに気づいても、同じ方を紹介経由で採り直すことはできないので、募集の経路は求人を出す時点で決め切ってください。

判定は求人を出す前からの順序で決まる

制度概要パンフレットの表紙は「まずは求人提出が必要です」から始まります。後から取り返せなくなる場面は、次の5段に分かれます。

  1. 求人を出す前。どこに求人を出すかを決めた時点で、経路の条件を満たすかどうかが決まります
  2. 紹介を受ける前。支給要領は「安定所等の紹介以前に、雇入れに向けた選考を開始していた対象労働者を雇い入れる場合」を不支給としています
  3. 紹介の時点。Q&Aは、対象者だと把握せずに雇い入れ、あとから分かった場合も「助成対象となりません」としています
  4. 同じく紹介の時点。職業紹介時点で在職者でないことが要件で、重度障害者、45歳以上の障害者、精神障害者を週30時間以上で雇い入れる場合だけが例外です
  5. 雇入れ。紹介時点と異なる条件で雇い入れ、労働条件の不利益や違法行為があって本人から申出があった場合は不支給です

順序が実質的に逆になっている場合の扱いもあります。直接募集のあとに形式的な職業紹介を受けた場合、雇入れ前の職場実習等が実質的に雇用関係の下に実施されたと判断される場合、雇入れ日の前3年間に雇用・請負・委任の関係にあった方を雇い入れる場合です。

見られるのは申請の時点ではなく、求人を出して紹介を受けた時点の状態です。採用の段取りを組む前に、この5段のどこにも引っかからない順番かを一度なぞっておきましょう。

申請は期ごとに2か月以内・書類は7点

支給申請の期限は「各支給対象期の末日の翌日から2か月以内」で、期ごとに繰り返します。公表元の例では、中小企業事業主が4月1日に高年齢者を雇い入れ、賃金締切日が15日の場合、起算日は4月16日、第1期の支給対象期は4月16日から10月15日、第1期の申請期間は10月16日から12月15日です。

申請期間を過ぎた場合は受理されません。郵送するなら、配達記録が残る方法で、申請期間内に到達している必要があります。

様式は、厚生労働省の特定就職困難者コースのページの「支給申請書ダウンロード」欄にあります。

令和8年度分はいずれもR8.4.1更新で、同じ欄には旧様式も併置され「令和8年3月31日までの雇入れ日の場合は、こちらをご活用ください」と注記されています。使う様式は、最新版かどうかではなく雇入れ日で決まります。

提出書類は7点です。

  1. 支給申請書
  2. 賃金台帳等
  3. 出勤簿等
  4. 対象者であることを証明するための書類
  5. 雇用契約書または雇入れ通知書
  6. 対象労働者雇用状況等申立書
  7. 支給要件確認申立書

書類の不備、添付書類の不足がある場合は受理されません。申請から入金までの期間は、公表元が「審査には一定の期間を要します」とするのみで、日数は示されていないため、入金を運転資金の当てにする組み方は避けておかれると安心です。

Tips|雇い入れたら、その場で控えておくもの

  • 起算日になる日(賃金締切日を定めているかどうかで、雇入れ日か、その直後の賃金締切日の翌日かに分かれます)
  • 紹介を受けた日と、紹介してくれた機関の名前
  • 賃金台帳(申請のたびに要ります。最後の賃金を記入した日から5年間、経過措置として当分の間は3年間の保存が必要です)

継続して雇用することが支給の前提

公表元は「継続雇用」を年齢と年数で定義しています。「対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であること」で、支給要領はここに重度障害者等なら3年以上と加えています。

助成の対象になる雇用形態は、正規雇用、無期雇用、そして自動更新の有期雇用です。ここでいう自動更新とは「対象労働者が望む限り更新できる契約」を指し、勤務成績等により更新の有無を判断する場合は助成対象になりません。

有期で迎えるなら、雇用契約書に自動更新であることの記載が要ります。

確認は契約書で行われるため、更新の条件として就業規則の解雇要件を超えるものが付されている場合も助成対象から外れます。

試用期間は、設けていること自体で直ちに対象外になるわけではありませんが、第1期の支給申請時に試用期間が継続している場合や、試用期間と本採用後で雇用契約が別になっている場合は助成対象になりません。

採用したときの気持ちがどうであれ、審査で見られるのは契約書に何が書いてあるかです。採用の意思は、契約書の文言に落としておかないと制度の側には伝わらないと思われます。

条件は重く見えるが、長く働いてもらう前提の会社には追い風になる

継続雇用、自動更新、期ごとの判定と並べると、ハードルが高い制度に見えます。ただ、もともと長く働いてほしくて人を採る会社にとっては、制度が求めている形と自社の意図がずれていません。合わせにいく手間ではなく、すでに決めていることを書類の側に写す手間だと考えられます。

社内の雇用管理制度の整備や職場環境の改善そのものに費用をかけたい方は、また別の助成金が担当しています。

参考記事:『【150万円】「人材確保等支援助成金」は自社も使える?対象になる取組と申請の順番を解説!

事業主都合の離職は以後3年間の不支給

支給対象期の途中で雇用しなくなった場合、その期は原則として支給されません。離職の理由と時期で扱いが分かれます。

離職の理由・時期 その支給対象期の扱い
対象労働者の責めに帰すべき理由による解雇等/対象労働者の死亡/天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能となったことによる解雇/就労継続支援A型事業所の支援を受けたことによる一般就労への移行にあたる退職 雇用しなくなった日の属する月の前月までの期間が助成対象期間になる
上記以外の理由 その支給対象期は支給されない
上記以外の理由でも、支給決定までに雇用しなくなった場合のうち、対象労働者の都合による退職/雇用契約期間が2年以上(重度障害者等は3年以上)継続したうえでの契約期間満了による離職 支給される
第1期で、離職日が支給対象期の初日から起算して1か月以内に含まれる場合 その期は支給されない
短時間労働者で、各支給対象期の労働に対する賃金が、その類型に対応する中小企業事業主への支給額を下回っている場合 その期は支給されない

もう一段影響が大きいのが、事業主都合の離職です。支給要領0201ハは、助成対象期間中に解雇・雇止め等事業主の都合で対象労働者を離職させた事業主を、支給対象事業主から外しています。

都道府県労働局の案内は、これを「助成対象期間中に対象労働者を解雇等した場合、以後3年間、当該事業所に対して本助成金は支給されないこととなります」と書いています。

読みどころは2つあります。適用の単位が当該雇入れに係る事業所全体に及び、その労働者の分だけにとどまらないこと。そして起点が雇入れ日ではなく支給申請日で、そこから3年さかのぼることです。除かれるのは、本人の責めに帰す理由による解雇等と、天災その他やむを得ない理由による解雇だけです。

総額の見込みは、雇用が続いた場合の上限です。

要件を満たして申請しても、公表元は「支給申請書の記載事項などを支給要件に照らして審査します」としており、支給が約束されるわけではありません。240万円という数字を先に見るのではなく、その期間ずっと受け入れ続けられるかから考えるほうが、判断を間違えにくいと思われます。

令和8年度に変わったのは2点

令和8年度に動いたのは2点です。基準になる日が、2点で違います。

  1. 紹介を受けた日を基準にするもの(対象労働者の要件)
  2. 申請した日を基準にするもの(提出書類)

1つ目は高年齢者(60歳以上)の要件です。厚生労働省は「令和8年5月1日以降は、ハローワーク等において就労に向けた個別支援を受けている高年齢者(60歳以上)の方が特定求職者雇用開発助成金の対象労働者となります」と告知しています。

紹介の時期 高年齢者(60歳以上)の要件
令和8年5月1日より前に紹介された場合 雇入れ時の年齢が60歳以上の者であること
令和8年5月1日以降に紹介された場合 雇入れ時の年齢が60歳以上の者であることに加え、紹介日において、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていること

「就労に向けた個別支援」は、就職困難性が高いと認められる方に対し、就職まで1人または複数人の担当者が行う個別支援を指します。

就職の不安への相談対応、セミナー等の案内、希望や経験・能力の把握、履歴書・職務経歴書の作成指導、求人情報の提供、模擬面接指導などのうち、複数を受けていることとされています。判定の基準になるのは施行日ではなく、自社の案件の紹介日です。

2つ目は賃金台帳です。厚生労働省は「令和8年4月以降の申請分からは、添付書類として賃金台帳の提出が確認できない場合、不支給となります」と告知していて、この扱いは4つのコースすべてに及びます。基準になるのは申請した日で、紹介日でも雇入れ日でもありません。

賃金台帳は労働基準法第108条で定められた法定帳簿で、整備・保管はもともと支給対象事業主の要件に含まれています。申請日を基準にする変更ではありますが、備えは雇い入れの時点から始まっていると見ておかれると安心です。

トライアル雇用助成金との使い分け

この助成金と混同されやすいのが、「トライアル雇用助成金」(「一般トライアルコース」)です。どちらもハローワーク等の紹介による雇い入れを前提にし、対象になる方の像も一部重なります。分かれ目は2つあります。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

見るところ 内容
対象者の決まり方 人の属性(支給要領0202が列挙する類型)
雇い入れ方の前提 継続して雇用する労働者として雇い入れる
支給の形 1年から3年の助成対象期間を6か月ごとに区切り、2期から6期に分けて支給
週の所定労働時間 短時間労働者も対象で、その分の額が別建て

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

見るところ 内容
対象者の決まり方 就労の履歴・状況(離転職の回数、離職期間の長さ、妊娠・出産・育児による離職後の期間、個別支援を受けている状況、特別な配慮を要する事情)
雇い入れ方の前提 原則3か月の試行雇用
支給の形 雇入れの日から1か月単位で最長3か月間、1人につき月額最大4万円(母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は5万円)をまとめて1回で支給
週の所定労働時間 週30時間以上が条件(生活保護受給者、生活困窮者、日雇労働者、ホームレス、住居喪失不安定就労者は20時間以上)

一般トライアルコースの「特別な配慮を要する事情」には母子家庭の母等や父子家庭の父が含まれ、特定就職困難者コースの類型と重なります。一方で高年齢者(60歳以上)は、個別支援の項目が60歳未満を条件にしているため重なりません。

続けて使う場合の扱いもあります。トライアル雇用期間の終了後に引き続き一般被保険者として雇用し継続雇用に移行した場合は、トライアル雇用に係る雇入れ日時点で継続雇用が確実であったものとみなされますが、支給要領0301ロにより第1期は支給されません。

社内の実務では地続きの話が、制度上は先に選んでおくべき分かれ道になっています。

ハローワークに求人を出したという事実だけでは、どちらの制度の話かは決まりません。

候補者の状況と、自社が想定している雇い入れ方の2つを整理したうえで、管轄の窓口に「この方をこの雇い入れ方で採る場合、どちらの対象になりますか」と聞く形にしてください。試行雇用のほうで受け入れる場面を先に確かめたい方は、そちらの記事からどうぞ。

参考記事:『【最大12万円】「トライアル雇用助成金」はいまの採り方で使える?対象になる条件と期限を解説!

問い合わせ先は管轄の都道府県労働局

支給申請の提出先は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局です。全国共通の一か所ではなく、所在地で決まるため、厚生労働省の特定就職困難者コースのページにある「お問い合わせ先(支給申請窓口)」から自社の都道府県を選んでたどってください。求人の申込みと紹介そのものは、ハローワークの窓口です。

申請へ進む前に確かめておく点は、次の3つです。

  1. 迎えたい方が、このコースの対象労働者に当たるか(紹介を受ける前に確かめる)
  2. 令和8年5月1日以降の紹介で高年齢者(60歳以上)を迎える場合、その方が個別支援を受けている方として紹介されるか
  3. 支給決定まで、おおむねどのくらいかかるか

聞き方を変えると、返ってくる答えの確度が変わります。「もらえますか」ではなく「この方をこの経路で雇い入れる場合、このコースの対象になりますか」という形にして、求人を出す前の段階で一度当たっておきましょう。

支給額の大きさより、受け入れる場所を先に決める

本制度の支給額は、中小企業事業主なら1人につき60万円から240万円です。ただし1年から3年かけて6か月ごとに分けて入る形で、各期の支給額はその期に払った賃金の額が上限になります。制度が埋めるのは、雇い続けた分の賃金の一部です。

しかも申請は期ごとに繰り返し、求人の出し方を紹介経由に切り替えるところから始まります。事業主都合で辞めさせれば、その事業所は以後3年間使えません。そこまで込みで考えると、支給額の大きさを追うより、その方が入ってこられる仕事と受け入れ先を先に決めるほうが、返ってくるものは大きいはずです。

私たちのような地方企業では、「採用はもうあきらめている」という会社も少なくないと思います。地方採用ワークスは、地方企業の採用を専門に、募集の露出から受け皿づくりまでを包括的にご支援しています。製造、建設、運送、医療、飲食など、人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。

どこから手をつけるべきか、いまの状況をお聞かせいただければ一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人
【240万円】「特定求職者雇用開発助成金」はいまの求人で使える?対象になる採り方と支給額を解説! | 採用補助金
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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