【150万円】「人材確保等支援助成金」は自社も使える?対象になる取組と申請の順番を解説!

「人材確保等支援助成金」で検索して厚生労働省のページにたどり着いたものの、7コースが並んでいて、自社がやろうとしていることがどれに当たるのか分からないまま止まっていませんか。

本記事では、2026年8月時点の厚生労働省と都道府県労働局の公表内容をもとに、公式ページの内容をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!

この記事でわかること

  • 助成を受けられるのは誰で、自治体の制度とはどう違うのか?
  • 自社がやろうとしている取組は、どのコースに当たるのか?
  • 対象になる取組と助成額は、どう決まるのか?
  • 支給が確定するのはいつで、何が条件になるのか?
  • いつ、どこへ、何を出せばいいのか?

採用に使える国の制度がほかにもあります。助成金と補助金の違いや、国と自治体のどちらを当たるかから整理したい方は、全体像にした記事からどうぞ。

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採用にかけられる予算が限られているなか、助成金を調べ始める。ところが出てくるのは、「特定求職者雇用開発助成金」、「キャリアアップ助成金」……と制度名が並んだページばかりで、自社が使えるのかどうかまでは分かりません。 本記事では、2026年8月時点の国と自治体の公表内容をもとに、制度を網羅するのでは

人材確保等支援助成金の概要

厚生労働省の公式サイトにある「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」の案内ページ。助成内容の概要と、雇用管理制度等整備計画の認定に必要な賃金規定制度など5つの措置の一覧が表示されている。

出典: 厚生労働省「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」のページ(2026年9月時点)

人材確保等支援助成金は、職場の仕組みを整えたり作業の負担を軽くする機器を入れたりして離職率を下げたときに、機器の導入なら最大150万円、制度の整備なら最大80万円が助成される制度です。

まず、全体像です。

補助金名 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
相談先 事業所を管轄する都道府県労働局(局によっては事業所を管轄するハローワークも窓口)
補助対象 雇用管理制度(賃金規定制度、諸手当等制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度)又は業務負担軽減機器等(従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備等)の導入
補助上限(補助率) 雇用管理制度は1制度につき20万円又は40万円(上限80万円)、業務負担軽減機器等は対象経費の2分の1(上限150万円)。賃金要件を満たすと、制度は1制度につき25万円又は50万円(上限100万円)、機器等は62.5%又は75%(上限187.5万円又は225万円)
期限 取組を始める前に雇用管理制度等整備計画の認定を受ける(計画の提出期限と支給申請の受付期間は、厚生労働省の公表ページに記載がありません)

注意したいのは、求人広告の掲載料や採用イベントの出展料には使えないことです。お金が向く先は、社内の制度を整える取組と、作業の負担を軽くする機器・設備の導入に限られます。

ここから、対象になる事業主、コースの引き方、助成額、離職率の成果要件、申請の順番まで順に見ていきます。自社が当てはまるかどうかを確かめながら読み進めてみましょう。

対象は労働者ではなく事業主

助成を受けるのは、労働者本人ではなく事業主です。厚生労働省の総覧ページは、どのコースの説明でも「〜に取り組む事業主に対して助成します」という主語を取っています。

対象は事業主であること自体で、規模や業種で絞る要件はこのコースにはありません。エリアを限る記述も、厚生労働省側にも都道府県労働局側にもありません。

紛らわしいのが、同じ「人材確保」の語を持つ自治体独自の制度です。こちらは対象が「町内に本店がある中小事業者」のようにエリアで区切られ、就労者本人にお金が出るものもあります。

国の制度なので、本店がどの都道府県にあっても条件は変わりません。自治体の制度のように、所在地を理由に対象から外れることはないと考えて差し支えないでしょう。

自社の取組からコースを引く

人材確保等支援助成金は一つの制度ではなく、取組の種類ごとに分かれたコースの集合体です。自社がやろうとしていることが決まらなければ、要件も助成額も定まりません。

制度用語から入るとコース名を自社の言葉に翻訳する手間がかかるので、「自社がやろうとしていること」の側から引ける形に並べ替えます。

自社がやろうとしていること 当たるコース
働く条件や職場の仕組みを整える/作業負担を軽くする機器を入れる 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース
組合として、構成企業の人材確保・職場定着を支援する事業を行う 中小企業団体助成コース
建設キャリアアップシステムを使った雇用管理改善を行う 建設キャリアアップシステム等活用促進コース
建設分野で若年者・女性の入職や定着を図る事業を行う 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース
建設分野で女性専用作業員施設や作業員宿舎を借りる 作業員宿舎等設置助成コース
外国人特有の事情に配慮した就労環境を整える 外国人労働者就労環境整備助成コース
テレワークを制度として導入し実施する テレワークコース

自社に当たらないコースは、対象になる相手を見れば早めに外せます。建設分野の3コースは中小建設事業主や建設事業主団体が対象で、組合向けのコースは事業協同組合等が対象です。

制度用語に詳しくなくても、自社の行動のほうからコースは引けます。ただしコースの数も名前も年度ごとに動くので、令和8年度版かどうかは開いたページで確かめておきましょう。

採用と定着に効くのは雇用管理制度の整備

7コースのうち、採用と定着に直結するのは「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」です。以降はこのコースに絞って進めます。

厚生労働省はこのコースを、雇用管理制度または業務負担軽減機器等の導入による雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成するものだと説明しています。

「人材確保」という名前から、人を採る行為そのものにお金が出ると受け取られやすいところです。ただし主な要件は、制度または機器等の導入と、離職率目標の達成の2点だけです。

助成の対象は採用そのものではなく、整えたことと、その結果のほうです。ここを取り違えると、募集にかかる支出を前提に見込みを立ててしまうことになります。

対象になる取組は五つの類型と機器の導入

雇用管理制度として助成の対象になるのは、次の制度です。

  • 賃金規定制度
  • 諸手当等制度
  • 人事評価制度
  • 職場活性化制度
  • 健康づくり制度

このうち賃金規定制度は、中小企業事業主に限られます。また職場活性化制度は、メンター制度・従業員調査(エンゲージメントサーベイ)・1on1ミーティングのいずれかを新たに導入した場合に助成され、導入数にかかわらず額は一律です。

もう一方の柱が、従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備等の導入です。制度を整えることと機器を入れることでは、このあと見るとおり助成額の決まり方そのものが違います。

対象になるのは、あらかじめ定められた類型に当たる取組だけです。「職場をよくする取組ならなんでも対象になる」と読み違えないよう気をつけてください。

公表ページに中身まで書かれているのは職場活性化制度だけで、残る4つは名称が並ぶだけです。自社の取組がどの制度の導入に当たるかは、コース別ページの支給要領で確かめておかれると安心です。

助成額は制度ごとの定額か経費の2分の1

支給額は、制度を整えた場合と、職場環境を変えた場合とで別々に定められています。括弧内は、後述の賃金要件を満たした場合の額です。

導入するもの 助成額
賃金規定制度・諸手当等制度・人事評価制度 1制度につき40万円(50万円)
職場活性化制度・健康づくり制度 1制度につき20万円(25万円)
複数導入したときの上限 80万円(100万円)
業務負担軽減機器等 対象経費の2分の1(62.5%又は75%)・上限150万円(187.5万円又は225万円)

対象経費は購入費用だけではありません。厚生労働省は、機器・設備等の購入費用のほか、設定費用、社員等に対する研修費用、設置・撤去等の費用、リース契約及びライセンス契約等に係る費用を含むと定義しています。

例えば、作業の負担を軽くする機器・設備を300万円分入れるなら、2分の1で上限の150万円に届きます。その半分の150万円の支出でも、75万円が助成される計算です。

上限額は複数の制度や機器を入れたときの数字で、1件の取組だけで届く額ではありません。見込みを立てるときに見るのは最大額ではなく、自社が導入しようとしているものの行のほうです。

賃金要件による増額は計画の前に決まる

括弧に入っていた額は、いずれも賃金要件を満たした場合の額です。賃金の引き上げ幅には3%以上・5%以上・7%以上の3段階があり、段階ごとに使える範囲が違います。

賃金要件 公表ページに書かれている限定
3%以上 別途一定の要件を満たす必要がある
5%以上 限定はない
7%以上 業務負担軽減機器等の導入に限られる

制度を整えるだけの計画では、7%以上の段階は使えません。どの段階がどの額に対応するかは公表ページの本文に書かれていないので、括弧内の額を見込みに入れる前に支給要領で確かめてください。

賃金要件は、あとから付け足せるものではありません。賃金の引き上げ幅そのものが条件なので、計画を出す前の設計段階で組み込んでおく必要があります。

助成額を調べる時期と、取組を決める時期がずれると損をする

助成額を調べるのは、たいてい取組の中身が固まったあとです。ところがこの制度では、賃金をどれだけ上げるかという設計の話が額に効いてきます。額の表を開くのは、取組を決め切る前のほうがよいと思われます。

支給が決まるのは離職率が下がったあと

この制度の核は、離職率を下げることにあります。厚生労働省は受給要件として、雇用管理制度等整備計画の期間の終了から1年経過するまでの離職率を、計画を提出する前1年間より1%ポイント以上低下させることを挙げています。

見落としやすいのが、規模の小さい事業所に置かれた別の考え方です。事業所の雇用保険一般被保険者数が9人以下の事業主は、計画を提出する前1年間の離職率を上回らないことが要件になります。

下げることではなく、上げないことが条件になるわけです。地方の小規模な事業所はこちらに当たることが少なくないので、1%ポイント下げられないからと諦める必要はありません。

離職者に含める区分や分母の取り方は公表ページの本文に書かれていないので、何をどの期間で数えるかは支給要領で確かめてください。

支給が確定するのは、計画期間が終わってさらに1年経ったあとの実績を見てからです。不安をあおる話に見えるかもしれませんが、順番はむしろ逆で、先に知っておけば離職率を自社で数えられる状態にしてから計画を組めます。

待遇そのものを変えるならキャリアアップ助成金

いま雇っている有期雇用や短時間勤務の人の雇用形態や待遇そのものを変えるのなら、担当は別の助成金です。厚生労働省は「キャリアアップ助成金」を、正社員化や処遇改善の取組を実施した事業主に助成するものだと説明しています。

分かれ目は、動かす対象が人か、仕組みかです。特定の人の雇用形態や待遇を変えるならキャリアアップ助成金、全社の仕組みや環境を整えるなら人材確保等支援助成金、という切り分けになります。

自社の取組の性質が決まれば、見るべき制度は一つに絞れます。逆に制度のほうから入ると、要件を読み込んだ末に対象外だったと分かる順番になりがちです。

非正規雇用の方の正社員化を先に考えている方は、そちらのコース内訳と要件を先に確かめたほうが早いはずです。

参考記事:『【最大80万円】「キャリアアップ助成金」は自社も使える?対象になる取組とコースを解説!

取組を始める前に計画の認定を受ける

厚生労働省は受給要件の1つ目に、雇用管理制度または業務負担軽減機器等の導入を内容とする雇用管理制度等整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けることを挙げています。

2つ目が、その計画に基づいて、計画の実施期間内に導入することです。つまり、認定を受ける前に実施した取組は、計画に基づいた導入に当たりません。

動く順番は次のとおりです。

  1. 雇用管理制度等整備計画を作成し、管轄の都道府県労働局の認定を受ける
  2. 認定された計画の実施期間内に、雇用管理制度または業務負担軽減機器等を導入する
  3. 計画期間の終了から1年経過するまでの離職率で、低下目標を判定する
  4. 支給申請を行う
  5. 都道府県労働局の審査を経て、支給・不支給が決まる

認定を受ける相手は、管轄の都道府県労働局です。都道府県知事の認定という前段の手続きがあるのは組合が構成企業のために事業を行うコースのほうなので、このコースでは踏む必要がありません。

すでに整えた制度があっても、認定より前に実施していたのであれば対象になりません。次に取る行動は「取組を始めること」ではなく「計画を出すこと」です。社内の日程は、認定の時期からさかのぼって組んでください。

計画をいつまでに出すかという期限は、公表ページの本文には書かれていません。日数を先に決めてしまわず、コース別ページの支給要領で確かめてください。

様式は計画を出した時期で決まる版を使う

様式は厚生労働省のコース別ページで配布されています。パンフレット・リーフレット、支給要領、チェックリスト、支給申請書ダウンロード、記入マニュアルが下部に並ぶ構成で、都道府県労働局側にも申請様式へのリンクがあります。

手元の様式が令和8年度版かどうかは、資料の見出し直下にある年月日の表記で分かります。令和8年度版のパンフレット・支給要領・チェックリストは、いずれも「令和8年4月8日版」です。

気をつけたいのは、同じページに過去の年度の資料もそのまま並んでいることです。しかも判定のしかたは「最新版を使えばよい」ではなく、計画の提出日によって使う様式が変わる旨を明記しているコースもあります。

自社の計画をいつ提出したかで、使う版のほうが決まります。版を取り違えて出し直しになると、計画の期間との関係で日程そのものが動くこともあるので、先に版を確かめておきましょう。

添付書類はチェックリストで公表されていますが、厚生労働省は、そこに掲載したもの以外でも都道府県労働局が審査にあたって求めた書類は提出が必要だと断っています。全コース共通で必ず出すものとしては支給要件確認申立書があり、初回の申請時などには支払方法・受取人住所届も要ります。

事実と異なる内容で申請したときの扱いは重く、全額返還に加えて延滞金と不正受給した額の2割に相当する額の納付、不正受給決定日から5年間の受給制限、公表基準に該当する場合の事業主名の公表が定められています。書類を作った人が誰であっても、責任は事業主が負います。

Tips|計画を出す前に控えておくもの

計画を提出した日は、使う様式の版を決める手がかりになります。あわせて、提出前1年間の離職の記録(離職率を比べる起点になります)と、郵送で出すなら配達記録が残る発送方法を控えておきましょう。申請期間内に到達していることが必要です。

問い合わせ先は事業所を管轄する労働局

支給申請の提出先は、自社の事業所の所在地を管轄する都道府県労働局です。全国共通の一か所ではありません。厚生労働省の「助成金のお問い合わせ先・申請先」のページで都道府県名をクリックし、表示されたPDFで人材確保等支援助成金の行を見ればたどれます。

同じ制度でもコースによって担当部署が分かれている労働局があり、部署の呼称も局によって違います。助成金の窓口を本庁舎とは別の場所に置いている局もあるので、労働局の代表所在地に行けば済むとは限りません。

窓口は事業所の所在地ごとに分かれていて、開いたページの連絡先が自社の窓口とは限りません。厚生労働省自身、不明な点は支給申請窓口へ問い合わせるよう案内しています。聞き方を「もらえますか」ではなく「この取組はこのコースの対象になりますか」の形にすると、返ってくる答えの確度が変わります。

申請前に確かめておく点は、次のとおりです。

  1. 雇用管理制度等整備計画の提出期限(計画期間の初日から何か月前までに出せばよいか)
  2. 支給申請をいつからいつまでに出せるか
  3. 自社が入れようとしている機器・設備が「直接的な作業負担を軽減する機器」に当たるか

なお、申請そのものは社会保険労務士の領域です。手続きを外に相談したい場合の相談先になります。

人を増やす前に、辞める理由を減らす

助成されるのは、制度を1つ整えて20万円か40万円、機器・設備なら対象経費の2分の1で上限150万円です。魅力ある職場づくりのために労働環境の向上を図る事業主への助成で、人を採る費用そのものは対象に含まれていません。

しかも支給が決まるのは、計画を出し、取組を入れ、計画期間が終わってさらに1年たった離職率を見てからです。その時間まで含めて考えると、助成の対象に入る取組から選ぶより、いま人が辞めている理由から先に決めるほうが、返ってくるものは大きいはずです。

私たちのような地方企業では、「採用はもうあきらめている」という会社も少なくないと思います。地方採用ワークスは、地方企業の採用を専門に、募集の露出から受け皿づくりまでを包括的にご支援しています。製造、建設、運送、医療、飲食など、人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。

どこから手をつけるべきか、いまの状況をお聞かせいただければ一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人
【150万円】「人材確保等支援助成金」は自社も使える?対象になる取組と申請の順番を解説! | 採用補助金
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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