【地方企業】採用手法は何から始める?無料で土台を作る3つの枠と選ぶ順番

「求人媒体、結局どれを使えばいいのか」で手が止まる方は多いと思います。

ハローワーク、Indeed、求人ボックス、求人広告、人材紹介、SNS、自社の採用サイト。名前は聞いたことがあっても、自社にどれが合うのかを比べる材料がない。しかも地方の中小企業で採用を担当している方は、その約9割が本業と兼務です。腰を据えて調べる時間そのものがない、というのが実情だと思います。

つまり、選べない原因は手法の数が多いことではなく、並べる軸がないことにあります。軸さえ決まれば、候補は一気に絞れます。

この記事でわかること

  • 採用手法・求人媒体を3つの枠に分けて捉える全体像
  • 無料と有料、どちらから手をつけるべきかの順番
  • 媒体を選ぶ前に決めておく3つのこと(人物像・通勤圏・作業量)
  • 採用パンフレットや採用動画といった採用ツールが、媒体とどう役割分担するのか

個別の媒体の使い方は各記事に譲り、ここでは「自社がどこから手をつけるか」を決めるための地図として読んでいただければと思います。

なお、求職者が見ている場所はそれほど散らばっていません。中途で仕事を探している人の情報源を調べた結果では、約86%がハローワークか求人サイトを使っています(マイナビ「中途採用・転職活動の定点調査」2024年3月/回答者1,382名)。

目次

採用手法は3つの枠に分かれる

採用手法と求人媒体は、「無料で始める枠」「費用をかける枠」「自社に資産を残す枠」 の3つに分けると整理できます。無料枠は接点の数を確保する役割、費用枠は足りない分を買い足す役割、資産枠は集めた人に自社を理解してもらう役割です。役割が違うので、本来は競合せず併用するものというのが弊社の考え方です。

具体的には、それぞれ次のような顔ぶれになります。

  • ① 無料で始める枠:ハローワーク、Indeed や求人ボックスなどの求人検索サイトへの掲載、Google しごと検索経由での露出、自社サイト内の求人ページ、SNS、学校求人、自治体の無料紹介窓口
  • ② 費用をかける枠:求人広告(掲載課金型・クリック課金型)、人材紹介、派遣・紹介予定派遣、ダイレクトリクルーティング(企業側から候補者に直接声をかけるやり方)、合同企業説明会への出展
  • ③ 自社に資産を残す枠:採用サイト、採用パンフレット、採用動画、説明会スライド、採用チラシ

無料枠と費用枠は「どこで見つけてもらうか」、資産枠は「見つけたあとに何を読んでもらうか」の話です。ここを混ぜると、「媒体にお金をかけたのに応募が増えない」の原因が見えなくなります。

参考記事:『無料で使える求人媒体はこんなにある|地方中小企業の露出の増やし方

中途採用は「人材の顔ぶれ × 費用」で並んでいる

中途採用の接点は、費用が上がるほど出会える人の幅が変わる、という順番で並びます。

ハローワーク < 求人媒体 < 人材紹介 < ヘッドハンティング

ハローワークは費用をかけずに求人を出せる公的な窓口で、地域の求職者が最初に見る場所のひとつです。求人媒体は掲載費や広告費がかかるかわりに、応募の数を短期間で伸ばしやすい。人材紹介は採用が決まってから費用が発生する成功報酬型が中心で、転職活動を本格的に進めている人に届きます。ヘッドハンティングは、そもそも転職市場に出てきていない人を探しに行くやり方です。

大事なのは、この並びが優劣ではなく役割の違いだという点です。「数を集めたい」のか「特定のスキルを持った1人に会いたい」のかで、最適な位置は変わります。

新卒と中途では、そもそも入口が違う

新卒採用は、学生が就職情報サイトや学内のガイダンス、キャリアセンター、先輩やOB・OG経由で情報を集めます。中途採用は、求職者が自分のタイミングで検索して探しに来ます。

同じ「求人を出す」でも、待っている場所が違うわけです。新卒と中途を同じ媒体戦略で回そうとすると、どちらも中途半端になりやすいので、まずはどちらの採用の話なのかを分けてから媒体を選んでください。

順番は「無料で土台を作る」から始める

手をつける順番は、無料でできることを出し切ってから、足りない分を費用で買い足すのが基本です。理由は単純で、無料枠を整える前に広告費から入ると、成果が出たときも出なかったときも、何が効いたのかを判断できなくなるからです。

無料枠を飛ばすと、費用対効果が読めなくなる

求人広告を出して応募が来たとします。そのとき、応募者が「広告を見て応募した」のか「社名で検索して自社サイトを読んでから応募した」のかは、広告の管理画面だけでは分かりません。

先に無料枠を整えておくと、この判断がしやすくなります。ハローワークや求人検索サイトへの掲載、自社サイトの求人ページ。ここまでを土台として持っている状態で広告を足せば、増えた分が広告の効果だと切り分けられます。

逆に土台がないまま広告から始めると、掲載をやめた瞬間に応募がゼロに戻ります。求人広告は掛け捨ての保険で、採用サイトや採用ツールは資産、という対比で捉えていただくと分かりやすいと思います。

参考記事:『ハローワーク求人の出し方|無料枠で埋もれない書き方まで一通り解説

求人票は、採用予定がなくても出し続ける

弊社が自社採用でも実践しているのが、求人票を常に出しておくことです。

理由は3つあります。1つ目は機会損失を防ぐため。いい人材が動いたタイミングで自社の求人が出ていなければ、それだけで候補から外れます。2つ目は、ネット上に自社の情報が増えることで、採用以外の通常の問い合わせも増えるためです。3つ目は、地方では既存社員がいつ辞めるか読み切れないという事情があります。欠員が出てから動き出すと、埋まるまでの数か月をどうしても現場が被ることになります。

弊社自身も、採用広告に頼らずに年間1,152名のエントリーを集めています。特別なことをしているというより、出し続けていることの積み重ねだと考えています。

媒体を選ぶ前に決めることが3つある

媒体の比較検討に入る前に、採りたい人物像・通勤圏・かけられる作業量の3つを決めてください。この3つが決まっていない状態で媒体を比べても、条件が揃わないので比較になりません。

01. 採りたい人物像で、届く接点が変わる

採用したい人を「業界経験」と「ビジネスパーソンとしてのスキル」の2軸で置いてみると、接点の選び方が見えてきます。

どちらも高い人、いわゆる同業の中堅以上の方は、求人媒体からの直接応募ではまず出会えません。同じエリアで同じ業界の会社に、自分から応募するのは心理的なハードルが高いからです。この層に会いたいなら、人材紹介やヘッドハンティングのように「紹介されたから」というワンクッションがある接点のほうが現実的です。

一方で、業界経験は問わずポテンシャルで採りたいのであれば、無料枠と求人媒体で母集団(いわゆる応募数)を作るやり方が合います。「採りたい人物像」(採用の分野ではペルソナとも呼ばれます)を決めることは、そのまま接点を決めることでもあるわけです。

02. 通勤圏は片道1時間・25〜30km圏内で考える

地方採用で見落とされやすいのが、通勤圏の設定です。現実的に通える範囲は片道1時間/25〜30km圏内で、この圏内にどれだけの求職者がいて、同じ商圏にどんな競合がいるのかで、打つべき手はかなり変わります。

商圏内の求職者が限られているなら、無料枠を広げて接点の数を増やすより、1人あたりの伝わり方を厚くする方向に投資したほうが効きます。逆に人口の多いエリアなら、まず露出量を確保する順番になります。

03. 兼務のままで回せる作業量かを見積もる

採用業務は、必須のものだけでも40以上あります。求人票の作成と出稿、応募者への連絡、日程調整、書類選考、面接、内定後のフォロー。媒体を増やすということは、この一式が媒体の数だけ増えるということです。

複数の媒体に登録して、それぞれの管理画面を開いて、応募が来るたびに個別に返信する。兼務のまま3つも4つも並行させると、返信が遅れて辞退される、という一番もったいない負け方をします。手法の数は、回せる作業量から逆算して決めるものだと考えています。

参考記事:『【中小企業】求人媒体はどう選ぶ?無料・有料の使い分けと5つの基準

媒体だけでは、求職者は決めきれない

求職者は、媒体で求人を見つけたあと、必ずと言っていいほど会社そのものを調べます。応募を検討する段階で96%以上が企業の採用ホームページを確認しているという調査結果があります(キャリタス就活「2025年卒 採用ホームページに関する調査」2024年7月発行/回答者1,030名)。中途でも、企業サイトを見る人が約9割、採用サイトまで読む人が約7割という調査があります(エン・ジャパン「人事のミカタ」/回答者390人)。

応募までの動線は「媒体 → 社名検索 → 自社サイト」

実際の流入を見ていくと、動線はほぼ次の形になります。

求人媒体で見つける → 社名で検索する → コーポレートサイト → 採用サイト

採用サイトに直接アクセスしてくる人は、ほとんどいません。媒体は入口、自社サイトは受け皿。そういう役割分担です。

そして媒体に載せられる情報は、募集要項くらいまでです。人生を左右する転職や就職を、その薄さだけで決める人はまずいません。なんとなく良さそうという理由で応募するのは、内定がなくて焦っている求職者だけ、というのが実際のところです。

露出と受け皿は両輪で考える

ここまでを踏まえると、媒体選びの議論は「どの媒体が優れているか」ではなく、露出(母集団形成)と受け皿(採用サイト)をどう組むかの話に変わります。

どれだけアクセスを集めても受け皿がなければ応募には至らないし、受け皿を磨いても露出がなければ誰も来ません。片方だけを強化しても伸びないのは、両輪だからです。

参考記事:『【知名度ゼロ】母集団形成とは?無名の中小企業が応募の母数を増やす打ち手を解説

採用ツールは、接点を深める側の道具

採用パンフレットや採用動画といった採用ツールは、媒体と並ぶ選択肢ではありません。媒体で作った接点を、理解と志望度に変えるための道具です。役割が違うので、媒体の代わりにはなりませんし、逆に媒体だけで採用ツールの穴を埋めることもできません。

主なツールは4つあり、それぞれ効く場面が違います。

まず、それぞれが効く場面です。

ツール 効く場面
採用動画 採用サイト・説明会・SNS
採用パンフレット 会社説明会・面接・学校訪問
説明会スライド 対面・オンラインの説明会
説明会ブース装飾 合同企業説明会

そのうえで、担う役割は次のとおりです。

ツール 担う役割
採用動画 社風や働く人の様子など、文字では伝わりにくい情報を短時間で渡す
採用パンフレット 手元に残るため、選考が進んだあとや家族と話すときに読み返される
説明会スライド 話の流れを視覚で補い、伝える内容を毎回そろえる
説明会ブース装飾 通りかかった求職者に立ち寄ってもらうきっかけを作る

弊社が制作した例では、佐藤歯科医院様の採用動画があります。

採用パンフレット・リーフレットでは、株式会社市川工務店様(岐阜県岐阜市・総合建設業)の制作例があります(制作:地方採用ワークス)。

手作りが効くところと、プロに任せるところ

採用ツールで悩みやすいのが、どこまで自社で作るかです。

合同企業説明会のブース装飾のように、社長や社員の手書きメッセージを貼るなど、手作り感がそのまま親近感になる場面はあります。一方で、写真だけは事情が違います。求職者が最初に受け取る印象を左右するので、撮影はプロに依頼するコスト配分が妥当だと考えています。全部を外注する必要はありませんが、効きどころにだけ費用を寄せる判断は必要です。

なお、それぞれの制作の進め方や中身の作り方は、ツールごとに考えることが違います。詳しくは各記事で解説していきます。

参考記事:『【中小企業】採用パンフレットに何を載せる?構成6項目と作り方の手順

参考記事:『【地方向け】採用チラシの作り方|効く3つの理由と配り方の手順

参考記事:『【中小企業】SNS採用の始め方|続けられる媒体選びと最初の3か月

手法を増やすほど、回すための手間が増える

ここまで採用手法と求人媒体を並べてきましたが、実際にやってみると分かるのは、選ぶことより回し続けることのほうが難しいという点です。

無料枠を整え、求人票を出し続け、応募に即日で返信し、採用サイトの情報を更新する。ひとつひとつは難しくありません。ただ、本業と兼務のまま毎月続けるとなると話が変わります。最終更新が随分前のまま止まった採用ページ、返信が3日後になって辞退された応募者。こうした取りこぼしは、やる気の問題ではなく作業量の問題です。

そしてもうひとつ。媒体を増やすだけだと、見つけてもらうところで止まってしまうことがあります。露出をつくる母集団形成と、受け止める採用サイト。この両輪がそろうと、手法の選択がはじめて効いてきます。

弊社は、地方企業に特化した採用支援を行っています。採用サイトの制作という受け皿づくりから、求人票の出稿・応募者対応・日程調整といった実務を引き受ける採用活動の代行(リープ・リクルーティング)、一次選考で見送った方を別の形でご紹介する人材紹介(リープ・キャリア)まで、地方の採用課題に一貫して向き合ってきました。ウェブ制作・マーケティング全体では、これまでに全国1,400社以上を支援しています。

全部を任せていただく必要はありません。「求人票の出稿と応募者対応だけ」「まず採用サイトだけ」といった形でも構いませんし、いずれ自社で回せるように伴走する進め方もあります。

「そもそも今どの枠を使えているのか分からない」という段階でも大丈夫です。御社の規模や商圏をうかがい、いま出せているものと出せていないものの棚卸しからご一緒します。

採用活動の代行(リープ・リクルーティング)はこちら

よくある質問

Q1. 無料の求人媒体だけで採用できますか?

職種や商圏の条件によっては可能です。ハローワーク、求人検索サイトへの掲載、自社サイトの求人ページを整えるだけでも応募が入るケースはあります。ただし無料枠は掲載しただけでは埋もれやすく、求人票の書き方や更新頻度で結果が変わります。まず無料枠を出し切り、それでも母集団が足りない場合に費用をかける枠を足す、という順番をおすすめしています。

Q2. ハローワークと求人サイト、どちらを先に出しますか?

どちらも無料で始められるので、順番をつけるより両方出すのが現実的です。ハローワークは地域の求職者が最初に見る窓口のひとつで、求人検索サイトは自分で検索して探す層に届きます。見に来ている人の層が違うので、片方だけだと取りこぼします

Q3. Indeedへの掲載は無料でできますか?

無料で掲載できる枠と、費用をかけて露出を増やす枠の両方が用意されているのが一般的です。ただし掲載条件や仕様は変更されることがあるため、出稿前に各サービスの公式情報でご確認ください。無料枠から始めて反応を見たうえで、有料枠を検討する進め方が安全だと思います。

Q4. ダイレクトリクルーティングは中小企業でも使えますか?

使えますが、候補者を探して個別に文面を送る作業が発生するため、兼務の担当者が片手間で回すのは難しい手法です。母集団形成の主軸ではなく、会いたい人物像がはっきりしている場合の補助手段として考えるのが現実的です。

Q5. 採用手法は、いくつ併用するのが現実的ですか?

数の正解はありませんが、判断軸は「応募が来たときに、その日のうちに返信できるか」です。返信が遅れて辞退されるのが一番もったいない負け方なので、そこが崩れない範囲が上限だと考えています。兼務の担当者お一人であれば、無料枠を数か所と、必要に応じて有料枠をひとつ。まずはその規模で回してみてください。

この記事を書いた人
【地方企業】採用手法は何から始める?無料で土台を作る3つの枠と選ぶ順番 | 採用活動
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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