【中小企業】採用パンフレットに何を載せる?構成6項目と作り方の手順

「合同説明会に出ることになったので、パンフレットを作りたい」——採用ツールのご相談は、この形で始まります。締め切りが先に決まっていて、中身を考える時間がない。会社案内の表紙だけ差し替えて持っていく、という判断になりがちです。

そうして出来上がった一冊は、たいてい使われないまま倉庫に積まれます。理由は単純で、渡す相手と渡す場面を決めないまま作っているからです。印刷物は、どこに頼んでも一定の品質で仕上がります。差がつくのは印刷の出来ではなく、採用サイトや求人票と地続きになっているかどうかでした。

この記事でわかること

  • 採用パンフレットと入社案内・会社案内の違い
  • どの配布シーンで効いて、どこでは効かないのか
  • 載せるべき構成6項目と、その順番
  • 企画から納品までの手順と、社内で決めておくこと
  • デザインで外さないための考え方(ロゴの色をそのまま使う落とし穴)
  • 費用が何で決まるか、採用サイトや動画とどう連携させるか

採用パンフレットとは|入社案内・会社案内との違い

採用パンフレットは、求職者に手渡して持ち帰ってもらうための冊子です。会社案内が取引先や顧客に向けて事業の信頼性を伝えるのに対し、採用パンフレットが答えるのは、自分がここで働く姿を想像できるかという問いです。入社案内という呼び方をする場合もありますが、内定者向けの手続き案内を指すこともあるため、社内では対象を決めて呼び分けたほうが混乱しません。

応募の意思決定は、紙の上では起きていない

前提として押さえておきたいのは、応募するかどうかの最終判断は採用サイトで起きているということです。求職者は求人票で会社を知り、社名で検索し、サイトを見て他社と比べ、そのうえで応募を決めます。紙のパンフレットは、その流れの中で「思い出してもらう」「家族に見せる」役割を担います。

だから、採用パンフレットだけを単独で作っても効果は限定的です。受け皿となる採用サイトが整っていない状態で紙だけを厚くしても、求職者は検索した先で不安になって離れていきます。

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紙とウェブで印象がずれると、違和感が残る

もう一つ、見落とされがちな落とし穴があります。説明会で配ったパンフレットのデザインが、採用サイトとまったく毛色の違うものだった場合です。求職者はまだ応募していない段階で、両方を見比べます。色も雰囲気も別物だと、同じ会社の話とは思えず、印象に段差が生まれます。

紙媒体とウェブサイトの間でデザインイメージを引き継ぎ、この段差をなくす。これが採用ツールを作るときに守るべき一番の原則だと考えています。

採用パンフレットが効く配布シーン

採用パンフレットは、その場で渡せて、持ち帰ってもらえる場面でこそ効きます。逆に、渡す機会がないまま在庫になるなら、その予算はサイトや求人票に回したほうが働きます。作る前に、次のどれに当てはまるかを確かめてください。

  • 合同説明会・就職イベント……ブースで話した内容を持ち帰ってもらう。当日は何十社も回るため、後から思い出す手がかりが必要になります
  • 学校訪問・進路指導の先生への説明……先生が生徒に紹介する場面では、手元に残る資料の有無が効きます
  • 保護者への説明……特に若い世代の就職では、家に持ち帰って家族と話す材料になります。ウェブだけでは届きにくい相手です
  • 面談・見学の場……来社した相手に渡し、帰り道や自宅で読み返してもらう
  • 自社の待合スペース・取引先への設置……縁故や紹介のきっかけになることがあります

参考記事:『【地方企業】採用手法は何から始める?無料で土台を作る3つの枠と選ぶ順番

採用パンフレットの構成|載せる6項目と順番

構成は、会社が言いたい順ではなく求職者が知りたい順に並べます。会社の沿革から始まる冊子は、たいてい途中で閉じられます。次の6項目を、この順番で組み立てるのが基本形です。

  1. どんな会社か(3行で言い切る)……事業内容と、誰の役に立っているのかを冒頭で。長い経営理念より、一文で伝わる説明を先に置きます
  2. 仕事の中身……配属先ごとに、一日の流れと使う道具、任される範囲まで具体的に。「営業職」だけでは何も伝わりません
  3. 働く人……社員インタビューを2〜4名。年齢層は採用したい層に近い人を選び、部署も分散させます
  4. 働く環境と制度……勤務時間、休日、教育の流れ、資格取得の支援。数字で書けるものは数字で
  5. キャリアの見通し……入社1年目、3年目、5年目に何をしているのか。中小企業ほどここが伝わっておらず、応募をためらう理由になります
  6. 応募方法と問い合わせ先……採用サイトへのQRコード、担当者名、連絡先。ここを小さくしないでください

社員インタビューの人選には、押さえておきたい原則があります。全部署から出す/採用したい年齢層に近い人を入れる/花形以外の職種も入れる/すぐ辞めそうな人は避ける。トップ営業ばかりを並べると、求職者は「自分には無理そうだ」と引いてしまいます。求職者が知りたいのは武勇伝ではなく、自分でもやっていけるかどうかです。

作り方の手順|企画から納品まで

進め方はおおむね次の流れになります。作業そのものより、社内で決めておくことを先に片づけられるかで期間が変わります。

  1. 目的と配布シーンを決める……誰に、どこで、何冊配るのか。ここが決まらないとページ数も判型も決まりません
  2. 掲載内容と人選を決める……インタビューに出る社員を確保します。ここが一番時間を取られる工程です
  3. 構成案とラフを作る……ページごとに何を載せるかを固める。文章を先に固め、デザインは後に回します
  4. 取材・撮影……インタビューと写真撮影をまとめて行います
  5. デザイン・原稿の作成と確認……社内確認は回数と期限を先に決めておかないと、際限なく延びます
  6. 入稿・印刷・納品……説明会の日程から逆算し、印刷期間を見込んで締め切りを引きます

写真については、スマートフォンでの撮影は避けたほうが賢明です。光量やピントの調整、圧縮の品質で差が出やすく、そのまま冊子の信頼感に響きます。予算が限られていても、撮影だけはプロに依頼するコスト配分のほうが結果的に妥当だと考えています。

進行で詰まりやすい箇所には、あらかじめ型を用意しておくと安全です。キックオフで最初に確定させるのは、配布シーン・部数・納品日・最終決裁者の4点です。特に「最終的に誰がOKを出すのか」を決めずに走ると、終盤に決裁者の一言で構成からやり直しになります。これが作り直しの典型パターンです。インタビューの人選は「会社として誰を出したいか」ではなく「採用したい人が話を聞きたいのは誰か」という問いで選び直すと、候補が変わります。撮影は当日の仕切りを現場任せにせず、撮る場面・場所・登場する人・服装・必要カット数を一覧にした指示書を事前に共有しておくと、撮り直しを防げます。社内確認は、たとえば「確認は2回まで・各回の期限は3営業日」のように回数と期限をセットで最初に合意しておく。この型だけで、制作期間の見通しは大きく崩れなくなります。

紙とウェブをそれぞれ別の会社に発注すると、この工程を二重に回すことになります。採用サイトのデザインをそのまま引き継いで一式を展開できると、社内の確認作業も一度で済みます。

デザインで外さないための考え方

デザインの良し悪しを社内で議論すると、たいてい好みの話になって終わりません。判断の軸を「誰に届けるためのデザインか」に置くと、話が前に進みます。

よくある落とし穴が、「ロゴの色をそのまま使いましょう」という発想です。ロゴの色は、会社の顔として設計されたものです。採用したい相手が20代の求職者なら、その感性に合っているとは限りません。採用パンフレットは会社の顔ではなく、求職者に届ける媒体として設計する。そう考えると、色の決め方も変わってきます。

順番としては、採用したい人物像を決め、コンセプトを固め、そのうえで色を選ぶ。この流れで進めると、好みの議論に戻りにくくなります。そして、採用サイトを先に作っているなら、そのデザインをベースに引き継ぐのが最も手堅い進め方です。

事例を見て判断したい場合は、他社の採用パンフレットを「かっこいいかどうか」ではなく「どのページで何を伝えようとしているか」の目線で見ると参考になります。

弊社でも、採用サイトのデザインを引き継ぐ形で、市川工務店様や川辺町第3こども園様の採用パンフレットを制作しています(事例は公式サービスページで公開しています)。

費用の考え方|何で変わるのかを先に押さえる

採用パンフレットの費用は、一律の定価で測れるものではありません。判型とページ数、印刷部数、撮影の有無、原稿を誰が書くか——このあたりで必要な作業量が変わるからです。

見落とされやすいのが、印刷代以外の部分です。取材と撮影、原稿の執筆、デザイン。冊子の中身を決めるこれらの工程が、費用の大半を占めます。「印刷だけ安いところに」と考えても、中身を自社で作れなければ総額はあまり変わりません。

もう一つ、部数の決め方も費用を左右します。少部数を何度も刷り直すより、配布シーンから年間の必要数を見積もって一度に刷るほうが単価は下がります。ただし、社員の入れ替わりが多い時期に大量に刷ると、写真が古くなって使えなくなります。写真の鮮度と在庫のバランスは、作る前に決めておいてください。

相場の平均額を当てはめるより、自社の場合に何がどれだけ必要かを積み上げるほうが、判断を誤りにくいと思います。

採用サイト・動画・ピッチ資料との役割分担

採用パンフレットは、単体で完結させるものではありません。他の採用ツールと役割を分けたうえで、同じデザインの土台の上に並べるのが本来の形です。

  • 採用サイト……情報量と更新性を担う中心。パンフレットからはQRコードで送り、詳しい情報はサイトで見てもらいます
  • 採用ピッチ資料……面談やスカウトで使う説明用の資料。パンフレットより踏み込んだ事業の話や数字を載せられます
  • 採用動画……サイトに埋め込む型と、公開して検索からの流入も狙う型の2種類があります。雰囲気を伝える力は紙より上です
  • 説明会スライド・ブース装飾……当日その場で見せるもの。パンフレットと配色をそろえておくと、ブース全体の印象が一つにまとまります

参考記事:『【保存版】採用ピッチ資料の作り方は?5ステップの手順と採用サイトの使い分け

これらをばらばらに作ると、それぞれは悪くないのに全体としてちぐはぐな印象になります。採用サイトを土台にして、そのデザインを紙とブースに引き継ぐ。この順番で揃えるのが、遠回りに見えて確実です。

よくある質問

Q1: 会社案内を流用してはいけませんか

流用そのものが悪いわけではありませんが、そのままでは求職者の知りたいことに答えられません。事業紹介のページは活かしつつ、仕事の中身・働く人・キャリアの見通しの3つは、採用向けに作り直す必要があります。

Q2: 何ページくらいが適切ですか

配布シーンによります。合同説明会で何社も回る相手に渡すなら、8〜16ページ程度で読み切れる分量が扱いやすいです。学校訪問や保護者向けに読み込んでもらう前提なら、もう少し厚くても成立します。

Q3: 社員インタビューに協力してもらえる人が少ないのですが

無理に人数を揃えるより、2名でも中身の濃いものにするほうが伝わります。取材に外部の聞き手が入ると、「実は入社前は不安でした」といった本音が出やすくなります。社内の上司が聞き手だと、本当のことを言っていいのか迷わせてしまうためです。

Q4: 制作にどれくらいの期間がかかりますか

人選と撮影日程がすぐ決まるかどうかで大きく変わります。説明会の日程が決まっているなら、印刷期間を見込んで逆算し、社内確認の締め切りを先に押さえておいてください。

Q5: 採用サイトがない状態で、パンフレットだけ先に作っても意味がありますか

配布する予定が確実にあるなら、無駄にはなりません。ただ、パンフレットを見た人は、その場で社名を検索します。その先に受け皿がない状態が続くなら、順番としてはサイトを先に整えるほうが働きます。

紙とウェブを一続きにすると、印象は積み上がる

採用パンフレットは、印刷物の出来を競うものではありません。求人票で知り、サイトで確かめ、説明会で手に取る——この一連の接点の中で、同じ会社だと感じてもらえるかどうかが問われています。デザインの段差をなくすだけで、伝わり方はかなり変わります。

そして、紙を整えても、そもそも求人が見つけてもらえていなければ渡す相手が現れません。採用活動全体のどこで詰まっているのかを先に見極める。そのあとでツールの話に入るほうが、遠回りになりません。

一式をまとめて作り直す必要はありません。採用サイトを先に整えて、その配色と写真を引き継ぐ形でパンフレットを後から足すこともできます。どこから手をつけるのが御社にとって自然かは、規模と採用フェーズをうかがったうえでご提案します。

採用ツール制作のサービス詳細はこちら

この記事を書いた人
【中小企業】採用パンフレットに何を載せる?構成6項目と作り方の手順 | 採用ツール
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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