【地方向け】採用チラシの作り方|効く3つの理由と配り方の手順
「求人サイトに出しているのに、地元の人からの応募が来ない」——地方では、この手詰まりが少なくありません。媒体の順位を上げようにも、同業他社と同じ土俵で競るだけになる。
そこで上がってくるのが採用チラシですが、「いまさら紙?」という感覚もあると思います。配り先が決まらないまま段ボールに眠っている、という話も聞きます。
採用チラシは、ウェブだけでは接点を持てない層に会社を知ってもらうための打ち手です。応募をチラシ1枚で完結させようとすると失敗しますが、露出の一手として設計すれば、地方ではまだ効きます。
この記事でわかること
- 採用チラシと採用パンフレットの役割の違い
- 地方の中小企業でチラシが効く場面と、効かない場面
- 作り方の手順6ステップと、載せるべき要素
- ポスティングを含む配布方法と、効果の測り方
採用チラシとは|パンフレットとの違い
採用チラシとは、採用を目的につくる1枚もの(A4片面・両面など)の紙媒体を指します。採用ツールの中では、まだ自社を知らない人に存在を知ってもらう役割を担います。
混同されやすい採用パンフレットとは、目的も渡す相手も違います。
採用チラシ
| 形 | 1枚もの(A4など) |
|---|---|
| 渡す相手 | まだ会社を知らない人 |
| 主な場面 | ポスティング、折込、店頭、掲示 |
| 役割 | 知ってもらう(認知) |
| 情報量 | 絞る。伝えることは1つ |
採用パンフレット
| 形 | 冊子・複数ページ |
|---|---|
| 渡す相手 | すでに関心を持っている人 |
| 主な場面 | 説明会、面接、職場見学 |
| 役割 | 理解を深める(比較検討) |
| 情報量 | 詳しく。仕事、人、制度まで |
つまりチラシは入口、パンフレットはその先です。この区別が曖昧なまま作り始めると、1枚に情報を詰め込みすぎて何も伝わらないチラシになります。逆に、説明会で配る資料をチラシで済ませようとすると、今度は情報が足りません。冊子側の作り方はこちらで整理しています。
採用ツールの中での立ち位置
採用ツールには、採用サイト、パンフレット、チラシ、説明会スライド、ブース装飾、採用動画などがあります。それぞれ担当する場面が違い、単体で完結するものはありません。どんなツールがあり、どう使い分けるのかを俯瞰しておくと、チラシに何を期待すべきかが定まります。
参考記事:『【地方企業】採用手法は何から始める?無料で土台を作る3つの枠と選ぶ順番』
地方の中小企業で採用チラシが効くのはなぜか
「紙はもう古い」と思われがちですが、地方の採用に限れば事情が違います。理由は3つあります。
理由1|配るエリアと、採りたい商圏が重なる
地方は電車網が弱く、車通勤が現実的です。求職者が通えるのは、おおむね片道1時間/25〜30km圏内まで。この圏内が採用の勝負どころになります。
チラシは、この「配れる範囲」と「採用したい範囲」がぴたりと重なる数少ないツールです。全国に露出する求人サイトと違い、狙った地域にだけ届けられる。都市部では非効率になりやすいこの特性が、地方では強みに変わります。
理由2|求人サイトを見ていない層に届く
転職を本気で考えている人は求人サイトを見ています。ただ、地方で採用したい層はそれだけではありません。「いまの職場に不満はあるが、まだ探してはいない」層、家庭の事情で働き方を変えたい層、地元に戻ることを検討している人の家族。この人たちは求人サイトを開いていません。新聞折込やポスティング、店舗の掲示は、こうしたまだ検索していない人の目に触れる手段です。
理由3|家族の目に触れる
地方の採用では、本人が乗り気でも家族の反対で決まらないことがあります。紙は机の上に置かれたまま家族の目にも触れる。ウェブの求人ページにはない性質です。「息子に合いそうな会社が近くにある」と気づいてもらえる可能性がある、というわけです。
一方で、チラシが効かない場面もある
公平のために書いておくと、専門職や有資格者の中途採用など、母数が極端に少ない職種では、面で配るチラシは効率が悪くなります。この場合は媒体や人材紹介のほうが現実的です。誰を採りたいかによって、チラシが向くかどうかは変わります。
採用チラシの作り方|6ステップの手順
始め方が分からないという声が多い部分なので、手順に落とします。
ステップ1|誰に配るのかを決める
最初に決めるのは、配布エリアと相手です。「工業団地の周辺エリアに、製造の経験がある20〜40代」「小学校区内に、子育て中で日中だけ働きたい層」といった粒度まで絞ります。ここが決まらないうちにデザインの話を始めると、必ず手戻りします。
ステップ2|伝えることを1つに絞る
1枚のチラシで伝えられるのは、実質1つです。給与も休日も雰囲気も全部載せたくなりますが、数秒で捨てられるか読まれるかが決まる媒体なので、いちばん強い一言に絞るほうが届きます。材料は社内にあります。いま働いている社員に「なぜこの会社を選んだか」「入って意外と良かったことは何か」を聞くと、経営側が思いつかない言葉が出てきます。
ステップ3|載せる要素を決める
絞ったうえで、最低限これは必要という要素があります。
- キャッチコピー(伝えることを1つに絞った一言)
- 募集職種と雇用形態
- 勤務地(地図か、最寄りの目印。地方では距離感がいちばん見られます)
- 給与・勤務時間・休日(最低限の労働条件)
- 写真(実際に働いている人。素材写真は使わない)
- 問い合わせ先と応募方法
- QRコード(採用サイトまたは応募フォームへ)
「未経験可」「経験者優遇」といった応募資格も、該当する場合は書きます。逆に、沿革や事業内容の詳細は冊子側に回してかまいません。
ステップ4|QRコードで受け皿につなぐ
いまのチラシで最も重要なのが、この一手です。
紙を見た人が次に取る行動は、ほぼ検索です。社名で検索して、採用サイトを見て、どんな会社かを確かめる。ここでQRコードを載せておけば、検索の手間を飛ばして受け皿に直接連れて行けます。読み取り先は、会社のトップページではなく採用ページにしてください。求職者が知りたい情報にすぐ着地させるためです。
なお、媒体ごとにQRコードの遷移先を分けておくと、どの配布方法から見られたのかを後から確認できます。効果測定の話は後述します。
ステップ5|デザインを組む
デザインで押さえるポイントは次の章にまとめます。
ステップ6|配って、反応を確かめて、直す
一度配って終わりにしないことです。配布した部数、期間、そこからの問い合わせ件数を記録し、次の配布で載せる内容や配布先を調整していきます。1回目でうまくいくことのほうが少ないので、直す前提で始めるほうが気が楽だと思います。
実務として最も時間をかける価値があるのは、ステップ1と2の間にあるヒアリングです。経営者の方に「誰に来てほしいか」を聞くと理想の人物像が返ってきますが、チラシで必要なのは、その人が平日の日中にどこにいて、何を気にしているかまで具体化することです。ここが決まると、配布エリアも載せる一言も自動的に絞れてきます。逆にここが曖昧なまま進むと、デザインの好みの話に流れて、誰にも刺さらない1枚になります。
優先順位で迷ったら、「写真と一言に費用と時間を寄せる」と決めておくことをおすすめします。レイアウトの細部より、働いている人の写真が1枚あるかどうか、その写真とキャッチコピーが噛み合っているかのほうが、反応への影響ははるかに大きいからです。配布エリアは、いま働いている社員の通勤圏を地図に落とすところから決めるのが確実です。実際に通えている人がいる範囲は、次に通える人がいる範囲でもあります。
採用チラシのデザインで押さえる3つのポイント
見た目の良し悪しの話ではありません。採用チラシのデザインには、押さえると結果が変わる原則があります。
ポイント1|採用サイトとデザインをそろえる
これがいちばん大事なところです。
求職者が応募を決めるまでの流れを追うと、求人票やチラシで会社を知る → 社名で検索する → 採用サイトを見る → 応募を決めるという順番になります。応募を決める時点で求職者が持っている情報は、実質この2つだけです。そして第一印象は、視覚的なデザインに強く左右されます。
このとき、手元のチラシと画面の採用サイトでまったく毛色の違うデザインが出てくると、印象にズレが生まれ、違和感として残ります。青を基調にした落ち着いた採用サイトを見た後で、原色を多用したチラシを受け取ったら、同じ会社の話だと結びつきません。紙とウェブのあいだでデザインイメージを引き継ぎ、段差をなくす。ロゴ、色、写真の雰囲気、使う言葉のトーンを、採用サイトを基準にそろえていきます。
ポイント2|写真は「働いている人」を使う
素材写真は、見る人に何も伝えません。実際に働いている社員の写真を使ってください。地方の採用では、「どんな人と働くのか」が判断材料としてかなり大きい部分を占めます。撮影については、社内のスマートフォンで済ませるより、撮影だけはプロに依頼するコスト配分のほうが妥当だと考えています。紙は印刷されると粗さが出やすく、写真の質が会社の印象にそのまま重なるからです。
ポイント3|情報を詰め込まない
余白を残すことです。読み手が数秒で判断する媒体なので、文字を詰めるほど読まれなくなります。伝えることは1つに絞り、詳しい情報はQRコードの先に置く。この役割分担で組むと、1枚に収まります。
採用チラシの配布方法と、効果の測り方
作った後の話です。ここを設計しないまま印刷すると、配り先が決まらず在庫になります。
主な配布方法
- ポスティング……狙ったエリアの住宅に直接投函します。エリアを細かく指定できるのが利点。集合住宅と戸建てで反応が変わることもあります
- 新聞折込……エリア単位で配布できます。読者層が中高年に寄る傾向があるため、家族経由での認知を狙う場合に向きます
- 店頭・掲示……自社の店舗、取引先、地域の掲示板、公共施設など。継続的に置けるのが利点です
- 説明会・イベントでの手渡し……合同説明会や地域のイベントで配ります。この場面ではパンフレットとの併用も検討します
- ハローワーク周辺や関連施設……掲示の可否は施設ごとに異なるため、事前確認が必要です
効果をどう測るか
紙は効果が測りにくいと言われますが、工夫すれば追えます。
- QRコードの遷移先を配布方法ごとに分ける……ポスティング用、折込用と分けておけば、アクセス数の差から反応の違いが見えます
- 問い合わせ時に「何を見たか」を聞く……電話応対のときに一言確認するだけで記録になります
- 配布と応募のタイミングを記録する……配布日と応募日を並べて見ると、反応の立ち上がりが分かります
大事なのは、1回の結果で判断しないことです。配布エリア、時期、載せた内容のどれを変えたときに反応が動いたのかを、記録しながら絞り込んでいきます。
費用の考え方
採用チラシの費用は、デザイン費と印刷費、そして配布費(ポスティングや折込の実費)に分かれます。部数、色数、紙質、配布エリアの広さで変わるため、一律の相場を当てはめても判断の助けにはなりにくいと思います。
考え方としては、印刷して終わりの支出になっていないかを見てください。デザインを採用サイトから継承しておけば、同じ資産を説明会資料やブース装飾にも展開できます。その場限りのデザインで作ると、次に何かを作るたびにゼロからやり直しです。同じ支出でも、残るものが変わってきます。
採用チラシに関するよくある質問
Q1. 採用チラシは自社でも作れますか
作れます。ステップ1〜3までは社内でしかできない作業なので、まずここを自社で固めるのが出発点です。そのうえで、採用サイトとのデザインの整合や印刷用のデータづくりは、外に任せる判断もあります。判断の分かれ目は、すでに採用サイトやロゴなどのデザイン資産があるかどうかです。
Q2. どのくらいの部数を配れば効果が出ますか
職種と配布エリアの人口によって変わるため、一律の目安は出しにくいところです。ただ、少部数を1回配って判断するのは避けたほうがいいと思います。同じエリアに時期をずらして複数回届けたほうが、認知として残りやすくなります。
Q3. QRコードの遷移先は採用サイトと応募フォームのどちらがいいですか
採用サイトの採用ページをおすすめします。チラシを見た段階の人は、まだ応募を決めていないことが多いからです。いきなりフォームに着地させると、判断材料がないまま入力を求めることになり、離脱しやすくなります。
Q4. 採用チラシと求人媒体は、どちらを優先すべきですか
どちらか一方ではなく、狙う層が違うツールだと捉えるのが実態に近いです。すでに探している人には媒体が、まだ探していない人と家族にはチラシが届きます。まず求人媒体の露出が足りているかを確かめてから、抜けている層を埋める順番で考えると迷いにくくなります。
紙で知ってもらった先に、確かめる場所があるか
採用チラシは、ウェブだけでは届かない層に会社の存在を知ってもらうための一手です。誰に配るかを決め、伝えることを1つに絞り、QRコードで受け皿につなぎ、配った反応を見て直していく。この手順で回せば、地方では十分に打ち手として成立します。
ただ、チラシは単体では完結しません。紙で知ってもらった人は検索し、採用サイトで会社を確かめてから応募を決めます。受け皿がないまま露出だけを増やすと、興味を持ってくれた人が確かめる場所を見つけられずに離れていく。露出と受け皿は、片方だけでは機能しない両輪です。
そして抜けがちなのは「そもそも採用活動全体のどこにチラシを置くのか」という視点です。採用計画、母集団形成、求人票、選考、受け皿、振り返り——この流れの中でチラシが担当するのは、母集団形成の一部にすぎません。全体像を一度眺めてから配置を決めると、力の入れどころを間違えずに済みます。
弊社を運営する株式会社リーピーは、もともと印刷物も手がけてきた制作会社です。とはいえ、チラシ1枚の印刷品質そのもので他社と大きく差がつくとは考えていません。価値があるのは、採用サイトのデザインを基準に、チラシもパンフレットも説明会のブース装飾も一貫させられるところだと思っています。求職者が受け取る印象に段差をつくらない、という一点です。
全部をまとめて頼む必要はありません。すでに採用サイトがあるならチラシだけを合わせにいく形も、これから受け皿ごと整えるなら順番を設計するところからも選べます。まずは御社の採用フェーズと、いまあるデザイン資産をうかがったうえで、最適な構成をご提案します。「何から作ればいいか分からない」段階でも大丈夫です。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。