【全体像】採用活動は何から始める?中小企業がたどる6つのステップ
「採用を強化したいけれど、何から始めればいいのか分からない」——いざ採用に本腰を入れようとしたとき、最初にぶつかるのがこの戸惑いだと思います。求人媒体に募集を出してはみたものの、応募が来ない。かといって、求人を出す以外に何をすればいいのかも分からない。
原因は、必ずしも「給与や条件が悪いから」ではありません。求人を出すだけでは応募が来ない時代になっている、という構造の変化が背景にあります。
そもそも採用活動とは「求人を出す作業」ではない
最初にそろえておきたいのが「採用活動とは何か」という認識です。結論から言えば、採用活動は求人を出して応募を待つ作業ではなく、見つけてもらうところから入社後の定着までを通した一連の営みです。ここがずれていると、どれだけ手順を踏んでも空回りします。
その戸惑いは御社だけのものではありません。2025年版中小企業白書(中小企業庁)でも、中小企業が最も重視する経営課題として「人材確保」が挙げられています。正社員の不足超過も続いており、とくに建設業や運輸業といった地方の主要産業ほど人手が足りません(※1)。
実際、初回のご相談で状況をうかがうと、躓きは求人の書き方より手前にあることがほとんどです。掲載先が実質ハローワーク1つだけだった、無料で使える媒体があること自体を知らなかった、求人サービスに会社ページだけ作って求人を出していなかった——こうした状態から始まる会社は珍しくありません。
支援開始時点の13社を調べたところ、無料で使える求人媒体6つをすべて使えていた会社は1社もなく、6社は実質1媒体以下でした。「何から始めればいいか分からない」の中身は、多くの場合ここです。
<small>※1 「人材確保」が中小企業の最重視課題であることは2025年版中小企業白書(中小企業庁)、正社員の不足超過が続いている状況は厚生労働省「労働経済動向調査」(令和7年5月1日現在、2025年6月24日公表)による。</small>
採用活動の正体は「求職者の取り合い合戦」
いまの採用は、企業が求職者を選ぶというより、求職者にこちらを選んでもらう「取り合い合戦」になっています。
仕事を探している人は、スマートフォンでIndeedやGoogleしごと検索を開き、いくつもの求人を並べて見比べます。気になった会社があれば、社名で検索して口コミやホームページまで確認する。つまり求職者は、たくさんの会社を比較した上で応募先を決めているわけです。
そうなると、ただ「出すだけ」では選択肢の中に埋もれます。採用は、条件はもちろん、会社の魅力の伝わり方まで含めた総合点勝負になっているということです。「条件が悪いから採れない」と感じている経営者は多いのですが、本当の詰まりは「そもそも見つけてもらえていない」ところにあるケースが少なくありません。
兼務のままでは、採用は回りきらない
もう一つ、採用を「点の作業」だと思っていると見えてこないのが、作業量の多さです。採用活動を最後までやり切ろうとすると、必須となる作業だけでも40以上あります。求める人物像の設計、求人媒体の選定、求人原稿の作成、応募者への返信、日程調整、面接、内定後のフォロー……。一つひとつは地味でも、抜けると応募者を取りこぼす作業がずらりと連なっています。
しかも、採用担当者の多くは専任ではなく本業と兼務です。ちなみに私たちが接してきた地方の中小企業では、採用担当者のおよそ9割が兼務でした。本業を抱えながら40以上の作業を一人で漏れなく回すのは、想像すると少し気が遠くなる話です。
しかも、限られた時間の使い先を間違えやすい構造もあります。典型的なのが、最初に求人原稿の書き直しへ手をつけるパターンです。原稿づくりは目に見えて、机の上で完結し、頑張った実感も得やすい。ただ、どれだけ書き直しても、載っている場所が実質1媒体のままなら、読まれる回数そのものは増えません。冒頭で触れた13社の調査でも、詰まりの中心は原稿の質より露出の少なさでした。順番としては、まず無料媒体を含めて露出の面を広げ、読まれる回数を確保してから原稿を磨く。文章の推敲は、読み手が増えてからのほうが、直した効果の確認もできます。
「採用にここまで手がかかるとは思わなかった」——そう感じたなら、それは自然な感覚です。すべてを片手間で抱える以外に、採用活動そのものを外から支えてもらう選択肢(採用活動の代行)もあります。何から手をつけるべきか、現状の棚卸しから一緒に考えることもできます。
採用活動の進め方は6ステップ|まず全体像をつかむ
採用活動の流れは、大きく6つのステップに整理できます。細かい手順に入る前にこの地図を頭に入れておくと、自社の詰まりどころが見えやすくなります。
6ステップの全体マップ
採用活動は、次の流れで進んでいきます。
- 採用計画を立てる……誰を、いつまでに、なぜ採るのかを決める
- 母集団形成……求人を見つけてもらう(=いわゆる応募数を増やす)
- 求人票・募集要項をつくる……比較されても選ばれる内容に仕上げる
- 応募者対応と選考……取りこぼさず、見極める
- 受け皿となる採用サイトを整える……応募の意思決定が起きる場所をつくる
- 振り返りと内製化……採用を一度きりでなく「仕組み」で回す
大事なのは、これらがバラバラの作業ではなく、一本につながった流れだということです。どれだけ良い求人票をつくっても(ステップ3)、見つけてもらえていなければ(ステップ2)応募は来ません。逆に応募が来ても、採用サイト(ステップ5)が整っていなければ、求職者は応募をためらいます。すべてを一度にやろうとせず、「自社が一番詰まっているのはどこか」を探しながら読み進めてみてください。
大手のやり方は、地方ではそのまま効かない
採用ノウハウの多くは、大手企業や都市部を前提に書かれています。「とにかく母数を集めて、その中から選ぶ」という発想です。ところが地方では、現実的に通勤できる範囲が限られます。通える距離はおおむね25〜30km圏内、片道1時間ほどが一つの目安。その圏内の求職者は都市部に比べて限られ、さらにその人材を同じ商圏の競合他社と奪い合う構造です。つまり地方の採用は「全国から母数を集める」ではなく、「限られた通勤圏の中で、いかに選んでもらうか」という勝負になります。
ステップ1:採用計画を立てる(誰を・いつまでに・なぜ採るか)
採用計画とは、ざっくり言えば「誰を、いつまでに、何人、なぜ採るのか」を決めることです。地味に見えて、ここが曖昧なまま走り出すと後のすべてがぶれます。
出発点は事業の目標です。来期この事業を伸ばしたいから現場をあと2人増やす、といった具合に、事業から逆算して人数と時期をはっきりさせます。次に決めるのが「求める人物像」です。採りたい人物像(ペルソナとも呼ばれます)を、どんな経験を持ち、どんな働き方を望む人なのかまで具体的に描く。ここが「誰でもいいから人手がほしい」のままだと、誰にも刺さらない募集になります。
そのうえで、同じ商圏の競合がどんな条件で募集しているかを調べます。近隣の競合が給与・休日・働き方をどう打ち出しているかを知らないまま求人を出すのは、相手の手札を見ずに勝負を挑むようなものです。最後に採用スケジュールと予算を人物像とセットで決め、「応募を何件集めるか」「面接に何人進めるか」といった中間の目標(KPI)まで置いておくと、うまくいかなかったときに原因を追えます。
ステップ2:母集団形成で「見つけてもらう」
6つのステップの中で、地方の中小企業がもっとも詰まりやすいのが母集団形成です。結論を先に言うと、応募が来ない会社の多くは条件で負けているのではなく、そもそも見つけてもらえていません。ここが採用活動の最大の山場だと考えています。
母集団形成とは(=応募数を増やすこと)
「母集団形成」という言葉は耳慣れないかもしれません。かみ砕くと、いわゆる応募数(エントリー数)を増やすこと、「自社の求人を求職者に見つけてもらい、応募してもらうまでの集客」を指します。
応募の母数が、その後のすべてを左右します。10人の応募から1人を採るのと100人から1人を採るのとでは、選べる幅がまるで違う。母数が少なければ「この人は少し違うかも」と思っても妥協せざるを得ません。採用の質は、まず母数があって初めて成り立ちます。
「求人票を出すだけ」では応募が集まらない構造
求人を出せる場所は、有料の広告だけではありません。無料で掲載できる求人媒体も、思っているより多くあります。問題は「どの媒体に・どんな条件で出すか」を見極める目と、出した後に反応を見ながら調整し続ける手間です。一度出して終わりにすると、せっかくの露出が活きない。母集団形成はここだけでも片手間では追いきれない領域なんですよね。
ステップ3:求人票・募集要項をつくる(比較されて勝てるか)
見つけてもらえたとして、次に問われるのが「求人票の中身で選ばれるか」です。求職者にとって転職や就職は人生の一大イベント。いくつもの求人を慎重に見比べます。総合点勝負がいちばん表に出るのが求人票です。
ありがちなのが、給与・勤務地・休日といった条件をただ箇条書きで並べただけの求人票です。これだと、求職者は数字が少しでも良いほうを選ぶだけになります。「どんな仕事で」「どんな人と働き」「入社後にどう成長できるのか」まで伝わって初めて、条件だけでは測れない魅力が伝わる。「未経験から手に職がつく」といった自社にしかない強みを打ち出せれば、条件面で多少劣っても選ばれる余地が生まれます。
もう一つ、知らないと落とし穴になるのが法令です。2024年4月から、求人時に明示すべき労働条件が追加され、「将来的に業務内容や勤務地が変わる可能性の範囲」まで示す必要があります。年齢制限や性別を理由とした募集差別も原則禁止です。古いテンプレートの使い回しは要注意で、迷う場合は労働局や専門家に確認を。
ステップ4:応募者対応と選考(取りこぼさない仕組み)
応募が来たら、いよいよ選考です。落とし穴は大きく2つ、「対応が遅くて辞退される」ことと「厳選しすぎて候補がいなくなる」こと。どちらも、出会えたはずの人を自分から手放す失敗です。
一つ目は、対応の遅さです。求職者は同時に何社も受けています。応募から返信まで1週間も空くと、その間に他社の選考が進み、辞退されます。できるだけ早く連絡を返す——この基本だけで取りこぼしはかなり減ります。面接も、何を見極めたいのか、内定を出す基準は何かを事前に言葉にしておくだけで、判断のぶれは小さくなります。
「厳選しすぎ」が応募不足を招く落とし穴…
二つ目の落とし穴は、間口を狭めすぎることです。
「自社に合わない人からの応募は減らしたい」という気持ちはよく分かります。ただ、その思いが強すぎて「業界経験3年以上」「即戦力に限る」と要件を厳しくしすぎると、本来出会えたはずの優秀な人まで最初から排除してしまう。実際、岐阜の製造業で正社員6名規模の会社では、社長が採用を兼務し、スキル要件を高く設定した結果、1年間応募がゼロという状態が続いていました。要件を見直し、採用サイトを整えたところから、ようやく応募が動き始めています。
人物像を明確にすることと、間口を狭めすぎることは別物です。「育てる前提で、伸びしろのある人も受け入れる」くらいの幅を持たせたほうが、結果は変わってくると考えています。
ステップ5:受け皿となる採用サイトを整える
ステップ2で「見つけてもらうこと(露出)」が最大の山場だとお話ししました。それと対になるのが「受け皿」です。応募するかどうかの最終判断は、求人媒体ではなく採用サイトで起きます。
露出を増やしても「受け皿」がないと選ばれない
求職者は、まず求人媒体で会社を認知します。気になれば社名で検索して採用サイトを訪れ、他社と比較し、「ここなら大丈夫そうだ」と納得して初めて応募の意思決定をします。
つまり、どれだけ露出を増やして人を呼び込んでも、訪れた先の採用サイトが古いままだったり存在しなかったりすると、求職者は不安になって離れてしまう。露出(見つけてもらう)と受け皿(採用サイト)は、片方だけでは機能しない両輪なんですよね。
コーポレートサイトの採用情報では足りない
「会社のホームページに採用情報を載せておけば十分では?」と思うかもしれません。結論から言うと、それだけでは物足りないケースが多いです。コーポレートサイトは取引先や顧客に会社を紹介する場ですが、採用サイトが向き合う相手は求職者で、知りたいことも「どんな人が働いているか」「自分でもやっていけるか」と異なります。だからこそ、求職者の不安に応える専用の受け皿を用意する意味があります。
ステップ6:振り返りと内製化(採用を「仕組み」で回す)
最後のステップは、採用活動を一度きりで終わらせず「仕組み」として回せるようにすることです。求人広告を出し続けるのではなく、自社に採用体制とノウハウを残していく。ここまでくると、採用は単発のイベントではなく会社の体質づくりに近づきます。
求人広告に依存しない「資産性のある採用」へ
採用がうまくいかないと、つい「もっと広告にお金をかければ」と考えてしまいます。とはいえ、求人広告は出している間だけ露出が増える、いわば掛け捨ての保険です。出稿をやめれば露出はゼロに戻ります。一方、採用サイトに会社の魅力を蓄積し、何が効いたかを振り返って次に活かす取り組みは、続けるほど会社の資産になる。長い目で見ると、この差は大きいと思います。
全部を自社で抱える必要はない
ここまで読んできて、「これを全部、本業の片手間でやるのは無理がある」と感じた方も多いはずです。その感覚は、ごく自然です。
けれど、「自分で全部やる」か「丸投げする」かの二択ではありません。自社で回せるところは回し、詰まっているステップだけ外の力を借りるという進め方もできます。「人事部をまるごと外に持つ」ような感覚で伴走してもらい、自社にノウハウが溜まってきたら、また自分たちで回していく。私たちも、卒業を前提とした仕組みを残す支援を軸に置いています。
順番を間違えた例を1つ挙げます。
岐阜市で農業資材の卸と農業ハウスの施工を手がける会社では、社内で求人を用意して募集をかけ、エントリー自体は累計6〜7件と集まっていました。ところが中身を見ると、全件が対象外・辞退・不採用。原因は「イチゴプロジェクト専任スタッフ」という社内だけで通じる職種名で、しかも4つの業務が1本の求人に混在していたことでした。
このとき必要だったのは求人原稿を書き直すことではなく、誰に向けた募集なのかを決め直して求人を分けることです。原稿の手直しから入ると、こういう構造の問題は見えないまま残ります。
採用活動の進め方でよくある質問
Q1: 採用活動は何から始めればいいですか。
まずは採用計画(ステップ1)です。「誰を、いつまでに、何人、なぜ採るのか」を決めないまま求人を出すと、求人票も選考基準もぶれます。すでに求人を出しているのに応募が来ない場合は、母集団形成(ステップ2)の露出を先に確かめてください。
Q2: 採用スケジュールはどれくらい前から動けばいいですか。
求人を出してから入社までは、募集期間・選考・退職手続きを含めて数か月かかるのが一般的です。「必要になってから動く」では間に合わないため、事業計画から逆算して引いておきます。新卒や高卒は年次のルールがあり、さらに前倒しの準備が必要です。
Q3: 採用活動にかける費用の目安が分かりません。
業種・職種・地域で相場が変わるため、一律の目安は出しにくいところです。ただ、求人広告費だけを費用と捉えると判断を誤ります。担当者が採用に使っている時間や、辞退による機会損失まで含めて考えてみてください。
Q4: 採用専任の担当者がいなくても採用活動はできますか。
できます。ただし40以上ある必須作業をすべて兼務でこなすのは現実的ではないため、どこを自社でやり、どこを外に任せるかの線引きが要ります。露出(母集団形成)と受け皿(採用サイト)の整備は専門性が高く時間もかかるので、外の力を借りやすい領域です。
採用活動の進め方は「露出 × 受け皿」の両輪で考える
6つのステップを一つの地図として眺めると、採用が「求人を出す作業」ではなく、認知から定着までを通した一連の営みだと見えてきたのではないかと思います。
この6ステップを貫く一番の軸は、「見つけてもらう(露出)」と「選んでもらう(受け皿)」の両輪です。求人が求職者の目に触れていなければ、どれだけ良い会社でも応募は来ません。逆に見つけてもらえても、受け皿となる採用サイトが整っていなければ、求職者は不安なまま離れていく。自社の詰まりどころは、この両輪のどちらが欠けているかで考えると、ぐっと見えやすくなります。
参考までに、弊社自身の数字も挙げておきます。採用広告に頼らず、年間1,152名のエントリーを集めてきました。これだけの母数があると、本当に合う人だけを妥協せずに選べます。同じことを御社でも保証します、とまでは言えません。ただ、両輪で考えると採用は変わり得るということは、自社で体現してきたつもりです。
私たちは全国の地方企業に1,400社以上のウェブ制作・マーケティング支援を重ねてきた経験から、採用活動の代行(露出側)と採用サイト制作(受け皿側)を、御社の状況に合わせて組み合わせてご提案しています。一次選考で見送った方をご紹介する人材紹介(リープ・キャリア)まで、必要に応じて組み合わせられます。
「自社の場合、どこから手をつければいいのか」——まずはその現状整理からで構いません。料金や進め方は、御社の規模や採用フェーズをうかがった上でご提案します。何から始めればいいか分からない段階でも、気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。