【高卒採用】スケジュールとルール|押さえる4つの時期と動き方

「高卒を採ってみたいけれど、どう動けばいいのか分からない」——中途採用は自社でやってきた企業でも、高卒採用となると勝手がまったく違います。求人を出す時期が決まっていて、応募は学校を通してしか来ない。中途の感覚のまま構えていると、気づいたときには一年分の機会を逃しています。

高卒採用が中途と決定的に違うのは、日程とルールが先に決まっているという点です。裏を返すと、段取りさえ知っていれば、規模の小さい会社でも同じ土俵に立てるということです。知名度で劣る中小企業には、むしろ有利に働きます。

この記事でわかること

  • 高卒採用の年間スケジュール(求人申込から内定まで)
  • 一人一社制・学校経由の応募といった、高卒採用ならではのルール
  • 中小企業が差をつけられる学校訪問の進め方
  • いつから何を準備すればいいかの逆算

年間スケジュール|求人申込から内定までの流れ

高卒採用は、例年おおよそ次の日程で進みます。細かな運用は都道府県で異なりますが、大きな区切りは全国で共通です。

以下は令和9年3月卒業予定者(2027年春卒)の日程です。ハローワークによる求人申込書の受付開始が6月1日、企業による学校への求人申込・学校訪問の開始が7月1日、学校から企業への応募書類提出の開始が9月5日(沖縄県は8月30日)、そして選考・内定の開始が9月16日と定められています(※1)。<small>※1 引用:厚生労働省「令和9年3月新規高等学校等卒業者の就職に係る採用選考期日等」(2026年2月16日公表)。 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/press20260216_job_application_schedule_of_2025_highschool_graduates_00003.html </small>

※後続の見出し(L27「6月上旬」等)と日付整合済み。

6月上旬|ハローワークへの求人申込(求人票の提出)

最初の関門がここです。高卒求人は、ハローワークに求人票を提出して確認を受けるところから始まります。例年6月1日ごろに受付が始まり、ここで確認を受けた求人票でなければ、学校に持ち込むことができません。

つまり、6月に間に合わなかった時点で、その年の高卒採用はほぼ動かせなくなるというわけです。中途採用のように「思い立ったときに募集を出す」ができない点が、最初のつまずきどころになります。

7月1日|求人票の公開・学校への求人申込の開始

例年7月1日から、求人情報が学校へ公開され、企業から学校への求人申込・学校訪問が可能になります。いわゆる「解禁日」です。

ここからが実質的な勝負どころになります。生徒は夏休みに入る前後から進路の検討を始め、学校の先生と相談しながら応募先を絞っていきます。7月から8月にかけて、先生の頭の中に自社が入っているかどうかで、その後の応募数が変わってくる、というのが実際のところです。

9月上旬|生徒の応募書類の提出開始

例年9月5日ごろから、生徒の応募書類の提出が始まります。応募書類は生徒個人からではなく、学校を通して届きます。

9月中旬|選考開始・採用内定

例年9月16日ごろから選考が始まり、内定を出せるようになります。中途採用と違い、選考を前倒しで進めることはできません。

この日程で1回目の選考が動き、そこで決まらなかった生徒については、10月以降に2回目、3回目と続いていきます。一次で決まらなかった企業にもチャンスは残る構造なので、初年度で応募がゼロだったとしても、そこで終わりではありません。

高卒採用のルール|中途・大卒とここが違う

高卒採用には、生徒の学業と就職機会を守るための独自ルールがあります。知らずに動くと、悪気なくルールに触れてしまうことがあるので、最低限ここは押さえておきたいところです。

ルール1:応募は学校を通す(自由応募ではない)

高卒採用では、生徒が直接企業に応募することは原則できません。学校が窓口となり、校内選考を経て推薦された生徒が応募します。

これが意味するのは、企業が向き合う相手は生徒だけではなく、学校の先生でもあるということです。中途採用のように「求人票を出して応募を待つ」だけでは動きません。先生に自社を知ってもらい、「この会社なら生徒を送り出せる」と思ってもらうところまでが企業側の仕事になります。

ルール2:一人一社制(応募は原則1社ずつ)

高卒採用の最大の特徴が「一人一社制」です。生徒は、一定の時期まで同時に1社しか応募できません。1社の結果が出るまで、次の応募には進めない仕組みです。

複数応募が可能になる時期は都道府県によって異なり、10月以降に緩和される地域が多くなっています。企業側からすると、この制度は次のように効いてきます。

  • 生徒は「ここしか受けられない」前提で応募先を選ぶため、選ぶ側の慎重さが中途採用の比ではない
  • 一方、応募してもらえれば、他社と並行比較されている状態ではないため、内定辞退が起きにくい
  • 逆に、選考で不合格を出すと、その生徒は次の応募まで時間を失う。合否判断には相応の重みがある

ルール3:指定校・学校推薦という考え方

企業が求人票を出す先は、大きく「公開求人」と「指定校求人」に分かれます。公開求人は広く各校に公開されるもの、指定校求人は特定の学校を指定して出すものです。

中小企業の場合、やみくもに広く出すより、通勤圏内の数校に絞って関係を作るほうが機能します。地方では、生徒の通学圏と将来の通勤圏がほぼ重なるためです。片道1時間、車通勤なら25〜30km圏内という現実的な範囲を先に押さえて、その中の高校を対象に考えると、訪問先も自然に絞り込めます。

ルール4:求人票の記載にも決まりがある

求人票は、ハローワークの確認を通ったものだけが有効です。募集・採用における年齢制限や性別を理由とした差別の禁止といった一般の求人ルールに加え、高卒求人特有の様式・記載事項があります。ここは自己流で書くと差し戻しになりやすいところなので、初年度は早めに着手しておくのが安全です。

学校訪問こそ、中小企業が差をつけられる場所

日程とルールが全国一律である以上、差がつくのは運用の部分です。そして中小企業にとって、いちばん差が出るのが学校訪問だと考えています。

大手企業は訪問できる学校の数で優位に立ちますが、一校あたりにかけられる時間や、関係の深さでは中小企業にも十分勝ち目があります。先生の側からすれば、生徒を送り出す先として安心できるかどうかが判断軸なので、担当者の顔が見えていることの価値は小さくありません。

進め方としては、次の順番が現実的です。

  1. 訪問先を絞る……通勤圏内の高校を洗い出し、学科と自社の職種が合う数校に絞る
  2. 7月の解禁直後に一度目……求人票を持参して、仕事内容と職場の様子を具体的に伝える
  3. 持っていく資料をそろえておく……求人票だけでは伝わりません。仕事の様子が分かる写真、働いている先輩社員の話、通勤や休日の実際
  4. 卒業生がいれば必ず伝える……その高校の卒業生が自社で働いているなら、それがいちばん強い材料になります
  5. その年に決まらなくても続ける……高卒採用は初年度で結果が出ないことも珍しくありません。翌年の訪問で「昨年も来てくれた会社」になっていること自体が効きます

もう一つ、忘れられがちなのが保護者の存在です。高校生の就職は、本人だけで決まりません。家に帰って親に相談したときに、会社名を検索して何も出てこない、あるいは古い情報しか出てこないと、そこで止まってしまうことがあります。学校訪問で先生に伝わっても、家庭での会話で不安が残れば応募には至りません。

学校訪問で先生から確かめられることは、突き詰めると2つだと考えています。「この会社に送り出した生徒が、辞めずに続けられるか」と「何かあったときに、学校へ連絡をくれる会社か」です。求人票の条件よりも、若手の定着状況、誰が教育を担当するのか、困りごとが起きたときにどう対応するのかを具体的に話せるかどうかが見られています。先生にとって生徒の就職先は翌年以降の進路指導の実績に直結するので、1年で辞められることを何より警戒しているわけです。

持参する資料も、この関心に沿って選ぶのが基本です。会社案内のパンフレットより、職場と働く人の写真、高卒で入社した先輩のその後、1年目の教育の流れが1枚で分かる資料のほうが機能します。資料は先生に渡して終わるものではなく、先生が生徒と保護者に説明するときの材料になるものです。この前提で考えると、そろえるべきものは自然に変わってきます。

初年度に応募が来なくても、翌年に動く余地は十分あります。先生の側から見れば、初めて求人票を持ってきた会社は、まだ判断材料のない会社です。2年目の訪問で「昨年お話しした件、その後こうなりました」と続きから話せる関係になっていること自体が信用になり、生徒に紹介する候補に入ってきます。高卒採用は単年度の施策ではなく、学校との関係を積み上げる複数年の取り組みとして設計してください。

いつから準備を始めるか|6月の求人申込から逆算する

ここまでの日程を、準備の側から並べ替えます。動き出しの目安は、6月の求人申込から逆算した4〜5月です。

4〜5月|採用したい人物像と職種の整理、受け皿の点検

まず決めるのは、どの職種で何人採りたいのか、その生徒に入社後どうなっていてほしいのかです。高卒採用は、中途と違って経験で選べません。入社後に育てる前提で、どんな素地があればいいのかを言語化しておく必要があります。

同時に、この時期に採用サイトなどの受け皿を点検しておきます。先生や保護者が会社名で検索したときに何が出てくるか。情報が数年前で止まっていないか。求人票を出す前にここを整えておくと、7月からの動きが変わります。

5〜6月|求人票の作成とハローワークへの提出

求人票は、条件を埋めるだけの書類ではありません。先生が生徒に説明するときの材料になります。仕事内容が「製造業務全般」だけでは、先生も生徒に説明のしようがありません。初年度ほど時間がかかるので、5月には着手しておくのが安全です。

7〜8月|学校訪問

解禁後は訪問に集中します。夏休み期間は先生も生徒対応で動いているため、7月中の早い時期に一巡できると理想的です。

9月〜|応募受付・選考

応募が来てからは、中途採用と同じく連絡と日程の設計が効きます。学校を通したやりとりになるため、返答が遅れると先生の側の進行にも影響します。

高卒採用に関するよくある質問

Q1. 今からでも今年度の高卒採用に間に合いますか

時期によります。求人申込の受付が始まる6月を過ぎていても、年度の途中から求人を出すこと自体は可能な場合があります。ただし学校側の進路指導は7〜9月に山場を迎えるため、そこを過ぎると応募につながりにくくなります。今年度が難しい場合は、翌年度に向けて4〜5月から準備を始めるほうが結果につながりやすいです。

Q2. 高卒採用は大卒より採りやすいですか

「採りやすい」というより、競争の構造が違うと捉えるのが正確です。一人一社制のもとでは大量応募の中で埋もれることがなく、学校との関係づくりという知名度以外の勝負どころがあります。一方で、日程が固定されている、先生と保護者という第三者の判断が入る、育成前提の受け入れ体制が要る、といった別の難しさがあります。

Q3. 初年度は応募ゼロでした。続ける意味はありますか

あります。学校側は、継続して来てくれる企業を「生徒を送り出せる先」として認識していきます。一度きりの訪問では先生の記憶に残りにくいため、複数年で見るのが前提の採用手法だと考えたほうが実態に合っています。

Q4. 早期離職が心配です

高卒採用では、入社前後のギャップが離職の主な要因になります。仕事の楽しい部分だけを伝えると、入社後に「聞いていた話と違う」となりやすい。求人票と学校訪問の段階で、大変な部分も含めて正直に伝えておくほうが、結果として定着につながります。採用のゴールは内定ではなく定着だと考えると、ここは削らないほうがいい情報です。

日程は全国共通、差がつくのは準備の早さと関係づくり

高卒採用は、求人申込の6月、解禁の7月1日、応募開始の9月上旬、選考開始の9月中旬という区切りが決まっています。この日程は大手も中小企業も同じで、資金力で前倒しできるものではありません。差がつくのは、その日程に向けてどれだけ早く準備できているかと、学校との関係をどれだけ丁寧に積めるかの2点です。

そしてこの2点は、どちらも会社の規模とは関係のない領域です。通勤圏内の数校に的を絞り、求人票を丁寧に書き、7月に足を運び、翌年も同じように訪問する。地味な積み重ねですが、地方の中小企業がいちばん力を発揮できるやり方だと考えています。

ただ、実際にやろうとすると、4月からの人物像整理、5月の求人票作成、6月の申込手続き、7〜8月の学校訪問、9月からの応募対応と、半年近く採用の作業が続きます。中途採用や日々の業務と並行しながらこれを回すのは、正直なところ簡単ではありません。弊社が接してきた地方の中小企業でも、採用担当者の約9割が本業との兼務でした。求人票の作成や訪問資料の準備といった、時間はかかるけれど専門性が要る部分から先に手が回らなくなるのは自然なことです。

もう一つ、高卒採用では先生と保護者という「本人以外の目」が必ず入ります。会社名で検索されたときに、仕事の様子や働いている人の顔が見える状態になっているか。露出と受け皿は両輪で、高卒採用では受け皿側の比重がとくに大きくなります。

参考記事:『【高卒採用】保護者・先生向けページには何を載せる?押さえたい3つの視点

全部を自社で抱える必要はありません。人物像の整理と学校訪問は自社で行い、求人票の作成と応募後の対応だけ任せるという形もできます。まずは御社の職種と、通勤圏にどんな高校があるかをうかがうところから。「今年から始めたい」「昨年うまくいかなかった」のどちらの段階でも大丈夫です。御社の規模と採用フェーズに合わせて、最適な構成をご提案します。

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この記事を書いた人
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たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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