【基礎から解説】採用代行(RPO)とは?任せられる業務と、選び方5つの基準
「採用を強化したいけれど、正直、何から手をつければいいのか分からない」「求人にお金はかけている。それなのに、応募が来ない」「うまくいっていない自覚はあるが、どこが原因なのかが自分でも掴めない」
そこで選択肢に上がってくるのが「採用代行」、いわゆるRPOです。ただ、多くの方が「採用代行=高いお金を払って作業を丸投げするもの」というイメージのまま検討を始めます。実はそのイメージのままだと、自社に合わない選び方をしてしまいがちです。
採用代行(RPO)とは|採用業務を外部に委託する仕組み
地方で採用を担当していると、こうした行き止まりにぶつかる場面が少なくありません。2025年版中小企業白書(中小企業庁)でも、中小企業が最も重視する経営課題として「人材確保」が挙げられています。会社の規模を問わず共通の壁であり、採用専任の担当者を置けない企業ほど、この壁は高く感じられるのが実情です。
採用代行(RPO)とは、自社で行っている採用業務の一部または全体を、外部の専門会社に委託する仕組みのことです。求人票の作成から媒体への出稿、応募者対応、一次面談まで、採用のプロセスそのものを肩代わりしてもらう点が特徴で、「採用アウトソーシング」と呼ばれることもあります。人を紹介してもらう人材紹介や、掲載枠を買う求人広告とは、提供されるものが根本的に違います。
呼び方は3通り|RPO・アウトソーシング・業務委託
正式には「採用活動の代行(RPO=Recruitment Process Outsourcing)」と言います。ただ「RPO」というカタカナ略語は、地方の企業ではまだ耳慣れない言葉です。この記事でも、以降は基本的に「採用活動の代行」「採用代行」と呼んでいきます。採用アウトソーシング、採用業務の業務委託といった呼ばれ方をすることもありますが、指しているものはほぼ同じだと考えて差し支えありません。
代行するのは、採用活動の流れ全体です。
- 採用戦略の設計(どんな人を、どの手段で集めるか)
- 母集団形成、つまり応募数(エントリー数)を集めること
- 求人票の作成と、求人媒体への出稿・更新
- 応募者へのメール対応、面接の日程調整
- 一次面談の実施と選考の支援
- 内定後の手続き案内
この中で要になるのが、2番目の「母集団形成」です。採用の文脈では「応募してくれた人の総数」を指す言葉で、ここが細いままだと、その先の工程をどれだけ磨いても効きません。応募10名から1名を採るのと、応募100名から1名を選ぶのとでは、意思決定の質がまるで違うからです。前者は事実上の消去法ですが、後者はじっくり吟味したうえで選べる。採用代行が「まず応募を集める」ところから設計に入るのは、この差が決定的だからです。母集団形成そのものの考え方は、知名度がなくても応募の母数を増やす考え方で詳しく整理しています。
混同しやすい4つを比較する|紹介・広告・派遣との違い
採用代行は、近いサービスと混同されがちです。ここで一度、4つを比較して線を引いておきます。それぞれ「何を売っているサービスなのか」が違います。
- 求人広告:求人を掲載する「露出枠」を買うサービス。出稿はできても、応募後の対応は自社に残る
- 人材紹介:条件に合う人を紹介してもらい、採用が決まったら手数料を払うサービス。人そのものを引き合わせてもらう
- 人材派遣:自社の指揮命令のもとで働く「労働力」を提供してもらう仕組み。そもそも採用ではない
- 採用代行:求人票の作成から応募者対応、一次面談まで、採用の「プロセスそのもの」を代行するサービス
つまり求人広告と人材紹介が採用活動の一部分を担うのに対し、採用代行は流れ全体を一緒に回す位置づけです。「求人は出しているが応募対応まで手が回らない」「人材紹介だけでは母集団が広がらない」という詰まりを、まとめて引き受ける役割だと考えると分かりやすいと思います。
「採用代行=作業の丸投げ」という誤解をほどく
検討に入る前に、ほどいておきたい誤解があります。「採用代行=面倒な作業の丸投げ」というイメージです。
確かに、世の中の採用代行には「言われた求人票を出す」「応募者に定型文で返信する」といった作業代行を中心にしたものもあります。ただ、それだけでは結果が変わりにくいのが本当のところです。求人票を出すだけであれば、極端な話、専門知識がなくてもできてしまうんですよね。
採用の結果を動かすのは、その手前にある設計の部分です。どの媒体に出せば自社が採りたい人に届くのか、同じ商圏の競合と比べて条件をどう見せるのか、応募者のどこを見て選考するのか。ここまで含めて初めて、代行は機能します。
ちなみに地方採用ワークスでは、この考え方を「御社の人事部をまるごとお任せいただく」という形で表現しています。外部の作業請負ではなく、外に置かれた人事部として、戦略から運用までを担う。「作業を投げる先」ではなく「採用を一緒に設計する相手」として捉え直すと、業者の見え方も変わってくるはずです。
任せられる業務範囲と、自社に必ず残る業務
採用代行で任せられるのは、求人票の作成・媒体出稿・応募者対応・日程調整・書類選考、そして一次面談までが一般的な範囲です。一方で、合否の判断と2次以降の面接は、法律上どうしても企業側に残ります。「丸投げして自社は何もしない」にはならず、判断だけは自社の手に残る、という構造だと理解しておくと検討がぶれません。
代行できる主な業務|必須作業だけでも40以上
採用活動と聞くと、求人を出して面接する、くらいの分量に見えるかもしれません。ところが抜け漏れなくやろうとすると、作業の数はかなりのものになります。
求める人物像の設計、同商圏の競合の求人条件の調査、媒体の選定、求人原稿の作成、写真素材の準備、出稿手続き、掲載後の更新、応募者対応、日程調整、面接設計、内定後フォロー。こうして洗い出していくと、必須作業だけでも40以上になります。「そんなにあるのか」と驚かれることが多い数字です。
このうち、採用代行に任せられるのは、おおむね次の範囲です。
- 露出・母集団形成:競合分析にもとづく求人票の作成、効果の見込める媒体の選定と出稿、条件が変わったときの全媒体の更新ケア
- 応募者対応:応募者へのメール対応、履歴書・職務経歴書の回収、日程調整、連絡が途切れた方への追いかけ
- 選考の前半:書類選考、そして一次面談まで代行会社が実施
- 連絡業務:面接前日のリマインド、合否の代理連絡
特に「一次面談まで任せられる」点は、地方の中小企業にとって大きいところです。採用に慣れていないと、書類選考も面接も感覚で進めてしまい、本来ポテンシャルのある人を取りこぼしてしまうケースが少なくありません。第三者の客観的な視点が一次面談に入ることで、その取りこぼしを減らせるというわけです。求人票そのものの作り込みについては、求人票の書き方を基礎から整理した記事が参考になります。
作業の数もさることながら、厄介なのはその発生の仕方です。応募者対応や日程調整はまとめて処理できず、応募が来るたびに本業へ細切れに割り込んできます。しかも応募への反応はスピード勝負で、弊社の支援先では応募から一次選考へ中央値2日で動かしています。求職者は応募先を11社ほど並行して持っているのが普通なので、返信を数日寝かせれば、その間に他社へ流れていく。兼務の担当者が「気づけば採用対応で一日が終わっていた」となりやすいのは、この即応性と細切れ性のせいだと考えています。
法律上、自社で行う必要がある業務
一方で「丸投げして自社は何もしなくていい」とはなりません。これは採用代行の弱点ではなく、むしろ安心材料として知っておいてほしいところです。
法律上、いくつかの業務は必ず企業側で行う必要があります。
- 合否の判断:一次面談は代行会社が実施できても、最終的な合否を決めるのは法律上、企業側です(職業安定法等の制約)
- 2次面接〜最終面接:最終的な意思決定に関わる選考は企業側が担います
- 求人票の最終確認:公開する求人票の内容は、企業側が確認します
- 内定後のフォロー:進め方は共有してもらえますが、入社までのフォローは企業側で行うのが一般的です
整理すると、企業側に残るのは主に「求人票の確認」「2次以降の選考と合否判断」「想定外の問い合わせへの対応」の3点です。裏を返せば、採用の意思決定という一番大事な部分は、ちゃんと自社の手に残るということです。会社の色が外注で薄まるのではなく、面倒な実務だけを肩代わりしてもらい、判断は握り続ける。これが採用代行の現実的な姿だと思います。
他社の担当者が面接することへの、求職者の受け止め
導入前にほぼ必ず出てくるのが「自社の社員でない人が面接して、求職者に嫌がられないか」という不安です。
この点には、客観的なデータがあります。株式会社アールナインの調査によると、「社員ではない人が採用プロセスを代行することについてどう思うか」という問いに対し、95.4%が肯定的と回答しています(株式会社アールナイン/2021年8月〜10月/2023年卒の学生263人/インターネット調査。出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000012430.html )。
肯定的に捉える理由として、上位に挙がったのは次の3つでした。
- 客観的な視点から企業を理解することができる
- ありのままの自分で本音を話せる
- 就活やキャリアについての相談ができる
社内の人が相手だと構えてしまう求職者も、第三者が間に入ることで、かえって本音を話しやすくなる。データはそう示しています。もちろん、これは「だから採用がうまくいく」という話ではありません。「他社が面接して大丈夫だろうか」という導入前の不安に対する、客観的な一つの答えとして受け取っていただければと思います。
ここまでで「どこまで任せられるか」の全体像は見えてきたかと思います。ただ、実際にどの範囲を任せるのが最適かは、会社の規模や採用フェーズ、いまの体制によって変わります。「うちはどこから任せるべきか」を整理したい段階でも、現状をうかがったうえで一緒に線引きしていきます。
費用は相場より「何で決まるか」で見る
採用代行の費用は、採用人数・採用難易度・業務範囲・支援期間の4つで変わります。加えて求人広告費や人材紹介手数料といった外部コストは、代行費用とは別に企業側の負担になるのが一般的です。だからこそ「採用代行はいくら」と一律に言い切れず、相場の数字より費用構造を理解しておくほうが、判断を誤りにくくなります。
なお、この記事では具体的な金額や相場の数字をあえて書きません。その理由も含めて、費用の考え方を順に整理していきます。
採用代行の費用が変わる4つの要素
採用代行は、定価で測りにくいサービスです。同じサービス名でも、次の要素によって必要な作業量がまるで変わるからです。
- 目標とする採用人数:年に1名なのか、複数名なのかで運用の規模が変わります
- 採用の難易度:職種やエリアによって、母集団を集めるまでの手間が違います
- 任せる業務範囲の広さ:露出だけを任せるのか、一次面談や採用サイトの運用まで含めるのか
- 支援期間と運用の手間:どれだけの時間をかけて伴走してもらうか
さらに見落とされがちなのが、外部にかかるコストです。母集団形成のために求人広告を使う場合の掲載料、人材紹介を併用する場合の手数料は、採用代行の費用とは別枠で企業側の負担になるのが一般的です。ここを織り込まずに比較すると、後から総額が想定と食い違います。採用にかかるコスト全体の内訳から押さえたい方は、採用にかかるコストの内訳と考え方もあわせてご覧ください。
料金体系の主な型|4つの型と、それぞれの向き不向き
料金の決め方には、いくつかの型があります。相場の金額そのものより、この型の違いを理解しておくほうが、後で判断を誤りにくいと思います。
- 月額固定型:毎月の運用量をベースに固定額を払う型。腰を据えて伴走してもらう形に向きます
- 成果報酬型:採用が成立したときに費用が発生する型。一見ローリスクですが、要件次第では割高になることもあります
- 工数・従量型:エントリー数や面談数に応じて費用が変わる型。変動幅を読みにくい面があります
- プロジェクト型:特定の採用プロジェクト単位で契約する型。期間限定の増員などに向きます
どれが良い悪いではなく、自社の採用の進め方に合うかどうかで選ぶものです。「採用の仕組みごと立て直したい」なら月額固定の伴走型が向きますし、「1名だけスポットで」なら別の型が合うこともあります。
そして「採用代行 相場」を調べている方にこそ、お伝えしたいことがあります。相場の数字は、条件がまったく違う他社の平均にすぎません。その数字を独り歩きさせて「うちもこれくらいか」と当てはめるより、自社では何にいくらかかるのかを内訳で組み立てるほうが、結果的に失敗しにくいと思います。金額を先に出さないのは出し惜しみではなく、御社にとって意味を持たない数字を一人歩きさせないためです。
費用を「掛け捨て」で見るか、「仕組みを残す投資」で見るか
もう一つ、費用を考えるときに持っておきたい視点があります。「払ったお金で、何が残るか」という観点です。
求人広告は、効果はあるものの、いわば掛け捨ての保険のようなものです。少しドーピングに近いところがあって、出稿を止めた瞬間に露出はゼロに戻ります。お金をかけ続けなければ採用の露出を保てない、つまり資産性がないわけです。
採用代行にも同じ落とし穴があります。「作業を丸投げするだけ」の形だと、契約が終わった瞬間に社内には何も残らず、また振り出しに戻ってしまいます。一方、最初から「いずれ自社で回せるようにする」ことを前提に、応募者対応の流れや競合分析のやり方を社内に残していく形なら、同じ費用でもノウハウ蓄積という資産に変わります。
費用の絶対額だけを並べて比べると、この差は見えません。だからこそ「いくらか」だけでなく「何が残るか」で選んでほしいところです。
内製化を前提にした支援がどう進むか、弊社の考える型をお伝えします。最初の期間は、競合調査・媒体選定・応募者対応の一連の流れを代行側が組み立て、動かしながら「なぜその媒体か」「なぜその条件か」という判断の理由を毎月のレポートと打ち合わせで共有していきます。次の段階で、応募者対応の一次窓口とATS(応募者管理システム)の運用を企業側へ移し、代行側は媒体の更新と改善提案に回る。最後に残るのが年に一度の条件見直しと競合調査だけ、という状態まで来れば卒業です。ポイントは、移す順番が「判断基準→日々の運用→年次の見直し」であること。作業だけ先に返されても、判断基準が社内に残っていなければ結局回りません。だからこそ、契約の入り口で「最終的に何を社内に残す想定か」を確かめておくことをおすすめします。
メリットとデメリット|向いている会社の見分け方
採用代行のメリットは、専任を雇わずに人手とノウハウと客観性を外から補える点にあります。逆にデメリットは、自社の情報共有の手間が残ること、業者との相性があること、外部コストが別途かかることです。応募が必ず増えるという性質のものではなく、応募を集めるための体制を整える手段だと捉えると、判断を誤りにくくなります。
メリット|兼務で欠けがちな3つを外から補える
メリットは、大きく次の3点に整理できます。いずれも「採れる」という結果の保証ではなく、その手前の体制を整えるという意味でのメリットです。
- 専任の手とノウハウを外から補える:採用専任を雇わなくても、専門の人手と知見を確保できます
- 露出(母集団形成)を継続して運用できる:媒体の選定や条件設計を続けてもらうことで、求職者の目に触れる機会を保てます
- 選考に客観的な視点が入る:感覚に頼った選考から、第三者の目が入った選考へ切り替わります
要するに、兼務体制で欠けがちな「人手」「ノウハウ」「客観性」の3つを、外から補える。応募が増えるとお約束するものではありませんが、応募を集めるための土台を整え、来た機会を取りこぼさない体制をつくる。そこに価値があると考えています。
採用代行が向いているケース
次のような状況に心当たりがあれば、採用代行が選択肢になりやすいと思います。
- 採用担当が兼務で、物理的に手が回らない
- 求人は出しているのに、応募が集まらない(母集団形成が弱い)
- いつかは自社で採用を回せるようになりたい(内製化を見据えている)
1つ目は、地方の中小企業でとりわけよく見かけるパターンです。採用担当者の多くは、総務や経営者が本業と兼務しているのが実情です。ちなみに地方採用ワークスがこれまで接してきた企業でも、採用担当者の約9割が専任ではなく兼務でした。兼務だと十分な時間が取れないうえ、現場や経営からは「早く採ってほしい」というプレッシャーもかかる。戦略を練る余裕がないまま求人を出しては手応えのない日々が続く、という構造に陥りやすいわけです。この体制の問題については、専任の人事がいない会社が最初にやることで掘り下げています。
2つ目に心当たりがある場合は、代行を検討する前に原因の切り分けをしておくと判断が楽になります。応募が来ない原因を5つの順番で見直すが、その整理に使えると思います。
そして見落とされがちなのが3つ目です。ずっと外注に頼り続けるのは不安、でも今は手も知見も足りない。そういう会社にこそ、内製化を見据えた採用代行が合います。
採用代行のデメリット・注意点
公平のため、注意点も正直にお伝えします。採用代行は万能ではありません。
- 自社の魅力や現場情報の共有は必要:完全な放置はできません。自社のことを伝える手間は残ります
- 業者との相性がある:作業代行型か伴走型か、地方を理解しているか。合う合わないは確実にあります
- 外部コストは別途かかる:先述のとおり、求人広告費や人材紹介手数料は別に発生するのが一般的です
これらを承知したうえで、自社に合う会社を選べるかどうか。そこが成否を分けます。
選び方|比較で見るべき5つの基準
採用代行は「どこに頼むか」で得られるものが大きく変わります。比較検討の際は、戦略から伴走する型か、地方の採用市場を理解しているか、露出の設計力があるか、卒業を前提に仕組みを残してくれるか、情報の取り扱いと運用が透明か。この5つを軸に見ていくと、判断のぶれが小さくなります。
基準1|「作業代行型」か「戦略から伴走する型」か
まず見極めたいのが、その会社が作業代行型なのか、戦略から伴走する型なのかです。
言われたとおりに求人を出すだけの作業代行型と、競合分析・条件設計・改善提案まで一緒に考える伴走型とでは、手元に残るものが根本的に違います。地方の採用では、後者が必要になる場面が多い。なぜなら地方は「同じ商圏の競合がどんな条件で求人を出しているか」を把握していないと、そもそも土俵に上がれないからです。
求職者にとって転職や就職は人生の一大イベントですから、慎重に比較検討します。競合分析を経ていない求人票は、そうした求職者から静かに外されてしまいがちです。出稿という作業だけでなく、その手前の戦略を一緒に描いてくれるか。ここを最初に確認してください。
基準2|地方の採用市場を理解しているか
2つ目は、地方特有の事情を理解しているかどうかです。
地方の採用には、都市部にはない物理的な制約があります。通勤可能範囲です。地方は電車網が弱く車通勤が現実的なので、求職者が通えるのはおおむね片道1時間/25〜30km圏内まで。この限られた圏内で、いかに自社を見つけてもらうかが勝負になります。
しかも同じ商圏には同業他社が集まりがちで、求職者からは「どこも同じに見える」状態になりやすい。この地理的・構造的な制約を踏まえて求人を設計できるかどうかは、地方採用では決定的です。全国共通のやり方をそのまま当てはめる会社では、ここがすっぽり抜け落ちます。
参考記事:『【3つの打ち手】地方の中小企業が採用できない理由は?通勤圏内で選ばれる進め方』
基準3|露出(母集団形成)の設計力があるか
3つ目は、応募を集める力、つまり露出の設計力です。
採用がうまくいっていない企業の多くは、求人票を「出すだけ」で止まっています。ところが、無料で出稿できる媒体は思っているよりずっと多くあります。そうした媒体を戦略的に使い切り、認知の接点を増やせるかどうかで、集まる応募の数は変わってきます。
求人票を出すだけでは、もはや見つけてもらうことすら難しい時代です。どの媒体に、どんな見せ方で出すか。その設計を語れる会社かどうかを見てください。
基準4|「卒業(内製化)」を前提に仕組みを残してくれるか
4つ目は、費用の章でも触れた「何が残るか」です。契約が終わるとノウハウが残らず、お金を払い続けないと採用が回らない。これが採用代行でいちばん起きやすい失敗です。
良い会社は「いつかお客様が自社で回せるようになる」ことを前提に支援します。応募者管理システム(ATS)の活用、応募対応の流れ、競合分析の型を、自社側に残す形で進めてくれる。契約が終わったあとに採用の仕組みが社内に残るかどうかは、長い目で見るとじわじわ効いてくる差になります。
基準5|情報の取り扱いと、運用の透明性
5つ目は、安心して任せられるかという土台の部分です。
採用代行では、応募者の履歴書をはじめとする個人情報を外部に預けることになります。だからこそ情報セキュリティの体制は確認しておきたいところです。情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISMS(ISO 27001)や、クラウドサービス向けのISO 27017といった認証を取得しているかは、一つの目安になります。
あわせて、毎月のレポートや定期的な打ち合わせなど、運用が見える形になっているかも見ます。任せきりでブラックボックスになるのではなく、何がどう進んでいるかを共有してくれる。透明性のある運用かどうかを確かめてください。
その会社は、自分の採用で露出を示せているか
5つの基準と並んで効く、もう一つの見極め方があります。「採用代行を売っているその会社自身が、自分の採用で露出をつくれているか」です。
露出を増やす力、母集団を集める力は、口ではいくらでも「得意です」と言えてしまいます。だからこそ、その会社が自社の採用で実際に体現しているかを見ると、実力の輪郭が掴めます。
たとえば地方採用ワークスを運営する弊社は、岐阜という地方に拠点を置きながら、採用広告を一切使わずに年間1,152名のエントリーを自社で獲得してきました。これは「だから御社も同じ数が採れます」という話ではありません。「露出設計を自分の採用で実証できている会社かどうか」を見極める基準として、参考にしていただきたいということです。採れる数を約束する会社より、自分の採用で示せている会社を選ぶ。地味ですが、外しにくい見極め方だと思います。
なお「どこに頼むか」を比較する発想そのものは、採用サイト制作の依頼先選びとも通じるところがあります。採用サイト制作はどこに頼めばいいのかの判断軸
最後に、商談の場でそのまま使える見極め質問を1つ挙げておきます。「うちと同じ商圏の競合が、どんな条件で求人を出しているか。まずそこから調べてもらえますか」と聞いてみてください。伴走型の会社なら、この質問を歓迎します。競合の条件を並べてから求人を設計するのが本来の順番だと分かっているからです。一方、作業代行型の会社は、この質問に出稿プランや料金の話で返してきがちです。頼んだ作業の話しかできないか、頼んでいない分析にまで踏み込んでくるか。答えの向きで、その会社が「作業」を売っているのか「採れる状態づくり」を売っているのかが見えてきます。
採用代行(RPO)導入の流れ|相談から運用開始まで
採用代行の導入は、いきなり契約から始まるわけではありません。まず現状のヒアリングから入り、課題を洗い出して採用計画を立て、そのうえで運用が始まるのが一般的な流れです。
- 事前準備:これまでの採用活動でやってきたこと(出稿の実績、応募状況など)を共有します
- キックオフ・ヒアリング:詳しくヒアリングを行い、課題を洗い出したうえで採用計画を一緒に立てます
- 採用活動スタート:応募者対応から一次面談までを代行会社が担い、状況を随時共有します
- 合否判断・2次面接:合否の判断と2次以降の面接は企業側が実施します
- 定期レポート・打ち合わせ:毎月のレポートと、数か月ごとの打ち合わせで方針を見直していきます
ポイントは、最初にヒアリングで現状と課題を整理する段階が置かれていることです。「そもそも採用代行が必要なのか」「必要ならどの範囲か」を、ここで一緒に見極められます。費用の章でお伝えしたとおり、最適な構成は会社ごとに違うので、まずはこの整理から入るのが自然な流れだと思います。
ちなみに、この2番目にあたる採用計画づくりは、代行を使わない場合でも避けて通れない工程です。自社で組み立ててみたい方は、採用計画をKPI・予算・要件から立てる6手順を参考にしてみてください。弊社が採用活動の代行をお引き受けする場合も、この計画づくりを起点に運用へ入っていきます。
採用代行についてよくある質問
Q1. 採用代行と人材紹介は、どちらが安く済みますか
費用の性質が違うため、単純な高い安いでは比べにくいところがあります。人材紹介は採用が決まったときに発生する成果報酬型が中心で、採用代行は運用に対して継続的に費用がかかる形が多い。比べるなら「1名採用あたりの総額」と「契約終了後に社内へ何が残るか」の2軸で見るのが実務的だと思います。
Q2. 新卒採用と中途採用、どちらも代行できますか
一般的にはどちらも対象になります。ただ進め方は違います。新卒は年間スケジュールが固定されている分、計画的な準備が要ります。中途は通年で動き、応募からの反応スピードが結果を左右しやすい。地方の中小企業では、中途とパート・アルバイトの採用が中心になるケースが多いのが実情です。
Q3. 従業員10名程度の会社でも依頼できますか
規模そのものより、「採用業務が兼務で回りきっていないか」が判断の軸になります。小規模でも、任せる範囲を露出と応募者対応に絞る形なら現実的に成り立ちます。逆に規模があっても専任者が機能しているなら、部分的な支援で足りることもあります。
Q4. 契約が終わったあと、ノウハウは社内に残りますか
これは会社によります。作業代行に徹する形だと、契約終了とともに元に戻ってしまいがちです。契約前の段階で「卒業を前提にしているか」「何を自社側に残してくれるのか」を具体的に確認しておくことをおすすめします。基準4で挙げたとおり、ここは長期で効いてくる差です。
Q5. 「採用代行」「採用アウトソーシング」「採用の業務委託」は違うものですか
呼び方の違いで、指しているものはほぼ同じだと考えて構いません。採用アウトソーシング、採用業務の業務委託、RPOはいずれも「採用業務を外部に委託する」という意味で使われます。ただし契約形態や任せられる範囲は会社ごとに異なるので、言葉ではなく業務範囲の中身で比較してください。
選ぶなら「丸投げ」ではなく、力を残す伴走を
ここまで、採用代行とは何かという定義から、業務範囲、費用の考え方、選び方の5つの基準、導入の流れまでを見てきました。
冒頭で「採用代行=高い作業の丸投げ」というイメージの話をしました。ここまで読んで、その印象が少しでも動いていればうれしく思います。採用代行は、面倒な実務を肩代わりしてもらいながら、合否判断という一番大事な部分は自社に残す仕組みでした。そして地方で効くのは、作業を投げる形ではなく「露出を増やす × 自社で回す力を残す」伴走型だ、というのがこの記事を通してお伝えしたかったことです。
費用についても、相場の数字を当てはめるより、自社では何にいくらかかるのかを内訳で組み立てるほうが失敗しにくい。そのうえで、払った費用で何が残るかを見る。この2つの視点を持っておくと、比較の場面で大きく外しにくくなると思います。
もう一つ。採用は露出だけでは完結しません。求人で会社を知ってもらっても、求職者はそのあと採用サイトで会社を理解し、通勤圏内の候補企業と比較したうえで応募するかどうかを決めます。だからこそ、応募を集める「露出」と、良さを伝える「受け皿(採用サイト)」は両輪です。
参考記事:『【完全保存版】採用サイトとは?4つの働きと、依頼前に押さえる費用・期間の目安』
最後に、退路のある選び方もお伝えしておきます。「全部を頼むのはちょっと」と感じるなら、それで構いません。自社でやれる部分は自社で続け、足りない手とノウハウだけを補うという第3の道もあります。何を任せて何を自社に残すか。その線引きこそ、会社ごとに一緒に考えるべきところだと思います。
地方採用ワークスでは、まず御社の規模や採用フェーズをうかがったうえで、最適な構成をご提案しています。採用活動の代行(リープ・リクルーティング)だけでなく、受け皿となる採用サイトの整備、一次選考で惜しくも見送った方を別の形でご紹介する人材紹介(リープ・キャリア)まで、状況に応じて組み合わせられます。まずは、採用のどの工程で手が止まっているのかを教えてください。任せる範囲と自社に残す範囲の線引きは、そこから決めていけます。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。