【中小企業】採用オウンドメディアとは?始め方5ステップと続ける型

「求人を出しても反応がない。かといって、うちに発信できるようなネタがあるとも思えない」——この二つは、よくセットで出ます。何を、どこに、どれくらい書けばいいのかが分からないまま止まってしまう。

そこで名前が挙がるのが「採用オウンドメディア」です。ただ、社員インタビューなのか、SNSなのか、ブログなのか、イメージがバラバラなまま検討が宙に浮きがちです。

採用オウンドメディアとは、自社で持ち、自社で更新でき、書いたものが残っていく発信の場のことです。難しい仕組みの話ではなく、置き場所と続け方の話です。

この記事でわかること

  • 採用オウンドメディアとは何か(採用ブログ・求人媒体・採用サイトとの関係)
  • 中小企業ほど発信が資産になる理由と、手をつける順番
  • 始め方の5ステップと、置き場所の決め方
  • ネタの見つけ方・更新頻度・効果の見方

目次

採用オウンドメディアとは|自社に残る発信の場

採用オウンドメディアとは、求職者向けの情報を自社が持つ場所で発信し続ける取り組みです。求人媒体のように掲載期間で消えるものではなく、書いたものがそのまま残り、検索から読まれ続ける点が最大の違いになります。

採用ブログとの違いは、ほとんどない

「採用オウンドメディアと採用ブログは何が違うのか」とよく聞かれますが、実務上はほぼ同じものを指しています。採用ブログは、採用オウンドメディアの中でもっとも一般的な形だと考えて差し支えありません。

強いて分けるなら、次のような温度差です。

  • 採用ブログ:社内の出来事や社員の様子を、時系列で書き溜めていく形。日記に近い運用も含む
  • 採用オウンドメディア:誰の、どんな疑問に答えるかを決めたうえで、記事を設計して積み上げていく形

呼び方にこだわる必要はありません。大事なのは、書いたものが自社に残り、求職者の疑問に答えているかです。ブログという名前で始めても、設計があれば立派な採用オウンドメディアになります。

求人媒体・採用サイトとの役割の違い

三つは競合するものではなく、役割が違います。

  • 求人媒体:見つけてもらうための露出枠。出している間だけ効き、掲載が終われば残らない
  • 採用サイト:応募するかどうかを決める受け皿。会社の全体像を伝える場所
  • 採用オウンドメディア:受け皿の中身を厚くし、検索からの入口を増やしていく蓄積の部分

露出で見つけてもらい、受け皿で判断してもらい、発信で判断材料を増やしていく。オウンドメディアは三番目にあたる、というわけです。

中小企業ほど、発信は効く

知名度で見劣りする会社ほど、発信の効き方は大きくなります。ここには構造的な理由があります。

求職者は、社名で検索してから応募を決める

求人サイトで気になる会社を見つけた人が、そのまま応募することはまれです。多くはいったんスマートフォンで社名を検索し、会社のサイトや口コミを見て、「ここは大丈夫そうか」を確かめてから応募を決めます。

このとき、検索して出てくる情報が会社案内の1ページだけだと、判断材料が足りません。逆に、どんな人が働いていて、入社した人が最初に何につまずいたのかまで読めれば、「自分がそこで働く姿」が具体的に浮かびます。応募のハードルを下げているのは、条件よりもこの解像度だと考えています。

求人広告が掛け捨てなら、発信は資産になる

求人広告は、出している間だけ露出が増える、いわば掛け捨ての保険のようなものです。出稿を止めれば露出はゼロに戻り、手元には何も残りません。

一方で、書いた記事は消えません。3年前に書いた社員の話が、今年応募してきた人の背中を押すことがあります。同じお金と時間を使うなら、消えるものと残るもののどちらに寄せるか。長い目で見ると、この差はじわじわ効いてきます。

ただし順番がある|露出 → 受け皿 → 発信

ここが一番お伝えしたいところです。採用オウンドメディアは、採用がうまくいかないときの最初の一手ではありません。

そもそも求人が求職者の目に触れていなければ、社名で検索されることもなく、書いた記事も読まれないままです。順番としては、まず求人を見つけてもらう露出、次に応募の判断材料になる受け皿、そのうえで発信を積み上げる、という並びになります。

「採用がうまくいかないから、まず発信を」という発想には、少し待ったをかけたいところです。詰まりが露出にあるなら、先にそちらへ手をつけるほうが効きます。

採用オウンドメディアの始め方|5つのステップ

自社の露出と受け皿がひととおり整っている。そう判断できたら、次の順で立ち上げます。

ステップ1|誰の、どんな不安に答えるかを決める

最初に決めるのは、読み手です。新卒なのか中途なのか、未経験を採りたいのか経験者なのか。そして、その人が応募前に抱えている不安は何か。「未経験でもやっていけるのか」「残業はどれくらいか」「先輩はどんな人か」——このあたりが具体的に挙がれば、書くテーマは自然に決まります。

逆に、ここを飛ばして「とりあえず会社の日常を書く」と始めると、社内向けの日記になっていきます。読み手を1人に絞るところから始めてください。

ステップ2|置き場所を決める(新しく作らないほうがいい)

置き場所は、採用サイトの中が基本です。別ドメインで新しく立ち上げると評価がゼロから積み上がり、読まれるまでに時間がかかります。既にある採用サイトの中に記事の置き場を作れば、読んだ人がそのまま募集要項や応募フォームまで進めます。

仕組みは、更新しやすい形になっているかだけ確認しておけば十分です。多くはWordPressのような、社内の担当者が管理画面から投稿できる形が使われます。記事1本ごとに制作会社へ依頼が必要な作りだと、続きません。

ステップ3|書けるネタを棚卸しする

いきなり書き始めず、先に出せるネタを一覧にします。詳しくは次の章で挙げますが、この段階で10本ほど並べておくと、走り出してから止まりにくくなります。

ステップ4|更新頻度と担当を決める

頻度は、月1本でも構いません。大事なのは、続けられる頻度で決めることと、誰が書くかを決めることです。「手が空いたときに」は、兼務の担当者にとっては「永遠に来ない予定」と同じ意味になります。

ステップ5|検索からの入口を作る

書いた記事が検索から見つかるかどうかは、タイトルの付け方と、記事の中身が求職者の言葉になっているかで決まります。社内用語のまま書いた記事は、そもそも検索されません。採用サイト全体の検索対策とセットで考えると効率がいいところです。

参考記事:『【優先度つき】採用サイトのSEO対策は有効?後回しにすべき3つの理由と効く場面

運用を続けるうえで大事なのは、「ネタを思いつく仕事」を誰の担当にもしないことだと考えています。ネタは、採用の打ち合わせや取材の中で出た話から拾えます。社長が何気なく話した創業の経緯、社員インタビューの本題から外れた雑談、面接で応募者からよく出る質問。この「すでに話されたこと」を記事の候補としてメモに残す係を決めておくだけで、ネタ出しの会議はほぼ不要になります。

月1本を回す段取りは、役割の線引きで決まります。現場の事実と話し手を社内が用意し、聞く・書くを外に出し、公開前の事実確認だけ社内に戻す。この分担にすると、社内に残る作業は「日程を空ける」と「原稿を読む」の2つだけになり、繁忙期でも止まりにくくなります。逆に、社内の担当者が書くところまで抱える形は、本業が忙しくなった月に必ず止まります。続いている会社と止まった会社の差は、文章力ではなく、書く工程を誰が持っているかの差です。

何を書くか|ネタに困らない鉄板テーマ

「うちには書くことがない」とよく言われますが、社内では当たり前すぎて価値に見えていないだけ、というケースがほとんどです。

  • 社員インタビュー:入社の決め手、最初につまずいたこと、今の仕事の中身
  • 1日の流れ:始業から終業まで、休憩の取り方まで含めて時系列で
  • 仕事の中身の解説:職種名だけでは伝わらない、実際に何をしているか
  • 選考の流れと、見ているポイント:何回面接があり、何を聞かれるのか
  • 教育・研修の実際:未経験で入った人が、何か月目に何をできるようになったか
  • 設備・道具・現場の写真:働く場所そのものが判断材料になる業種は多い
  • 数字で見る会社:平均年齢、男女比、入社後の配属先の内訳など

どのテーマから手をつけるか迷ったら、採用サイトに用意しておきたい情報の一覧と照らし合わせて、足りていない部分から埋めていくと決めやすくなります。

参考記事:『【完全版】採用サイトのコンテンツ10選|何から作る?優先順位と設計の考え方

社員インタビューを載せるときは、人選にもコツがあります。花形の社員ばかりを並べると、読み手は「自分には無理そうだ」と引いてしまいます。全部署から出す、採用したい年齢層に近い人を入れる、支える側の人も入れる。このあたりを意識すると、読み手が自分を重ねやすくなります。

「みんな最高です」しか書かれていない…

良い話だけで塗り固めた記事は、読み手にすぐ見抜かれます。しかも入社後のギャップを生んで早期の退職につながるので、採用のゴールを内定ではなく定着に置くなら割に合いません。大変だったこと、向き不向き、うちには合わない人の傾向。こうした話が一行でも入っていると、記事全体の信頼度が変わります。

最終更新が随分前のまま放置される…

もう一つの落とし穴が放置です。最終更新日が2年前の採用ブログは、「この会社、今どうなっているんだろう」という不安を与えます。書かないより印象が悪くなることがある、というのは頭に置いておいてください。同じ理由で、退職した社員のインタビューが残り続けるのも避けたいところです。ちなみに弊社では、半年から1年に一度のペースで撮影を行い、採用サイトの写真をまとめて入れ替えています。写真の古さと退職者の入れ替えを、一度に片づけられるやり方です。

続かないメディアの共通点と、続けるための運用

うまくいかない理由の大半は、内容の質ではなく、続かなかったことです。続かない会社には共通点があります。書く人が決まっていない、頻度を決めていない、ネタを毎回ゼロから考えている。この三つが重なると、3本目あたりで止まります。

裏を返せば、続ける仕組みも同じ三点です。書く人を決め、無理のない頻度を決め、ネタは先にまとめて出しておく。月1本でも1年で12本になり、求職者が抱く疑問のかなりの部分に答えが用意できている状態になります。

文章を書くのが得意な人が社内にいない、という悩みもよく聞きます。その場合、社内でやるのは「何を話すか」までにして、書き起こしと整える工程だけ外に出す形もあります。なお、社員インタビューを外部の聞き手にお願いすると、社内の上司が相手のときには出てこない話が出てきます。「最初は不安でした」——こうした一言が入っている記事のほうが、読み手には届きます。

効果はどう見るか|応募数だけで測らない

効果測定でつまずくのは、応募数だけを見てしまうときです。記事を出した月に応募が増えなかったから失敗、と結論づけると、たいていの取り組みは3か月ももちません。採用オウンドメディアが効くのは応募の直前で、求人媒体で見つけた人が社名で検索して記事を読み、応募を決める。この流れの中で効いているぶん、応募数という結果には他の要素も混ざります。

見ておきたいのは、次のあたりです。

  1. 記事ごとの閲覧数と、読まれ続けている記事はどれか:反応のあるテーマが分かれば、次に書くものが決まります
  2. 社名検索からの流入が増えているか:露出が効き始めているサインになります
  3. 応募者が何を見て応募したか:面接で直接聞くのが、いちばん確実です

3つ目は地味ですが、実は一番参考になります。「社員インタビューを読んで、雰囲気が合いそうだと思った」という言葉が出てくれば、その記事は仕事をしています。

採用オウンドメディアに関するよくある質問

Q1. 更新頻度はどれくらい必要ですか

月1本でも成立します。頻度そのものより、決めた頻度を守れるかのほうが効きます。週1本を宣言して2か月で止まるより、月1本を1年続けるほうが、結果的に記事は溜まります。

Q2. 社内に書ける人がいなくても始められますか

始められます。社内でやるのは「誰に何を伝えるか」を決めるところと、話す材料を出すところまでで、文章に整える工程は外に出すこともできます。逆に、読み手の設定まで外に丸ごと預けると、会社の実感からずれた記事になりやすいので、そこだけは自社で握ってください。

Q3. SNSとどちらを先に始めるべきですか

検索から読まれる場所を先に作るほうが、中小企業には向いていると考えています。SNSは流れていく発信で、投稿を止めれば見られなくなります。自社に残る場所を作ってから、その入口としてSNSを使うほうが、積み上がる形になります。

Q4. 求人広告をやめて、こちらに切り替えてもいいですか

いきなり切り替えるのはおすすめしません。発信が読まれるようになるまでには時間がかかりますし、そもそも求人の露出がなければ社名で検索されません。露出を保ちながら、並行して発信を積み上げていく形が現実的です。

Q5. どれくらいの持ち出しを見ておけばいいですか

置き場所を新しく作るのか既存の採用サイトに足すのか、記事をどこまで自社で書くのかで大きく変わります。ただ、続けるうえで見落とされがちなのはお金より時間です。1本あたり誰が何時間使うのかを先に見積もっておくと、無理のない頻度が決めやすくなります。

発信は、露出の代わりにはならない

採用オウンドメディアとは、自社で持ち、自社で更新でき、書いたものが残っていく発信の場でした。採用ブログとほぼ同じものを指していて、大事なのは呼び方ではなく、求職者の疑問に答えるものが自社に積み上がっているかどうかです。

ただ、順番だけは守ってください。求人が見つけてもらえていない段階で発信だけを始めても、読まれる機会そのものが生まれません。露出があって、受け皿があって、そのうえで発信が効いてくる。この並びは動かないところです。

そしてもう一つ。記事を書く力より、続ける仕組みのほうが結果を左右します。書く人を決め、頻度を決め、ネタを先に出しておく。この三つが揃っていれば、月1本でも1年後には十分な蓄積になります。

弊社の場合、記事の制作だけを切り出してお受けするというより、求人の露出をどう作るか、受け皿となる採用サイトをどう整えるか、そのうえで何を発信していくか、という流れの中で一緒に組み立てることがほとんどです。自社で書ける部分は自社で続け、段取りや整える工程だけ外に出す、という形も選べます。

「うちは発信の段階なのか、それとも先に露出なのか」——その見極めからで構いません。まずは御社の採用の現状と、いま動いている打ち手をうかがったうえで、着手する順番からご提案します。

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この記事を書いた人
【中小企業】採用オウンドメディアとは?始め方5ステップと続ける型 | 進め方と手法
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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