【年6万円】「兵庫型奨学金返済支援事業」は何に使える?戻る額と市町の上乗せを解説!

特設サイトにある「年間最大12万円」のうち、兵庫型奨学金返済支援事業で会社に戻るのはいくらで、市町の上乗せとどう重なるのかが見えないまま、手当の規程づくりで止まっていませんか。

本記事では、2026年10月時点の県の公表内容をもとに、公式HPの内容をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!

この記事でわかること

  • 奨学金の手当を払った会社に、社員1人あたりいくら戻るのか
  • 手当のほかに、求人広告や採用サイトの費用まで要綱の対象に入るのか
  • 規程に書く手当の額を決める前に、どう応募を獲得するかを詰めておく理由

兵庫県の枠で採用に使える制度は、この記事のものを含めて3件です。市町の26件まで並べて見比べたい方は、県内を自治体別に整理した記事からどうぞ。

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※本記事は各自治体公式ページの内容を元に、「より分かりやすく」を趣旨にまとめさせていただいたものです。記載の内容については、一切の責任を負いかねますので、必ず申請前には各自治体の担当窓口までご相談いただきますようお願いいたします。

兵庫型奨学金返済支援事業の概要

兵庫県の公式サイトにある「兵庫型奨学金返済支援事業」の案内ページ。制度名の見出しの下に、中小企業と従業員への補助を行うという説明と、雇用開発協会の制度ページへのリンク、受付期間を4月1日から翌年2月末日までとする赤字の注意書きが並んでいる

出典: 兵庫県「兵庫型奨学金返済支援事業」のページ(2026年10月時点)

「兵庫型奨学金返済支援事業」は、県内に本社がある中小企業が、奨学金を返している40歳未満の正社員に返済支援の手当を払ったときに、手当の2分の1まで、社員1人につき年6万円を上限に会社へ戻ってくる制度です。本人向けの補助も年6万円まで付き、会社経由で本人に渡ります。

補助金名 兵庫型奨学金返済支援事業
相談先 一般財団法人兵庫県雇用開発協会(電話: 078-362-6583)。県の所管は産業労働部 労政福祉課 雇用就労班(電話: 078-362-3357)
補助対象 奨学金を返している正社員に、返済支援として払った手当等。会社が日本学生支援機構へ直接返す代理返還も含む
補助上限(補助率) 会社向けは社員1人あたり年6万円(手当の2分の1・年間返済額の3分の1・6万円のうち低い額)。本人向けも年6万円まで
期限 令和8年4月1日〜令和9年2月28日(必着)。申請は年度ごとで、2月末日までに払った手当が対象。予算の上限に達するまで交付

注意したいのは、求人広告費や求人サイトの掲載料、採用サイトの制作費には使えないことです。要綱が補助の対象に挙げるのは、社員に払う手当等と、それでも残る返済額の2つだけです。

対象は県内に本社がある中小企業

兵庫県内に本社を置く中小企業と個人事業主が対象です。京都府の「就労・奨学金返済一体型支援事業」の対象で京都府内に本社がある中小企業も、兵庫県内の事業所で働く社員の分は使えます。どちらも、奨学金返済の支援制度を就業規則や社内規程に書いていることが条件です。

社会福祉法人や医療法人、特定非営利活動法人など、会社以外の法人は対象になりません。社会福祉法人と、介護などの事業を行う医療法人には、県が別に「社会福祉法人等奨学金返済支援事業」を設けています。

大企業に資本や役員の面で支配されている「みなし大企業」と、弁護士法人や税理士法人などの士業の法人も外れます。過去1年の労働関係法令違反、暴力団との関わり、県税の滞納がある会社も対象になりません。

中小企業者の条件は、県の「補助金申請の手引き」に業種別の数字で載っています。資本金と従業員数のどちらか一方が収まっていれば中小企業者です。

業種分類 資本金の額または出資の総額/常時使用する従業員の数
製造業その他 3億円以下/300人以下
卸売業 1億円以下/100人以下
サービス業 5,000万円以下/100人以下
小売業 5,000万円以下/50人以下
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ等と工業用ベルトを除く) 3億円以下/900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下/300人以下
旅館業 5,000万円以下/200人以下

個人事業主は資本金を問わず、業種にかかわらず対象になり得ます。

補助の対象は40歳未満で返済中の正社員

補助の額は、社員1人ごとに計算します。対象は、期間の定めのない正社員で、日本学生支援機構の奨学金を返していて、申請の時点で県内の事業所に勤め、申請する年度の3月31日に39歳以下の人です。

学歴は問われず、大学や短大、高専、専門学校を出た人のほか、中退した人も入ります。卒業から7か月未満で、まだ返済が始まっていない人も含まれます。機構以外の奨学金を返している人への手当は、補助の計算に入りません。

その年度の2月末日まで同じ会社に在籍していることも条件で、実績報告より前に辞めた人の分は、手当を払っていても補助は出ません。取締役など事業主と利益を同じくする人と、事業主と同居している親族は原則として外れます。

返済中で40歳未満の正社員がいまは社内にいない会社は、国の助成金まで含めて、採用や定着に使える制度を広く見ておくと確実です。

参考記事:『【国と自治体】採用に使える助成金と補助金は?自社が対象かの見分け方を徹底解説!』

補助が出るのは奨学金の手当を払った場面だけ

この制度で見てもらえるのは、社員の奨学金返済を支えるために会社が払った手当等だけです。支給の決まりを就業規則や賃金規程などの文書に書き、それにもとづいて払った分が対象です。

払い方は、手当として本人に払う形、賞与に上乗せする形、会社が機構へ直接返す代理返還のどれでも構いません。額や時期は会社が自由に決められ、毎月でもボーナス時の一括でも対象です。貸付金として渡す形は対象外です。

県の補助は会社向けと本人向けに分かれていて、社員1人ごとに、それぞれ下の表の計算でいちばん低い額になります。年間返済額は、申請する年度に本人が機構へ返す額です。

補助 1人あたりの額(年度ごと・いちばん低い額)
会社向け 年間返済額の3分の1/会社が払った手当の2分の1/6万円
本人向け 6万円/年間返済額から会社の手当を引いた残り/会社向けの額

本人向けの分も会社にまとめて振り込まれ、会社から本人へ渡します。

例えば県のチラシは、年間の返済額が18万円の社員に、会社が年12万円の手当を払う例を載せています。県の補助は会社向け6万円と本人向け6万円の12万円で、会社の実質の負担は6万円、本人の負担はありません。

額は表の計算のうち低いほうで止まるので、手当を増やすほど補助が増えるわけではありません。手引きの表では、返済額18万円の社員に18万円の手当を払うと、県の補助は会社向けの6万円だけで、会社の負担は12万円になります。

逆に、次の場面では出ません。

  • 正社員の募集で、求人媒体に広告を出した
  • 採用サイトや採用動画、パンフレットを作った
  • 採用活動の代行を外部に頼んだ
  • 合同説明会や就職イベントに出展した

県が支えているのは、人を集める場面ではなく、採った若手に県内で働き続けてもらう側です。外れる4つは、どれも人を採る前に払う費用です。会社と県で返済を分け合う仕組みなので、採る前に出る費用はどこにもありません。

手当の額は、社員ごとの返済額を手引きの表に当てはめてから決める

規程に手当の額を書く前に、対象になる社員の年間返済額を並べ、手引きの表に当てはめておくと安心です。返済額18万円の例では、手当を18万円にするより12万円にしたほうが、県の補助は大きくなっています。

補助が続くのは5年・認証を取れば17年

補助を受けられるのは、社員を採った月を1か月目として数えて、最長17年です。何年まで続くかは、会社が県の認証をいくつ取っているかで決まります。

最大の補助期間 会社の条件
5年 対象の会社の条件を満たしている
10年 SDGs宣言企業・フレッシュミモザ企業・ワーク・ライフ・バランス宣言企業のうち2つ以上
17年 SDGs認証企業・ミモザ企業・ワーク・ライフ・バランス認定企業(または表彰企業)のうち2つ以上

5年を超えて補助を受けるには、申請のときに認定証などの写しを付けます。転職前の会社でこの制度の補助を受けていた人は、その期間も合わせて数えます。

県のチラシは、さきほどの例で社員の返済に充てられる額(会社の手当12万円と県の本人向け6万円)を、5年で90万円、10年で180万円、17年で306万円と示しています。

申請は年度ごと・2月末までの手当が対象

申請は年度ごとで、その年度の2月末日までに払った手当が補助の計算に入ります。3月に払った分は入りませんが、3月分を2月末までに払った場合などは対象になり得るとされています。毎月払いにする会社は、3月分をどう払うかを規程を作る段階で決めておくと、あとで迷わずに済むはずです。

まず社内規程を整え、協会へ交付申請を出して交付決定を受けます。その年度の手当を払い、全員分の支給額が決まったら、おおむね2週間以内に実績報告を出します。補助金は額が決まったあとに、会社の請求にもとづいて支払われます。

申請書に付ける書類は、雇用契約書の写しや返済額が分かる書類、就業規則、県税の納税証明書など7点です。ほかの奨学金返済支援を受けている場合や、補助を5年より長く受ける場合は書類が加わります。持参と郵送のほか、電子申請もできます。

年度の途中で対象の社員が増えたときや、手当を増やすときは、変更の承認申請を出します。交付決定は原則として毎月末で締め、予算の上限に達するまで行われ、上限が近づくとホームページなどで知らせるとしています。

規程の例は協会のホームページに載っていて、規程づくりの相談にも応じています。申請時の確認書では、県と協会の印刷物やホームページに企業名・本社所在地・制度の概要を載せてよいかを尋ねられます。同意は交付決定の要件ではありません。

県の一覧では19市町が会社の負担に上乗せ

県の一覧では、県の補助のあとに会社に残る負担へ、さらに補助を上乗せする市町が19あります。一覧の名前は「県内市町の奨学金返済支援制度取組状況」で、市町ごとの率と上限、補助の期間が並んでいます。

対象は、神戸市・姫路市・明石市・洲本市・相生市・豊岡市・西脇市・三木市・高砂市・丹波市・南あわじ市・朝来市・淡路市・宍粟市・多可町・太子町・播磨町・香美町・新温泉町です。神戸市は令和6年度で新規の受付を終えています。

一覧の図は、返済額18万円・手当12万円の例で会社に残る6万円に、市町が3万円を足す形と6万円を足す形を載せています。上限は年3万円や年6万円など市町ごとに違い、補助の期間も5年から最大17年まで分かれています。

明石市・豊岡市・播磨町の案内では、県の交付決定を受けたあとに、市町の様式で別に申請する順番です。県の補助を前提にした上乗せなら、県の補助の額は減りません。

一覧には、社員本人の返済を支える市町の補助も10市町分載っています。こちらは本人向けで、会社に戻る額は変わりません。上乗せの条件や期限は市町ごとに違うので、本社や事業所のある市町の窓口に確かめてください。

まずは補助金活用の前に、「どう応募を獲得するか?」を考えよう!

手当の額を規程に書き込む段になると、県から戻る額の上限が判断の材料になります。会社に戻るのは、手当をいくら増やしても1人年6万円までです。

その6万円が入るのは、採った人に手当を払い、2月末の在籍を確かめて実績報告を出したあとです。規程に書いた額は、受け取る社員が入社するまで1円も動きません。その社員を迎える前に、どう応募を獲得するかを詰めておくべきです。

採用活動は、もう「片手間」では回りません…

その「どう応募を獲得するか」は、いまは空いた時間で片付く話ではなくなっています。採れる人そのものが減って、残った人の取り合いになっているからです。

①働き手が減り、若い人は都市部へ出ていく

15〜64歳の人口は7329万人で、1年で26万5千人減りました。そのうえ20〜24歳の若い層は、4年続けて、東京圏以外のどの道府県からも東京圏へ流れ出ています。少ないパイを、地方の会社同士で取り合う構造です。

参考サイト:『総務省「人口推計」(2026年3月1日現在・確定値)』『総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」(日本人移動者)』

②求人のほうが多く、応募は取り合いになる

実際、兵庫県の新規求人倍率は2026年7月時点で1.87倍です。ひと月に新しく出てくる求人だけで、新たに仕事を探し始めた人1人を、複数の会社で取り合う状態です。取り合いに負ければ、人は入ってきません。

全国で正社員が足りないと答えた企業は51.3%です。建設では66.0%、運輸・倉庫では65.6%で、業種によっては3社のうち2社が足りないと答えています。同じ求人を同じように出していては、この取り合いからは抜けられません。

参考サイト:『厚生労働省「一般職業紹介状況」(2026年7月・季節調整値・就業地別。都道府県別はJILPT公表値)』『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』

③仕事はあっても人がいない、で終わってしまう

人手不足をたずねた調査では、たとえば「工事案件はあるが、原材料の高騰と人を集めることが困難で、受注したくてもできない状況」(土木建築サービス)という声が出ています。採れないことが、そのまま仕事の取りこぼしになります。

採れないあいだにも、いま居る人が辞めることはあります。「1人採れれば足りる」と構えると、辞めた分を埋めるだけで終わります。募集は、事業を続ける限り止まりません。採用は片手間の仕事ではなく、会社を続けるための経営戦略です。

参考サイト:『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』

採用が厳しい地域でも、3か月で応募17人・内定3人

地方採用ワークスでご支援した例を1つご紹介します。

岐阜県大野郡白川村の、従業員20名ほどの総合建設会社様では、支援開始から3か月で応募が17人、うち3人の内定に至りました。有資格者の採用にもつながっています。

足りないと答えた企業が66.0%に上る建設で、しかも採用が厳しい地域での結果です。同じ結果をお約束できるものではありませんが、条件が厳しくても、打ち手は残っています。

地方採用ワークスは、都市部より母数が少ない地方の採用を専門に、数多くの企業様をご支援してきた会社です。地方の企業が中心ですが、都市部の企業様からのご依頼もいただいています。採用ブランディングの設計から採用サイトの制作、応募を獲得したあとの一次面接やフォローまでをご支援しています。

いまの状況をお聞かせいただければ、どう応募を獲得するかの設計から、ご一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

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