【全60件】「岩手県」で採用に使える補助金は?対象の費用と上限額をまとめて紹介!

採用にかける費用に補助を当てようと、市町村の補助金一覧を開く。並ぶのは設備投資と販路拡大ばかりで、採用に使えそうな行が見当たらない……。

そう見えるのは、採用に効く枠が商工の一覧だけにあるわけではないからです。商工の一覧に並ぶのは60件のうち27件で、残りは別の課のページにあります。岩手県の33市町村を1つずつ調べ直すと、制度は思っていたよりずっと多く残りました。

まず、何件あるのかから見ていきます。

この記事でわかること

  • 事業者が受け取れる枠は県と市町村にどう分かれ、33市町村のうちいくつにあるのか?
  • 制度が並ぶ置き場は何種類あって、探す場所によって見える枠はどう変わるのか?
  • 企業立地の条例に付く雇用奨励金は、県内の何自治体にあるのか?
  • 1人あたりの額がいちばん厚い枠は、どの置き場にあるのか?
  • 採用サイトの制作費や求人媒体の掲載料に費目名がある枠は、60件のうち何件か?
  • 併用できるかどうかを決める単位は、制度ごとにどう違うのか?

制度名・補助率・上限額の出どころは、2026年8月時点で県と市町村が公開していた案内ページ、交付要綱、条例、予算資料です。個々の申請の段取りは、制度ごとの記事に置いています。

いま記事にしているのは「花巻市企業競争力強化支援事業補助金」の1本で、ほかの枠はこの記事の表と、各自治体のページから確かめてください。

岩手県で採用に使える補助金は60制度

60件は「岩手県で確認できた枠」であって、いま申し込める枠の数ではありません。県の「岩手県事業復興型雇用確保助成金」のように、新規受付を終えたものも含みます。

県の商工労働観光部・復興防災部・保健福祉部の各ページと、33市町村の商工/産業振興/企業誘致/雇用労政/福祉/農林の各課ページを1つずつ開きました。事業者・法人がお金を受け取れる採用まわりの枠として、2026年8月時点で確認できたのは60件です。

区分 数と内訳
制度の合計 60件(県9件・市町村51件)
制度を確認できた自治体 県と26市町村(11市・12町・3村)
岩手県の市町村数 33市町村(14市15町4村)
件数の多い自治体 一関市7件・洋野町4件。花巻市・宮古市・陸前高田市が各3件

この60件は上限ではなく下限です。要綱だけがあって案内ページを持たない枠は、公開されている範囲からは見えません。

国が出す助成金は、この60件とは別の枠組みです。原資も窓口も、動ける時期の決まり方も重なりません。国の枠も候補に入れるつもりなら、先に全体像のほうから入ると重なりが見えます。

参考記事:『【国と自治体】採用に使える助成金と補助金は?自社が対象かの見分け方を徹底解説!

数えたのは事業者が受け取る枠

数え方を先に置きます。1件と数えるのは補助金・奨励金の名前の単位で、1つの補助金の中に事業区分がいくつあっても1件。そのうえで、採用・人材確保・雇用・人材育成・職場定着のいずれかを目的か対象経費に持ち、お金を受け取るのが事業者・法人の側である枠に限りました。

この条件で外れたのが、北上市のインターンシップ補助金と遠野市の地方就職支援金です。どちらもあとの併用の表に名前が出てきますが、受け取るのは学生や就職した本人なので、60件には入れていません。

奨学金の返還支援も、県内の多くの市町が用意していて、その多くは支援を受けるのが働いている本人です。ただし一戸町は、会社が日本学生支援機構の代理返還制度で従業員の返還を肩代わりした分に対して、町が事業者へ補助します。

補助率は代理返還額の2分の1または4分の1で、対象従業員1人につき10年間。同じ奨学金返還支援でも、受け取るのが本人か会社かで扱いが分かれます。

到達できなかったのは7市町村

33市町村のうち、事業者が受け取る採用まわりの枠に到達できなかったのは7つでした。釜石市、八幡平市、奥州市、葛巻町、平泉町、山田町、田野畑村です。

いずれも商工・産業振興、企業立地、雇用労働、福祉の各ページと事業者向けの支援一覧を開いた結果でした。八幡平市と田野畑村の企業立地の枠は固定資産ベースで、雇用は要件にしか出てきません。平泉町の介護職員研修支援事業は「修了した者に対し」と書かれていて、受け取るのは個人です。

ただし、制度が無いのではなく、公開されている範囲では確認できなかった、というのが正確です。要綱だけがあって案内ページを作っていない、ということは実際にあります。

逆に、この記事に名前が出てくる26市町村についても、載せた件数がその自治体の全部とは限りません。宮古市のトライアル雇用奨励金、花巻市のUIJターン者就業奨励金は、受け取るのが本人か事業主かを確定できず、件数に入れていません。

県の9件は商工と復興と福祉に散る

県の9件は、担当している部署が同じではありません。ひとまとめのページにも並んでいません。

制度 所管と要点
インターンシップ支援事業費補助金 定住推進・雇用労働室。3分の2以内・1者40万円
副業・兼業人材活用事業費補助金 同室。10分の8以内・上限50万円
岩手県事業復興型雇用確保助成金 同室。新規申請の受付は令和7年度で終了
物価高騰対策賃上げ支援金 商工労働観光部。従業員1人6万円・最大50人分
沿岸地域基幹産業人材確保支援事業費補助金 復興くらし再建課。2分の1・上限1,000万円
介護人材資質向上支援事業の法人向け 長寿社会課。介護職員初任者研修の受講経費
外国人介護人材受入支援費補助金 同課。受入経費
外国人介護人材受入施設等環境整備事業費補助金 同課。環境整備費
外国人介護人材介護福祉士国家資格取得支援事業 同課。資格取得の支援

雇用や労働の一覧ページを開いても、復興と福祉が担当する枠は並んでいません。「沿岸地域基幹産業人材確保支援事業費補助金」は県サイトの震災復興のカテゴリにあり、名前に人材確保と入っているのに雇用のページからはたどり着けません。長寿社会課の4件も、商工の案内からはたどれません。

物価高騰対策賃上げ支援金は名前に採用も人材も付いていませんが、目的文に「必要な人材を確保していくため」と書かれているので、上の数え方では9件目に当たります。県の枠を拾うときは、部署の名前より目的文のほうを見るのが早道です。

制度の置き場は立地と商工と業種別に分かれる

ここからが本題です。60件を置き場でまとめ直すと、3か所に分かれます。探す場所を決めた時点で、視野に入る枠の種類が決まってしまいます。

置き場 件数と中身
企業立地・企業誘致の置き場 20件。立地や誘致の認定に紐づいて、雇った人数に出る
商工・産業振興の置き場 27件。業種を問わず、採用と人材確保の費用や行為に出る
業種を限った置き場 13件。介護・林業・沿岸地域の基幹産業・交通の人材に出る

3つを足すと60件。県の9件は商工の置き場に4件、業種を限った置き場に5件。市町村の51件は立地の置き場に20件、商工の置き場に23件、業種を限った置き場に8件でした。

立地の置き場の20件は限度額が大きい

いちばん数が多いのがこれです。企業立地や企業誘致の条例・要綱の中に、雇用奨励金という項目があります。確認できたのは17自治体でした。

  • 市(7)盛岡市・宮古市・大船渡市・久慈市・陸前高田市・二戸市・滝沢市
  • 町(7)岩手町・紫波町・矢巾町・住田町・大槌町・岩泉町・洋野町
  • 村(3)普代村・野田村・九戸村

金額には幅があります。1人あたりの上端は陸前高田市と岩泉町の30万円、下端は岩手町の年2万円。限度額の上端は宮古市と大船渡市の新設5,000万円、下端は岩手町と矢巾町の各年250万円です。

限度額の天井は商工の置き場のどの枠より大きい一方、1人あたりの単価はそうではありません。個別の額は圏域ごとの表に入れました。

条件は重めで、多くは事業所の新設・増設に伴う雇用が前提です。大船渡市は新増設で5人以上、九戸村は新設20人以上。今年の募集費用を軽くする性格ではありません。

残る3件は久慈市・普代村・洋野町の広域連携雇用促進補助金で、久慈広域の認定企業に雇われた人について、その人が住む町村の側から交付されます。設備投資の予定が無い年は、この置き場は当たらないとそう考えて進めて問題ありません。

1人あたりが厚いのは町村の枠

1人あたりでいちばん厚い枠は、立地とは無関係な町村の商工が担当しています。

制度 1人あたりの額
軽米町新規求職者等地域雇用促進奨励金 3年間で1,020,000円(612,000円・240,000円・168,000円)
野田村新卒者ふるさと雇用支援奨励金 72万円。内定が卒業年度の10月31日を過ぎると48万円
洋野町新卒者ふるさと雇用促進奨励金 額は町の案内に出ていません(新卒者を雇用した町内事業者へ交付)

軽米町の枠は、40歳以下の新規求職者等を常用雇用者として1年以上継続して雇った事業主に出ます。事業主あたりの限度は交付年度600万円。野田村の枠は24か月以上の雇用継続が要件で、どちらも工場の新設といった条件は付きません。

一方で、同じ商工の置き場には小さい枠も並びます。一関市のインターンシップ促進助成金は大学生等1人につき2万円、外国人就労者にやさしい職場環境整備事業費補助金は上限5万円、花巻市の人材確保・定着の枠でも限度額は25万円。

同じ置き場の中に、1人2万円の枠と1人102万円の枠が並んでいます。額の大きさを決めているのは制度の種類ではなく、その自治体がどこに厚く出すと決めたかだと思われます。自社の町村に枠があるなら、他の自治体の額と比べる前に中身を確かめておかれると安心です。

業種を限った13件は別の課にある

3つ目が、産業のページに載っていない枠です。担当する課が違うので、商工の一覧からはたどり着けません。分野で割ると次のとおり。

  • 介護(9件)県の長寿社会課4件、一関市、雫石町、金ケ崎町、岩泉町、一戸町
  • 林業(2件)宮古市、洋野町
  • 沿岸地域の基幹産業(1件)県の復興くらし再建課
  • 交通(1件)北上市

いずれも受け取るのは事業所や法人で、雫石町は事業所が負担する受講料の4分の3、金ケ崎町は町内介護サービス事業所の負担の半額です。

介護の枠がここまで並ぶのは、県の長寿社会課が33市町村の取組状況を1枚のPDFにまとめているため。この突合表は、県の労働政策や商工の案内からはたどれません。

北上市の第二種免許取得支援も都市再生推進課の交通政策の枠で、「交通事業者の人材確保を支援し」と目的に書かれています。介護や林業の枠を探すなら、産業のページではなく福祉と農林のページを開きましょう。

Tips|商工・立地・福祉を別々に開く

自社の市町村のサイトでは、商工・産業振興のページ、企業立地のページ、福祉と農林のページを別々に開いてください。雇用・人材・確保・定着のいずれかが入った枠の名前を書き出すと、自社の使い道と合うかが先に見えます。そのうえで担当課へ一度電話をかけ、今年度の受付が続いているかを確かめてください。

自治体別に引く市町村の51制度

広域振興圏ごとに分けたので、自社の所在地が入る表だけを見れば足ります。内訳は盛岡広域6件・県南広域16件・沿岸広域13件・県北広域16件で、足すと51件です。

各表に載せたのは、その圏域で枠を確認できた自治体だけ。表に名前が無い自治体は、この記事が到達できなかった7市町村です。どれかは表のあとに書き添えました。

盛岡広域は6市町の6制度

制度 金額と要点
盛岡市工場等設置優遇制度の雇用奨励金 新規常用雇用者数に応じて交付
滝沢市工場等設置奨励条例の雇用奨励金 市内居住者1人に新設10万円・増設5万円
岩手町工場等設置奨励条例の雇用奨励金 町内居住者1人に年2万円・各年250万円限度
紫波町企業立地奨励条例の雇用奨励金 町内在住者1人に5万円・500万円限度
矢巾町企業立地奨励条例の雇用奨励金 町内在住者1人に年5万円・各年250万円限度
雫石町介護職員資格取得事業費補助 事業所が負担する受講料の4分の3

6件のうち5件が企業立地の置き場で、残る1件は介護の枠。採用活動そのものの費用に出る補助金は、この圏域では確認できていません。八幡平市と葛巻町が、枠に到達できなかった側です。

県南広域は6市町の16制度

制度 金額と要点
花巻市企業競争力強化支援事業補助金 人材確保・定着の枠は2分の1以内・25万円
花巻市インターンシップ促進助成金 市の補助金一覧の「就職、勤労者」欄
花巻市離職者等正規雇用促進奨励金 離職者等を正規雇用した事業者へ
北上市賃上げ支援補助金 従業員1人38,000円・上限190万円
北上市の第二種免許取得支援 交通事業者の従業員の免許取得費
遠野市外国人材受入等支援事業費補助金 1人目5万円から5人目以降1万円
遠野市賃貸住宅手当等補助金 事業所向けは月18,000円上限・最大3年
一関市インターンシップ促進助成金 大学生等1人につき2万円
一関市新規高卒者人財育成支援事業補助金 1事業主30万円。育成20万円+資格10万円
一関市若者等人財育成支援事業補助金 1事業主30万円
一関市外国人就労者地域交流促進奨励金 事業者が行う生活環境の改善と多文化共生
一関市外国人就労者にやさしい職場環境整備事業費補助金 上限5万円
一関市外国人学生インターンシップ促進補助金 受入事業者向け。他の補助金と併給不可
一関市介護保険施設等人材育成支援事業費補助金 無資格者を雇い育てた法人等へ
西和賀町外国人材受入企業等支援事業費補助金 受入1人につき10万円
金ケ崎町介護支援専門員養成補助金 経費の半額

一関市の7件が県内で最も多い数です。ただし市の労政の専用サイトに「助成制度」として並んでいるのは、新規高卒者と若者等の人財育成の2件だけ。外国人就労者関係の3件、インターンシップ促進助成金、介護の1件は別ページに散っています。

枠を1ページにまとめている自治体は、岩手県内では多くありません。なお人財育成の2件は、「くるみん」認定を受けていると人材育成費用が1.5倍・補助率10分の10に上がります。奥州市と平泉町が、枠に到達できなかった側です。

沿岸広域は6市町の13制度

制度 金額と要点
宮古市企業立地奨励条例の雇用奨励金 市民1人に20万円・新設5,000万円限度
宮古市事業者等職場環境改善推進事業費補助金 人材確保のための工事・備品購入費
宮古市林業新規就業等対策事業費補助金 研修生を受け入れる林家へ
大船渡市企業立地奨励条例の雇用奨励金 1人に20万円(新設5,000万円・増設1,000万円限度)。新増設5人以上
大船渡市中小企業退職金共済制度加入促進補助金 令和6年度の交付一覧に載る実績額18,000円。1社あたりの限度額は公表資料から取れませんでした
陸前高田市企業立地奨励条例の雇用奨励金 1人に30万円・1,500万円限度
陸前高田市企業雇用拡大奨励金 市の事業者支援の一覧に掲載
陸前高田市中小企業退職金共済掛金補助金 退職金共済の掛金への補助
大槌町企業立地奨励条例の雇用奨励金 1人に年10万円・1,000万円限度
大槌町人材確保宿舎等借上支援補助金 令和8年度当初予算1,200千円(=120万円)。町の予算額で、1社あたりの額ではありません
岩泉町企業立地の雇用奨励金 1人に30万円・新設と増設で各2,000万円
岩泉町地域介護確保対策補助金 町内で唯一実施している事業所へ人件費の一部
住田町雇用促進条例の雇用促進奨励金 1人に10万円・1,000万円限度・3年間。町が誘致した企業が対象

この圏域のなかで1人あたりの単価が最も高いのは30万円で、陸前高田市と岩泉町の2つが並びます(県内でいちばん厚いのは、先に見た軽米町の3年間で102万円です)。

中小企業退職金共済の掛金補助を持つのも大船渡市と陸前高田市で、大船渡市の交付一覧には「安定した雇用環境を確保し、職場への定着化を図る」と目的が書かれています。釜石市と山田町と田野畑村が、枠に到達できなかった側です。

県北広域は8市町村の16制度

制度 金額と要点
久慈市雇用奨励補助金(企業立地促進事業費補助金) 1人に5万円以内。市内在住で6か月以上雇用
久慈市広域連携雇用促進補助金 1人に5万円
二戸市企業立地補助金の雇用奨励補助金 1人に5万円以内。3人以上の雇用
二戸市賃上げ支援事業費補助金 目的に「必要な人材確保を支援するため」
軽米町新規求職者等地域雇用促進奨励金 1人に3年間で1,020,000円
野田村新卒者ふるさと雇用支援奨励金 1人に72万円または48万円
野田村企業立地補助金の雇用奨励補助金 1人に5万円以内・500万円限度
九戸村工場設置奨励条例の雇用奨励金 1人に年額12万円・300万円限度
普代村企業立地の雇用奨励補助金 1人に5万円以内・500万円限度
普代村広域連携雇用促進補助金 1人に5万円
洋野町新卒者ふるさと雇用促進奨励金 新卒者を雇用した町内事業者へ
洋野町林業新規就業者奨励金 6月以上雇用する事業主へ。2人分まで
洋野町企業立地の雇用奨励補助金 1人に5万円以内・1,000万円限度
洋野町広域連携雇用促進補助金 1人に5万円以内
一戸町奨学金返還支援補助金の事業者向け 代理返還額の2分の1または4分の1
一戸町介護施設における看護職員養成事業 職員に看護師資格を取らせる経費

県北広域は8市町村すべてで枠を確認できた、県内で唯一の圏域です。洋野町の4件は一関市に次ぐ数で、うち3件が商工観光課、1件が農林水産課にあります。代理返還制度に連動した事業者向けの補助を持つのも県内では一戸町だけ。1人あたりが最も厚い軽米町と野田村も、この圏域です。

併用の可否は制度ごとに単位が違う

次は重ね方です。県の枠と市町村の枠を両方使えるかは、制度の側が何を単位に数えるかで決まります。同じ「重複はだめ」という書き方でも、数えている対象が違います。

数える単位 そう書いている制度
費用 県のインターンシップ支援事業費補助金
補助金の種類 一関市インターンシップ促進助成金、一関市外国人学生インターンシップ促進補助金
事業まるごと 県の副業・兼業人材活用事業費補助金
会社が出した額の差し引き 北上市インターンシップ補助金、遠野市地方就職支援金
受け取る側の入れ替え 遠野市賃貸住宅手当等補助金
1年度あたりの回数と額 花巻市企業競争力強化支援事業補助金
人の数 遠野市外国人材受入等支援事業費補助金、西和賀町外国人材受入企業等支援事業費補助金

同じ「併用」と聞いても、返ってくる答えが窓口ごとに違うのはこのためです。なお表の中の北上市インターンシップ補助金と遠野市地方就職支援金は、受け取るのが本人なので60件には数えていません。会社が出した額で交付額が動く型の実例です。

費用の単位で数える県の枠

県の「インターンシップ支援事業費補助金」は、募集のページにこう書いています。「他の補助金・助成金を受けている費用に対して、重複して補助することはできません」。

主語は費用です。別の費用であれば、他の補助金を受けていること自体は妨げになりません。

この枠の対象経費は、インターンシップ・仕事体験プログラムの新規作成または見直しに係るコンサルティング費用と、専門家の交通費・宿泊費だけ。募集ページやパンフレットの制作費は並んでいません。作ったものではなく設計のほうにお金が出る枠です。

ただし同じページには、「他の助成金等との併給に関して、県から申請者及び助成主体に対し問い合わせを行うことがあります」とも書かれています。相手方の助成主体へ、県から直接確認が入ると明記した枠です。どの費用にどの制度を当てたのかは、はじめから分けて持っておくほうが損がありません。

補助金の種類で数える一関市

一関市のインターンシップ促進助成金は、数える単位が1段階おおきくなります。市内事業所での受け入れにかかる交通費と宿泊費が対象で、大学生等1人につき上限2万円。令和7年度から交付の対象が市内事業者へ変わり、企業側が受け取る形になりました。

条件のほうにこうあります。市・国・他の地方公共団体から同様の補助金を受ける場合は対象外

費用ではなく、補助金の種類で切っています。同じ受け入れについて別の窓口から似た補助を受けていれば、費用の内訳を分けても外れる読み方です。県にもインターンシップの枠があり、一関市の外国人学生インターンシップ促進補助金にも併給不可が書かれています。

受け入れの話を学生側へ出す前に、どの窓口で申請するかを1つに決めておかれるとよいでしょう。

会社が出した分だけ制度が下がる

3つ目は、外れるのではなく額が動く型です。北上市のインターンシップ補助金には、「企業から交通費、宿泊費が支給される場合は、支給額を控除した金額が助成対象となります」とあります。

遠野市の地方就職支援金も同じで、「企業等が往復交通費や移転費の一部を支給している場合は、企業等の負担額を差し引いた額の1/2以内の自己負担額を補助します」と注記されています。

会社が手厚くすると、制度から本人へ届く額はその分だけ小さくなります。自社の交通費規程と市の制度は、同じ財布を見ています。遠野市の賃貸住宅手当等補助金は、この考え方をもう一歩進めて、1つの要綱に事業所向けと個人向けを並べました。

向け先 交付額
事業所向け 定額・上限は月18,000円(最大3年間)
個人向け 家賃額の2分の1・上限は月15,000円(最大3年間)

事業所向けは、市外から転入した従業員へ支給する住宅手当が対象。個人向けは、本人が契約した賃貸住宅の家賃が対象です。そして個人向けの要件に、就業先の市内事業所から住宅手当の支給を受けていない方という1行が入っています。

会社が住宅手当を出すなら会社が受け取り、出さないなら本人が受け取る。同じ家賃に対して、受け取る側が入れ替わる設計です。両方は成立しません。

住宅手当を用意するかどうかは募集要項に書く条件そのものなので、採用の条件を先に固めてから制度を選ぶ順番になると思われます。

採用の費用に費目名がある枠は少ない

次は中身です。採用サイトの制作費や求人媒体の掲載料に費目名がある枠は、今回開いた範囲では1つに絞られました。

花巻市は8事業のうち1枠で受ける

花巻市の企業競争力強化支援事業補助金は、1本の交付要綱に8つの補助事業を束ねた制度です。採用のための費用を受け止めているのは、このうち人材確保・定着の枠だけ。補助率は2分の1以内、限度額は25万円です。

別表第1に並ぶ対象経費は、就職ガイダンス等への出展費用、求職求人サイトへの登録掲載費、パンフレット・動画・ホームページその他求人を目的とした広報ツールの制作費、外部研修受講費と講師謝金。採用サイトの制作費は、この広報ツールの行に当たります。

必須条件には、市の企業検索サイト「おしごとNAVI花巻」への事前の登録掲載があります。掲載も閲覧も無料ですが、運営の承認が2回入るため、申請の予定からさかのぼって動きます。

花巻市で採用サイトの制作費に補助を当てたい方は、この枠だけを1件ぶん解いた記事からどうぞ。

参考記事:『【上限25万円】「花巻市企業競争力強化支援事業補助金」は採用サイトに使える?対象経費を解説!

同じ別表で対象と対象外が分かれる

同じ要綱の中に、ホームページ制作を名指しで外している枠もあります。ブランド化推進・販路拡大の対象経費です。

別表第1はこう書いています。「企画費、デザイン費、広報物制作費(印刷製本費を除く。)、電子商取引サイト構築費(ホームページ制作については除く。)、翻訳費。ただし、国等の補助金で採択を受けた同一の事業に要する経費は除く。」

ネット販売のサイト構築は見るけれど、ホームページ制作は見ない。採用側の行がホームページを名指しで入れているのと、ちょうど裏返しです。同じ市の同じ別表の中で、目的の置き方しだいで対象にも対象外にもなります。

目的の欄に販路開拓やPRを掲げる枠は、採用サイトの費用とは相性がよくないと見ておくほうが確実です。

名前に人材確保とあっても中身は機械

制度名から中身を推し量ると外れる枠もあります。県の沿岸地域基幹産業人材確保支援事業費補助金は、名前に人材確保と入っています。

ところが対象経費は専門家謝金、委託料、備品購入費で、備品購入費の説明にはAI・IoT・RPA・クラウド等を活用した機械装置や情報システム・ソフトウェアが挙がっています。採用の費目は1つも並んでいません。

事業の目的が「デジタルトランスフォーメーションの推進による付加価値と給与水準の向上」で、賃金を上げることで人材の確保につなげる筋道だからです。実施後の付加価値額を3パーセント以上、または給与支給額を1.5パーセント以上向上させる事業計画の策定も要件に入ります。

補助率2分の1・上限1,000万円のうち、県が4分の1、市町村が4分の1を出す分担でもあります。「応募の窓口は各市町村となります」とあるので、県のページから申し込もうとすると本来の窓口を1つ通り過ぎます。

名前に人材確保とある枠でも、対象経費の欄まで下りてから自社に当たるかを決める必要があります。

国の助成金には費目が並んでいる

採用サイトの費用に費目名を持つ制度そのものは、国にあります。早期再就職支援等助成金のUIJターンコースで、県の雇用推進のページからリーフレットが案内されています。

対象経費の例 リーフレットの記載
採用ツール 募集・採用パンフレット等の作成費・印刷費
自社の発信 自社ホームページ・自社PR動画の作成・改修費
説明会 ブース出展費、会場借り上げ料、採用担当者の交通費

補助率は中小企業で2分の1、上限100万円。ただし東京圏から地方への移住者を採用することが前提で、地方公共団体が運営するマッチングサイトに移住支援金の対象求人を掲載することが支給の要件に入ります。

岩手県では、そのサイトがシゴトバクラシバいわて。窓口は岩手労働局の助成金センターで、市町村の補助金とは審査も時期も別に動きます。登録そのものに費用はかからないので、可否の見通しが立つ前に求人を載せておくほうが早いでしょう。

1年度に使える量と時期には決まりがある

併用の可否とは別に、1社が1年度に受け取れる量に上限を置いている制度があります。年度の途中で受付が閉じている枠もあります。

花巻市は2回かつ50万円で止まる

花巻市の交付要綱第8条2項は、同一年度内に交付を受けられる回数と額を、一の補助事業者につき2回かつ50万円を限度とし、同一補助事業は1回と定めています。

人材確保・定着の枠は年度に1回です。2回目を使うなら、リスキリングや展示会出展など別の事業を選びます。同じ項のただし書きで、連携体の構成企業として実施する場合はこの2回・50万円の外です。

何社かで合同の説明会やパンフレットを作る計画があるなら、単独で出す前にこのただし書きを市へ確かめるのが先です。

県の副業枠は1事業主1人1回まで

県の「副業・兼業人材活用事業費補助金」は、数え方が人と回数の両方に付いています。補助条件にこうあります。「補助金の申請は、当該年度において1事業主当たり1人を限度とし、申請回数は1回限りとすること」。

対象経費は紹介手数料、交通費、宿泊費、副業・兼業人材への報酬で、補助率は10分の8以内・上限50万円です。

要件も狭く、初めて岩手県プロフェッショナル人材戦略拠点を通じて契約し、契約期間が6か月以内であることが入ります。そして対象経費に対する補助金を「受けている場合又は受ける予定となっている場合」は、本補助金の対象にならないと明記されています。

費用単位ではなく、その事業まるごとで見る書き方です。交付申請期間は令和9年2月末日までですが、予算の上限に達した時点で募集は止まります。年度に1人と決まっている以上、誰を迎えるかを先に決めてから動きます。

復興型は新規の受付が終わっている

岩手県事業復興型雇用確保助成金は、沿岸市町村の事業所が被災三県の求職者を雇い入れた場合の助成金です。雇入費と住宅支援費の2本立てで、令和8年度版も令和7年度版も県サイトにあります。

ただし、こう書かれています。「事業復興型雇用確保助成金の新規申請の受付は、令和7年度をもって終了となりました」。

令和8年度に動いているのは、すでに認定を受けている事業所の継続申請と変更申請、実績報告だけです。これから採用を始める会社には、開いていない枠になります。

枠が閉じるのは、受付の終了だけではありません。県の副業・兼業の枠は上限額に達した時点で、一関市の人財育成の2件は予算に達し次第、それぞれ募集を止めると書かれています。

ページが残っていることと、いま申し込めることは別だと考えておかれると安心です。

費目より先に、開く置き場のほうが決まる

岩手の60制度のうち、採用サイトの制作費が費目に入るのは花巻市の1件だけです。人材確保・定着の枠で、補助率2分の1以内・上限25万円。パンフレットと動画の制作費も同じ1件に入っていて、残る59件には1つも立ちません。どの枠も予算の範囲内で交付する形です。

残る59件が見ているのは、雇った人数、賃上げ、資格や研修といった行為のほうです。費目の一覧を探すより、自社が商工・企業立地・福祉のどの置き場に当てはまるかを先に決めるほうが早いはずです。厚い枠は大きい市ではなく、町村にありました。

私たちのような地方企業では、「採用はもうあきらめている」という会社も少なくないと思います。地方採用ワークスは、地方企業の採用を専門に、募集の露出から受け皿づくりまでを包括的にご支援しています。製造、建設、運送、医療、飲食など、人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。

どこから手をつけるべきか、いまの状況をお聞かせいただければ一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

採用サイト制作のサービス詳細はこちら

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【全60件】「岩手県」で採用に使える補助金は?対象の費用と上限額をまとめて紹介! | 採用補助金
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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