【在留資格】外国人採用の始め方|中小企業が知るべき在留資格と注意点

「日本人の応募が来ないなら、外国人採用も考えるべきか」——人手不足が続くなかで、こう考え始めた経営者・採用担当の方は多いと思います。実際、日本で働く外国人労働者は増え続けており、地方の製造・建設・介護などの現場では、外国人材がすでに欠かせない戦力になりつつあります実際、日本で働く外国人労働者は令和7年10月末時点で257万1,037人と前年から11.7%増え、届出が義務化されて以降の最多を更新し続けています(※11)。地方の製造・建設・介護などの現場では、外国人材がすでに欠かせない戦力になりつつあります。<small>※11 引用:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2026年1月公表)。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html </small>

ただ、外国人採用には、日本人の採用にはない前提が一つあります。それが在留資格です。ここを押さえずに募集を始めると、雇えない人を選考してしまったり、最悪の場合は法令違反になってしまったりします。つまり外国人採用は、募集より先に「制度の確認」から始まる採用だということです。

この記事では、これから始める中小企業に向けて、在留資格の基本、特定技能と技能実習の違い、採用手続きの流れ、日本語レベルの見極め、受け入れ体制のつくり方までを順に整理します。

この記事でわかること

  • 外国人採用を始める前に押さえる在留資格の基本
  • 特定技能・技能実習の違いと自社に合う受け入れルート
  • 採用手続きの流れと募集の求人方法
  • 日本語レベルの考え方と受け入れ体制・定着のポイント

外国人採用は何から始めればよいのか

結論から言うと、最初にやることは求人を出すことではなく、「自社の仕事に就ける在留資格はどれか」を確認することです。在留資格ごとに働ける業務の範囲が決まっているため、自社の業種・職種で受け入れ可能なルートを特定してから、募集の方法と受け入れ体制を設計する。この順番が外国人採用の基本です。

「在留資格の確認」が出発点になる理由

在留資格とは、外国人が日本に滞在して活動するための資格で、就労の可否や範囲が資格ごとに異なります。大きく3つのグループで捉えると分かりやすいと思います。

  • 身分・地位にもとづく在留資格(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者):在留中の活動に制限がなく、報酬を受ける活動も制限されない(※1)
  • 就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習など):在留資格ごとに認められた活動が定められており、就ける業務がその範囲に限られる(※1)
  • 資格外活動(留学生のアルバイトなど):労働時間の上限などの制限つきで働ける(※2)

<small>※1 在留資格ごとに「本邦において行うことができる活動」が定められている。永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者は身分・地位にもとづく在留資格で、在留中の活動に制限がない。参考:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/qaq5.html </small>

<small>※2 資格外活動許可は原則として週28時間以内(風俗営業等の従事を除く)。複数のアルバイト先がある場合は合計で週28時間以内である必要がある。参考:出入国在留管理庁「資格外活動許可について」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00045.html </small>

選考の際は、在留カードで在留資格の種類と在留期限を確認します。就労が認められない人を働かせると、雇った企業の側も不法就労助長罪に問われるおそれがあります(※3)。確認の手順は社内で決めておきましょう。

<small>※3 不法就労は法律で禁止されており、不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた事業主も処罰の対象となる。参考:出入国在留管理庁「不法就労防止にご協力ください」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001349112.pdf </small>

特定技能と技能実習は何が違うのか

現場の人材の受け入れでよく比較されるのが、特定技能と技能実習です。結論としては、人手不足を補う「就労」のための制度が特定技能、技能移転を目的としてきた制度が技能実習で、そもそもの目的が異なります。人手不足対策として採用を考えるなら、基本は特定技能が軸になります。

特定技能──人手不足分野で就労できる制度

特定技能は、介護・建設・製造・外食・宿泊など、人手不足が深刻とされる特定の分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が就労できる在留資格です特定技能は、介護・建設・工業製品製造業・外食業・宿泊など、人手不足が深刻とされる特定産業分野(2026年6月時点で17分野)で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が就労できる在留資格です(※4)。

<small>※4 引用:出入国在留管理庁「特定技能制度 分野別情報」(2026年6月1日現在の掲載内容、2026年7月28日確認)。 https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/sswfield.html </small>

。技能試験と日本語試験に合格した人材が対象です。制度上は転職もできますが、勤め先や分野を変える場合は在留資格変更許可を受ける必要があり、手続きなしで自由に移れるわけではありません(※5)。

受け入れ企業には、1号特定技能外国人支援計画を作成し、職業生活・日常生活・社会生活の支援を行うことが求められます(※5)。自社だけでの対応が難しい場合は、支援の全部または一部を登録支援機関に委託できます。

<small>※5 受入れ機関は1号特定技能外国人支援計画を作成し、計画にもとづく支援を行わなければならない。転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合、または特定産業分野を変更する場合は、在留資格変更許可を受ける必要がある。参考:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」 https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html </small>

技能実習から「育成就労」への移行

技能実習制度は見直しが進んでおり、人材の確保と育成を目的とする「育成就労」制度へ、2027年(令和9年)4月1日に移行することが決まっています(※6)。すでに在留している技能実習生には経過措置が設けられており、切り替わり期の手続きは複雑です。これから新規に受け入れを検討する場合は、監理団体や行政書士など専門家への確認を前提に動くのが安全です。

<small>※6 引用:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(2026年7月28日確認)。 https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html </small>

。これから新規に受け入れを検討する場合は、ちょうど制度の切り替わり期にあたるため、監理団体や行政書士など専門家への確認を前提に動くのが安全です。

採用手続きと求人方法はどう進めるか

在留資格の当たりがついたら、募集と手続きに進みます。おおまかな流れは「募集ルートの選定 → 選考・在留資格の確認 → 雇用契約 → 在留資格の申請・変更 → 入社・届出」です。日本人の採用と比べると、雇用契約の後に在留資格まわりの手続きが挟まる点が大きな違いです。

募集のルート──どの媒体・どの相談先で出会うか

外国人材との接点は、日本人向けの求人媒体とは異なります。

  • 登録支援機関・監理団体:特定技能・技能実習の受け入れ実務を支えてくれる存在
  • 外国人材専門の人材紹介会社・求人サイト
  • ハローワーク:東京・名古屋・大阪・福岡には、外国人の就職支援と、外国人を雇用する企業の相談に特化した「外国人雇用サービスセンター」が設置されています(※7)。

<small>※7 引用:厚生労働省「外国人雇用サービスセンター一覧」(2026年7月28日確認)。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12638.html </small>

  • 社内の外国人スタッフからの紹介:コミュニティ内の紹介は、定着の面でも有力なルートです

なお、どのルートで採用しても、外国人を雇い入れたとき・離職したときにはハローワークへの届出が必要です(※8)。

<small>※8 外国人を雇い入れたとき・離職したときは、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が事業主に義務づけられている。届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金に処せられる。参考:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」 https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000513844.pdf </small>

どのルートから始めるかは、在留資格の型でほぼ決まると考えてください。特定技能・技能実習なら、実務は登録支援機関・監理団体と組むのが前提になるため、複数の機関と面談して自社の業種での受け入れ実績を確かめるのが最初の一歩です。就労系の在留資格で経験者を探すなら、外国人専門の紹介会社が軸になります。そして、すでに外国人スタッフが1人でもいる会社なら、その方のコミュニティからの紹介がもっとも確度の高いルートです。紹介で来る人は職場の実情を聞いたうえで応募してくるので、入口の段階でミスマッチが小さくなります。

手続きでつまずきやすい点

手続きは、在留資格の新規取得・変更・更新のどれに当たるかで難易度が変わります。海外から呼び寄せる場合は、入国前にあらかじめ在留資格認定証明書の交付申請を行います(※9)。そのぶん入社までの時間も長くかかります。初回は行政書士や登録支援機関と組み、2回目以降に社内へノウハウを残していく形が現実的だと思います。

<small>※9 在留資格認定証明書交付申請は、日本に入国しようとする外国人が上陸のための条件に適合していることを入国前に証明するための申請。外国人本人のほか、受け入れようとする機関の職員が代理で行える。参考:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html </small>

手続きが採用活動全体のどこに入るのかは、全体の流れと合わせて押さえておくと整理しやすくなります。

受け入れ体制と定着──日本語レベルより大事なこと

外国人採用の成否を分けるのは、採用の巧拙よりも受け入れ体制です。結論から言えば、「日本語が上手な人を探す」より「日本語が完璧でなくても働ける現場をつくる」ほうが、採用も定着もうまくいきます。

日本語レベルの見極めと現場の工夫

求人要件で高い日本語レベルを求めるほど、母集団は狭まります。実務では、業務に必要な日本語を具体的に分解するのが先です。安全指示が理解できればよいのか、電話応対まで必要なのか。日本語能力試験(JLPT)の級は一つの目安になりますが、面接で実際の業務場面を想定したやり取りを試すほうが確実です。

現場側の工夫も効きます。作業手順書へのふりがな・写真の追加、翻訳アプリの活用、「やさしい日本語」での指示。受け入れ側が歩み寄れる余地は、思っているより大きいんですよね。

生活支援と定着──孤立させない仕組み

住居の確保、銀行口座の開設、通院、ごみ出しのルール。生活面の立ち上がりを支える体制があるかどうかで、定着は大きく変わります。社内に相談相手(メンター)を決めておく、同郷のスタッフと組ませるといった、孤立を防ぐ設計が有効です。

また、宗教や食文化への配慮、帰省のためのまとまった休暇の取り方など、労働時間や就業規則・福利厚生の運用も見直しどころです。こうした環境整備は外国人に限らず採用力の土台になり、採用サイトでの見せ方は別記事で整理しています。

参考記事:『【事例つき】採用サイトの福利厚生ページとは?若手に響く見せ方

受け入れ体制づくりで見落とされがちなのは、この整備が外国人のためだけに終わらないことです。手順書に写真とふりがなを足す、指示を短い文に区切る、暗黙のルール(休憩の取り方や報告のタイミング)を明文化する。こうして作業が言語化された現場は、日本人の新人にとっても覚えやすい現場になります。外国人受け入れをきっかけに、教え方の属人性が解消される。受け入れ整備は外国人採用のコストではなく、現場の教育力への投資でもあると捉えておくと、社内の合意も取りやすくなります。

そもそも「日本人の応募が来ないから外国人採用へ」という場合は、露出や求人票の課題を放置したまま募集ルートだけ変えても同じ壁に当たるため、原因の切り分けを先にしておくことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 小さな会社でも外国人を雇えますか?

雇えます。ただし特定技能などでは就労・生活両面の支援体制が求められるため、登録支援機関への委託を含めて、体制をどう用意するかが検討のポイントになります。

Q. 採用にかかる期間はどれくらいですか?

在留資格の手続きの種類によって大きく変わります。国内にいる人材の資格変更か、海外からの呼び寄せかで数か月単位の差が出るため、入社してほしい時期から逆算して早めに動くのが基本です。

Q. 助成金は使えますか?

外国人労働者の就労環境の整備に関する助成金など、要件を満たせば活用できる制度があります(※10)。制度の改廃があるため、申請前に行政窓口や社会保険労務士へ確認してください。

<small>※10 外国人労働者の就労環境整備を対象とした助成コースが用意されている。 参考:厚生労働省「雇用関係助成金一覧」。助成金は年度ごとに新設・改廃・要件変更があるため、検討時に最新の要件を確認すること。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00057.html </small>

Q. 日本語がどのくらい話せれば採用してよいですか?

一律の基準はありません。自社の業務に必要なコミュニケーションを分解し、面接で業務場面を想定したやり取りを確認したうえで判断するのが実務的です。入社後の日本語学習の支援とセットで考えると、選択肢が広がります。

外国人採用は「制度の理解」と「受け入れ体制」の両輪で

外国人採用は、在留資格という制度面の理解と、現場の受け入れ体制づくりの両輪で初めて機能します。制度面は専門家と組めば補えますが、受け入れ体制は御社の中にしかつくれません。

とはいえ、在留資格の確認から募集ルートの選定、受け入れ準備までを兼務の担当者が一人で抱えるのは、負担の大きい仕事です。弊社では、採用活動の代行(リープ・リクルーティング)として、採用計画の設計から求人方法の選定・応募者対応までを一緒に進めています。「外国人採用と日本人採用、どちらに力を入れるべきか」という入口の整理からで構いません。現状をうかがったうえで、御社に合う進め方をご提案します。

採用活動の代行(リープ・リクルーティング)はこちら

この記事を書いた人
【在留資格】外国人採用の始め方|中小企業が知るべき在留資格と注意点 | 採りたい人・エリア別
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

この記事をシェアする

関連記事