【清掃業】清掃業の採用が難しい理由と、定着率で差がつく求人の見せ方

「求人を出しても、清掃スタッフの応募がまったく来ない」「ようやく採れても、数か月で辞めてしまう」——清掃業の採用に向き合っていると、この繰り返しに疲れてしまう方も多いと思います。ただ、数字を見ると清掃職の採用は「求人倍率が突出して高いから採れない」タイプの人手不足ではありません。2026年5月時点で清掃従事者の有効求人倍率は1.06倍。全職業平均の0.99倍をわずかに上回る程度です(※1)。市場全体が異常に逼迫しているわけではないのに応募が来ないのだとすれば、原因は求人の見せ方と待遇の伝え方の側にある可能性が高い、ということです。

<small>※1 参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」参考統計表7-1「職業別 一般職業紹介状況[実数](常用(パートタイムを含む))」(2026年6月30日公表)。同表の職業計(全職業平均)の有効求人倍率は0.99倍。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html </small>

つまり、応募が来ないのは御社だけの問題ではなく、限られた働き手を同じ商圏の会社同士で取り合っているという構造の問題です。ただ、清掃業の求人は「見せ方」で差がつきやすく、そして何より定着率がそのまま採用の武器になる業種だからです。

この記事でわかること

  • 清掃業の人手不足の原因と現状データの見方
  • 応募が来ない清掃員求人に共通する落とし穴と、直し方
  • 定着率を高め、それを求人の見せ方に還元する考え方

清掃業の採用はなぜ難しいのか|人手不足の原因を分解する

先に結論からお伝えします。清掃業の採用が難しい原因は、大きく「働き手の高齢化」「仕事イメージと実態のずれ」「求人の見せ方が他社と横並び」の3つに分解できます。このうち自社の努力で変えられるのは3つ目で、ここが今後の打ち手の中心になります。

高齢化と担い手不足という土台の問題

清掃業界は、働き手の高齢化がとくに進んでいる業種です。ビル・建物清掃員の平均年齢は53.2歳で、産業計の43.9歳より9歳以上高い(※2)。国勢調査をもとにした厚生労働省の資料では、ビル・建物清掃員は60代以上が57.9%と6割近くを占め、70代以上だけでも27.0%にのぼります(※3)。現場では60代以上のスタッフが主力というケースも珍しくなく、定年や体力面での引退により、毎年少しずつ担い手が減っていきます。

一方で、オフィスビルや商業施設、医療機関など、清掃を必要とする建物は減りません。需要は安定しているのに供給が細っていく構造が、人手不足の土台にあるというわけです。

賃金の水準も見ておきます。ビル・建物清掃員の所定内給与額は月204.8千円、年間賞与は192.9千円。所定内給与×12+賞与で概算すると年収265万円ほどで、産業計の473万円とは200万円以上の開きがあります(※2)。求人倍率は平均並みなのに応募が来ない理由は、市場の逼迫ではなくこの待遇と年齢構成の側にある、と読むのが自然です。

<small>※2 引用:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上・男女計)。産業計は平均年齢43.9歳・所定内給与額318.7千円・年間賞与911.3千円。推計年収は「所定内給与額×12+年間賞与」による参考値で、手当・超過勤務手当を含まない。 https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003426315 </small>

<small>※3 参考:厚生労働省「省力化投資促進プラン(ビルメンテナンス業)」(令和7年6月、2026年7月28日確認)。年齢構成は令和2年国勢調査(総務省)に基づく数値。 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/shouryokukatousi/05-2.pdf </small>

「誰でもできる仕事」というイメージの誤解

もう一つの原因が、仕事イメージの問題です。清掃の仕事は「誰でもできる」「きつい割に給料が安い」と見られがちで、求職者の検討リストに最初から入っていないことが少なくありません。

とはいえ、現場の実態は少し違うはずです。資機材の使い分けや洗剤の知識、建物ごとの仕様に合わせた段取りなど、実際には経験と技術の差がはっきり出る仕事です。ビルクリーニング技能士のような国家資格もあり、技能を積み上げていける職種でもあります。このギャップを埋めずに求人だけ出しても、イメージの壁の手前で素通りされてしまうのが実情です。

近い労働集約型の例です。弊社の支援先である静岡県の解体・産業廃棄物処理会社では、支援開始時点の掲載が自社サイトとハローワークの実質2媒体だけでした。現場作業職の求人には、給与以外の情報(業務内容・職場環境・キャリアパス)がほとんど書かれていません。

試算すると、通勤1時間圏にいる潜在的な候補者は2職種合計で約61人。ただでさえ少ないその61人の目に、そもそも触れていない状態だったわけです。

そこで仕事を解体・土木・産廃収集運搬・運営サポートの4職種に分けて中身を具体化し、無料6媒体への一斉掲載で露出を最大化するところから立て直しました。

清掃業の「見つけてもらえていない」「他社と見分けがつかない」も、構図はまったく同じです。

このイメージと実態のギャップは、求人の書き方に直結します。「誰でもできる仕事」というイメージのまま応募してきた人は、技術の奥行きに触れた途端に「聞いていた話と違う」と感じて辞めていきます。逆に、資機材の使い分けや建物ごとの段取りといった技術性を先に見せておけば、誤解は入口で解けます。清掃業の求人が伝えるべきは「簡単です」ではなく「実は技術職です」のほうです。応募のハードルを下げようとして仕事を軽く見せることが、かえって早期離職の入口になっている。この逆説は、清掃業の採用を考えるうえで最初に押さえておきたい構造だと考えています。

応募が来ない清掃員求人の共通点|求人の見せ方を直す

応募が来ない原因は条件の悪さだと思われがちですが、実際に多いのは「求人が見つけてもらえていない」「見つけても他社と見分けがつかない」の2つです。つまり、給与を上げる前に、露出と見せ方の見直しで変えられる余地が残っているということです。

そもそも応募が来ない原因の切り分け方は、こちらの記事で全体像を整理しています。

「清掃スタッフ募集」の一行で終わっていないか

清掃員求人でもっとも多いのが、仕事内容が「オフィスビルの清掃業務」の一行で終わっているパターンです。これでは、求職者は自分が働く姿を想像できません。

  • どの建物を:オフィスか、商業施設か、病院か
  • 何時から何時まで:早朝2時間だけなのか、日中フルなのか
  • 一人か、チームか:黙々と一人で進めるのか、数名で分担するのか
  • 重労働の有無:ポリッシャーなどの機械作業があるのか、日常清掃中心か

この4点を具体的に書くだけで、求人の解像度は大きく変わります。とくに清掃の仕事は「一人で黙々とできる」「短時間で働ける」こと自体が応募動機になる職種なので、現場の実態を隠さず書くことが、そのまま訴求になるんですよね。

パート・未経験・シニア、誰に向けた求人かを決める

清掃業の応募者層は、パート主婦(夫)層・シニア層・未経験の若手と幅があります。全員に向けて書いた求人は、結局誰にも刺さりません。

たとえばパート層なら「週3日・1日3時間から」「扶養内OK」「急な休みへの代替体制」が判断材料になりますし、シニア層なら「年齢不問の実例(70代スタッフ在籍など)」、若手・未経験者なら「資格取得支援」「清掃からビルメンテナンス全般へのキャリア」が響きます。給与相場は地域で横並びになりがちだからこそ、時給以外の条件の出し分けが母集団形成の分かれ目になります。誰を採りたいのかを先に決めて、その一人に向けて書くのが基本です。

定着率で差がつく──「辞めない現場」がそのまま採用の武器になる

清掃業の採用を立て直すうえで、実は求人よりも先に見てほしいのが定着率です。理由はシンプルで、辞める人を減らせば必要な採用数そのものが減り、さらに「長く続く職場」であること自体が、求人で語れる最強の材料になるからです。

清掃の離職が起きやすい3つのポイント

清掃業の早期離職は、多くの場合この3つで起きます。

  1. 初日ギャップ:思ったより体力的にきつい、現場に放り込まれて誰にも教われない
  2. 孤立:一人現場が多く、困りごとを相談する相手がいない
  3. 評価されない感覚:きれいにして当たり前と見られ、頑張りが給与にも言葉にも反映されない

裏を返せば、初期研修の設計、定期的な巡回・声かけ、資格取得と昇給の連動で、定着率は変えていけるということです。

打ち手は、この3つの離職ポイントにそのまま対応させて設計するのが基本です。初日ギャップには、初週の同行体制。最初の何日間は必ず先輩と同じ現場に入る、と日数で決めてしまいます。孤立には、定期の巡回と連絡先の一本化。「困ったら誰に電話するか」が決まっているだけで、一人現場の心細さは大きく変わります。評価されない感覚には、資格と昇給の連動の明文化が効きます。ビルクリーニング技能士などの資格取得で時給がいくら上がるのかを、入社時に紙で示す。どれも費用はほとんどかかりません。かかるのは「決めて、明文化する」手間だけです。

「勤続年数」は求職者への何よりの証拠

そして、定着の成果は求人に還元できます。「スタッフの平均勤続年数◯年」「70代まで現役」「産休復帰の実例あり」——こうした事実は、どんなキャッチコピーよりも「安心して働ける職場」の証拠として機能します。清掃員求人は各社横並びになりやすいからこそ、定着の実績を見せられる会社から順に選ばれていくのが実際のところです。

露出と受け皿の両輪で、清掃業の採用を立て直す

ここまでの内容を実行に移すとき、順番はこうなります。まず定着面の手当てで「語れる事実」をつくり、求人の見せ方を具体化し、そのうえで露出(母集団形成)を広げる。母集団形成の考え方はこちらの記事でくわしく整理しています。

また、清掃業の商圏は通勤圏に縛られるため、地方ならではの採用の考え方も押さえておきたいところです。

とはいえ、求人の書き分けから媒体の運用、定着の仕組みづくりまでを、現場管理と兼務で回すのは簡単ではありません。弊社では、採用活動の代行(リープ・リクルーティング)として、求人の見せ方の設計から応募者対応までを一緒に回す支援をしています。弊社自身、採用広告ゼロで年間1,152名のエントリーを集めてきた進め方をもとに、御社の現状整理からご一緒します。「何から手をつければいいか分からない」段階でも大丈夫です。

採用活動の代行(リープ・リクルーティング)はこちら

清掃業の採用でよくある質問

Q. 清掃員の求人は、時給を上げないと応募が来ませんか?

時給は判断材料の一つですが、地域相場から大きく外れていなければ、勤務時間の柔軟さ・現場の具体的な情報・定着実績の見せ方で十分に差をつけられます。まず見せ方から見直すのが現実的です。

Q. 高齢のスタッフばかりで、若手が採れません。

清掃業で若手を採るには、「作業」ではなく「キャリア」を見せることが近道です。ビルクリーニング技能士などの資格取得支援や、清掃から設備管理・現場責任者への道筋を求人段階で示すと、未経験の若手にも検討対象に入りやすくなります。

Q. パート採用と正社員採用、どちらを優先すべきですか?

現場を回す即効性ではパート・短時間勤務の枠を広げるほうが早く、母集団も集まりやすい傾向があります。一方、現場責任者の後継や品質管理を考えるなら正社員採用が必要です。どの現場にどちらが何人必要かを整理してから求人を分けるのがおすすめです。

Q. 求人を出す媒体はどこがいいですか?

清掃職はパート・シニア層が多いため、地域密着の媒体やハローワーク、Indeedなどの検索型媒体との相性が良い職種です。ただし媒体選び以前に、求人内容が具体化されていないとどの媒体でも埋もれます。中身を直してから露出を広げるのが原則です。

この記事を書いた人
【清掃業】清掃業の採用が難しい理由と、定着率で差がつく求人の見せ方 | 採りたい人・エリア別
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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