【岐阜】岐阜の採用市場はなぜ厳しい?通勤圏で考える母集団のつくり方

「岐阜で求人を出しているのに、応募がまったく来ない」——採用に本腰を入れた地方の中小企業が、最初にぶつかる壁だと思います。ハローワークにも求人サイトにも出した。それでも反応がない。そうなると「うちの条件が悪いからだ」と考えてしまいがちです。

ただ、岐阜の採用がうまくいかない本当の理由は、条件の良し悪しの手前にあるケースが少なくありません。岐阜県の有効求人倍率は1.46倍(2026年5月・季節調整値)で、全国平均の1.17倍を大きく上回り、47都道府県のなかで4番目に高い水準です(※1)。企業側から見れば「募集しても人が足りない県」であることは、数字にもはっきり表れています。

<small>※1 引用:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」および愛知労働局「最近の雇用情勢(令和8年5月分)」参考3「都道府県別有効求人倍率(季節調整値・新規学卒者を除きパートタイムを含む)」(2026年6月30日公表)。全国平均は1.17倍。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html </small>限られた求職者を、県内の同業と、そして名古屋の企業と取り合っている。この構造を踏まえずに求人を出し続けても、埋もれてしまうわけです。

つまり岐阜の採用で最初に考えるべきは、「県内全域」ではなく「自社に通える圏内に、どれだけの母集団をつくれるか」です。

この記事でわかること

  • 岐阜の採用市場が厳しいと言われる構造(名古屋との比較・地場産業の事情)
  • 「県」ではなく「通勤圏」で母集団を考える方法
  • 採用が厳しい地域でも応募が動いた実例

岐阜の採用市場はなぜ厳しいのか

先に結論からお伝えします。岐阜の採用が厳しい理由は、大きく「生産年齢人口の減少」「名古屋圏への人材流出」「地場産業どうしの取り合い」の3つです。いずれも一社の努力で消せる要因ではありません。だからこそ、構造を知ったうえで戦い方を変えることが現実的な打ち手になります。

地方採用全体に共通する構造は、こちらのハブ記事で整理しています。

名古屋と比較される前提が、岐阜の求人事情をつくっている

岐阜の採用を考えるうえで避けて通れないのが、名古屋との比較です。岐阜市周辺から名古屋へは電車で20分ほど。若手の求職者ほど、岐阜県内の求人と名古屋の求人をスマートフォンの同じ画面で見比べています。

そうなると、賃金相場の差が正面からのしかかってきます。名古屋圏の企業と給与の絶対額で競り合えば、地元企業には分が悪いのが実情ですそうなると、賃金相場の差が正面からのしかかってきます。賃金構造基本統計調査(令和6年)では、一般労働者の所定内給与額は岐阜県289.3千円に対して愛知県332.6千円と、月4万円あまりの開きがあります。年間賞与まで含めると、その差はさらに広がります(※2)。給与の絶対額で名古屋圏と競り合えば、地元企業には分が悪いのが実情です。<small>※2 引用:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」一般労働者・都道府県別第1表(産業計・企業規模計10人以上・男女計、2025年公表・e-Stat収録)。 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001224440&tclass2=000001225782&tclass3=000001225794&tclass4val=0 </small>

。「岐阜県 求人」で探してくれる人だけを待っていても、その人たちの比較対象には常に名古屋がいる。この前提を織り込んだ見せ方が必要になります。

地場産業ほど、同じ商圏で「取り合い合戦」になる

もう一つの構造が、地場産業の集積です。製造や建設をはじめ、岐阜には同じ業種の会社が同じ通勤圏に集まっている地域が多くあります。求職者から見れば「どこも同じに見える」状態になりやすく、限られた人材を同業どうしで奪い合う構図です。

この状態で条件だけを並べた求人を出しても、比較の土俵で埋もれてしまいます。採用は条件の勝負である以上に、伝わり方まで含めた総合点勝負になっている、ということです。

岐阜の採用は「県」ではなく「通勤圏」で考える

ここからが本題です。岐阜で母集団(応募してくれる人の総数)を考えるとき、単位は県ではなく通勤圏です。地方は車通勤が前提なので、求職者が現実的に通えるのはおおむね片道1時間/25〜30km圏内まで。御社の採用市場は、岐阜県全体ではなく、自社を中心としたこの円の中にあります。

自社を中心に「通勤圏マップ」を描いてみる

やることはシンプルです。地図の上で自社を中心に25〜30kmの円を描き、その中にどんな町があり、どんな競合が求人を出しているかを洗い出します。円の中の働き手の数が、御社が集められる母集団の上限です。

この円の外にいくら広告費をかけても、応募にはつながりにくい。逆に、円の中でまだ接点を持てていない求職者が見えてくれば、そこが伸びしろになります。「岐阜県内で広く募集する」より、「円の中で確実に見つけてもらう」ほうが、結果として母集団は増えるというわけです。

圏内で見つけてもらう露出は、無料の手段から使い切る

通勤圏が定まったら、次はその圏内での露出です。ハローワークをはじめ、無料で出せる媒体は思っているより多くあります。地元媒体の使い分けを含めた「岐阜で求人を出す方法」は、別の記事で詳しく整理しています。

名古屋に流れる人材を、地元企業はどう引き戻すか

給与の絶対額で名古屋と競らないこと。これが地元企業の基本方針だと考えています。勝負をかけるのは、条件表に載らない部分です。

たとえば通勤負担。名古屋まで毎日往復2時間かけるのと、地元で15分で通うのとでは、毎日の可処分時間がまるで違います。住居費を含めた暮らしのコスト、少人数だからこその裁量の大きさ、経営者との距離の近さ。地元企業にしか出せない価値は、探せば必ずと言っていいほど見つかります。問題は、それが求人にも採用サイトにも書かれていないことなんですよね。

また、都市部から岐阜へ戻りたいUIターン層も、地元企業にとって狙う価値のある母集団です。都市部人材の採り方は、こちらで詳しく解説しています。

採用が厳しい地域でも応募が動いた実例

「理屈は分かるが、うちの立地では無理だ」と感じる方もいると思います。そこで、弊社が採用活動の代行で支援した実例を一つ挙げます。

弊社の支援先に、岐阜県大野郡白川村で総合建設業を営む従業員20名ほどの会社があります。県内でも採用が特に厳しい立地です。2024年6月に支援を開始し、開始3ヶ月で即戦力となる有資格者の採用に至りました。年間の応募数も6人(2024年)から17人(2025年)へと増えています。

もちろん、これは「御社も同じ数が採れます」という話ではありません。白川村のような採用困難地域でも、母集団のつくり方を変えれば応募は動く、という一つの事実として受け止めていただければと思います。

支援に入る前、この会社は採用のために特別な手を打っていない状態でした。人口の少ない市町でもともと集まりにくいうえに、集めるための対策も打てていない。「採用したい人を採用したい」と考えながら、そこで止まっていました。

これは岐阜の地方部で本当によく見る状態です。「人が集まらない」と言いながら、実際にはまだ何も手をつけていない。しかも打てる手のうち何割かは、費用がかかりません。ハローワークに求人票を出す。高卒を採りたいなら、高校や専門学校に求人票を持ち込む。難しいことではないのに、兼務では手が回らずに止まっています。

この会社で応募が動いたのは、その止まっていた部分を弊社が代行で巻き取ったからです。特別な裏技があったわけではありません。やらない理由があるのではなく、やる時間がなかった。ここが埋まると、条件が厳しい立地でも数字は動きます。

ちなみに弊社自身も岐阜に拠点を置く会社です。広告費をかけない露出設計で年間1,152名のエントリーを自社採用で集めています。岐阜という土俵での母集団形成を、自分たちの採用でも実証し続けています。

岐阜の採用でよくある質問

Q1. 岐阜で採用を始めるなら、まず何から手をつけるべきですか?

まず自社の通勤圏マップを描き、圏内の競合求人を調べることからです。そのうえでハローワークと無料媒体で露出の土台をつくり、求人の中身を競合と比較して磨きます。順番を飛ばして広告費から入ると、掛け捨てになりがちです。

Q2. 名古屋の企業と給与で勝てない場合はどうすればいいですか?

給与の絶対額で並ぶ必要はありません。通勤時間・暮らしのコスト・仕事の裁量など、地元で働くことの総合的な価値を言葉にして求人と採用サイトに載せることが先です。それでも埋まらない差は、対象とする人物像の見直しで補います。

Q3. UIターン人材は中小企業でも狙えますか?

狙えます。ただし都市部の求職者は地元の求人事情を知らないため、仕事内容や暮らしの情報まで含めた受け皿(採用サイト)の整備が前提になります。詳しくはUIターン採用の記事で整理しています。

Q4. 求人を出す媒体はどう選べばいいですか?

通勤圏内の求職者に届くかどうかが基準です。ハローワーク・求人検索エンジン・地元媒体の使い分けは、別記事で詳しく解説しています。

岐阜の採用は「土俵の選び方」から変えられる

岐阜の採用が厳しいのは、御社の条件が悪いからではなく、名古屋との比較と地場産業の取り合いという構造の中で戦っているからです。だからこそ、県単位の発想を捨てて通勤圏で母集団を考え、圏内での露出と伝わり方を磨く。この順番に変えるだけで、同じ条件でも見え方は変わります。

とはいえ、通勤圏の分析から媒体の運用までを本業のかたわらで回すのは、簡単ではありません。実際、採用担当者の約9割は本業との兼務が実情です。全部を自社で抱える必要はなく、足りない部分だけを外から補う形でも採用は立て直せます。弊社では、御社の商圏や採用フェーズをうかがったうえで、露出(母集団形成)と受け皿(採用サイト)の両輪から最適な構成をご提案します。「何から手をつければいいか分からない」段階でも大丈夫です。現状の整理からご一緒します。

採用活動の代行(リープ・リクルーティング)はこちら

この記事を書いた人
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たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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