【保存版】採用コストは何で決まる?内訳2種と、削れる費用の見分け方
「採用にいくらかけるのが正解なのか、正直よく分かっていない」——採用の費用について、こう悩む方は多いです。求人広告に出してみたものの、効果があったのか分からないまま、更新の時期が来る。そうして「とりあえず去年と同じ」を続けている会社はよくあります。
誤解されがちですが、採用コストの悩みは「高いか安いか」ではありません。何にいくらかかっているのかを、自社で把握できていないことに原因があります。相場の数字は条件がまるで違う他社の平均なので、自社に当てはめても判断の助けにはなりません。
この記事では、採用コストの内訳の出し方から、削れる費用の見分け方までを順番に解説します。
この記事でわかること
- 採用コストを「外部コスト」と「内部コスト」に分けて捉える方法
- 一人当たり採用単価の出し方と、相場の数字との付き合い方
- 新卒採用と中途採用で構造がどう違うのか
- 削っていい費用と、削ると効かなくなる費用の見分け方
採用コストとは|「払った額」ではなく「1人採るまでの総額」
中小企業庁の「2025年版中小企業白書」でも、中小企業が最も重視する経営課題として「人材確保」が挙げられています。お金をかけてでも人を採りたい、というところまでは決まっている。ただ、その先の「何にいくらかけるか」で止まってしまうわけです。
採用コストとは、1人を採用するまでにかかったお金と手間の総額です。求人広告の掲載料だけを指す言葉ではありません。ここの捉え方がずれていると、この後の判断がすべてぶれてしまいます。
一人当たり採用単価の出し方
費用対効果を測る物差しが「一人当たり採用単価」です。計算式は単純です。
採用単価 = 採用にかかった総額 ÷ 実際に採用できた人数
同じ支出でも、2名採用できた年と1名で終わった年とでは単価が倍違います。「今年は媒体費を抑えた」ではなく「今年は1人あたりいくらで採れたか」で見る。この見方にするだけで、費用対効果は分かりやすくなります。ただし、この式が意味を持つのは「総額」を正しく計算できている場合だけです。多くの会社では自社の人件費や時間が計算に入っておらず、実態より安い採用単価が独り歩きしがちです。
「採用コストの相場」を調べても答えが出ない理由
「採用コスト 相場」で平均額を探している方も多いと思います。ただ、その数字をそのまま自社に当てはめるのはおすすめしません。採用単価は、職種や採用の難易度、エリア、募集人数、使った手段によって大きく変わるからです。同じ「1人採用」でも、有資格者を通年で探し続けた場合と、未経験可のポジションを短期で埋めた場合では全く違います。全国平均には、都市部の大手企業が動かした金額も、地方の小規模な採用もまとめて含まれています。
公開されている調査でも、この事情は変わりません。リクルート就職みらい研究所の「就職白書2020」では、2019年度の1人あたり平均採用コストは新卒採用で93.6万円、中途採用で103.3万円とされています(※A)。ただ、この項目の公表は2020年発行分が最後で、以降の就職白書では調査されていません。検索で出てくる「相場」の多くは、この数年前の全国平均を引き写したものです。
※A 引用:リクルート就職みらい研究所「就職白書2020」(2020年6月公表、2026年7月28日確認)。データ❸「2019年度新卒採用および中途採用1人あたりの平均採用コスト」。 https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/hakusyo2020_08-11_Part2_up.pdf
相場を見て不安になるより、自社の内訳を一度書き出すほうが確実です。次の一手も決めやすくなります。
内訳は2種類|外に払うお金と、社内で消える時間
採用コストは、外に払うお金と社内で消えている時間の2つに分けると整理しやすくなります。
01. 外部コスト|社外に支払う費用
- 求人広告費用:求人媒体に掲載枠を買う費用。掲載期間や枠の大きさで決まる形が一般的です。
- 人材紹介の成功報酬:採用決定時に紹介会社へ支払う手数料。年収に対する割合で決まる形が多く見られます。
- 採用サイト・採用ツールの制作費:サイトやパンフレット、説明会資料、撮影など、受け皿づくりの費用です。
- 合同説明会・イベント出展料:ブース出展料と、当日の人件費や交通費を指します。
- 採用管理システム(ATS)等のツール費:応募者管理を効率化する仕組みの費用です。
このうち、求人広告費用と紹介手数料は「使うほど積み上がる」支出です。一方で、採用サイトや採用ツールは「一度整えるとしばらく効き続ける」支出です。同じ採用費でも性質がまるで違います。
02. 内部コスト|社内で消えている時間と人手
見落とされがちなのが内部コストです。外部に払う費用がゼロでも、社内の時間はどうしても消費します。採用活動を抜け漏れなくやり切ろうとすると、求める人物像の設計から、競合の調査、媒体選定、求人原稿の作成まで多岐にわたります。さらに応募者対応、日程調整、面接設計、内定後のフォローまで含めると、必須作業だけでも40以上にのぼります。この一つひとつに、誰かの時間が使われています。
しかも地方の中小企業では、担当者の多くが本業と兼務です。弊社がこれまで接してきた企業でも、採用担当者の約9割が兼務でした。総務や経理、ときには社長自身が業務の合間に採用を回しています。その時間は請求書には載りませんが、確実にコストです。
見積もりに厳密さは要りません。「採用に月何時間使っているか」を書き出し、担当者の時間単価をかけてみてください。求人広告費用は請求書が届くので誰の目にも見えますが、応募者対応や日程調整に消えている時間は、数えたことがない会社がほとんどです。とくに社長自身が採用を回している会社では、その時間単価は社内でいちばん高いはずなのに計算に入っていないことが多く、「お金はかけていないが、時間は際限なくかけている」という実態が姿を現します。求人広告費用だけを見て「うちは採用にお金をかけていない」と思っていた会社ほど、印象が変わるはずです。
総額が見えると、判断の物差しも変わります。外部の支援に払う費用を「新たな出費」としてではなく、「社長や担当者の時間を買い戻す費用」として比較できるようになるからです。採用コストの議論は、この総額が見えてからが本番だと考えています。
新卒と中途では、費用の出どころが違う
「採用コスト」とひとくくりにされがちですが、新卒と中途ではお金のかかり方の形が違います。ここを混ぜると予算の立て方を間違えてしまいます。
中途採用|手段によって単価が階段状に変わる
中途採用は、どの手段を使うかで費用が段階的に変わります。おおまかには次の順番です。
ハローワーク < 求人媒体 < 人材紹介 < ヘッドハンティング
右にいくほど出会える人材の専門性や希少性は上がりますが、1人あたりの費用も上がります。大事なのは「安いほうが得」ではないという点です。同じ商圏で探しても出会えない職種なら、費用の高い手段が唯一の選択肢になることもあります。判断軸は支払う金額そのものではなく、その人を採ったときに事業がどれだけ動くかです。
新卒採用|前倒しでかかり、単年では測りきれない
新卒採用は、費用の発生が前倒しになります。就職情報サイトへの掲載、学校とのつながりづくり、説明会の準備など、採用に至るずっと手前から時間とお金が出ていきます。
厄介なのは、掲載料をかけてもエントリー数が比例しない点です。大きな媒体に出しても、地方の中小企業では応募が1桁で終わることもあります。単年の採用単価で評価すると「新卒は割に合わない」となりがちですが、新卒採用は数年かけて社内の年齢構成をつくる投資でもあります。中途と同じ物差しで測らない、と決めておくほうが確実です。
なお「何人採る必要があるのか」「いつまでに、いくらの予算で」が決まっていないと、この比較自体が成り立ちません。
削っていいものと、削ると効かなくなるもの
削減を考えるとき、まず線引きしたいのは「効いていない支出」と「効いている支出」の違いです。
削っていいのは「反応が測れていない露出」
真っ先に見直したいのは、効果を測らないまま更新し続けている出稿です。毎年なんとなく更新している媒体や、どこから応募が来たか把握できていない枠です。条件を変えたのに掲載が古いまま止まっている求人も当てはまります。「どの媒体から何件の応募が来たか」を並べるだけで、削れる枠は自然に浮かび上がります。
もう一つは、無料で出せる露出を使い切れていないケースです。求人を出せる場所は有料の広告だけではありません。ハローワークのほか、Indeed、求人ボックス、エアワーク(Airワーク 採用管理)など、無料で掲載できる媒体は思っているよりずっと多くあります。ここを埋めないまま有料枠だけ増やすのは、順番が逆になっている状態です。
参考記事:『無料で使える求人媒体はこんなにある|地方中小企業の露出の増やし方』
削ると効かなくなるのは「受け皿」と「写真」
一方で、削ると採用そのものが成立しなくなる費目もあります。一つは、応募の意思決定が起きる場所、つまり採用サイトなどの受け皿です。求職者は求人票で会社を知ったあと社名で検索し、サイトを見てから応募を決めます。露出だけ増やして受け皿が薄いままだと、見つけてもらっても比較負けしてしまいます。
もう一つは写真です。「スマホで撮った写真でも十分」と考えたくなりますが、求職者が最初に受け取る印象は視覚情報にかなり左右されます。削るところを探すにしても、撮影だけはプロに依頼するようコストを配分したほうがいいと考えています。
「掛け捨て」か「資産として残るか」で並べ替える
もう一段深い物差しが、払ったお金で何が残るかという視点です。
求人広告は効果がありますが、いわば掛け捨ての保険のようなものです。出稿を止めた瞬間に露出はゼロに戻る、つまり資産性がありません。一方で、採用サイトや社内に残る応募者対応の型、競合分析のやり方は、続けるほど積み上がります。金額の大小ではなく「来年も効いているか」で並べ替えると、判断がかなりはっきりします。
採用支援を行う弊社自身、岐阜という地方に拠点を置きながら、採用広告を使わずに年間1,152名のエントリーを自社で獲得してきました。地方企業だから広告なしで同じ数が採れる、という話ではありません。広告に頼らない露出のつくり方が成立しうる、という一つの実証として受け止めていただければと思います。
採用コストに関するよくある質問
Q1. 採用単価は、どこまでを費用に含めればいいですか
外に払った費用に加え、社内で使った時間を人件費として換算して足すのがおすすめです。外に払った費用とは、求人広告費用、紹介手数料、制作費、出展料などです。外部コストだけで計算すると実態より安く見え、判断を誤りやすくなります。
Q2. 採用コストを一番下げやすいのはどこですか
反応が測れていない有料枠と、無料で出せるのに使っていない媒体の空白です。この2つの整理だけで、支出を増やさずに露出を増やせるケースがあります。反対に、受け皿と撮影は削ると採用の成立そのものに響きます。
Q3. 人材紹介の手数料は高すぎませんか
金額だけを見れば安くはありません。ただ判断軸は「その人を採ったときに事業がどれだけ動くか」です。ハローワークや媒体では出会えない職種なら、紹介が現実的な唯一の選択肢になることもあります。
Q4. 採用代行を頼むと、コストは増えますか
代行費用は発生しますが、媒体選定や条件設計が変わることで、効いていなかった出稿を減らせる場合があります。ただし求人広告を併用する場合の掲載料や、人材紹介を使う場合の手数料は、代行費用とは別に企業側の負担になるのが一般的です。
採用コストは「削る」より「何に効いているか」で組み替える
相場の数字を当てはめるより、自社の内訳を持つほうが失敗しにくい。外に払っている費用と、社内で消えている時間。この2つを並べて初めて「かけるべき所」と「削れる所」が分かれます。そして削る判断をするときは、金額の大小ではなく「来年も効いているか」で並べ替えます。この2段階だけでも、費用対効果の見え方はかなり変わるはずです。
内訳の整理からなら、自社でもすぐに始められます。「どの媒体から何件の応募が来たか」を並べ、採用に月何時間使っているかを書き出してみてください。それだけでも、削れる枠や見直すべき業務が浮かび上がってきます。
ただ、内訳を出してみると、多くの会社で最も重いのは実は内部コストです。必須作業だけでも40以上ある採用業務を、本業と兼務しながら回しています。もしここで担当者の時間が足りないと感じたら、費目を削るより担い手を組み替えるほうが効果的です。採用活動の代行(RPO)は、その内部コストを外から補う選択肢になります。
参考記事:『【基礎から解説】採用代行(RPO)とは?任せられる業務と、選び方5つの基準』
そして、露出を増やすだけでは採用は完結しません。求職者は求人で会社を知ったあと、採用サイトで会社を理解し、比較したうえで応募を決めます。応募を集める「露出」と良さを伝える「受け皿」は両輪で、どちらにどれだけ配分するかは規模や採用フェーズで変わります。
内訳を出したうえで、削る費目と担い手を組み替える費目を分ければ、外に頼む範囲は自然と絞れます。まずは御社の現状と、いま何にいくらかかっているのかをうかがったうえで、最適な構成をご提案します。「内訳の整理から手伝ってほしい」という段階でも大丈夫です。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。