【上限75万円】「ぎふ若者定着奨学金返還支援制度」は誰に出る?会社の負担と時期を解説!

「ぎふ若者定着奨学金返還支援制度」のポータルを開いたものの、県が代理返還するお金のうち会社が何を受け持つのか、会社に入るお金はあるのかが読み取れないまま止まっていませんか。

本記事では、2026年10月時点の県の公表内容をもとに、公式HPの内容をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!

この記事でわかること

  • どんな人を採ったときに、本人の奨学金へいくら出るのか
  • 会社にお金は入るのか、逆にいつ、いくら納めるのか
  • 制度に登録しても、応募の集め方は別に決める必要があること

岐阜県内には、採用や雇用に使える制度が県と市町村にほかにもあります。見比べたい方は、自治体別に整理した記事からどうぞ。

あわせて読みたい
岐阜県の採用補助金、所在地と用途から探す
【2026年度・26選】「岐阜県」で採用活動に使える補助金は?採用サイト・求人・説明会の費用をまとめて紹介!

岐阜県で採用サイトや求人広告にお金をかけたい。そう思って補助金を調べ始めたものの、出てくるのは設備投資や販路開拓のものばかりで、採用に使えるものが見当たらない……。そこで手が止まっている方は多いと思います。 実は、県内には採用活動の費用に使える制度が26件あります。採用サイトの制作費なら岐阜市

※本記事は各自治体公式ページの内容を元に、「より分かりやすく」を趣旨にまとめさせていただいたものです。記載の内容については、一切の責任を負いかねますので、必ず申請前には各自治体の担当窓口までご相談いただきますようお願いいたします。

ぎふ若者定着奨学金返還支援制度の概要

岐阜県の「ぎふ奨学金返還支援ポータルサイト」にある「ぎふ若者定着奨学金返還支援制度について」のページ。見出しの下に、大学生等と県内企業が内定前に制度に登録し、企業が1/2を拠出して県の奨学金返還支援基金へ入れる流れの図が並んでいる

出典: 岐阜県「ぎふ若者定着奨学金返還支援制度について」のページ(2026年10月時点)

「ぎふ若者定着奨学金返還支援制度」は、県に登録した会社が採った人の奨学金を、県と会社が半分ずつ出して、本人に代わって返す制度です。1人あたりの支援予定額は会社が選び(大学等なら最大150万円。県が持つのはその半分の75万円まで)、採った人が県内で3年、6年と働いたときに2回に分けて出ます。

補助金名 ぎふ若者定着奨学金返還支援制度(補助金の名称は「ぎふ若者定着奨学金返還支援事業費補助金」)
相談先 岐阜県 商工労働部 産業人材課 人材企画係(電話: 058-272-1111 内線3681~3684)
補助対象 採った人の奨学金の返還(入学時の一時金と利子の分は除く)。県が奨学金の貸与機関へ直接返す
補助上限(補助率) 1人あたりの支援予定額を会社が選ぶ(大学等150・100・60万円、短大等75・50・30万円)。県と会社が2分の1ずつ負担
期限 会社の登録は2026年度採用分が2027年1月29日(金)まで、2027・2028年度採用分が2027年3月16日(火)まで。内定より前の登録が必要

注意したいのは、求人広告の掲載料や採用サイトの制作費には使えないことです。補助金は採った本人に代わって県が貸与機関へ払うもので、会社に入るお金は無く、会社は自分の負担分を県に納める側に回ります。

対象は県内で正社員として6年雇う会社

登録できるのは、岐阜県内の事業所で正規雇用の社員を採る会社です。法人のほか団体や個人事業主も入ります。県外に本社がある会社は、県内の事業所で採るか、雇用契約で勤務地を県内に限る場合に限られます。

登録には、採った人を県内で6年以上、正規雇用で雇うことへの同意が要ります。税金を滞納している会社、社会保険に入る義務があるのに入っていない会社、労働関係の法令に違反している会社は外れ、国や自治体も対象外です。

大企業は、採用年度ごとの支援予定額の合計が300万円までに限られます。中小企業でも、1つの大企業が株式の半分以上を持つなどの「みなし大企業」は同じ扱いです。

中小企業者の条件は中小企業基本法第2条第1項から引かれていて、県の申請方法の資料が業種別の数字をそのまま載せています。資本金と従業員数のどちらか一方が収まっていれば中小企業者です。

業種分類 資本金の額または出資の総額/常時使用する従業員の数
製造業その他 3億円以下/300人以下
卸売業 1億円以下/100人以下
サービス業 5千万円以下/100人以下
小売業 5千万円以下/50人以下

採る人は内定前に登録した35歳未満

支援を受けられるのは、登録した年度の末日に35歳未満で、大学や短大、専門学校などを出た人です。対象の奨学金は日本学生支援機構の第一種・第二種と岐阜県選奨生奨学金(高校生向けを除く)で、新卒だけでなく既卒や年度の途中の採用も入り、出身地や住所は問いません。

この制度は、すでに働いている社員や、内定を出したあとの人には使えません。本人も会社からの内定より前に登録している必要があり、アルバイトから正社員に上げる人や内々定を出した人も、雇用が事実上決まっているとして外れます。県内で正社員として働いている人の転職も対象外です。

高山市や関市など、県内の市町が本人向けに出している奨学金の返還支援を使う人、使う予定の人も登録できません。後で触れる4市町の上乗せは、この例外です。

補助が出るのはこの3つの場面

要綱の書き方だと分かりにくいので、実際の場面に置き換えます。次の3つのどれかに当てはまったときに使えます。

①大学や大学院を出た人を採ったとき(150万円まで)

大学・大学院・高等専門学校専攻科を出た人の枠(Aコース)です。会社は1人あたりの支援予定額を150万円・100万円・60万円から1つ選び、県と半分ずつ持ちます。

支援は採った人が県内で3年働いたときと6年働いたときの2回で、各回の額は支援予定額の2分の1と、その時点の返還残額の少ないほうです。例えば支援予定額が100万円でも、3年たった時点の残額が30万円なら、そのときの支援は30万円です。

②短大や専門学校を出た人を採ったとき(75万円まで)

短期大学・高等専門学校・専修学校専門課程を出た人の枠(Bコース)です。支援予定額は75万円・50万円・30万円から1つ選び、3年と6年の2回に分けて出る仕組みは大学等と同じです。

高等専門学校で借りた奨学金は、4年生と5年生のときの分に限られます。大学等の枠と合わせて登録することもでき、各枠で選べる額は1種類だけです。

③4市町に住む人を採ったとき(上乗せ最大75万円)

羽島市・下呂市・郡上市・揖斐川町は、会社が選んだ支援予定額に市町の分を上乗せしています。大学等150万円の枠なら、羽島市と揖斐川町は30万円、下呂市は40万円、郡上市は75万円を足し、郡上市では支援の総額が225万円になります。

上乗せ分は市町が負担するので、会社の負担は増えません。羽島市と揖斐川町はその市町に住んで県内で働く人、下呂市と郡上市はその市に住んで市内で働く人が対象で、本人が登録申請書の欄に書いて申し込みます。

逆に、次の場面では出ません。

  • 正社員の募集で、求人媒体に広告を出した
  • 採用サイトや採用動画、パンフレットを作った
  • 採用活動の代行を外部に頼んだ
  • 合同説明会や就職イベントに出展した

この制度が支えているのは、採った人が県内で働き続ける場面です。外れる4つは、どれも人を集める段階でかかる費用です。支援が出るのは3年と6年の節目だけで、3年に満たずに辞めた人は支援の対象から外れます。

会社の負担は半分で、納付は4・7年目の2回

会社が負担するのは支援予定額の半分で、残りの半分は県が持ちます。採った人が3年働くと本人が県へ交付を申請し、県が額を決めたあとに会社へ納付書が届きます。会社が納めると、県が自分の負担分と合わせて奨学金の貸与機関へ返します。

6年のときも同じ流れで、会社が納めるのは就職から4年目と7年目です。県のチラシの例では、支援予定額100万円なら3年経過時に25万円、6年経過時に25万円です。

各回の支援は返還残額が上限なので、納める額がこれより小さくなることもあります。県の実施要項の試算では、200万円を借りて毎月2万円ずつ返している人に100万円を設定すると、支援は3年後50万円・6年後14万円の計64万円で、会社の負担は32万円です。

何人かまとめて採るなら、大学等100万円で3人、短大等30万円で2人を登録した例では、支援予定額の総額360万円に対し、4年目と7年目に90万円ずつ、計180万円を納めます。

3年を過ぎてから辞めた人の分も、納付書が届けば期日までに納める必要があります。納めないと、その人への交付決定が取り消され、会社の登録も抹消されます。

納めるお金の科目を県は指定していませんが、営利企業なら寄附金とされることを想定していて、法人が地方公共団体へ支出した寄附金は全額が損金になると県のQ&Aは説明しています。実際の処理は、自社の会計の担当者や税理士と確かめておくと安心です。

登録は採用年度ごと・内定より前に済ませる

会社の登録はポータルの申込みフォームから行い、県の審査を経て、登録の可否が電子メールで届きます。登録は採用年度ごとで、今年度の募集では2026・2027・2028年度の採用分を申し込めます。

期限は2026年度採用分が2027年1月29日(金)、2027・2028年度採用分が2027年3月16日(火)です。期限を過ぎると、2026年度採用分は受け付けられず、ほかの年度分は翌年度の募集を待つ形になります。

登録した1人あたりの支援予定額と、制度を使って採る人数は、あとから変えられません。会社の都合で額を下げたり人数を下回ったりすると、登録が取り消され、その旨がポータルに載ります。採用の基準に届かず、結果として人数を下回るのは差し支えありません。

採ったあとは、本人に制度を適用すると通知し、雇用条件通知書の写しを添えて県へ採用報告書を出します。その後は毎年、本人が県へ出す就業状況の報告書の勤務証明欄を会社が書きます。

Tips|登録の前に決めておくこと

  • 何年度の採用に使うか(登録は採用年度ごと)
  • 大学等・短大等それぞれの1人あたりの支援予定額(あとから変えられません)
  • 制度を使って採る人数(こちらも変えられません)

登録すると県のポータルに支援額つきで載る

登録した会社は、県のポータルの「支援実施企業一覧」と紹介ページに載ります。一覧は採用年度・職種・エリア・コースごとの支援額で絞り込める作りで、紹介ページには事業内容や初任給なども並びます。就職活動をする人向けのページは、この一覧を支援を受けられる企業として紹介しています。

学生の側から見ると、支援の大きさは返す期間で表れます。県の簡易な試算では、100万円を借りて60万円の支援を受けると返還期間は15年から6年3か月に、200万円で100万円なら15年から7年9か月に、300万円で150万円なら20年から10年3か月に縮みます。

奨学金を借りている学生にとっては、会社を比べるときの材料の一つになると思われます。返還の条件によって実際の期間は変わるので、数字は目安として扱うのが無難でしょう。

ただし、登録者の情報が県から会社へ渡ることはありません。登録者はエントリーシートや面接で、自分が登録者だと申し出る形です。採用活動のやり方に、制度上の決まりはありません。

まずは補助金活用の前に、「どう応募を獲得するか?」を考えよう!

学生に選んでもらう材料として登録を考えているなら、見ておきたい点が1つあります。制度が応募の前にしてくれるのは、一覧に名前を載せるところまでです。

登録者の情報は県から届かず、応募するかどうかは学生が決めます。名前が載るのを待つのではなく、どう応募を獲得するかは自社で決めておくべきです。

採用活動は、もう「片手間」では回りません…

その「どう応募を獲得するか」は、いまは空いた時間で片付く話ではなくなっています。採れる人そのものが減って、残った人の取り合いになっているからです。

①働き手が減り、若い人は都市部へ出ていく

15〜64歳の人口は7329万人で、1年で26万5千人減りました。そのうえ20〜24歳の若い層は、4年続けて、東京圏以外のどの道府県からも東京圏へ流れ出ています。少ないパイを、地方の会社同士で取り合う構造です。

参考サイト:『総務省「人口推計」(2026年3月1日現在・確定値)』『総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」(日本人移動者)』

②求人は求職者の2倍を超え、応募は取り合いになる

実際、岐阜県の新規求人倍率は2026年7月時点で2.62倍です。ひと月に新しく出てくる求人だけで、新たに仕事を探し始めた人1人あたり2件を超えます。取り合いに負ければ、人は入ってきません。

全国で正社員が足りないと答えた企業は51.3%です。建設では66.0%、運輸・倉庫では65.6%で、業種によっては3社のうち2社が足りないと答えています。同じ求人を同じように出していては、この取り合いからは抜けられません。

参考サイト:『厚生労働省「一般職業紹介状況」(2026年7月・季節調整値・就業地別。都道府県別はJILPT公表値)』『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』

③仕事はあっても人がいない、で終わってしまう

人手不足をたずねた調査では、たとえば「工事案件はあるが、原材料の高騰と人を集めることが困難で、受注したくてもできない状況」(土木建築サービス)という声が出ています。採れないことが、そのまま仕事の取りこぼしになります。

採れないあいだにも、いま居る人が辞めることはあります。「1人採れれば足りる」と構えると、辞めた分を埋めるだけで終わります。募集は、事業を続ける限り止まりません。採用は片手間の仕事ではなく、会社を続けるための経営戦略です。

参考サイト:『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』

採用が厳しい地域でも、3か月で応募17人・内定3人

地方採用ワークスでご支援した例を1つご紹介します。

岐阜県大野郡白川村の、従業員20名ほどの総合建設会社様では、支援開始から3か月で応募が17人、うち3人の内定に至りました。有資格者の採用にもつながっています。

足りないと答えた企業が66.0%に上る建設で、しかも採用が厳しい地域での結果です。同じ結果をお約束できるものではありませんが、条件が厳しくても、打ち手は残っています。

地方採用ワークスは、都市部より母数が少ない地方の採用を専門に、数多くの企業様をご支援してきた会社です。地方の企業が中心ですが、都市部の企業様からのご依頼もいただいています。採用ブランディングの設計から採用サイトの制作、応募を獲得したあとの一次面接やフォローまでをご支援しています。

いまの状況をお聞かせいただければ、どう応募を獲得するかの設計から、ご一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

この記事をシェアする

関連記事