2026.11.02
【上限60万円】「やまなし人材定着奨学金返還支援事業」は誰に出る?会社の負担を解説!
県の「やまなし人材定着奨学金返還支援事業」の企業募集を見て、県と会社が2分の1ずつ負担するという説明までは分かっても、その2分の1を、自社は誰に、何年にわたって納めるのかがつかめずにいませんか。
本記事では、2026年10月時点の県の公表内容をもとに、公式HPの内容をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!
この記事でわかること
- 支援の相手になる社員の条件と、8年間で県と会社が持つ額
- 会社に入るお金はなく、8年間、毎年度いくらを県の基金へ納めるのか
- 登録企業の一覧に載ったあと、応募を集める役目は誰に残るのか
山梨県内の市町村にも、採用や雇用に使える制度があります。県の制度とあわせて見比べたい方は、自治体別に整理した記事からどうぞ。
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※本記事は各自治体公式ページの内容を元に、「より分かりやすく」を趣旨にまとめさせていただいたものです。記載の内容については、一切の責任を負いかねますので、必ず申請前には各自治体の担当窓口までご相談いただきますようお願いいたします。
やまなし人材定着奨学金返還支援事業の概要

出典: 山梨県「やまなし人材定着奨学金返還支援事業」特設サイト「企業の方へ」のページ(2026年10月時点)
「やまなし人材定着奨学金返還支援事業」は、県に登録した中小企業が採った若手の奨学金の返還を、県と会社が2分の1ずつ出し合って支える制度です。支援は1人あたり8年間で最大120万円で、そのうち県が持つのは60万円まで、残りの60万円は会社の負担です。
| 補助金名 | やまなし人材定着奨学金返還支援事業(補助金の名称は「やまなし人材定着奨学金返還支援事業費補助金」) |
|---|---|
| 相談先 | やまなし人材定着奨学金返還支援事務局(電話: 080-7044-0200)。電子申請については山梨県 総合県民支援局 働く人・働き方支援課(電話: 055-223-1562) |
| 補助対象 | 採った社員が在学中に借りた日本学生支援機構の奨学金の返還(利子分は除く)。補助金は県から社員本人に交付 |
| 補助上限(補助率) | 奨学金総額(既卒者は返還残額)の2分の1・1人120万円まで(県60万円・会社60万円)。市町村支援満了者は60万円まで |
| 期限 | 会社の登録は令和9年度採用分が令和9年3月5日(金)まで。採る人の登録とあわせて、採用より前に済ませる |
注意したいのは、求人広告の掲載料や採用サイトの制作費には使えないことです。県が補助するのは採った社員の奨学金の返還で、その補助金も会社を通らずに社員本人へ交付されます。会社の側に生じるのは、支援額の半分を県の基金へ寄附する負担です。
登録できるのは県内勤務で採る中小企業等
登録できるのは、山梨県内に本社がある中小企業等と、勤務先を県内に限って採用する中小企業等で、正規雇用の社員を採る会社です。業種の制限はなく、社会福祉法人や医療法人など会社以外の法人も入ります。
国や地方公共団体、独立行政法人などの公共法人と、宗教や政治活動を主な目的とする団体は外れます。山梨県税を滞納している会社、雇用保険や社会保険に入る義務があるのに入っていない会社、労働関係の法令に違反している会社も対象になりません。
登録の申込みは、毎年の支援額の半分を県の基金へ出すという確約とひと組です。支援する相手であることを理由に、採用や賃金、労働時間で不利に扱わないことにも同意します。
中小企業者の条件は、県の登録企業募集要領に業種別の数字で載っています。資本金と従業員数のどちらか一方が収まっていれば中小企業者です。
| 業種分類 | 資本金の額または出資の総額/常時使用する従業員の数 |
|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業その他の業種 | 3億円以下/300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下/100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下/100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下/50人以下 |
支援の相手は県内に住み8年働く35歳未満
支援を受けるのは、大学や大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校の専門課程を出て、在学中に借りた日本学生支援機構の第一種か第二種の奨学金を返す人です。35歳未満で正社員として入り、10年のうち8年以上、県内で働いて県内に住む見込みであることが要件です。
採る人のほうも、採用より前に県へ登録しておく必要があります。入社したあとからの登録は、市町村の支援を終える人を除いてできません。会社は本人からの申し出を受けて、制度を使うかどうかを採用前までに決め、本人に知らせます。役員として迎える人や、代表者・役員の親族は原則として外れます。
県には「山梨県ものづくり人材就業支援事業」という奨学金の返還を支える事業もありますが、この制度とは別のものです。本人はどちらにも申し込めますが、両方の支援を同時に受けることはできません。
補助が出るのはこの3つの場面
要綱の書き方だと分かりにくいので、実際の場面に置き換えます。次の3つのどれかに当てはまったときに使えます。
①新卒の大学生等を採ったとき(120万円まで)
卒業した翌月から6か月以内に、正社員として入る人の枠です。支援の額は在学中に借りた奨学金総額の2分の1で、8年間で120万円までです。毎年の額は、本人が前の年度に返した実績をもとに県が決めます。
例えば4年制大学を出て奨学金を244.8万円借りた人なら、2分の1の122.4万円が上限を超えるため、支援の総額は120万円です。会社の負担はその半分の60万円で、8年間かけて納めます。
②県外で働く既卒者を迎えたとき(120万円まで)
すでに卒業し、県外に住んで県外の会社で働いている人や、県内の会社を会社都合で離職した人を正社員で迎える枠です。入社は、本人が登録した年度の翌年度の4月末日までです。
額は、交付を申請する時点で残っている返還額の2分の1で、上限は新卒と同じ120万円です。申請の時点で返し終えている分は数えません。
③市町村の支援を終えた人に続けるとき(60万円まで)
県内の市町村が独自に行う奨学金の返還支援を受けてきた社員が、その支援を満了する年度に県へ登録する枠です。市町村の支援を受けているあいだは、県の支援を同時には受けられません。
市町村の支援が終わったあとの返還残額の2分の1を4年間で支え、上限は60万円で、県と会社が30万円ずつです。この枠を使うかどうかと人数は、会社が登録の申込みで新卒や既卒の枠とは別に選びます。
逆に、次の場面では出ません。
- 正社員の募集で、求人媒体に広告を出した
- 採用サイトや採用動画、パンフレットを作った
- 採用活動の代行を外部に頼んだ
- 合同説明会や就職イベントに出展した
8年の支援は、採った人が県内に住み、県内の事業所で働いた年でしか数えられません。県外の事業所へ移った期間は数に入らず、辞めればそこで支援も会社の寄附も止まります。求人広告や採用サイトの出番は、その年月が始まるより前にあります。
会社の寄附は毎年度・支援額の2分の1
会社が持つのは、県が本人に出す支援額の2分の1で、年度ごとに県の基金へ寄附します。毎年5月31日までに、社員本人が前の年度の返還や勤務・居住の状況を県に報告して請求し、その額をもとに県が会社へ納入通知書を出します。会社が納めたあとで、県から本人に補助金が交付されます。
会社は、本人が報告に付ける在職証明書を毎年作ります。県のQ&Aの例では、令和7年4月に入社した人の1年目の分を令和8年度に寄附し、県外の事業所に勤めた年度の分は寄附がありません。
県外勤務の期間は8年に数えないため、県のQ&Aには、県外勤務が3年続いた人の支援が交付決定額100万円から8年分のうち7年分の87.5万円に減る例も載っています。
社員が辞めたあとは支援も寄附もなく、辞めるまでの分の支援金が返還されることもありません。寄附を納めないと、その社員への交付決定が取り消され、会社の登録も抹消されることがあります。県のQ&Aでは、納めた負担は損金に算入できるとされています。
令和9年度採用の登録は3月5日が締切
登録は県の電子申請サービス「やまなしくらしねっと」から申し込み、添付するのは、納税証明書と履歴事項全部証明書の2点が基本です。いま受け付けているのは令和9年度採用の分で、期間は令和8年1月5日から令和9年3月5日までです。令和8年度採用で登録した会社も、令和9年度採用に使うなら改めて申し込みます。
申込みでは、制度を使う人数の上限を採用年度ごとに決めます。その人数に届くまでは、採った支援対象者に必ず制度を適用する約束です。人数分を必ず採る義務はなく、登録の期間中なら変更の手続きで人数を増やせます。
人数を減らしたり登録を取り消したりできるのは、やむを得ない事情があり、本人の就職活動に影響がない場合に限られます。
登録した会社は、特設サイトの登録企業一覧に業種や制度を使う人数、ホームページのアドレスとともに載ります。登録企業の側にも、自社のホームページや広報物で登録を知らせるよう県は求めています。一方で、登録すれば必ず人材を確保できるとは限らず、就職先は学生が自分の意思で決めると県のQ&Aは答えています。
制度を使う人数は、増やすのは期間中でもできるが、減らすのは難しい
人数の上限は、登録の期間中なら変更の手続きで増やせます。減らすほうは本人への影響がない場合に限られるので、申込みの人数は、採用計画と照らしてから書き込むのが先です。
まずは補助金活用の前に、「どう応募を獲得するか?」を考えよう!
1人120万円までの返還を県と会社で半分ずつ持つ支援は、奨学金を返す学生から見れば、会社を選ぶ材料の一つになるはずです。寄附も支援も、採った翌年度の5月31日までの報告を受けて始まります。
就職先を決めるのは学生の側だと、県のQ&Aも答えています。令和9年度採用の登録企業一覧に社名が載っても、そこから誰が応募してくるかまでは制度の外です。制度を使う人数を書き込む前に、どう応募を獲得するかは決められます。
採用活動は、もう「片手間」では回りません…
その「どう応募を獲得するか」は、いまは空いた時間で片付く話ではなくなっています。採れる人そのものが減って、残った人の取り合いになっているからです。
①働き手が減り、若い人は都市部へ出ていく
15〜64歳の人口は7329万人で、1年で26万5千人減りました。そのうえ20〜24歳の若い層は、4年続けて、東京圏以外のどの道府県からも東京圏へ流れ出ています。少ないパイを、地方の会社同士で取り合う構造です。
参考サイト:『総務省「人口推計」(2026年3月1日現在・確定値)』『総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」(日本人移動者)』
②求人は求職者の2倍を超え、応募は取り合いになる
実際、山梨県の新規求人倍率は2026年7月時点で2.70倍です。ひと月に新しく出てくる求人だけで、新たに仕事を探し始めた人1人あたり2件を超えます。取り合いに負ければ、人は入ってきません。
全国で正社員が足りないと答えた企業は51.3%です。建設では66.0%、運輸・倉庫では65.6%で、業種によっては3社のうち2社が足りないと答えています。同じ求人を同じように出していては、この取り合いからは抜けられません。
参考サイト:『厚生労働省「一般職業紹介状況」(2026年7月・季節調整値・就業地別。都道府県別はJILPT公表値)』『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』
③仕事はあっても人がいない、で終わってしまう
人手不足をたずねた調査では、たとえば「工事案件はあるが、原材料の高騰と人を集めることが困難で、受注したくてもできない状況」(土木建築サービス)という声が出ています。採れないことが、そのまま仕事の取りこぼしになります。
採れないあいだにも、いま居る人が辞めることはあります。「1人採れれば足りる」と構えると、辞めた分を埋めるだけで終わります。募集は、事業を続ける限り止まりません。採用は片手間の仕事ではなく、会社を続けるための経営戦略です。
参考サイト:『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』
採用が厳しい地域でも、3か月で応募17人・内定3人
地方採用ワークスでご支援した例を1つご紹介します。
岐阜県大野郡白川村の、従業員20名ほどの総合建設会社様では、支援開始から3か月で応募が17人、うち3人の内定に至りました。有資格者の採用にもつながっています。
足りないと答えた企業が66.0%に上る建設で、しかも採用が厳しい地域での結果です。同じ結果をお約束できるものではありませんが、条件が厳しくても、打ち手は残っています。
地方採用ワークスは、都市部より母数が少ない地方の採用を専門に、数多くの企業様をご支援してきた会社です。地方の企業が中心ですが、都市部の企業様からのご依頼もいただいています。採用ブランディングの設計から採用サイトの制作、応募を獲得したあとの一次面接やフォローまでをご支援しています。
いまの状況をお聞かせいただければ、どう応募を獲得するかの設計から、ご一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。