2026.11.02
【2年分の半額】「富山県奨学金返還助成制度」は誰に出る?会社が出す額と時期を解説!
理工系の学生を採ろうとして「富山県奨学金返還助成制度」の登録企業募集にたどり着いたものの、助成金が誰に出るのか、会社はいつ何を払う制度なのかが見えず、登録を決めかねていませんか。
本記事では、2026年10月時点の県の公表内容をもとに、公式HPの内容をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!
この記事でわかること
- どんな学生を採ったときに、本人の奨学金へどれだけ出るのか
- 会社が県の基金へ納める額と、納めずに済む場合
- 制度が関わるのは入社後の10年で、応募を集める段階は自社の設計で決まること
富山県には、採用まわりで使える制度が市町村の側にもあります。見比べたい方は、自治体別に整理した記事からどうぞ。
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※本記事は各自治体公式ページの内容を元に、「より分かりやすく」を趣旨にまとめさせていただいたものです。記載の内容については、一切の責任を負いかねますので、必ず申請前には各自治体の担当窓口までご相談いただきますようお願いいたします。
富山県奨学金返還助成制度の概要

出典: 富山県「富山県奨学金返還助成制度(理工系・薬学部生対象) 登録企業について(令和10年4月採用分対象)」のページ(2026年10月時点)
「富山県奨学金返還助成制度」は、県に登録した中小・中堅企業が理工系や薬学部の学生を採ったときに、会社と県が半分ずつ出す基金から、その人の奨学金の返還を助成する制度です。助成金は採った本人に出て、会社には入りません。対象は奨学金の2年分の総額(薬学部生は6年分も可)で、県が持つのはその半額です。
| 補助金名 | 富山県奨学金返還助成制度(理工系学部生、理工系大学院生及び薬学部生) |
|---|---|
| 相談先 | 富山県 商工労働部多様な人材活躍推進室人材確保推進課若者・UIJ担当(電話: 076-444-4558) |
| 補助対象 | 採った社員の奨学金の返還(2年分の総額が対象。利息分は除く)。1〜9年目は本人へ、10年目の残額は県が貸与団体へ直接返す |
| 補助上限(補助率) | 定額の上限なし。会社と県が対象経費の2分の1ずつ。本人への助成は1年あたり対象経費の10分の1まで |
| 期限 | 会社の登録は令和9年5月14日(金曜日)まで(令和10年4月採用分)。会社の登録も学生の応募も内定より前 |
注意したいのは、求人広告の掲載料や採用サイトの制作費には使えないことです。要綱の対象経費は学生が借りた奨学金の総額だけで、募集にかかる費用の名前はどこにも出てきません。
対象は県内に主たる事業所がある中小・中堅企業
登録できるのは、富山県内に主たる事業所がある中小企業か中堅企業で、この制度の対象になる学生を正社員として採る予定がある会社です。中小企業は中小企業基本法、中堅企業は産業競争力強化法の定めにより、どちらも個人事業主を含みます。
登録には、対象の学生に内定を出したら、対象経費の2分の1を県の基金へ納めると約束することが条件です。雇用保険の適用事業所でない事業者、労働保険料や県税を滞納している事業者、過去1年間に労働関係法令に違反した事業者は外れます。
採る人は内定前に応募した理工系・薬学部の学生
助成を受けられるのは、理工系の学部生、修士課程の大学院生、6年制課程で薬学共用試験に合格した薬学部生です。今回の募集は令和10年3月に卒業・修了する予定の人が対象で、出身地は問われません。
借りている奨学金は、日本学生支援機構の第一種(無利子)・第二種(有利子)か、富山県奨学資金に限られます。第二種の利息の分は助成の対象外です。既卒の人と高等専門学校を卒業した人は外れ、高専の専攻科を修了した人は入ります。
内定を受ける前にこの制度へ応募した学生でなければ、助成は受けられません。採る会社の代表者や取締役の3親等以内の親族が跡継ぎとして入る場合も外れます。市町村などから同じ趣旨の奨学金返還の助成を受ける人も対象外です。
採った人は、卒業した年の4月末までに正社員として入社し、県内で働いていることが助成の条件です。県外の勤務に移ると、そのあいだ助成は止まります。
制度に応募しても学生の就職活動は縛られず、登録企業へ入る義務もありません。
補助が出るのはこの3つの場面
要綱の書き方だと分かりにくいので、実際の場面に置き換えます。次の3つのどれかに当てはまったときに使えます。
①理工系の学部生を採ったとき(2年分)
理学・工学・農学・保健・商船など、いわゆる理系の学部を卒業する人を採った場面です。助成の対象になるのは、在学中に借りた奨学金のうち2年間分の総額です。会社がその2分の1を、県が残りの2分の1を基金に出します。
②理工系の大学院生を採ったとき(2年分)
修士課程(博士課程の前期を含む)を修了する人を採った場面です。対象は大学院に在学中に借りた奨学金の2年分の総額で、学部のときに借りた分は入りません。一貫制の博士課程の人は外れます。
③6年制の薬学部生を採ったとき(最大6年分)
6年制課程で薬学共用試験に合格した薬学部生を採った場面です。対象は、5・6年生のときに借りた2年分の総額か、1年生から6年生までに借りた6年分の総額のどちらかです。6年分にすると、会社が基金に納める額も6年分の総額の半分になります。
逆に、次の場面では出ません。
- 正社員の募集で、求人媒体に広告を出した
- 採用サイトや採用動画、パンフレットを作った
- 採用活動の代行を外部に頼んだ
- 合同説明会や就職イベントに出展した
助成が埋めるのは、採った人が前の年に返した奨学金の分だけです。求人広告や説明会など、学生と出会うまでにかかるお金は、登録してもしなくても自社の持ち出しです。県の基金から助成が出始めるのは、その人が入社して返還を始めたあとです。
薬学部生を受け入れるなら、2年分か6年分かは締切までに決める
登録企業一覧には、会社ごとに対象とする学生の欄があり、6年制の薬学部生は2年分と6年分が別の欄です。登録の内容を変えられるのは申請期間のうちだけで、締切を過ぎると受け付けられません。
会社が納めるのは対象経費の半分・入社後に一括
内定を出した学生が入社しなければ、会社が基金へ納めるお金はありません。登録しても内定に至らなかったときや、内定を辞退されたときは、納めなくてよいと県は案内しています。
内定を出したら、その都度県へ連絡します。入社したあと、県から届く納付書で、1人ごとに対象経費の2分の1を一括で納めます。分割では払えず、何人か採ればその人数分を納めます。
県は基金から、採った人が働き始めた翌年度から10年間、前年度に返した奨学金の額(利息を除く)を本人に助成します。1年あたりの上限は対象経費の10分の1で、10年目に残った分は県が貸与団体へまとめて返します。
会社はその間、毎年4月末までに本人へ在職証明書を出します。採った人が辞めると助成は打ち切られ、会社が納めたお金(制度では「出捐金」と呼びます)のうち、本人に払われていない分は会社に返されます。県外の勤務に移した場合は、その残りが10年目に会社へ返されます。
10年かけて返還に充てる額の半分を、入社したあとに一度で納める形です。採る人数と受け入れる学生の種類が決まった時点で、入社後の支出として見ておくのが確実でしょう。
登録は毎年度・令和9年5月14日まで
会社の登録は県の申込みフォームから行い、あわせて3か月以内に発行された履歴事項全部証明書と、会社案内などの会社概要を郵送などで出します。県が審査し、結果は文書で届きます。
登録は年度ごとで、続けて使うなら毎年あらためて申し込む必要があります。今の募集は令和10年4月に採る分が対象で、締切は令和9年5月14日(金曜日)です。前年度から続ける会社は、資本金の額や会社概要に変更がなければ、その書類を出し直さずに済みます。
登録の時点ですでに内定や内々定を出している学生には、この制度を使えません。学生の応募は令和8年10月1日から、会社と同じ令和9年5月14日までです。
登録した会社は、県のホームページの登録企業一覧に載ります。一覧には事業内容や募集職種、この制度で採る予定の人数が並びます。
富山市に本社なら、市の代理返還の補助もある
富山市には「富山市奨学金代理返還支援事業補助金」があります。代理返還(会社が社員に代わって日本学生支援機構へ奨学金を返すこと)をした会社に、その2分の1を市が補助する制度です。
対象は市内に本社があり、就業規則などに代理返還の制度を設けて3年以上続ける中小企業等で、上限は社員1人につき年9万円、1社につき年45万円です。令和8年4月1日から令和11年3月31日までに採った、採用年度末に30歳以下の社員が対象で、申請は令和9年度からです。
お金の流れは県の制度と逆で、市の補助は会社に入ります。県の制度は、市町村などから同じ趣旨の助成を受ける人を対象から外しています。富山市に本社がある会社は、両方を使えるかどうかを、登録の前に県と市の窓口で確かめてください。
参考記事:『【年9万円】「富山市奨学金代理返還支援事業補助金」は何に使える?対象と時期を解説!』
まずは補助金活用の前に、「どう応募を獲得するか?」を考えよう!
「富山県奨学金返還助成制度」は、登録しただけでは基金とのお金のやり取りが生じない制度です。対象経費の2分の1を納めるのは、内定を出した学生が入社してからです。
制度に応募した学生の側にも、登録企業へ就職する決まりはありません。納める額は見積もれても、内定を出せる相手が現れるかは、どう応募を獲得するかで決まります。
採用活動は、もう「片手間」では回りません…
その「どう応募を獲得するか」は、いまは空いた時間で片付く話ではなくなっています。採れる人そのものが減って、残った人の取り合いになっているからです。
①働き手が減り、若い人は都市部へ出ていく
15〜64歳の人口は7329万人で、1年で26万5千人減りました。そのうえ20〜24歳の若い層は、4年続けて、東京圏以外のどの道府県からも東京圏へ流れ出ています。少ないパイを、地方の会社同士で取り合う構造です。
参考サイト:『総務省「人口推計」(2026年3月1日現在・確定値)』『総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」(日本人移動者)』
②求人は求職者の2倍を超え、応募は取り合いになる
実際、富山県の新規求人倍率は2026年7月時点で2.71倍です。ひと月に新しく出てくる求人だけで、新たに仕事を探し始めた人1人あたり2件を超えます。取り合いに負ければ、人は入ってきません。
全国で正社員が足りないと答えた企業は51.3%です。建設では66.0%、運輸・倉庫では65.6%で、業種によっては3社のうち2社が足りないと答えています。同じ求人を同じように出していては、この取り合いからは抜けられません。
参考サイト:『厚生労働省「一般職業紹介状況」(2026年7月・季節調整値・就業地別。都道府県別はJILPT公表値)』『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』
③仕事はあっても人がいない、で終わってしまう
人手不足をたずねた調査では、たとえば「工事案件はあるが、原材料の高騰と人を集めることが困難で、受注したくてもできない状況」(土木建築サービス)という声が出ています。採れないことが、そのまま仕事の取りこぼしになります。
採れないあいだにも、いま居る人が辞めることはあります。「1人採れれば足りる」と構えると、辞めた分を埋めるだけで終わります。募集は、事業を続ける限り止まりません。採用は片手間の仕事ではなく、会社を続けるための経営戦略です。
参考サイト:『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』
採用が厳しい地域でも、3か月で応募17人・内定3人
地方採用ワークスでご支援した例を1つご紹介します。
岐阜県大野郡白川村の、従業員20名ほどの総合建設会社様では、支援開始から3か月で応募が17人、うち3人の内定に至りました。有資格者の採用にもつながっています。
足りないと答えた企業が66.0%に上る建設で、しかも採用が厳しい地域での結果です。同じ結果をお約束できるものではありませんが、条件が厳しくても、打ち手は残っています。
地方採用ワークスは、都市部より母数が少ない地方の採用を専門に、数多くの企業様をご支援してきた会社です。地方の企業が中心ですが、都市部の企業様からのご依頼もいただいています。採用ブランディングの設計から採用サイトの制作、応募を獲得したあとの一次面接やフォローまでをご支援しています。
いまの状況をお聞かせいただければ、どう応募を獲得するかの設計から、ご一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。