【年9万円】「埼玉県中小企業等奨学金返還支援事業補助金」は何に使える?対象の手当を解説!

奨学金を返している社員に手当を出すと県から補助が出る、と知って埼玉県中小企業団体中央会の案内を開いたものの、手当のどこまでが会社に戻り、どこからが持ち出しになるのかが読み取れず、申請に進めずにいませんか。

本記事では、2026年10月時点の県の公表内容をもとに、公式HPの内容をかみ砕いてご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください!

この記事でわかること

  • 返還中のどの社員に払った手当で、年いくらまで会社に戻るのか
  • 求人広告や採用サイトなど、募集の費用まで補助の対象に入るのか
  • 手当の制度を整えても、「どう応募を獲得するか」は補助金では片付かないこと

埼玉県が出している採用まわりの制度は、この補助金を入れて10件あります。市町村の制度まで並べて見比べたい方は、自治体別に整理した記事からどうぞ。

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※本記事は各自治体公式ページの内容を元に、「より分かりやすく」を趣旨にまとめさせていただいたものです。記載の内容については、一切の責任を負いかねますので、必ず申請前には各自治体の担当窓口までご相談いただきますようお願いいたします。

埼玉県中小企業等奨学金返還支援事業補助金の概要

埼玉県中小企業団体中央会のサイトにある「埼玉県中小企業等奨学金返還支援事業補助金」の案内ページ。事業概要の見出しの下に、手当等の一定額を補助する旨と、補助対象となる中小企業等の要件、業種別の資本金と従業員数の表が並んでいる

出典: 埼玉県中小企業団体中央会「埼玉県中小企業等奨学金返還支援事業補助金」のページ(2026年10月時点)

「埼玉県中小企業等奨学金返還支援事業補助金」は、県内に事業所がある中小企業等が、奨学金を返している正社員に返還支援の手当を払ったときに使える制度です。払った手当の2分の1が、社員1人あたり年9万円まで会社に戻ります。

補助金名 埼玉県中小企業等奨学金返還支援事業補助金
相談先 埼玉県中小企業団体中央会 奨学金返還支援室(電話: 048-700-4600)。制度の問い合わせは埼玉県 産業労働部 就業支援課(電話: 048-830-4538)
補助対象 就業規則や賃金規程などに定め、奨学金を返している正社員に払った返還支援の手当等。会社が本人に代わって返す代理返還も対象
補助上限(補助率) 社員1人あたり年9万円(2分の1)。多様な働き方実践企業は年12万円(3分の2)。1人につき最大6年間
期限 交付申請は令和8年6月1日〜11月30日(jGrants)。交付決定より前に払った手当は原則対象外。予算の限度額に達するまで交付

注意したいのは、求人広告費や求人サイトの掲載料、採用サイトの制作費には使えないことです。実施要領の別表が補助対象経費に挙げているのは、社員に支給する「手当等」の1行だけです。

対象は県内に事業所を持つ中小企業や法人

埼玉県内に事業所があり、従業員の奨学金返還を支える制度を社内に設けた中小企業等が対象です。会社のほか、学校法人や医療法人、社会福祉法人、NPO、公益法人、個人事業主も含まれます。

中小企業ではない会社に議決権の半分以上を持たれているなど、大企業の支配下にある会社は「みなし大企業」と呼ばれます。みなし大企業と、国や地方公共団体から出資を受けた会社は外れます。

労働関係法令に違反している会社、風俗営業、暴力団員等も対象になりません。税の滞納がある場合も、交付にふさわしくない例として中央会の案内に挙がっています。

中小企業者の条件は、県の補助事業の実施要領の別表に業種別の数字で載っています。資本金と従業員数のどちらか一方が収まっていれば中小企業者です。

業種分類 資本金の額または出資の総額/常時使用する従業員の数
製造業・建設業・運輸業 3億円以下/300人以下
卸売業 1億円以下/100人以下
サービス業(ソフトウエア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) 5千万円以下/100人以下
小売業 5千万円以下/50人以下
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ等を除く) 3億円以下/900人以下
ソフトウエア業・情報処理サービス業 3億円以下/300人以下
旅館業 5千万円以下/200人以下
その他の業種 3億円以下/300人以下
医療法人・学校法人・社会福祉法人 -/100人以下

表の行のほかに、組合・連合会、一般・公益の社団法人と財団法人、特定非営利活動法人の条件も別表に並んでいます。

手当の相手は正社員6年以内で返還中の人

補助の額は、手当を払う社員1人ずつで見ます。正社員であり、正社員になってから6年以内で、借りた奨学金を本人が返していて、県内の事業所で働いている人が対象です。今年度から返し始める予定の人も含みます。

正社員は、期間の定めがなく長期雇用を前提とした待遇の人で、試用期間かどうかは問いません。6年は、正社員になった月を1か月目として72か月目までと数えます。中途採用の人も入り、あとから正社員に転換した人は転換した月から数えます。住んでいる場所や年齢の条件はありません。

新卒などで返還が猶予されている期間は、6か月を上限に72か月の数えから外します。例えば猶予が6か月ある新卒の社員なら、7か月目から78か月目までが補助の対象期間です。前の勤め先でこの県の支援を受けていた人は、その期間も合わせて数えます。

対象の奨学金は、日本学生支援機構のほか、自治体や大学、公益法人、民間企業などが貸すものです。医療や福祉などの分野で人を確保するために返還が免除される奨学金は外れ、埼玉県医師育成奨学金や埼玉県介護福祉士修学資金がその例です。

同じ社員への補助は、対象期間の72か月分で終わります。ほかの団体から返還の支援を重ねて受けている人は、最初から対象になりません。

補助が出るのは規程どおりに手当を払った場面だけ

補助の計算に入るのは、就業規則や賃金規程に定めたうえで社員に払った、奨学金返還支援の手当等だけです。会社から社員への貸付金は対象になりません。

払い方は、返還支援の手当として社員に渡す形と、会社が本人の代わりに日本学生支援機構などへ直接返す代理返還の2通りで、どちらも対象です。中央会は規程の例を、手当の形と代理返還の形の2種類用意しています。

補助率は2分の1で、社員1人あたり年9万円が上限です。県の「多様な働き方実践企業」の認定(テレワークや短時間勤務などを実践する会社を県が認める制度)を受けていれば、3分の2・年12万円まで上がります。年度の途中で認定された場合は、翌年度からの適用です。

年度の途中で採った社員はその月から、辞めた社員はその月まで対象です。県外の事業所へ移った社員は、移る前の月までになります。社員を増やすときや手当を上げるときは変更承認申請が要り、手当を払ったあとで補助の額を増やすことは認められていません。

逆に、次の場面では出ません。

  • 正社員の募集で、求人媒体に広告を出した
  • 採用サイトや採用動画、パンフレットを作った
  • 採用活動の代行を外部に頼んだ
  • 合同説明会や就職イベントに出展した

県の補助は、手当を受け取る社員が社内にいる会社にしか付きません。外れる4つは、その手当を払う相手がまだ決まっていない段階の費用です。実施要領も目的に、人材の確保と並べて従業員の定着と若者の負担軽減を挙げています。

社員が増えたり手当を上げたりするなら、払う前に変更承認を出す

払ってから申し出ても補助の額は増えないので、対象の社員が増える見込みや手当の見直しが決まった時点で中央会に相談しておくと、計算から漏れる月を作らずに済むはずです。

手当を払い始めるのは交付決定のあと

交付決定より前に払い始めた手当は、原則として補助の対象になりません。やむを得ず先に払う場合は、事前着手届を中央会に出して承認を受ければ、その年度の4月1日までさかのぼれます。

先に整えるのは社内の規程です。常時10人未満の会社は就業規則が無くても申請できますが、奨学金返還支援の制度を設けたことが分かる社内規程は出す必要があります。規程づくりには社会保険労務士の無料アドバイスがあり、申し込みは中央会が受け付けています。

申請は電子申請システム「jGrants」で行い、事前に「GビズIDプライム」の取得が要ります。令和8年度の受付は6月1日から11月30日までで、予算の限度額に達するまで交付決定が出ます。

年度の終わりには、2月末までに実績報告を出します。手当を払ったすべての月の賃金台帳や給与明細の写しを付け、3月分は払う見込みで報告します。中央会が支給の状況を確かめたあと、会社の請求にもとづいて補助金が支払われます。社員が計画どおり返還しているかは、会社が毎年確かめる決まりです。

中央会のサイトにはこの補助金を使った会社の一覧があり、ホームページへの公開に同意した会社だけが載ります。県の就職活動向けページも、この一覧を「奨学金返還支援実施企業」として紹介しています。

秩父市の会社は市の上乗せも申請できる

秩父市内に事業所がある会社は、県の交付決定を受けたあとに、市の補助を別に申請できます。「秩父市中小企業奨学金返還支援補助金」で、市内の事業所で働く社員に払った手当が対象です。

市の額は、手当の2分の1か9万円のどちらか低いほうです。多様な働き方実践企業は、3分の1か6万円の低いほうになり、どちらも1,000円未満は切り捨てます。市は、県と合わせると会社が払った手当のうち1人最大18万円まで補助されると案内しています。

申請書兼請求書に関係書類を付けて、秩父市 産業観光部 産業支援課(電話: 0494-25-5208)へ出します。市税を滞納している会社は対象外です。ほかの市町村にも同じような上乗せがあるかは、事業所のある市町村の窓口で確かめておくと確実でしょう。

まずは補助金活用の前に、「どう応募を獲得するか?」を考えよう!

令和8年度の受付は11月30日までで、いまは規程と申請書類をそろえている時期かもしれません。この補助が付くのは、正社員になって6年以内の社員への手当です。

6年を過ぎた社員や辞めた社員の分はそこで止まり、補助が付く相手は新しく迎えた人の中からしか生まれません。手当の額を詰めることより、どう応募を獲得するかのほうが採用の結果を左右します。

採用活動は、もう「片手間」では回りません…

その「どう応募を獲得するか」は、いまは空いた時間で片付く話ではなくなっています。採れる人そのものが減って、残った人の取り合いになっているからです。

①若い人は都市部に集まり、取り合う相手が増える

東京圏に入ってくる20〜24歳は、2025年で8万443人です。いっぽうで15〜64歳の人口は7329万人で、1年に26万5千人減っています。近隣の会社だけでなく、東京圏に集まる会社どうしで同じ層を取り合います。

参考サイト:『総務省「人口推計」(2026年3月1日現在・確定値)』『総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」(日本人移動者)』

②求人は求職者の2倍を超え、応募は取り合いになる

実際、埼玉県の新規求人倍率は2026年7月時点で2.02倍です。ひと月に新しく出てくる求人だけで、新たに仕事を探し始めた人1人あたり2件を超えます。取り合いに負ければ、人は入ってきません。

全国で正社員が足りないと答えた企業は51.3%です。建設では66.0%、運輸・倉庫では65.6%で、業種によっては3社のうち2社が足りないと答えています。同じ求人を同じように出していては、この取り合いからは抜けられません。

参考サイト:『厚生労働省「一般職業紹介状況」(2026年7月・季節調整値・就業地別。都道府県別はJILPT公表値)』『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』

③仕事はあっても人がいない、で終わってしまう

人手不足をたずねた調査では、たとえば「工事案件はあるが、原材料の高騰と人を集めることが困難で、受注したくてもできない状況」(土木建築サービス)という声が出ています。採れないことが、そのまま仕事の取りこぼしになります。

採れないあいだにも、いま居る人が辞めることはあります。「1人採れれば足りる」と構えると、辞めた分を埋めるだけで終わります。募集は、事業を続ける限り止まりません。採用は片手間の仕事ではなく、会社を続けるための経営戦略です。

参考サイト:『帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」』

支援から3か月で、応募が17人集まりました

地方採用ワークスでご支援した例を1つご紹介します。

岐阜県大野郡白川村の、従業員20名ほどの総合建設会社様では、支援開始から3か月で応募が17人、うち3人の内定に至りました。

足りないと答えた企業が66.0%に上る建設で、岐阜県内でも採用が厳しい立地です。同じ結果をお約束できるものではありませんが、募集の出し方から設計し直せば応募が動く例はあります。

地方採用ワークスは、都市部より母数が少ない地方の採用を専門に、数多くの企業様をご支援してきた会社です。地方の企業が中心ですが、都市部の企業様からのご依頼もいただいています。採用ブランディングの設計から採用サイトの制作、応募を獲得したあとの一次面接やフォローまでをご支援しています。

いまの状況をお聞かせいただければ、どう応募を獲得するかの設計から、ご一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。

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