【全16件】「高知県」で採用に使える補助金は?対象の費用と上限額をまとめて紹介!
採用サイトを作り直したい。求人媒体の掲載料も少し軽くしたい。そう思って高知県内の補助金を開き、まず対象経費の欄を探した……という段階でしょうか。ところが、目に入ってくるのは経費の話ではありません。
雇用形態、就業規則、賃上げの実績。要件の欄に並ぶのは、そういう言葉です。高知の16制度を1件ずつ開くと、この並び方には理由がありました。
2026年8月の時点で公表されていた内容だけを見ています。では見ていきましょう。
この記事でわかること
- 高知県で会社側が受け取れる採用まわりの枠は何件あって、県と市にどう分かれるのか?
- 採用の実費(制作費・掲載料)に費目名がある制度は、16件のうち何件か?
- 県の枠は、お金の使い道ではなく何を見て可否を決めているのか?
- 補助率が2分の1から4分の3まで動くのは、何で決まるのか?
- 見積書を集める前に、自社のどの書類を先に開くことになるのか?
出どころは、県・市・県の外郭団体が公開している案内ページと、交付要綱・公募要領・実施要領・申請様式です。1件ごとの申請の進め方までは、この記事では扱いません。
高知県の16制度は県が10件を持つ
県庁の15課と、市町村の商工・雇用・福祉のページを1つずつ開きました。2026年8月時点で、会社や法人の側が受け取れる採用まわりの枠は16件ありました。
| 区分 | 数と内訳 |
|---|---|
| 制度の合計 | 16件(県10件・市6件) |
| 枠を確認できた自治体 | 県と3市(高知市・香美市・宿毛市) |
| 高知県の市町村数 | 34(11市17町6村) |
| 市の6件の内訳 | 高知市4件・香美市1件・宿毛市1件 |
16件のうち、採用サイトの制作費や求人媒体の掲載料に費目名があるのは1件だけです。残りの15件は、雇い方や職場の状態のほうに条件を置いています。この形が高知の特徴です。
国の助成金は、この16件の外側にあります。出す先も違えば、動ける時期の決め方も違います。国の枠から先に見ておきたい方は、こちらからどうぞ。
参考記事:『【国と自治体】採用に使える助成金と補助金は?自社が対象かの見分け方を徹底解説!』
働く本人が受け取る枠は外した
この記事で1件と数えたのは、補助金・助成金・給付金・交付金として固有の名前が付いていて、受け取るのが会社側である枠までです。中にメニューがいくつあっても、交付要綱が1本なら1件として扱いました。福利厚生と資格取得の2つを持つ高知市のはたくら補助金も、これで1件です。
高知で取り違えやすいのが移住支援金と奨学金返還支援で、こちらはお金が働く本人へ渡るため数えていません。無料で使える掲載枠や登録制度も補助金ではないので件数の外ですが、高知ではこれが補助金の要件に組み込まれているため、後ろで別に扱います。
高知市に4件、他は2市に1件ずつ
市の6件の内訳は、高知市が4件、香美市と宿毛市が各1件でした。高知市の4件は、「インターンシップ促進補助金」「はたくら補助金」「はたいく給付金」「テレワーク導入支援事業費補助金」です。
このうちテレワーク導入支援事業費補助金は、別表の対象品目がデバイス・ネットワーク・サーバ・セキュリティ・IP電話・Web会議で、採用に当たる品目が1つもありません。採る費用を探して開くと空振りになる枠です。
香美市は「介護人材確保支援事業助成金」、宿毛市は「スポットワーク導入支援事業補助金」の1件ずつ。23の町村では、事業者向けの枠を見つけられませんでした。
近い名前の制度が無いわけではありません。南国市の中小企業振興事業費補助金は7つのメニューを持ちますが、採用にあたるものはありませんでした。四万十町は求人情報の紙面とサイトを町として持っていますが、掲載は無料で、費用を補助する枠ではありません。
自社の市町村に枠が見当たらないときは、県の10件を調べるのが早道です。
所管は移住促進課から障害福祉課まで
県の10件は、担当する課がそろっていません。名前から想像しにくい課が持っているものが多く、商工のページだけを見ていると半分ほどが視界に入りません。
| 所管 | 件数と制度 |
|---|---|
| 総合企画部 移住促進課 | 1件(求人情報発信等支援事業費補助金) |
| 商工労働部 雇用労働政策課 | 2件(賃金向上環境整備/働きやすい環境整備) |
| 商工労働部 商工政策課 外国人材受入推進室 | 2件(外国人材受入環境整備/技能実習生講習施設整備) |
| 産業振興推進部 産業政策課 | 2件(所得向上推進企業等総合支援/大学生等交流促進) |
| 子ども・福祉政策部 長寿社会課・障害福祉課 | 2件(外国人介護人材確保支援/障害福祉人材確保等事業交付金) |
| (公財)高知県産業振興センター | 1件(地域外プロフェッショナル人材活用促進事業費助成金) |
採用の枠を探すつもりで商工のページを開いても、募集の実費に費目が立つ枠でいちばん大きい350万円の制度は出てきません。あれは移住促進課の所管です。
プロフェッショナル人材の助成金にいたっては、公募主体が県ではなく産業振興センターで、手引きとQ&Aは高知県UIターンサポートセンターのサイトにあります。
Tips|担当課は商工とは限らない
自社の市町村名に「補助金 一覧」を足して担当課のページを開き、そこに費目の記載が見当たらなければ交付要綱のPDFまで下りてください。高知では移住促進課・産業政策課・長寿社会課・障害福祉課にも枠があります。
実費に費目が立つのは16件中1件
ここからが本題です。16件の対象経費を1件ずつ開くと、採用サイトの制作費や求人媒体の掲載料といった実費に費目名を与えている制度は県の1件しかありません。
その1件が「高知県求人情報発信等支援事業費補助金」です。補助率3分の2以内・1事業者350万円まで。受付は令和8年5月1日から令和9年1月29日までで、予算額に達した時点で終了します。
制作費を名指しするのは移住促進課の枠
費目名が並んでいるのは、募集要領の末尾に付く別紙「補助対象経費(例)」です。実務で使う名前で細かく書かれているのが特徴です。
| 区分 | 別紙に並ぶ費目 |
|---|---|
| ホームページの開設・改修 | 自社の採用ホームページの開設または改修費(デザイン、コーディング、サーバー設定などの初期費)/CMS構築費/応募フォーム設置費/採用ブランディング・UX改善・SEO対策等のWebコンサル費 |
| 制作物の中身 | リクルート系記事の制作費(採用担当メッセージ、社員インタビュー等)/各種デザイン制作費/写真・動画撮影費 |
| 求人広告 | 就職転職サイト・求人検索エンジンへの掲載料/SNS広告・WEB広告の出稿料/広告代理店等へのディレクション費 |
ページを用意する費用と、そこに載せる記事を書く費用が、同じ区分に並んでいます。逆に外れるものもはっきり書かれていて、ランニングコスト、次年度以降の費用、内製した場合の社員の人件費、そして人材紹介の成功報酬は対象外です。
条件も2つ付きます。採用を目的としたホームページであること。そして、見積書と請求書で採用ページの分とそれ以外の分が区別できるように書いてもらうこと。汎用性の高い会社案内のようなページは、ここに入りません。
高知県内で採用ホームページを作り直す費用をこの枠に当てたい方は、対象になる条件まで1件分だけ追った記事があります。
参考記事:『「高知県求人情報発信等支援事業費補助金」は移住促進課が窓口?対象の求人と申請の順番を解説!』
募集を終えた5000万円の枠が紹介料を挙げる
16件を金額だけで並べると、いちばん大きいのは「所得向上推進企業等総合支援事業費補助金」です。ただしこの枠は令和8年5月20日で1次公募を締め切っています。
募集の実費に費目は立ちませんが、人材紹介手数料の側で採用に関わります。横展開枠が上限500万円(対象事業を2つ以上実施する場合は1,000万円)、先進枠が下限1,000万円から上限5,000万円。補助率はどちらも3分の2以内です。
公募要領には、人を採る費用の名前が3か所に出てきます。高付加価値化に「自社製品開発を担う中核人材獲得のための人材紹介手数料」、生産能力の向上に「増員に伴う人材紹介手数料」、経営組織の変革に「社長の右腕となる経営人材獲得のための人材紹介手数料」。
ところが、採用サイトにも求人広告にも費目名がありません。広告費として挙がっているのは販路開拓の「市場開拓のための広告費」だけです。紹介で採るなら費目があり、募集して採るなら費目が無い、という形になっています。
当初は2次・3次の募集が予定されていましたが、案内ページには「1次公募をもって募集終了とし、次回公募は実施しません」と追記されています。この枠を待つより、次の年度の設計を先に見ておくほうが損がありません。
税抜15万円に届かないと出ない
上限の大きさに目が行きますが、高知の県の枠には下限もあります。忘れやすいのはこちらのほうです。
求人情報発信等支援事業費補助金は、補助金の額が10万円に満たない場合は対象外と定めています。補助率3分の2で割り戻すと、税抜の補助対象経費が15万円に届かない申請は、そもそも受け付けられません。所得向上補助金の横展開枠も事業費15万円(税抜)から、先進枠にいたっては1,500万円(税抜)からです。
「働きやすい環境整備事業費補助金」にも同じ下限があり、補助金の額が10万円に満たない場合は対象外となっています。県の枠は、小さく1本だけ直す使い方を想定していません。ページを1枚だけ差し替える規模なら、募集の設計から組み直してから確かめるほうが早いです。
求人票の雇用形態が最初に見られる
実費に費目が立つ枠が1件しかないなら、残る15件は何を見ているのか。ここから3つに分けて見ていきます。1つ目が雇用形態です。
高知では、いま出している求人票がどの雇用形態かで、開ける枠と開けない枠が分かれます。
| 制度・受け皿 | 雇用形態の条件 |
|---|---|
| 求人情報発信等支援事業費補助金 | 期間を定めないで雇用される労働者(正規雇用労働者)の採用を目的とする事業に限る |
| 企業の魅力発信支援事業のマッチングサイト | 正社員または1年以上の雇用期間のある契約職員の求人 |
| 高知求人ネット | 原則1年以上の常用雇用を前提とした求人。派遣・パート・アルバイト・新卒者向けは登録不可 |
| 宿毛市スポットワーク導入支援事業補助金 | 短時間・単発の雇用契約の仲介手数料 |
| 高知市インターンシップ促進補助金 | 事業者と実習生が雇用関係にないこと |
パートの募集は350万円の枠から外れる
求人情報発信等支援事業費補助金の交付要綱は、補助の対象を「期間を定めないで雇用される労働者」の採用を目的とする事業に限っています。Q&Aはさらに踏み込みます。県内で雇う場合でも、アルバイトやパートの募集は対象になりません。
分かれ目は、期間の定めがないことと、賃金の算定方法や賞与、退職金、休日、昇級昇格が長期雇用を前提に適用されているかどうか。求人票の条件欄がそのまま要件になっています。
例外もあります。Q&Aは、6か月の試用期間を契約社員とし、その後に正社員へ登用する形を対象として挙げています。いま出している求人の雇用形態を、申請書に手をつける前に確かめておきましょう。
無料の掲載先も正社員と契約社員に限る
同じ条件は、費用のかからない掲載枠にも当てはまります。県が持つマッチングサイトへ求人を載せられるのは、雇用形態が正社員または1年以上の雇用期間のある契約職員の求人です。
「高知求人ネット」はもう少し細かく、原則1年以上の常用雇用を前提とした求人に限り、派遣・パート・アルバイト・新卒者向けは登録できません。新卒は「高知おしごと部」という別のサイトが受け持ちます。
ここが効くのは、求人情報発信等支援事業費補助金の要件に高知求人ネットまたは高知おしごと部への掲載が入っているからです。補助金の要件で正規雇用の条件を満たしても、掲載先の登録要件で同じ条件をもう一度満たす形になります。自社の求人が登録できる形かどうかを見るのが先です。
宿毛市だけが単発の雇用を見ている
16件の中で1つだけ、逆を向いている枠があります。宿毛市スポットワーク導入支援事業補助金です。
対象は、短時間・単発の雇用契約を仲介するスポットワーク仲介サービスを利用し、雇用が成立したことへの対価として支払った手数料。補助率2分の1・1事業者あたり5万円で、市が指定した仲介サービス事業者の成果報酬型の手数料に限られます。
県の枠が期間の定めのない雇用だけを見ているのに対して、宿毛市は最も短い雇用を見ています。額は小さいものの、繁忙期の人手を単発で埋めている会社にとっては、県の枠より当てやすい形です。
雇用関係が無いことを求める枠もある
もう1つ、雇用形態の欄そのものを裏返している枠があります。高知市インターンシップ促進補助金は、補助対象事業の要件に「事業者と実習生が雇用関係にないこと」を置いています。
そのほかの要件は、主として対面で実施すること、実習生1人につき2日以上であること、実習生が代表者の三親等以内の親族でないこと。前年度に実施した事業者は、実施日数や就業体験時間の増加といった見直しが図られたものに限られます。
補助率は3分の2で、金額は受入実習生1名あたり2万円。対象経費には実習生の交通費・宿泊費・保険料・謝金のほか、プログラムの新規作成や見直しに係る専門家のコンサルティング費が入っています。受け入れの段取りを外に相談する費用が費目として立っている点は、ほかの枠にはない形です。
高知市で学生の受け入れから採用につなげたい方は、対象になる条件と金額を1件分だけ追った記事があります。
参考記事:『「高知市インターンシップ促進補助金」は会社に出る?対象の費用と申請の期限を解説!』
補助率は認証の部門数と転換の人数で動く
2つ目は認証です。高知には県が運営する認証制度がいくつかあり、それが補助率の側に効いてきます。同じ枠に同じ経費で申請しても、認証の持ち方で戻ってくる額が変わります。
| 制度 | 何で率が動くか |
|---|---|
| 働きやすい環境整備事業費補助金 | ワークライフバランス認証の部門数/外国人材認証の星の数/正規雇用転換の人数で、2分の1・3分の2・4分の3の3段階 |
| 外国人材受入環境整備事業費補助金 | こうち外国人材優良サポート事業者認証で3分の1から2分の1へ |
| 求人情報発信等支援事業費補助金 | ワークライフバランス認証1部門以上が申請の前提(率は3分の2で固定) |
| 所得向上推進企業等総合支援事業費補助金 | こうち男性育休推進企業への登録が申請の前提(率は3分の2で固定) |
男性育休を含む4部門で率が上がる
3段階をいちばんはっきり書いているのが、働きやすい環境整備事業費補助金です。令和7年度の募集要領は、補助率を次のように分けています。
4分の3以内になるのは、「高知県ワークライフバランス推進企業認証制度」で男性育休推進部門を含む4部門以上の認証を取得している事業者。3部門以上なら3分の2以内。どちらにも当たらなければ2分の1以内です。
認証は6つの部門に分かれています(次世代育成支援・男性育休推進・介護支援・年次有給休暇の取得促進・女性の活躍推進・健康経営)。ポータルは「認証は1部門から取得できます」と案内していますが、1部門と4部門では、同じ工事に戻ってくる額が1.5倍違います。認証期間は認証日から3年間です。
正規雇用へ2名転換しても同じ率になる
同じ表には、認証を持っていない会社のための道も書かれています。補助事業期間内に正規雇用転換を2名以上実施すれば4分の3、1名以上なら3分の2。認証の部門数と並べて定められています。
正規雇用転換の定義も要綱にあり、交付申請時点で雇用している非正規雇用労働者、または受け入れている派遣労働者を、補助事業完了日までに正規雇用労働者に転換することを指します。実績報告では、転換者の労働条件通知書と賃金台帳の写しを出すことになります。
つまりこの枠は、工事や設備の見積書と一緒に雇用契約の書類を審査しています。対象になるのは女性用トイレの整備、専用休憩室や更衣室、パワーアシストスーツの導入、フリーアドレスやキッズルームの整備、職場のバリアフリー化など。補助金の額はハードとソフトを合わせて600万円以内です。
なお、2026年8月18日の時点で、雇用労働政策課のページに並んでいるのは令和7年度版と令和6年度版だけでした。財源が物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金であることが本文に明記されているので、年度で扱いが変わる可能性があります。
認証を取ること自体に高知市が出す
県が認証を条件に使う一方で、高知市は認証を取ったこと自体にお金を出しています。はたいく給付金(正式名称は高知市子育て支援企業認定促進給付金)です。
| 認証等の種類 | 給付金額 |
|---|---|
| 高知県ワークライフバランス推進企業認証制度の男性育休推進部門の認証 | 10万円 |
| 厚生労働省のくるみん、くるみんプラス、プラチナくるみん、プラチナくるみんプラス、トライくるみん、トライくるみんプラスのいずれかの認定 | 30万円 |
対象は高知市内に活動拠点を置き、常時雇用する労働者を有する企業・法人・団体。1事業者につきそれぞれ申請は1回限りで、令和7年10月2日以後に受けた認証等に限られます。申請期間は認証等の後6か月以内です。
市内の会社にとっては、県の補助率を上げるために取る認証に、市の給付金が付いてくる形になります。ただし予算がなくなり次第終了と明記されているので、認証が下りたらその足で申請に回るのが確実です。
外国人材の認証は星の数で効く
もう1つの認証が、「こうち外国人材優良サポート事業者認証制度」です。こちらは星の数で段階が付いています。
「外国人材受入環境整備事業費補助金」(スキルアップ支援)は、雇用している外国人材へのビジネススキル研修・技能訓練・日本語教育の受講費用を対象とし、補助率は3分の1以内。認証を受けた事業者は2分の1以内に上がります。
限度額の書き方は2通りに分かれています。県庁のページが外国人材1人あたり10万円、県の外国人材活躍ポータルが1事業者あたり100万円(外国人材1人あたり3万円)です。少ないほうの1人3万円で見積もっておくと、後から足が出ません。
先の働きやすい環境整備事業費補助金でも、この認証の3つ星が4分の3、2つ星が3分の2の条件として、ワークライフバランス認証と並べて挙がっています。
賃上げの実績が申請の条件になる
3つ目が賃金です。高知には、採用にかけた費用ではなく給与をいくら上げたかを見て出す枠が並んでいます。採用の費用より先に、賃金の実績が問われる形です。
| 制度 | 賃金の条件 |
|---|---|
| 賃金向上環境整備事業費補助金 | 対前年度比または対前年同月比で2パーセント以上の賃上げ |
| 所得向上推進企業等総合支援事業費補助金 | 3年の事業計画で従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率2パーセント以上(先進枠は5パーセント以上) |
| 障害福祉人材確保等事業交付金 | 処遇改善加算を算定していること。賃金改善の対象は福祉・介護職員 |
対前年2パーセントが賃金向上の要件
「賃金向上環境整備事業費補助金」は、対象従業員1人あたり10万円を出す枠です。1社あたりの限度額は1,000万円で、後述する指定補助金に係る自己負担額が上限になります。
補助要件は、直近事業年度の決算で対前年度比2パーセント以上の賃上げが行われていること、または令和7年12月1日から令和8年12月1日までの賃上げ実施月に対前年同月比で2パーセント以上の賃上げが行われていること。どちらかを満たしていることが、申請の条件です。
対象従業員は、交付申請時点で県内の事業所で雇用している従業員のうち雇用保険の被保険者です。所管は雇用労働政策課で、申請受付は令和8年6月10日に始まりました。
県が別に指定する27の補助金が前提になる
この枠にはもう1つ、珍しい前提が付いています。県が指定する国または県等の補助金(指定補助金)の交付決定を令和8年度に受けていることです。制度の説明は「その補助事業の効果が現れるまでの間における賃上げ原資の一部に相当する経費の支援」と書かれています。
指定されているのは27の補助金で、この記事で数えた16制度とは別の一覧です。国の助成金も含みます。
並んでいるのは介護事業所デジタル化支援、所得向上推進企業等総合支援、水田農業機械導入支援、園芸用ハウス整備、林業労働環境改善、漁船導入支援、業務改善助成金、中小企業省力化投資補助金、新事業進出・ものづくり補助金など。
気をつけたいのは、求人情報発信等支援事業費補助金がこの27件に入っていないことです。採用の枠を使っただけでは、賃金向上の側には進めません。なお、交付決定を受けた補助金が業務改善助成金の場合は、2パーセントの賃上げ要件そのものが問われない扱いになっています。
いま受けている補助金がこの一覧に入っているかどうかを、先に確かめておかれるとよいでしょう。
所得向上は3年の伸び率を約束させる
所得向上推進企業等総合支援事業費補助金の要件は、単年ではなく3年で見ます。横展開枠は、3年の事業計画期間で「従業員1人あたり給与支給総額」と「付加価値額」の年平均成長率をいずれも2パーセント以上増加させること。事業実施後1年目の成長率も2パーセント以上とすることが条件です。
先進枠になると、ここに「給与支給総額」そのものが加わり、いずれも5パーセント以上に上がります。申請書に書くのは見積の金額だけではなく、3年後の給与の数字です。
もう1つの要件が「こうち男性育休推進企業」への登録で、配偶者が出産した従業員数、そのうち育休を取得した従業員数、平均育休取得日数の3項目を公表できることが求められます。対象者や取得者がいない企業も登録は可能です。
福祉の交付金は処遇改善加算が前提
福祉の側には、国のメニューを県が受け取って交付する枠があります。「障害福祉人材確保等事業交付金」がそれで、交付要綱は国の「障害福祉人材確保・職場環境改善等事業実施要綱」と「障害児支援人材確保・職場環境改善等事業実施要綱」に基づくと定めています。
対象になる事業所は、基準月において処遇改善加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ)を算定していること。基準月は原則として令和6年12月です。賃金改善の対象者は福祉・介護職員で、事業所の判断で他の職員を加えることもできます。
障害福祉課のページには「障害福祉人材確保等事業交付金の届出」が現在も並んでいますが、令和8年度分としての年度表記は確認できませんでした。介護の側にも同じ性格の交付金がありますが、2026年8月時点で現況を確かめられなかったため、16件には数えていません。
残る枠は職場と海外に向いている
雇用形態・認証・賃上げの3つに当てはまらない枠も残ります。職場の書類、募集する場所、そして福利厚生の側を見ているものです。
就業規則の届出は2つの枠で要る
高知では、就業規則が労働基準監督署に届け出てあるかどうかが、2か所で問われます。
働きやすい環境整備事業費補助金は、対象事業者の要件に「就業規則を作成し、労働基準監督署へ届出を行っている、または作成予定であること」を置き、交付申請の添付書類として届出印のある就業規則等の写しを求めます。作成予定で交付決定を受けた場合は、実績報告のときに届出印のある写しを出します。
「企業の魅力発信支援事業」の支援対象企業登録も同じで、常時10名以上の労働者を使用する法人は、労働基準監督署の受付印が押された就業規則全文の写しを提出します。無料の登録制度の側にも、同じ書類が要るということです。
なお、働きやすい環境整備事業費補助金には、パートナーシップ構築宣言をポータルサイトに登録していることという要件も入っています。届出印のある写しが手元にあるかどうかだけ、先に確かめておかれると安心です。
海外での募集には10分の10が出る
補助率が最も高いのは、「外国人介護人材確保支援事業費補助金」の10分の10です。補助基準額は1法人50万円で、他法人と一体的に人材確保に取り組む場合は75万円に上がります。
対象は、県内の事業所での採用を目的に海外現地で行う取組に限られます。送り出し国のマーケティング活動等の情報収集、現地の学校や送り出し機関との関係構築、現地での説明会開催や求人募集、日本の介護に関するPRや施設情報の提供、そのための宣材ツールの作成です。
除外の欄もはっきり書かれています。職業紹介事業者へ支払う手数料は、ここでも外れます。観光とみなされる行程を含む場合、訪問ツアーの企画費、エコノミークラスを超える航空運賃も外れます。申請締切は令和8年12月15日必着で、交付決定は申請順です。
同じ外国人材でも、県内で研修を受けさせる費用はスキルアップ支援、講習施設の整備は「技能実習生講習施設整備事業費補助金」(補助率3分の2・上限5,000万円)と、枠が分かれています。どの枠に当たるかは、お金を使う場所が国内か海外かで決まると読めます。
高知市は住宅補助の拡大分に出す
高知市のはたくら補助金は、採る費用ではなく採ったあとの待遇に出る枠です。福利厚生補助金は、住宅補助や通勤費補助などの福利厚生制度の構築・拡充を行う中小企業者に、制度の拡大部分にあたる費用の一部を補助します。資格取得助成金は、業務上必要な資格を取得させた場合の取得費用です。
対象労働者は、主たる勤務地が高知市内の事業所に勤務し、当該会計年度の4月1日現在で満34歳未満の者。補助率は2分の1で、1人あたり年額10万円まで、2制度を合算して1事業者100万円までです。申請可能人数は各制度最大10名、両方を使う場合は最大20名です。
香美市の介護人材確保支援事業助成金も似た性格で、介護職員初任者研修の受講費用に1人5万円を上限として助成します。条件は、研修を修了し、市内の訪問介護事業所で継続して3か月以上就労していること。採用した時点ではなく、3か月続いた時点で対象になります。
募集の費用を探している段階では当たらず、定着の手当を先に整える会社に向いた枠だと思われます。どちらも見ているのが、採ったあとの待遇だからです。
県が持つ無料の掲載先は3つ
最後に、費用のかからない掲載先を並べておきます。県が持っているのは3つです。
| 掲載先 | 内容 |
|---|---|
| 企業の魅力発信支援事業のマッチングサイト | 産業政策課。支援対象企業として登録すると、掲載した求人が移住支援金の対象になる。登録要件に県税の滞納がないこと、就業規則の届出、雇用保険の適用事業主であることなど |
| 高知求人ネット | (一社)高知県UIターンサポートセンターが運営。中途採用向け。登録は無料 |
| 高知おしごと部 | 高知県が運営。新卒採用向け。県内に本社または支店・営業所等を設置する企業 |
この3つは、県の350万円の枠の要件に組み込まれています。求人情報発信等支援事業費補助金は、中途採用なら高知求人ネット、新卒採用なら高知おしごと部への掲載を申請日時点で求めます。まず無料の場に載せ、そのうえで有料の媒体に補助を当てるという順番です。
ワークライフバランス認証にも、費用のかからない使いみちがあります。認証マークを企業のウェブサイトや名刺に表示できるほか、ハローワークの求人票に認証企業であることを記載でき、県の建設工事競争入札参加資格審査では加点もあります。
有料の媒体を検討する前に、この受け皿に登録できるかどうかを見ておくほうが早く済みます。見積を取る前に交付要綱を開いて、担当課へ一度電話で確かめておかれるとよいでしょう。
見積より先に求人票と就業規則を開く
16件のうち、採用サイトの制作費に費目名があるのは県の1件だけです。高知県求人情報発信等支援事業費補助金が、補助率3分の2以内・1事業者350万円まで。写真や動画の撮影費も同じ1件です。どの枠も予算の範囲内で交付される形なので、要件がそろっても交付は約束されません。
残る15件が見ているのは、雇用形態と就業規則の届出、そして賃上げの実績です。費目名が1件しか立たない県で先に決めるのは、どの媒体に幾ら払うかではなく、いまの求人票と就業規則をどう書き直すかだと思われます。当たる担当課も、補助率の上がり方も、そこから分かれます。
私たちのような地方企業では、「採用はもうあきらめている」という会社も少なくないと思います。地方採用ワークスは、地方企業の採用を専門に、募集の露出から受け皿づくりまでを包括的にご支援しています。製造、建設、運送、医療、飲食など、人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。
どこから手をつけるべきか、いまの状況をお聞かせいただければ一緒に整理します。まずはお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。