カジュアル面談とは|中小企業が使う3つの場面と選考につなげる進め方

「カジュアル面談をやってみたいのですが、面接と何が違うのかがよく分かっていなくて」——採用の打ち合わせで聞く機会が増えています。名前は知っていても、何を話してどう選考につなげるかが見えないまま止まっている。そんな会社は多いです。

「カジュアル面談」と調べると、上位に並ぶのは服装や逆質問、お礼メールといった受ける側向けの情報です。この記事では、面談を実施する側の目線で、設計と選考へのつなぎ方を整理します。カジュアル面談は若い会社の手法ではなく、通勤圏が限られる地方の中小企業にこそ効きます。

この記事でわかること

  • カジュアル面談と面接の違い(合否を出すかどうか)
  • 中小企業がカジュアル面談を使うべき3つの場面
  • 60分の流れと、当日の時間配分
  • 何を聞き、何を聞いてはいけないのか
  • 服装・日程調整・お礼メールへの企業側の対応
  • 面談を選考につなげて、歩留まりを上げる進め方

カジュアル面談とは|合否を出さない「相互理解の場」

カジュアル面談とは、合否を判断せずにお互いを知るために行う面談です。応募前の段階で実施されることが多く、求職者は「話を聞くだけ」の状態で参加します。選考ではないと明言していることが、面接との決定的な違いです。

面接との違いは「合否を出さないこと」と「情報の流れ」

面接は、企業が求職者を評価し、合否を判断する場です。情報は主に求職者から企業へ流れます。一方、カジュアル面談では合否を出しません。情報は企業から求職者へも同じくらい流れます。会社の説明をして、質問に答えて、相手が知りたいことに応じる時間のほうが長くなることも珍しくありません。

この違いを曖昧にしたまま実施すると、うまくいきません。「カジュアル面談」と言いながら実質的に一次面接をしてしまい、後日お見送りの連絡をする。求職者からすれば話が違う、となります。名前だけ借りて中身が面接では、かえって印象を悪くします。

中小企業がカジュアル面談を使う意味

地方の採用は、限られた通勤圏の中での勝負になります。現実的に通える範囲はおおむね片道1時間/25〜30km圏内が目安で、その圏内の求職者は都市部ほど多くありません。しかも同じ商圏に同業他社が集まりがちで、求職者からは「どこも同じに見える」状態になりやすい。

この構造の中では、応募のハードルを一段下げて、まず会って話す機会をつくることに意味があります。求人票だけでは伝わらない、社内の雰囲気や仕事の中身を直接伝えられるからです。「応募するかどうかはその後で決めてください」と言える場を持てるかどうかは、母数が限られる地方ほど効いてきます。

カジュアル面談が効く3つの場面

すべての採用にカジュアル面談が必要なわけではありません。効くのは、応募のハードルが応募数を抑えている場合です。次の3つの場面に当てはまるなら、導入を検討する価値があります。

1. スカウトを送っているのに返信が来ないとき……いきなり「面接に来てください」では、転職を決めていない人は動きません。「まず話を聞くだけで構いません」という入口があると、返信率は変わってきます。

2. 見学や職場体験の希望が来るとき……「一度会社を見てみたい」という問い合わせを、選考の枠に押し込まずに受けられます。見せる材料がある会社ほど有利に働きます。

  1. 応募はあるのに選考の途中で辞退が続くとき……辞退の背景には、選考が進むにつれて不安が積み上がる構造があります。最初に相互理解の時間をつくっておくと、後半での離脱が減ります。

逆に、応募自体がほとんど来ていない状態でカジュアル面談だけを始めても、変化はほとんど起きません。詰まりが露出側にあるのか選考側にあるのかを先に見極めてください。

カジュアル面談の流れとやり方|60分の組み立て

カジュアル面談は、事前準備・当日・その後の3つに分けて設計します。当日だけを考えて臨むと、雑談で終わって次につながりません。時間は60分を基本に、オンラインなら45分でも成立します。

事前準備|誰が出るか、何を渡すか

出る人は、現場の社員1名+採用担当1名の組み合わせが扱いやすいと思います。社長だけが出ると、相手は身構えます。一方、人事だけだと仕事の実態を語れません。配属予定に近い部署の社員が同席すると、質問への答えが具体的になります。

手元に渡す資料も用意しておきます。求人票をそのまま読み上げるのではなく、事業の内容、働く人の顔、入社後の流れが分かるものがあると、話が早く進みます。

参考記事:『【保存版】採用ピッチ資料の作り方は?5ステップの手順と採用サイトの使い分け

当日の時間配分

60分なら、おおむねこの配分で組み立てます。

  1. アイスブレイクと趣旨説明(5分)……「今日は選考ではありません」と最初に明言する。ここを飛ばすと相手が緊張したままになります
  2. 会社と仕事の説明(15分)……事業の話より、配属先の一日の流れや、任せたい仕事の中身を厚めに
  3. 相手の話を聞く(15分)……いま何をしていて、何を変えたいのかを聞く
  4. 相手からの質問に答える(20分)……ここが最も長くて構いません
  5. 今後の進め方を伝える(5分)……選考に進む場合の流れと、次の連絡がいつ来るかを伝える

最後の5分を省略しないでください。「今日はありがとうございました」で終えると、相手は次に何をすればいいのか分からないまま帰ります。応募したい場合の手続き、こちらから連絡する時期、迷っている場合の選択肢まで伝えて締めます。

最初の5分でいちばん効くのは、こちらから先に手の内を明かすことです。「今日は選考ではないので合否は出ませんし、この場の話を評価に使うこともありません。その代わり、こちらも良いことだけでなく実情ベースでお話しします」。この趣旨がきちんと伝わると、相手の答えが「面接用の答え」から会話に変わります。緊張がほどけないまま進む面談の多くは、選考ではないと口では言いながら、進行が面接と同じ形になっているケースです。

面談後の連絡は、当日中か翌日午前までに送るのを基本にしてください。内容は選考の案内ではなく、当日話した内容に触れる一文と、次の選択肢を並べる形です。「選考に進む」「もう一度話す」「今回は見送る」を対等に置くと、押されていないという安心感がそのまま会社への印象になります。志望度が動くのは面談中だけではありません。終わったあとの連絡の速さと軽さまでが、相手から見た「この会社で働いた場合の扱われ方」の予告編になっています。

選考の前段に面談を1つ増やすと、その分の日程調整と連絡の作業量が増えます。ここが兼務の担当者にとって一番の負担になりやすいところです。応募者対応と日程調整、一次面談までを外に出して、社内は口説きと合否判断に集中する、という進め方もあります。

カジュアル面談で使う質問と、聞いてはいけないこと

カジュアル面談では、評価するための質問ではなく、相手の状況と関心を知るための質問を使います。合否を出さない場である以上、詰めた聞き方は趣旨に反します。

使いやすい質問はこのあたりです。

  • 「今日はどんなことを知りたくて来てくださいましたか」……相手の関心がどこにあるかを最初に把握できる。以降の説明の重点を変えられます
  • 「今のお仕事で、面白いと感じている部分はどこですか」……得意な領域と価値観が見えます
  • 「次に働く場所を考えるとき、何を大事にしたいですか」……自社が提供できるものと噛み合うかが分かります
  • 「転職は、いつごろまでにと考えていらっしゃいますか」……温度感が分かる。急いでいないなら追いかけ方も変わります
  • 「今日お話ししてみて、気になった点はありますか」……終盤に置くと、不安を持ち帰らせずに済みます

一方、面接と同様に、本人の適性や能力に関係のない事項は聞きません。本籍・出生地、家族の職業、住宅状況、宗教、支持政党といった事項は、就職差別につながるおそれのある質問として避ける必要があります。カジュアルな雰囲気だからこそ、雑談に紛れて出やすいので注意が必要です。

(※1)

<small>※1 厚生労働省は、採用選考時に配慮すべき事項として、本人に責任のない事項(本籍・出生地/家族/住宅状況/生活環境・家庭環境)、本来自由であるべき事項(宗教/支持政党/人生観・生活信条/尊敬する人物/思想/労働組合・学生運動などの社会運動/購読新聞・雑誌・愛読書)、および採用選考の方法(身元調査/合理的・客観的必要性のない健康診断/適性・能力と無関係な応募書類の使用)の計14項目を挙げている。参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時に配慮すべき事項」 https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html </small>

逆質問への備えも必要です。残業の実態、教育体制、評価と昇給の決まり方、離職の状況、入社後に任される範囲。この5つはほぼ毎回聞かれます。出席者によって答えが食い違うと、その場で不信感が生まれます。答えにくい部分ほど正直に話したほうが、結果的に信頼されると考えています。良い話だけに整えるほど全体が嘘っぽく見えますし、入社後のギャップは早期離職に直結します。

服装・日程調整・お礼メール|企業側が整えておく運用

求職者側が検索している「服装」「お礼メール」「日程調整」は、実は企業側の伝え方次第で相手の不安が消える項目です。ここを設計しておくと、面談の前から印象が変わります。

服装……「私服で構いません」だけだと、かえって迷わせます。「普段のお仕事の服装で結構です」「オンラインですので上着は不要です」と、判断できる形で伝えてください。自社の出席者も、当日の服装を事前にそろえておきます。求職者だけが浮くと、カジュアルな場になりません。

日程調整……候補日を3つ以上、時間帯を分けて提示します。在職中の相手なら、平日夜やオンラインの選択肢も添えておく。返信が来てから確定までのやりとりが2往復以内に収まるかどうかで、相手の負担感はかなり変わります。

連絡のスピード……応募や問い合わせから返信までが1週間空くと、その間に他社の選考が進みます。カジュアル面談を入口にする以上、この入口の反応速度がそのまま歩留まりに跳ね返ります。

お礼メール……求職者から届いたら、その日のうちに一言返します。届かなくても評価に含めません。むしろ、面談の翌営業日にこちらから「本日の内容で不明点があればいつでもご連絡ください」と送っておくと、相手の中で会社が候補として残り続けます。

面談を選考につなげる|志望度と歩留まりの見方

カジュアル面談は、実施すること自体が目的ではありません。面談を経た人が、面談を経ていない人より高い確率で応募・承諾に至っているか。ここを数字で見て初めて、続ける意味が判断できます。

見るべき数字はシンプルです。面談の実施数、そこから応募に進んだ数、選考通過数、内定承諾数。この4つを並べるだけで、面談が効いているのか、それとも面談から応募への転換で止まっているのかが分かります。

面談から応募に進まない場合、原因は多くの場合ふたつです。ひとつは、面談の最後に次の一歩を提示していないこと。もうひとつは、面談で聞いた不安を放置したまま選考の案内だけ送っていることです。どちらも当日の設計で解決できます。

内定まで進んだあとの離脱については、オファー面談の設計が効いてきます。

よくある質問

Q1: カジュアル面談は何分くらいが適切ですか

対面なら60分、オンラインなら45分を基本にすると収まります。90分を超えると相手の負担が大きくなり、在職中の人は参加しづらくなります。

Q2: カジュアル面談で評価してはいけないのですか

合否を出さない、というのが原則です。ただ、相手の話から得た情報を、その後の選考の参考にすること自体は問題ありません。大切なのは「今日は選考ではない」と伝えた約束を守り、面談の場で判断を告げないことです。

Q3: 面談だけして応募してもらえないと、時間の無駄になりませんか

その場では無駄に見えても、会社を知ってもらった事実は残ります。転職の時期は人それぞれで、半年後に動く人もいます。ただ、実施数が増えるほど作業量も増えるので、月に何件までなら回せるかを決めてから始めるのが現実的です。

Q4: オンラインと対面のどちらがいいですか

初回はオンライン、興味を持ってもらえたら見学を兼ねて対面、という二段構えが扱いやすいと思います。地方では移動時間そのものがハードルになるため、最初から来社を求めると参加率が下がります。

Q5: 中途採用と新卒採用のどちらでも使えますか

どちらでも使えます。新卒の場合はインターンや説明会と役割が重なるので、どの接点で何を伝えるかを整理してから追加してください。

面談は「応募のハードルを下げる装置」として設計する

カジュアル面談は、選考の前にもう一段階を足す面倒な工程ではありません。応募という重い一歩の手前に、軽い接点をひとつ置く仕組みです。母数が限られる地方の採用では、この一段の差が、会える人数を左右します。

ただ、面談を増やしても、そもそも自社を見つけてもらえていなければ相手は現れません。露出を増やして知ってもらうことと、会ったときに取りこぼさないこと。この両輪がそろって、初めて採用が動き始めます。

全部を外に出す必要はありません。会って話す部分は自社で続けて、日程調整と連絡だけ手を借りる形もあります。逆に、まず会う人数を増やしたいなら、一次面談から任せる形もあります。どこを自社に残すかは会社ごとに違うので、まずは御社の規模と採用フェーズをうかがったうえで、線引きから一緒に考えます。

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この記事を書いた人
カジュアル面談とは|中小企業が使う3つの場面と選考につなげる進め方 | 選考と定着
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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