面接の質問集|中小企業が見極めと口説きを両立する18の質問例と評価観点
「面接で何を聞けばいいのか、毎回その場で考えている」——面接の話になると、そう打ち明けてくださる方は多いです。思いついた順に聞いて、残るのは「悪くはなさそうだった」という感触だけになっていないでしょうか。
この記事は、面接する側のための質問集です。面接は、応募者が自社に合うかどうかを見極めるためだけの場ではありません。面接には、見極めと同時に相手を口説くという、もう一つの役割があります。見極めるための質問しか用意していないと、応募者の志望度は面接前よりも下がってしまいます。
ここでは、一次面接と二次面接で使える具体的な質問例から、聞いた答えを評価に変える基準の持ち方まで、面接の質を上げるための準備について順番にお伝えします。
この記事でわかること
- 一次面接・二次面接で使う質問例と、その質問で何を確かめているのか
- 聞いた答えを評価に変えるための、評価基準の持ち方
- 法令上、聞いてはいけない質問の線引き
- 逆質問の時間を「口説き」に変える準備
- 質問集を揃えても歩留まりが改善しないときに、次に見るところ
面接の質問集が「見極め」と「口説き」の両輪で必要になる理由
面接の質問集は、良い人を見抜くためだけの道具ではありません。面接で投げかける質問の内容や、それを聞く順番は、そのまま求職者の判断材料になります。求職者は質問を通じて、「この会社は自分をちゃんと見てくれるか」を確かめています。見極めと口説きは別々の作業ではなく、同じ60分の中で同時に起きています。
質問を決めていない面接は、面接官ごとに結論がぶれる
その場の思いつきで質問すると、聞く内容が面接官によって変わってしまいます。社長は仕事への熱意を確かめ、現場の責任者は経験年数を気にし、総務の担当者は勤怠の安定性を見る。それぞれ悪くない観点なのですが、共通の物差しがないまま持ち寄ると、最後は声の大きい人の印象で決まります。
こうした評価のぶれを防ぐには、同じ質問を全員に同じ順番で聞くことが重要です。それだけで、複数の候補者を横に並べて比べられるようになります。このように「型を決めて聞く」考え方を体系立てたものが、構造化面接と呼ばれるやり方です。
参考記事:『【保存版】構造化面接とは|質問例・評価基準と5ステップの導入手順』
見極めの質問だけだと、志望度は面接のたびに下がる
求職者にとって、転職は人生の一大イベントです。そのため、慎重に何社も比較して検討しています。面接の場で、詰問するように経歴を問い詰めるだけで終わってしまえば、条件が同じ他社に気持ちが流れるのは自然な話です。
面接の後半には、こちらから会社の魅力を伝える時間と、相手の疑問に答える時間を欠かさず確保してください。この一手間があるかないかで、まったく同じ質問集を使っていても、最終的な採用の結果は大きく変わってきます。
一次面接の質問|経歴・転職理由・価値観を確かめる
一次面接で確かめたい内容は、大きく3つに絞ることができます。それは、①これまで何をしてきたか(経歴の事実)②なぜ動くのか(転職理由)③どう働きたいか(価値観)です。スキルの細かい検証は二次面接以降に回してください。一次面接では「話が噛み合う相手か」「自社の環境と大きくずれていないか」を見ることに集中します。この割り切りが、限られた面接時間を有効に使うためのコツです。
経歴・仕事内容を確かめる質問
経歴を確認する際は、履歴書に書いてあることをただなぞるのではなく、書かれていない中身を引き出す聞き方をします。
- 「直近のお仕事で、一日の流れを朝から順に教えてください」……面接でこの質問をすることで、実際の業務の実態や、その人が持っていた裁量の範囲がつかめます。職務経歴書に書かれた肩書だけでは見えてこない、具体的な働き方の部分が出てきます。
- 「その中で、ご自身で工夫していたことはありますか」……続いてこの質問を投げかけます。答えを聞くことで、言われたことをただこなすタイプの人なのか、それとも自分で考えて動くタイプの人なのか、という違いが明確に出ます。
- 「一番大変だった時期と、どう乗り切ったかを教えてください」……これは単なるストレス耐性を測るためではありません。仕事で困った状況に陥ったときに、誰にどのように相談して解決しようとする人なのかを見るための質問です。
- 「その経験を、うちの仕事に置き換えるとどこで活きそうですか」……最後にこの質問をします。この答えで、応募者が自社の仕事内容を正しく理解した上で話せているかどうかが分かります。
この最後の質問は、見極めと口説きの両方を兼ねています。応募者自身に自社の仕事を想像させる時間になるからです。
転職理由・志望動機を確かめる質問
転職理由は、聞き方を誤ると建前しか返ってきません。「なぜ辞めるのか」と過去を問うのではなく、「何を変えたいのか」という未来に向けた質問に寄せると、本音が出やすくなります。
- 「今の職場で、これだけは変えたいと思っていることは何ですか」……この質問によって、単なる不満の中身を聞き出すのではなく、その人が仕事において何を優先しているのかという順位が見えてきます。
- 「次の会社を選ぶとき、何を一番重く見ていますか」……続いてこの質問をします。答えを聞くことで、自社が提供できる労働条件や環境と、応募者の希望がしっかりと噛み合うかどうかを確認できます。
- 「他にはどんな会社を見ていらっしゃいますか」……この質問によって、応募者がどのような基準で企業を比較しているのか、その土俵が分かります。ここで名前が出た会社は、そのまま自社の採用における競合となります。
- 「もし今の会社が条件を改善したら、残る可能性はありますか」……この質問に対する反応で、現在の会社から引き止めにあった際に、気持ちが折れて残る可能性があるかどうかの見当がつきます。
価値観・働き方を確かめる質問
地方の中小企業では、持っているスキルよりも、価値観や働き方の好みが定着を左右します。
- 「どんな人と働いているときが、一番力を出せますか」……この答えは、既存の社内メンバーとの相性を考えるための重要な材料になります。
- 「一人で進めるのと、相談しながら進めるのとでは、どちらが得意ですか」……地方の少人数の現場では、この働き方の好みが致命的にずれてしまうことがあるため、事前に確かめておく必要があります。
- 「5年後、どんな仕事をしていたいですか」……応募者が描いているキャリアの方向性と、自社が将来任せたいポジションがしっかりと噛み合うかどうかを見ることができます。
質問の中身と同じくらい面接の結果に効くのが、聞く順番です。一次面談を組み立てるときは、答えやすい事実の質問(経歴や一日の流れ)から入ります。そして、場が温まった中盤に転職理由を置き、条件やキャリアの希望は最後に回すのが基本形です。応募者の本音が出ないのは、何かを隠しているからではありません。警戒が解ける前に核心を突く質問が来ているだけ、というケースがほとんどだからです。
この「過去を問うと建前、未来を選ばせると判断基準が出る」という聞き方の違いは、転職理由に限らず質問全体に応用できます。答えの中身は同じでも、未来側から聞くほうが具体的な事実として語られやすくなり、質問リストは変えなくても返ってくる答えの質が変わります。
面接を自社だけで抱えていると、質問を練り直す時間そのものが取れない、という詰まりも起きます。応募者対応から一次面談までを外に出して、社内は二次以降の面接と合否判断に集中する、という進め方もあります。
二次・最終面接の質問|条件と入社後を具体化する
二次面接や最終面接の役割は、追加で見極めることよりも、入社後の姿を一緒に描くことです。ここまで残った相手は、こちらも採りたいと思っている相手です。条件や役割が曖昧なまま内定を出すと、入社前後のギャップにつながり、早期離職の原因になります。
条件・通勤・家族の状況をすり合わせる質問
地方の採用では、労働条件よりも通える距離が先に効いてきます。現実的に通える範囲は、おおむね片道1時間/25〜30km圏内が目安です。ここを曖昧にしたまま話を進めると、内定を出した後に辞退される確率が上がってしまいます。
- 「通勤の手段と、片道どれくらいを想定されていますか」
- 「勤務時間や休日について、ご家庭の事情で外せない条件はありますか」
- 「入社時期は、いつごろを考えていらっしゃいますか」
- 「現時点で、迷っている点や不安な点があれば教えてください」
この最後の質問は、絶対に外さないでください。ここで出てきた不安を放置したまま内定を出すと、それがそのまま辞退の理由になってしまいます。
入社後の役割を具体化する質問
- 「入社されたら、最初の3か月は何から始めたいですか」
- 「うちで働くとしたら、どんな点が不安ですか」
- 「前職と比べて、変わりそうなところは何だと思いますか」
これらの質問を通じて、こちらの答え合わせも同時に行います。仕事内容、教育体制、任せたい範囲を具体的に伝えて、認識のずれをこの場でつぶしておくようにしてください。これが、入社後の定着に大きく効いてきます。
答えを点数に変える|基準とポイントの決め方
質問集だけを揃えても、評価の物差しがなければ結論は感覚に戻ってしまいます。質問1つに対して、何が見えたら合格線なのかを言葉にしておく。この一手間が、面接を誰がやっても再現できるものに変えます。
やり方はシンプルです。まず、自社で活躍している人に共通する要素を3〜5個に絞ります。次に、要素ごとに「どの質問で確かめるか」を紐づけ、答えの水準を3段階程度で言語化しておきます。たとえば「相談できる」という要素なら、「困ったときに誰に相談したかを具体的に話せる」状態を合格線に置く、といった具合です。要素を10個も20個も並べると、結局どれも見られなくなります。評価シートの形に落とし込む手順は、こちらで具体的に整理しています。
参考記事:『面接評価シートの作り方|評価項目の型・5段階基準・記入例まで』
聞いてはいけないことの線引き
面接では、本人の適性や能力に関係のない事項を質問しないことが求められています。厚生労働省は、就職差別につながるおそれのある事項として、本籍・出生地、家族の職業や収入、住宅状況、生活環境、宗教、支持政党、思想信条、社会運動の経験、購読新聞などを挙げています。
(※1)
※1 厚生労働省は、採用選考時に配慮すべき事項として、本人に責任のない事項(本籍・出生地/家族/住宅状況/生活環境・家庭環境)、本来自由であるべき事項(宗教/支持政党/人生観・生活信条/尊敬する人物/思想/労働組合・学生運動などの社会運動/購読新聞・雑誌・愛読書)、および採用選考の方法(身元調査/合理的・客観的必要性のない健康診断/適性・能力と無関係な応募書類の使用)の計14項目を挙げている。参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時に配慮すべき事項」 https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html
現場でうっかり出やすいのは、雑談に紛れ込む質問です。「ご実家はどちらですか」「ご結婚のご予定は」といった言葉は、場を和ませようとして出る言葉ほど危ないと考えてください。通勤や勤務時間の確認が必要なら、家庭の事情を聞くのではなく、条件そのものを直接確認する形に置き換えます。「送り迎えがありますか」と聞くのではなく、「始業時刻と終業時刻について、難しい事情はありますか」と尋ねます。同じ情報を、聞いてよい形で取りに行くわけです。
逆質問の時間は、口説きの本番
「最後に何か質問はありますか」——この時間を消化試合にしている会社は多いのですが、ここは志望度が最も動く場面です。求職者は逆質問への答え方から、会社の風通しや答える人の誠実さを読み取っています。
準備しておきたいのは、よく出る質問への答えを社内で揃えておくことです。残業の実態、教育体制、評価と昇給の決まり方、離職の状況、入社後に任される範囲。この5つはほぼ毎回聞かれます。面接官によって答えが食い違うと、その時点で不信感が生まれてしまいます。
答えにくい質問ほど、正直に話したほうが結果的に信頼されます。良い話だけに整えるほど全体が嘘っぽく見えますし、入社後のギャップは早期離職に直結します。採用のゴールは内定ではなく定着だと考えると、都合の悪い部分を隠さない選択のほうが理にかなっています。逆質問が出てこない相手には、こちらから会社の話をする時間に切り替えて構いません。
質問を揃えても歩留まりが動かないとき
質問と評価基準を整えたのに採用が決まらない場合、詰まりは面接の中身ではなく、その前後の運用にあることがほとんどです。
よくあるのは次の3つです。
- 返信と日程調整が遅い……求職者は同時に何社も受けています。応募から返信まで1週間空いてしまうと、その間に他社の選考が進みます。連絡メールの返信スピードは、選考スピードそのものです。
- 面接の前日に何も連絡がない……前日のリマインド連絡があるかないかで、当日の欠席率は大きく変わってきます。
- 合否連絡が遅い……結果を待たされている間に、応募者の志望度はどんどん下がっていきます。
そもそも母集団が少なければ、面接の精度を上げても選べる幅は広がりません。応募が来ない原因のほうに詰まりがあるケースも多いので、あわせて確認してみてください。
参考記事:『【原因5つ】人材確保ができないのはなぜ?応募が来ない会社の見直す順番』
参考記事:『【目安つき】採用歩留まりの計算と改善|5つの選考段階で詰まりを特定する』
参考記事:『【保存版】内定承諾率を上げるには|オファー面談とクロージングの設計』
よくある質問
Q1: 面接の質問は何問くらい用意すればいいですか
一次面接なら、全員に共通で聞く質問を8〜12問ほど決めておくと、ちょうど60分に収まります。全員に同じ質問を同じ順番で聞き、深掘りの追加質問だけをその場で足す形が、最も扱いやすいと思います。
Q2: 圧迫面接にならないか心配です
同じ質問でも、事実を確かめる聞き方なら詰問にはなりません。「なぜできなかったのですか」と問うのではなく、「そのとき、どんな状況でしたか」と尋ねます。原因を追及するのではなく、状況を描写してもらう聞き方に変えるだけで、相手が受ける印象はかなり変わります。
Q3: 面接官が社長一人しかいません
面接官が一人でも、質問と評価基準を先に決めておけば、候補者同士の比較は十分にできます。ただ、社内の人だけで見ていると、どうしても評価が身内の基準に寄りやすいのも正直なところです。第三者の視点を一次面接に入れる方法もあります。他社の担当者が面接を行うことについては、95.4%が肯定的に受け止めているという調査結果もあります(株式会社アールナイン/2021年8月〜10月/2023年卒の学生263人/インターネット調査。出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000012430.html )。
質問集は「台本」ではなく「共通の物差し」
面接の質問集は、その通りに読み上げるための台本ではありません。全員を同じ物差しで見るための土台であり、その上で相手に合わせて深掘りするための余白を残しておくものです。型を決めるほど、その場で相手の話を聞く余裕が生まれます。
露出を増やして応募を集めることと、選考で取りこぼさないこと。この両輪がそろって、初めて採用が回り始めます。
参考記事:『【基礎から解説】採用代行(RPO)とは?任せられる業務と、選び方5つの基準』
面接の質問集は、良い人を見抜くためだけでなく、自社に合う人を口説くための共通の物差しです。
まずは一次面接で使う質問を8問ほど選び、面接官同士で共有してみてください。それだけでも、面接官による評価のぶれを減らすことができます。もし面接を自社だけで抱えて時間が取れないようなら、一部を外に出すことも十分に考えていい選択肢です。
全部を外に出す必要はありません。質問集と評価基準は自社でつくり、応募者対応と日程調整だけ手を借りる。逆に、一次面談だけ第三者に任せて、社内は口説きに集中する。どこを自社に残すかは会社ごとに違います。
まずは御社の規模と採用フェーズをうかがったうえで、線引きから一緒に考えます。面接の進め方に迷ったら、一度ご相談ください。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。