面接評価シートの作り方|評価項目の型・5段階基準・記入例まで
「面接には社長と現場の責任者、それに私が入っています。終わったあと3人で話すんですが、だいたい意見が割れるんですよね」
面接の体制をうかがうと、よく聞くお話です。3人とも真剣に見ている。それでも結論が割れ、判断が翌週に流れます。
割れること自体は問題ではありません。割れた理由を言葉にできないことが問題です。同じ受け答えを見ているのに、見ていた場所が違う。回数を重ねても精度は上がりません。そこで使うのが面接評価シートです。評価項目と段階の意味を先に紙へ落とし、面接官が違っても同じ物差しで見られます。
評価シートとは|見極めを同じ物差しに揃える1枚
面接評価シートとは、面接で何を見るか(評価項目)と、どの状態を何点とするか(評価基準)を事前に決めて1枚にまとめたものです。目的は応募者を採点することそのものではなく、面接官ごとにバラバラだった見極めの視点を、共通の言葉に揃えることにあります。点数は、そのための手段だと考えてください。
メモ用紙との違いは、「事前に決めてあるか」だけ
多くの会社では、面接中に何らかのメモは取っています。ではメモと評価シートは何が違うのかというと、項目と基準を面接の前に決めてあるかどうかの一点です。
その場でメモを取るやり方だと、面接官はどうしても印象に残った部分だけを書き留めます。声が大きかった、目を見て話した、志望動機がしっかりしていた。これらは応募者の一側面ではありますが、自社の採用基準に照らして重要かどうかは別の話です。事前に項目が決まっていれば、印象に残らなかった項目についても「確認しなかった」ことに気づけます。この気づきが、二次面接での質問設計に効いてきます。
面接評価シートがない選考で、実際に起きていること
評価シートがないと、評価が面接官の印象に依存し、合議に時間がかかり、その遅れが辞退につながります。しかも、うまくいかなかった理由が記録に残らないため、次回の選考に何も引き継がれません。同じ迷い方を毎回繰り返すことになる、というわけです。
評価が属人化し、記憶で合議することになる
面接から合議までの間に、記憶は思っている以上に薄れます。とくに1日に複数名を面接した日は、後半の応募者の印象が前半に上書きされることもあります。
そして記憶で語ると、話は自然と「全体の印象」に寄っていきます。「悪くはなかったんだけど」「うちの雰囲気に合うかどうか」——こうした言葉が飛び交う合議は、結論が出にくいです。理由は単純で、全体の印象には反論もしにくいし、賛成もしにくいからです。項目ごとに分けて点をつけておくと、議論の対象が「この人の全体」から「この項目の評価」に降りてきます。降りてくれば、噛み合います。
判断が遅れ、志望度の高い人ほど先に抜けていく
合議に時間がかかると、当然ながら連絡も遅くなります。求職者は同時に何社も受けていますから、一次面接から次の連絡まで1週間空けば、その間に他社の選考が進みます。厄介なのは、動きの速い人ほど先に決まってしまうことです。準備がしっかりしていて志望度も高く、複数社から評価される人ほど、他社の内定が先に出る。選考スピードの遅れは、母集団の中でも上位の人から順に取りこぼす形で効いてきます。
評価シートは、この遅れを縮める道具でもあります。面接直後に各面接官が点をつけて出せば、合議は点数の割れた項目だけを見ればよくなります。全員一致の項目に時間を使わずに済むぶん、その日のうちに結論が出ることも珍しくありません。
面接評価シートの作り方|4ステップ
作り方は次の4ステップです。採用基準から項目を切り出し、項目数を絞り、5段階を行動の言葉で定義し、最後に質問と紐づける。順番を守ることが大事で、とくに1番目を飛ばして項目だけ先に作ると、自社の採用と関係のない一般的なシートができあがります。
ステップ1:採用基準から評価項目を切り出す
評価項目は、ゼロから考えるものではありません。すでにある採用基準(人材要件)から切り出すのが正しい手順です。
人材要件がスキルとマインドに分かれているなら、そのうち「面接で確かめるべきもの」だけを評価項目に持ってきます。資格の有無や経験年数は書類選考で確認できますから、面接の評価項目に入れる必要はありません。面接という場でしか分からないもの——受け答えの具体性、仕事への向き合い方、チームでの振る舞い方——に絞ります。
採用基準そのものがまだ言葉になっていない場合は、先にそちらから着手してください。基準がないまま評価シートだけ作ると、項目が世間一般の面接評価項目のコピーになり、結局は使われなくなります。
ステップ2:項目は5〜7個に絞る
作り始めると、項目はいくらでも増やせます。協調性、主体性、論理的思考力、ストレス耐性、コミュニケーション力……。ただ、項目が多いシートは現場で使われません。
理由は2つあります。一つは、面接時間が有限だからです。1時間の面接で10項目を確かめようとすると、1項目あたり6分。掘り下げる余裕がなくなり、どの項目も浅い確認で終わります。もう一つは書く負担で、面接官が本業と兼務している会社ほど、記入項目が多いシートは空欄のまま提出されます。
目安は5〜7項目。そのうち2〜3項目を全社共通のマインド要件(どの職種でも見る項目)、残りを職種別のスキル・適性に充てる構成が扱いやすいです。項目を減らすぶん、一つひとつを深く聞く。これが評価の精度を上げる近道です。
ステップ3:5段階の基準を「行動の言葉」で定義する
ここが評価シートの心臓部です。5段階にすること自体は難しくありませんが、各段階が何を指すかを言葉で書いてあるかで、シートの効き目はまったく変わります。
やってはいけないのが、程度の副詞だけで書くパターンです。「5=非常に高い/4=高い/3=普通/2=やや低い/1=低い」。これは何も定義していないのと同じで、面接官の主観がそのまま点数になります。
そうではなく、その点をつけるにはどんな受け答えが必要かを行動レベルで書きます。基準点となる「3」を先に定義し、そこから上下を決めるのが書きやすいです。
たとえば評価項目「学ぶ姿勢」なら、こう書きます。
| 点 | 定義(この受け答えが得られたら、この点) |
|---|---|
| 5 | 未経験の業務に自分から手を挙げ、独学した内容と結果を、経緯まで具体的に説明できる |
| 4 | 指示された新しい業務を、自分なりに調べて進めた経験を具体例で語れる |
| 3 | 新しいことを覚える必要性は理解しており、前職での学習経験を1つは挙げられる |
| 2 | 学ぶ姿勢を一般論では語るが、自分の経験としての具体例が出てこない |
| 1 | 新しいことを覚えることへの抵抗や、教えてもらえなかったことへの不満が中心になる |
ここまで書いてあれば、面接官が3人いても、同じ受け答えにはだいたい同じ点がつきます。項目ごとにこの定義を用意するのは手間ですが、一度作れば使い回せる資産です。
ステップ4:評価項目と質問を紐づける
最後に、どの質問でどの項目を見るかを対応させます。項目だけあって質問が決まっていないと、面接の流れ次第で聞き漏らしが出ます。
紐づけの形は、項目ごとに「主質問1つ+掘り下げ2つ」を用意しておくのが実用的です。主質問で経験を語ってもらい、掘り下げで「そのときどう判断したか」「結果はどうだったか」まで聞く。この掘り下げがないと、用意してきた回答をそのまま受け取ることになり、段階の見分けがつきません。なお、全員に同じ質問を同じ順で聞き、同じ項目で評価するやり方は構造化面接と呼ばれます。評価シートは、その構造化面接を紙に落としたものだと考えると位置づけが分かりやすいと思います。
面接の設計まで含めてどう組むかは、体制によって最適解が変わります。「面接官が社長一人しかいない」「現場が忙しくて面接に時間を割けない」といった制約がある場合ほど、シートの項目数や運用の形を実情に合わせて設計する必要があります。現状をうかがったうえで、無理なく回る形をご提案します。
評価項目の型|そのまま参考にできる基本セット
ここでは、地方の中小企業が中途採用で使う場合を想定した、評価項目の基本セットを挙げます。自社の採用基準に合わせて入れ替えて使ってください。項目名だけを真似しても効きません。入れ替えるときは、ステップ3の段階定義もセットで書き直すのがポイントです。
| 評価項目(区分) | 何を見るか |
|---|---|
| 業務遂行の再現性(スキル) | 前職での成果が、本人の判断と行動によるものとして説明できるか |
| 学ぶ姿勢(マインド) | 未経験の業務にどう向き合ってきたか。教わり方・調べ方の具体 |
| 周囲との関わり方(マインド) | チーム内で意見が食い違ったときの振る舞い。役割の取り方 |
| 仕事の優先順位づけ(スキル) | 複数の仕事が重なったときの判断の順序と、その理由 |
| 志望の具体性(志望度) | 同業他社ではなく自社を見ている理由を、事実に基づいて語れるか |
| 働き方の相性(定着) | 勤務地・勤務時間・繁忙期の実態を理解したうえで、無理なく続けられるか |
記入欄は、項目ごとに「点数(1〜5)」と「根拠となった発言・行動(1〜2行)」の2つで十分です。根拠の欄があると、合議で点数が割れたときにすぐ突き合わせられます。逆に、長文の所感欄を設けると書かれなくなるので、あえて1〜2行に制限しておくほうが埋まります。
シート末尾には、総合点ではなく「合格ラインを満たしているか」の判定欄を置きます。総合点で足し算をしてしまうと、必須要件に対応する項目が低くても、他の項目でカバーされて通過してしまうことがあるためです。「必須項目は4以上、その他は3以上」といった形で、項目ごとの下限を先に決めておいてください。
一次面談で重心を置くところと、当てにならないところ
弊社が一次面談の設計で重心を置くのは、上の表でいう5と6、つまり志望度と働き方の相性です。スキルの見極めは二次以降でも社内の方が判断できますが、通勤の現実性や家庭の事情との兼ね合いは、一次で確かめておかないと後工程がまるごと無駄になるからです。聞き分けるのは、回答の中身よりも「自分の言葉で答えているか」です。志望理由が求人票の言葉の言い換えにとどまるのか、自分の状況と結びつけて語られているのかで、段階の判断は変わります。
逆に、当てにならないと考えているのが「コミュニケーション能力」という一項目です。定義しないまま置くと、面接の場で緊張せずに話せたかどうかの採点になり、初対面の30分が得意な人が高く出るだけの項目になります。面接での流暢さと、入社後に報告や相談ができるかは別の力です。この項目を置くなら、「分からないことを分からないと言えたか」「質問の意図とずれた答えを自分で修正できたか」のような、行動で確かめられる定義に割り直すことをおすすめします。
記入例|同じ回答を、2人の面接官がどう書き分けるか
型を見ただけでは使い方が掴みにくいと思うので、記入のイメージを1つ挙げます。
評価項目「学ぶ姿勢」で、応募者から次のような回答が返ってきた場面を想定します。
「前職では、途中から在庫管理のシステムが新しくなりまして。最初は誰も使い方が分からない状態だったので、私が休憩時間にマニュアルを読んで、部署内向けに操作手順を1枚にまとめました。そのあと、聞かれたら教える係のようになっていました」
この回答に対する記入は、たとえばこうなります。
| 面接官と点 | 根拠となった発言・行動 |
|---|---|
| A(社長)4点 | 新システム導入時に自分でマニュアルを読み、手順書を作成。指示ではなく自発 |
| B(現場責任者)4点 | 部署内に共有するところまで実行。ただし成果(作業時間の変化等)までは語られず |
点数が同じでも、根拠の欄には別のことが書かれています。Aは自発性を、Bは実行と成果の有無を見ています。この差が見えるからこそ、合議で「では二次面接では、成果まで追える人かをもう一段確認しよう」という具体的な次の一手が決まります。
点が割れたときこそ、シートの価値が出ます。たとえばAが4、Bが2だった場合、根拠の欄を突き合わせれば、Bが「休憩時間にやった=業務時間内に段取りできていない」と読んでいたことが分かる。この読みの違いは、シートがなければ「なんとなく評価が分かれた」で終わっていた部分です。
作った評価シートを共有し、運用に乗せる
シートは配って終わりではありません。面接官の間で解釈をそろえ、選考のたびに見直す。ここまでやって、ようやく判断の物差しとして機能します。
面接前に、10分だけ擦り合わせる
新しいシートを使い始めるときは、面接官全員で一度だけ擦り合わせの時間を取ってください。過去の応募者の回答例をいくつか用意し、各自が独立に点をつけ、割れた項目について「なぜその点にしたか」を話す。この10〜20分をやるかどうかで、その後の合議の質が変わります。段階定義の文章では書ききれなかった重みづけが、会話のなかでそろうからです。
記録を残し、入社後と突き合わせる
選考が終わったあとも、シートは捨てずに残しておきます。半年後、その方が現場でどう働いているかと選考時の点数を突き合わせてみてください。高評価だった項目が入社後の活躍と結びついているか。逆に早期に辞めた方は、どの項目を見落としていたか。この振り返りを重ねると、評価項目そのものを入れ替える判断ができるようになります。評価シートは、使うたびに自社に合わせて育っていくものです。最初から完璧を目指さず、5〜7項目で始めて選考のたびに1行ずつ直していくくらいの構えがちょうどいいと思います。
聞いてはいけない項目を、シートの側で防ぐ
もう一点、シートには防御の役割もあります。応募者本人の適性・能力に関係のない事項——本籍地や家庭環境、支持政党や信条など——は、選考の判断材料にしてはいけないとされています(厚生労働省「公正な採用選考」の考え方)。評価項目と質問を紐づけておけば、聞くべきことがシート上で決まりますから、悪気のない雑談が横道に逸れる余地そのものが減ります。シートの余白に「この面接では確認しない事項」を一行入れておくのも、地味ですが効きます。
面接評価シートについてよくある質問
Q1. 評価は5段階と4段階、どちらがいいですか?
5段階をおすすめします。4段階(偶数)は「どちらとも言えない」を潰せる利点がありますが、中間がないぶん、判断に迷った項目で無理に上下どちらかに寄せることになります。基準点となる3の定義さえきちんと書いてあれば、5段階でも中央に集まりすぎることはありません。
Q2. テンプレートをそのまま使ってはいけませんか?
項目名と枠組みは参考にして構いません。ただし、5段階の定義文だけは自社で書き直してください。ここが一般的な言葉のままだと、面接官の主観が点数に直結し、シートを使う意味がなくなります。自社の採用基準に照らして「3はどんな受け答えか」を書く。この作業がシートづくりの本体です。
Q3. 面接官が社長一人でも、評価シートは必要ですか?
必要だと考えています。一人でも、面接した人が複数になれば比較が発生します。記憶での比較は、後から会った人ほど有利になりやすい(あるいはその逆になる)という偏りが出ます。項目ごとに点と根拠が残っていれば、日をまたいだ比較でも判断がぶれません。
Q4. 評価が全員一致で高いのに、採用を見送るのはおかしいですか?
おかしくはありません。評価シートは合否を自動で決める装置ではなく、判断の材料をそろえる道具です。職種と本人の希望がずれている、入社時期が事業計画と合わないなど、項目に表れない事情で見送ることはあり得ます。ただしその理由も記録に残すと、次回の要件見直しに活きます。
評価シートは、見極めを次の面接官へ引き継ぐ
ここまで、面接評価シートの作り方を、項目の切り出しから5段階の定義、記入例、運用まで見てきました。
改めて整理すると、評価シートがやっているのは、面接官それぞれの頭の中にしかなかった見極めを、社内で引き継げる形に変換することです。だから点数そのものより、段階の定義文と根拠の一行に価値があります。ここが埋まっていれば、面接官が入れ替わっても、日をまたいでも、判断の水準は保てます。
一方で、シートを整えれば採用がうまくいくかというと、そこは別の話です。そもそも面接に来てもらえていなければ、シートを使う場面が来ません。選考の設計と母集団形成(いわゆる応募数を増やすこと)は、どちらか片方では機能しない両輪です。
そして、シートの設計から面接の実施までを本業の片手間で回すのは、やはり負担が大きいところです。採用担当者のおよそ9割は本業と兼務していますし、採用に必要な作業は必須作業だけでも40以上あります。全部を自社で抱える必要はなく、評価項目の設計だけ第三者の目を入れる、一次面談そのものを任せる、といった部分的な進め方もできます。社内の人が相手だと身構えてしまう求職者も、第三者が面談に入ることでかえって本音を話しやすくなる、という面もあります。
御社の面接体制や採用フェーズをうかがったうえで、どこから整えるのが効くかをご提案します。「評価項目を作りたいが、何から書けばいいか分からない」段階でも構いません。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。