【中小企業】新卒採用でエントリーが集まらない理由は?今すぐ効く5つの打ち手
「求人を出しても、学生からの応募が来ない」
「会社説明会を開いても、席が埋まらない」
——地方の中小企業で新卒採用のご相談を受ける際、最初に出てくるのはたいていこのお悩みです。採用の専任担当者がおらず、日々の業務と兼務で時間が取れないため、去年と同じやり方を同じ時期にそのまま繰り返すことになりがちです。
そのなかでよくあるのが、「努力の量や求人の条件が足りないから人が集まらないのだ」という受け止め方です。原因は努力の量ではなく、学生の動き方が変わったことのほうにあります。ここに合わせて、露出と受け皿を同時に組み直すことがカギになります。
この記事では、何がどう変わったのかを調査データで整理し、中小企業が取れる打ち手を5つ紹介します。
この記事でわかること
- 学生の就職活動の考え方がどう変わったのか(4つの変化)
- 中小企業が学生の候補リストに入りにくくなった構造的な理由
- エントリーを増やすために中小企業ができる5つの打ち手
- 新卒採用を「露出」と「受け皿」の両輪で組み立てる考え方
前提として、採用市場は学生優位が続いている
大前提として、新卒採用市場は学生が会社を選ぶ構図が続いています。リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査によると、2027年3月卒業予定者の大卒求人倍率は1.62倍です。2年続けて下がってはいるものの、企業が採用したい人数に対して学生の数が足りていない状態に変わりはありません(※1)。
この状態が続くかぎり、中小企業には「そもそも応募してくれる学生の数が少ない」「動き出しが遅れると、会いたい層はすでに他社で決まっている」という状況が構造的に発生します。募集要項の書き方を工夫する以前に、土俵そのものが厳しくなっていると考えてください。
※1 引用:リクルートワークス研究所「第43回 ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)」(2026年4月23日発表)。2027年卒の大卒求人倍率は1.62倍で、2026年卒の1.66倍より0.04ポイント低下。 https://www.works-i.com/surveys/report/260423_recruitment_saiyo_ratio.html
エントリーが集まらない背景にある学生側の4つの変化
学生側で起きているのは、「価値観の変化」「早期化」「社数の絞り込み」「インターン重視」の4つです。この4つが重なると、中小企業は絞り込みの前の段階で候補から外れてしまいます。順に見ていきましょう。
01. 重視されるのは給与や規模より「働きがい」
学生が会社を選ぶときの基準にも、はっきりした変化があります。マイナビの就職意識調査では、就職観として「楽しく働きたい」を挙げた学生が40.2%で最多となりました。この調査で初めて4割を超えています(※2)。
企業選びの軸としては「安定している」が55.4%で最も多いです。「給料が良い」も26.6%と5年連続で増えています(※2)。生活を安定させたい気持ちと、働くこと自体を楽しみたい気持ちが同時に強まっている状態です。
学生は条件で比べる前に、「入社後の自分の姿が想像できるか」を見ています。ここは、地方の中小企業にとってむしろ有利に働く軸です。
※2 引用:マイナビ「2027年卒大学生就職意識調査」(2026年4月24日発表)。調査期間2025年10月1日〜2026年3月23日、2027年3月卒業見込みの全国大学3年生・大学院1年生37,160名が回答。 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260424_109895/
02. 就職活動の開始時期が前倒しになっている
スケジュールも前倒しになりました。大学3年生の段階でインターンシップなどのキャリア形成活動に参加する学生は、85.6%にのぼります(※3)。広報活動が解禁される前から企業との接点を持つのが当たり前になっています。
3月の広報解禁を待って動き出すのは、すでに出遅れです。解禁時点で学生の頭の中には、すでに何社かの候補が入っていると考えてください。
※3 引用:マイナビ「2027年卒 大学生広報活動開始前の活動調査」。27年卒学生のインターンシップ等キャリア形成プログラムの参加率は85.6%。 https://saponet.mynavi.jp/column/detail/20260224125520.html
03. 1人あたりのエントリー社数が減り、厳選型に変わった
学生1人あたりが応募する会社の数も減っています。キャリタス就活の学生モニター調査では、4月1日時点の平均エントリー社数が前年の21.8社から19.2社へと、1年で2.6社減りました(※4)。
これは「手当たり次第に出す」やり方から、「本当に行きたい会社を絞って出す」やり方への変化です。減った枠を知名度のある企業と取り合うことになります。候補リストに残るには、「知ってもらう機会」と「選ぶ理由」の両方が要ります。
※4 引用:キャリタス「4月1日時点の就職活動調査〈速報〉〜キャリタス就活 学生モニター2027」(調査期間2026年4月1日〜6日、回答1,057人)。1人あたりのエントリー社数の平均は19.2社で、前年同期の21.8社より2.6社減少。 https://www.career-tasu.co.jp/press_release/12290/
04. インターンシップが最初の接点として定着した
インターンシップへの期待値も高い水準です。前述のとおりキャリア形成プログラムの参加率は85.6%に達しており(※3)、企業を知る最初の入口として定着しました。インターンシップ後にそのまま選考へ進む採用直結型も増えています。
ここに対応できているかどうかで、母集団の大きさに差がつきます。インターンを持たない会社は、学生が会社を知る機会そのものを1つ失っています。
この4つを重ねて見ると、いま起きていることがはっきりします。学生は早く動き出し、少ない社数に絞り、条件より働き方を見て、インターンシップで会社を知ります。この順番のどこにも接点がない会社は、募集を出していても存在しない扱いです。今までと同じ採用活動だけでは応募が来ない、というのが現実です。
なお、応募が集まらない原因は新卒採用に限った話ではありません。中途採用も含めて「そもそもどこで詰まっているのか」を切り分けたい方は、応募が来ない原因を、条件のせいだと思う前に見直す順番もあわせてご覧ください。原因を階層に分けて整理しています。
中小企業がエントリーを得るための5つの打ち手
ここからは実践編です。学生側の4つの変化に対して、地方の中小企業が現実的に取れる手を5つに整理しました。前半2つは接点の作り方(制度面)、後半3つは伝え方(情報発信)です。すべてを一度にやる必要はありません。まずは接点づくりから順に着手していくのがおすすめです。
1. インターンシップを夏から秋に置いて早期に接触する
学生の動き出しが大学3年の春である以上、こちらの接点も前に倒す必要があります。夏のインターンシップや1日の仕事体験を通じて、早い時期に顔を合わせておくことが何より効きます。
プログラムは短期間でも構いません。凝った研修より、「どんな人が働いているのか」が伝わる内容のほうが記憶に残ります。
2. オンラインと対面を組み合わせた選考設計
地方企業の場合、選考のたびに移動が発生することが、そのまま応募のハードルになります。実際、就活生の9割以上が、対面のみではなくオンラインを取り入れた選考過程を望んでいるという調査もあります。「全工程対面が良い」と回答した学生は3.2%にとどまりました(※5)。
※5 引用:株式会社i-plug「就職活動の選考過程に関する調査」(2025年卒学生1,031名対象・2024年2月15日発表、2026年7月28日確認)。「全工程対面が良い」と回答した学生は3.2%。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000041771.html
説明会と一次面接はオンライン、最終面接と職場見学は対面。この組み合わせにするだけで、遠方の学生やUターン層の応募が現実的な選択肢に変わります。
3. 働き方・制度の見える化
「残業が少ない」「有給休暇が取りやすい」「地元で長く働ける」。これは中小企業だからこその強みであり、学生が最も重視している軸に真正面から刺さる情報です。
しかし、この手の情報ほど社内では当たり前になっていて、どこにも書かれていません。書いていないものは存在していないのと同じです。
4. 情報発信力の強化
学生は「よく知らない会社」を候補に入れられません。判断材料がないからです。
採用サイトやSNSで、職場の雰囲気や実際に働いている社員の声を出していくことが、エントリーを増やす第一歩になります。ここで大事なのは、きれいに整えることより、入社後の自分の姿が想像できる材料を置くことです。求人票の条件欄では伝わらない部分を、受け皿側で補うという発想になります。
5. 「地元らしさ」という、大手が持てない価値の訴求
地域に根ざした事業をしていること、地元とのつながりが深いこと、社員同士の距離が近いこと。「地元らしさ」は、大手企業が持てない価値です。
弊社の支援経験では、地方の現実的な通勤圏は片道1時間/25〜30km圏内です。裏を返せば、その圏内で暮らしたい学生にとって、御社は数少ない選択肢の1つになり得るということです。全国と同じ土俵で戦う必要はありません。「この地域で働く価値」を前に出すほうが届きます。
新卒採用は、商品を売るのと同じ考え方で組み立てる
新卒採用市場は複雑になっており、「求人を出して待つ」だけで成立する時代ではなくなりました。学生が早く動き、少ない社数に絞り込む以上、企業側もどんな人に、どんな魅力を、どの順番で伝えるかを決めておくと動きやすくなります。
誰に届けるかを決め、その人が見ている場所に露出し、確かめに来る受け皿を整える。これは商品を売るときの考え方とほとんど同じです。この3つが揃ってはじめて、エントリーという行動が起きます。
見落とされやすいのは、この順番です。採用サイトを立派に作っても、そこへたどり着く経路がなければ人は来ません。逆に、露出だけ増やしても、確かめに来た先に何もなければそのまま離脱します。露出と受け皿は両輪で、片方だけを磨いても回りません。
中小企業の新卒採用でよくある質問
Q. 中小企業でも、新卒採用は本当に可能ですか?
可能です。ただし、大手と同じ土俵で同じ時期に同じやり方をすると勝ち目が薄いのは事実です。学生が重視しているのは給与や規模より働き方と会社の雰囲気なので、そこを言語化して早い時期に接点を持つことが現実的な戦い方になります。条件だけの勝負ではなく、総合点勝負に持ち込むという考え方です。
Q. インターンシップを受け入れる余力がない場合、どうすればいいですか?
長期のプログラムである必要はありません。1日の仕事体験や職場見学からでも接点にはなります。学生が知りたいのは業務の完成度ではなく、どんな人がどんな空気で働いているかです。まずは既存の業務を見てもらう形から始めてみてください。
Q. 採用サイトと求人媒体は、どちらを先に整えるべきですか?
順番としては、露出(媒体)と受け皿(採用サイト)を切り離さずに考えるのが前提です。そのうえで、媒体経由で興味を持った学生の多くは、社名で検索して会社を確かめます。そこに何も出てこない状態で媒体だけ増やすと、集めた分だけ取りこぼすことになります。
Q. 新卒採用は、いつから動き出すべきですか?
学生の8割以上が大学3年のうちにキャリア形成プログラムへ参加していること(※3)を踏まえると、夏のインターンシップに間に合う時期には接点の準備を終えておきたいところです。3月の広報解禁を起点に逆算する設計では、間に合わない前提で考えたほうが安全です。
Q. 採用の担当が本業と兼務で、手が回りません。
採用担当者の約9割が本業と兼務しているのが正直なところです。新卒採用の必須作業だけでも相当な数になるため、すべてを自社で抱えると、どこかが止まってしまいます。止まって困る工程だけを外に出す、という考え方をおすすめしています。
学生の変化に合わせて、露出と受け皿を同時に組み直す
学生の動き方が変わったぶんだけ、こちらの接点と伝え方を作り直す。話としてはそれに尽きます。個々の施策はどれも特別なものではありません。難しいのは、兼務で日々の業務を回しながら、これを毎年継続することのほうです。
そしてもう一段引いて見ると、新卒採用がうまくいかない原因は、採用活動そのものより手前にあることがよくあります。そもそも学生から見つけてもらえているか。見つけてもらえた先に、確かめる材料があるか。この2つが揃わないまま打ち手だけ増やしても、成果にはつながりにくいのです。
弊社は、求人媒体への露出から選考までを、地方企業向けに一貫して支援しています。全国の地方企業に1,420社以上のウェブサイト制作・マーケティング支援を行ってきた実績があり、製造・建設・運送・医療・飲食など、地方で人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。
- 新卒採用を始めたいけれど、何から手をつければいいかわからない
- 本業に精一杯で、インターンシップまで手が回らない
- これまで媒体は出してきたが、エントリーが増えなかった
まずは御社の課題感をお聞かせください。うかがったうえで、近い業種でうまくいった進め方をご紹介します。「インターンシップの設計だけ相談したい」という段階のご相談で構いません。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。