【保存版】採用ペルソナの作り方5手順|「誰でもいい」が採れない理由

「とにかく人手が足りないので、来てくれる人なら誰でも」——採用のご相談で、最初にこう言われることは本当に多いです。現場が回っていない状況で「どんな人が欲しいか」を悠長に考えている余裕はない。その切実さはよく分かります。

ただ、「誰でもいい」で出した求人は、結果としていちばん応募が来ません。誰にでも当てはまる言葉は、誰の心にも引っかからないからです。求職者は求人を並べて比べていて、「これは自分に向けて書かれている」と感じたものだけが候補に残ります。

この記事でわかること

  • 採用ペルソナとは何か、「求める人物像」とどう違うのか
  • 「誰でもいい」が応募を止めてしまう構造
  • 採用ペルソナの作り方(5手順)とペルソナシートに入れる項目
  • 絞りすぎ・作文になりがちな落とし穴と、AIを使うときの注意点

目次

採用ペルソナとは|人物像を一人まで具体化する手法

2025年版中小企業白書(中小企業庁)でも、中小企業がもっとも重視する経営課題として「人材確保」が挙げられています。人を採る必要があることは、もう社内で合意が取れている。だとすれば次に決めるのは、採りたい人物像を、社内の誰が読んでも同じ顔が浮かぶ具体度まで落とすことです。その設計の道具が採用ペルソナ(採りたい人物像とも呼ばれます)です。

採用ペルソナとは、自社が採りたい人物像を、実在しそうな一人の人物として具体的に描いたものです。年齢や経験だけでなく、いまどんな働き方をしていて、何に不満を感じていて、転職先を探すときにどこを見るのか。そこまで含めて一人の顔として立ち上げます。

ポイントは、架空の人物を創作すること自体が目的ではないという点です。目的は、求人票の言葉・媒体の選び方・面接で伝えることを社内で一つに揃えること。判断に迷ったときに立ち返る基準をつくる作業だと捉えると、使いどころが見えてきます。

「求める人物像」との違いは、使う場所にあります

似た言葉に「求める人物像」があります。この2つは対立するものではなく、使う場所が違うと整理すると混乱しません。

  • 採用ペルソナ……社内で使う設計図。具体的で、生々しくて構いません。むしろ外に出さない前提だからこそ「前職の残業がきつくて辞めたいと思っている」といった本音の部分まで書けます
  • 求める人物像……採用サイトや求人票に載せる、社外向けの表現。求職者が読んで「自分は当てはまりそうだ」と判断できる言葉に翻訳したもの

順番としては、ペルソナを先に設計し、そこから外向けの「求める人物像」を書き起こします。逆をやると、外向けのきれいな言葉(誠実な方、成長意欲のある方)から出発してしまい、結局どこの会社の求人にも書いてあることになります。

参考記事:『【4つの型】「求める人物像」とは?採用サイトに書くときの外せない点

「誰でもいい」で募集すると、かえって採れない

採りたい人物像が曖昧なまま進めると、後工程のすべてがぼやけます。効いてくるのは、求人票の言葉と、媒体の選び方の2か所です。

どこの会社でも通じる文面になってしまう

人物像が決まっていないと、書けることが一般論しか残りません。「アットホームな職場です」「未経験でも歓迎」「風通しの良い社風」。どれも嘘ではないのですが、同じ商圏の競合も同じことを書いています。比較されたとき、判断材料は給与と休日の数字だけになり、条件で上回る会社に流れていきます。

人物像が決まっていれば、書く内容が変わります。「教えてくれる先輩がいなくて不安」という人に向けるなら、指導体制と一人立ちまでの期間を具体的に書くことになる。求職者は自分に関係のない求人を読み飛ばしますが、一人に向けて書いた言葉のほうが、結果として届く範囲は広くなるというわけです。

媒体選び・打ち手の基準が消える

もう一つは露出側です。どの求人媒体に出すか、無料媒体で足りるのか、学校とのつながりを作るべきなのか。これらは全部「誰に届けたいか」から逆算して決まります。人物像がないと判断のしようがないので「よく名前を聞く媒体」に出すことになり、費用だけがかさむという流れになりがちです。

採用ペルソナの作り方|5つの手順

ここからが実務です。手順は5つで、最初から完璧を目指す必要はありません。

手順1:事業から「何をする人が必要か」を決める

出発点は人物像ではなく、事業です。来期この仕事を伸ばしたいから現場をあと2人、退職に備えて補充しておく。そこから「その人に何をしてもらうのか」を書き出します。

ここが飛ばされると、以降がすべて願望になります。「優秀な人が欲しい」ではなく「入社半年後に、この工程を一人で回せるようになっていてほしい」まで具体化する。役割が決まって初めて、必要な経験とそうでない経験が分かれます。

手順2:社内で活躍している人から逆算する

もっとも手軽で、外れにくいやり方がこれです。いま自社で活躍している社員を2〜3名思い浮かべて、共通点を探します。

前職は何だったか。入社の決め手は何だったか。何を面倒だと感じないタイプか。この作業をすると、意外と「業界経験」が共通項ではないことに気づきます。むしろ「地元に腰を据えたいと思っていた」「細かい作業を苦にしない」といった、求人票に書いていなかった要素のほうが効いていた、というのはよくある発見です。可能であれば本人に「なぜうちに入ったのか」を聞いてみてください。採用担当が想像していた理由と違うことが少なくありません。

手順3:地方の現実(通勤圏・生活)まで具体化する

ここが、都市部向けのノウハウをそのまま持ち込むと外れる部分です。

地方の採用では、通えるかどうかが最初の足切りになります。車通勤が前提の地域なら、現実的な通勤圏はおおむね片道1時間/25〜30km圏内です。この圏内に、想定した人物が何人いそうかまで考える。「そもそもこの条件の人は商圏内にほぼいない」と分かれば、それは人物像を見直すサインです。

さらに、生活の側も書き加えます。子どもの送り迎えがあるのか、親と同居しているのか、地元に戻ってきたばかりなのか。ここまで書けると、「土日休み」より「急な早退が言い出しやすい」のほうが刺さる、といった打ち出しの優先順位が決まってきます。

手順4:ペルソナシートに落とす(入れる項目の型)

ここまでを一枚にまとめます。項目の型は、次のくらいで十分に機能します。

  1. 基本情報……年代/居住エリア(自社からの距離)/家族構成/通勤手段
  2. 職務経歴……いまの仕事・経験年数・保有資格/転職回数
  3. 現在の不満・転職を考えたきっかけ……ここがいちばん重要
  4. 仕事に求めるもの……優先順位を3つまで(給与・休日・人間関係・成長・通勤時間など)
  5. 情報の探し方……どの媒体を見るか/スマートフォンで見るか/会社名で検索するか
  6. 応募をためらう理由……何が分からないと応募しないか
  7. 自社が提供できること/できないこと……ここを正直に書く

7番目を入れているのには意図があります。提供できないことを書いておかないと、人物像がいつのまにか理想像に膨らんでいくためです。またこの一枚は完成させて終わりではなく、応募が来はじめたら実際の顔ぶれと見比べて更新していく。設計図であって、決定事項ではないという扱いが、いちばん実務で使えます。

手順5:求人票・採用サイトの言葉に翻訳する

最後に、社内向けのシートを社外向けの言葉に置き換えます。「3番(転職を考えたきっかけ)」の不満が、そのまま自社の訴求ポイントの裏返しになります。前職で教えてもらえなかったことが不満なら、指導体制の説明が刺さる。「6番(応募をためらう理由)」は、採用サイトのFAQや仕事内容ページで先回りして潰す材料になります。

シートを作った時点で満足してしまい、求人票が前年のままというケースが実はいちばん多いので、翻訳の工程まで含めて一連の作業だと捉えてください。

ターゲット設計のずれが、応募にそのまま出た例があります。

岐阜市で農業資材の卸と農業ハウスの施工を手がける会社では、「イチゴプロジェクト専任スタッフ」という社内の呼び名のまま求人を出していました。この求人へのエントリーは累計6〜7件と集まっていたのですが、その全件が対象外・辞退・不採用でした。実態を見ると、4つの業務が1本の求人に混在していました。

そこで、来てほしい相手が検索する言葉から逆算して、「農業ハウス施工&設備技術者」「農業現場サポート・軽作業」など3本の求人に分けて出し直す設計に変えています。誰に届けたいかを決め直すと、まず職種名と求人の本数が変わる。 ペルソナ設計が求人票に翻訳される、典型的な例です。

もう1つ。静岡県西部で精密板金加工を営む従業員65名ほどの会社では、社長に「定着している人の共通点」を尋ねたところ、「自分から話せる人」「あれをやりたいと自分から言う人」という言葉が出てきました。この会社では、これまでの退職者17名のうち29%が1年未満での退職である一方、1年を超えると一気に定着します。出てきた言葉をそのまま「人柄」「自主性」という共通言語にして、求人と採用サイトに反映する方針を取りました。

ペルソナの材料は、理想像ではなく、いま現場に定着している人の中にあります。

ターゲットを決めるとき、最初に聞く3つのこと

弊社がキックオフで必ずうかがうのは、次の3つです。理想像から入らず、すでに社内にある事実から始めるための問いです。

  1. いま定着している人は、どこが共通していますか

「どんな人が欲しいか」ではなく「どんな人が残っているか」を聞きます。理想像は各社そう変わりませんが、定着している人の共通点はその会社だけのものです。前述の会社で出てきた「自分から話せる」「あれをやりたいと言う」も、この問いから出た言葉です。

  1. 逆に、合わずに辞めた人はどんな人でしたか

採らない基準のほうが、実は輪郭がはっきりします。「単純に労働だけを望んでいる人は合わなかった」のように、言いにくいことほど設計に効きます。

  1. その条件に当てはまる人は、通勤圏に何人いそうですか

ここで多くの場合、要件が現実と噛み合っていないことが分かります。必須条件を積み上げた結果、商圏に数十人しかいないという試算になることは珍しくありません。人物像の議論は、この母数と突き合わせて初めて実務になります。

この3つを順に聞くと、「欲しい人」から「採れる人」へ、話の軸が自然に移ります。ペルソナ設計でつまずくのは、たいてい1と3を飛ばして2から入ってしまうときです。

採用ペルソナでやりがちな3つの落とし穴

作り方より、こちらのほうが結果を左右するかもしれません。

01. 絞りすぎて、応募そのものが止まる…

いちばん多い失敗です。「自社に合わない応募を減らしたい」という気持ちから、要件をどんどん足していく。業界経験3年以上、有資格者、即戦力。気づくと、その条件を全部満たす人は商圏内に数人しかいない状態になっています。

実際、条件を厳しくしすぎた結果、応募がまったく来なくなったという相談は珍しくありません。異業種から転職して活躍する人は数多くいますし、募集要項とのマッチ度は低くても、面接してみたら別のポジションで力を発揮しそうだと分かるケースもあります。間口を狭めるのではなく、間口を広げて、その中から選べる体制をつくる。人物像を明確にすることと、応募条件を厳しくすることは、まったく別の作業だと分けて考えてください。

具体的には、シートの項目を「これがないと務まらない条件」と「あったら嬉しい条件」に分けます。求人票に書くのは前者だけにする。それだけで、応募の入口はかなり変わります。

02. 理想像の作文になっていて、社内の誰も使っていない…

採用担当が一人で作ったシートは、面接に出てくる役員や現場責任者には共有されていないことがよくあります。すると面接で見ているところがバラバラになり、一次を通した人が二次で落ちる。ペルソナは社内の判断を揃えるための道具なので、選考に関わる全員が読んだ状態になっていないと効果が出ません。

03. 一度作って、そのまま何年も使い続ける…

事業の状況も、商圏の競合の条件も、毎年変わります。3年前のシートのまま求人を出していると、いまの市況とズレたまま比較されることになります。募集を出すたびに、少なくとも「3番(転職を考えたきっかけ)」と「4番(仕事に求めるもの)」は見直してみてください。

AIで採用ペルソナを作るときに気をつけたいこと

生成AIにペルソナを作らせる方法も広がっています。結論から言うと、たたき台をつくる用途では有効、そのまま使うのは危険というのが実感に近いところです。

AIが出力するのは、世の中の一般的な傾向を平均した人物像です。それらしい文章はすぐに出てきますが、そこには自社の商圏の話も、いま活躍している社員の共通点も、自社が提供できないことも入っていません。手順2と手順3で拾った、その会社にしかない情報が抜け落ちるわけです。

使うなら順番を逆にします。先に手順1〜3を自社の手で埋めてから、その内容をAIに渡して「抜けている観点はないか」「この人物が応募をためらう理由を10個挙げて」と壁打ちに使う。自社の情報を入れてから使うか、空のまま出力させるかで、出てくるものの実用性はまったく違います。

採用ペルソナに関するよくある質問

Q1. 職種ごとにペルソナは分けるべきですか

分けたほうが機能します。営業と製造では、転職を考えるきっかけも、見ている媒体も違うためです。ただし全職種を一度に作る必要はありません。いま一番採りたい職種から一枚作り、運用しながら増やしていく進め方で十分です。

Q2. どのくらいの時間をかければいいですか

初回は、社内の関係者2〜3名で1〜2時間集まれば形になります。時間をかけて精緻にするより、粗くても一枚作って求人票に反映し、応募の反応を見て直すほうが早く精度が上がります。

Q3. 中小企業でも本当に必要ですか

規模が小さいほど効きます。大手のように大量の応募から選べるわけではないので、限られた通勤圏の中で「この会社は自分向けだ」と感じてもらえるかが勝負になるためです。むしろ母数を集めにくい会社ほど、言葉の精度で差がつきます。

Q4. ペルソナを作ったのに応募が増えません

その場合、原因が人物像ではなく露出側にある可能性が高いです。求人票の言葉がどれだけ良くても、そもそも見つけてもらえていなければ応募は来ません。ペルソナの見直しの前に、どの媒体に出していて、何人に見られているかを確認してみてください。

人物像を決めることと、間口を狭めることは別

ここまで見てきたとおり、採用ペルソナは「条件を厳しくするための道具」ではありません。求人票にどんな言葉を置き、どの媒体に出し、面接で何を伝えるか——採用活動のあちこちで発生する判断を、一つの基準に揃えるための設計図です。

そして、この設計図は求人票への翻訳、媒体選び、面接での伝え方まで一続きで使われて初めて成果につながります。採用活動を最後までやり切ろうとすると必須作業だけでも40以上あり、ターゲット設計はその入口の一工程にすぎません。弊社が接してきた地方の中小企業では、採用担当者の約9割が本業との兼務でした。その体制で設計から運用までを漏れなく回すのは、正直なところ簡単ではないと思います。

ちなみに弊社では、支援に入るときのキックオフで、この人物像の設計から一緒に着手します。経営者の方が思い描く人物像と、実際に活躍している社員の共通点がずれていることが珍しくないためです。

全部を頼む必要はありません。人物像は自社で決めて、翻訳から先だけ任せるという形もできます。まずは御社が「誰を採りたいのか」をうかがうところから。「まだ言葉になっていない」という段階でも大丈夫です。御社の規模と採用フェーズに合わせて、最適な構成をご提案します。

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この記事を書いた人
【保存版】採用ペルソナの作り方5手順|「誰でもいい」が採れない理由 | 進め方と手法
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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