採用にLP(ランディングページ)って効果ある?一般企業にはおすすめしない理由
採用サイトを作ろうと動き出すと、制作会社との最初の打ち合わせで大抵出てくる論点があります。「縦に長い1ページで作りますか、それとも複数ページのサイトにしますか」という質問です。
前者が『採用LP(ランディングページ)』、後者が一般的な採用サイトです。
この記事にたどり着いた方は、採用LPを作ることを検討されているのだと思います。その前提に、先にお伝えしておきます。一般企業が自社の社員を採用するのであれば、採用LPは基本的に作らないほうがよいと考えています。
ここでいう「一般企業」とは、自社で働く人を採用する事業会社のことです。人材派遣会社のように、登録者を集めること自体が事業になっている会社は含みません。雇用形態は問いません。正社員でもパート・アルバイトでも、判断の軸は同じで、そこへ広告を出稿する予定があるかどうかで決まります(詳しくは「有効な2つの場面」で説明します)。
理由は、LPという手法が本来持っている性質と、採用という行為の性質が噛み合っていないからです。そこを説明せずに「ご希望どおり作ります」と請けるのは、制作会社として不誠実だと思っています。
とはいえ、採用LPが有効な場面もはっきり存在します。この記事では、LPとは何かという整理から、なぜ一般企業には向かないのか、では一般企業は代わりに何をすべきか、そしてLPが有効なのはどんな場面かを順に整理します。
この記事でわかること
- 採用LPとは何か、採用サイトと何が違うのか
- 一般企業に採用LPをおすすめしない理由
- 一般企業が代わりに採るべき進め方
- 採用LPが有効な2つの場面
「採用LP(ランディングページ)」とは
採用LPとは、採用の情報を1ページに縦長にまとめ、そのページの中だけで応募の意思決定まで持っていくことを狙ったページのことです。採用ランディングページとも呼ばれます。
LP(ランディングページ)という手法そのものの考え方を押さえておくと、性格がはっきりします。
LPの本質は「検討させずに、その場で決めさせること」
LPの設計思想は、読み手に検討する間を与えず、そのページの中で申し込みや応募まで完了させることにあります。
一度離脱させてしまえば戻ってきてもらえない。だからページを離れる理由を作らず、論理構成と理詰めのストーリー展開で最後まで読ませ、そのまま行動させる。「他と比較検討する」という選択肢を与えずに獲得を狙うのが、LPの本来の設計です。
だからこそLPには、リンクが少なく、途中で他のページへ飛ばず、下へ下へと読ませる構造が採用されます。
採用サイトとの違いは「回遊させるかどうか」
採用サイトは逆の設計です。トップページから会社紹介、仕事紹介、社員インタビュー、募集要項へと回遊してもらいながら理解を深める構造になっています。
「採用LP」の場合
| 狙い | その場で応募させる |
|---|---|
| 構造 | 1ページ・縦長・リンクを絞る |
| 読者に渡すもの | 決断 |
| 向く流入 | 離脱したら戻らない広告経由 |
「採用サイト」の場合
| 狙い | 回遊させて理解を深める |
|---|---|
| 構造 | 複数ページ・相互リンク |
| 読者に渡すもの | 判断材料 |
| 向く流入 | 社名で検索して来る求職者 |
採用サイトとは?目的や必要性、制作メリット・デメリットまで詳しく解説!
インターネット検索が主流となった昨今、地方における採用活動の中心は、求人広告から「採用サイト」へと移行しつつあります。 実際に岐阜市に本社をおく当社でも、近年の採用状況の【約8割】以上が、採用サイトからの応募です。 ではそもそも採用サイトとはどのようなサイトで、制作するとどのような効果があるので
一般企業に採用LPをおすすめしない理由
ここまで読んでいただくと、噛み合わない理由が見えてくると思います。採用は、その場で決めさせてよい買い物ではありません。
理由①:企業側は応募者を吟味したい
採用は、その人と何年も一緒に働くかどうかの判断です。応募数だけを増やしても、合わない人が増えれば選考の手間が膨らむだけで、現場は楽になりません。
勢いで応募してもらうより、会社を理解したうえで応募してもらったほうが、その後の選考は速くなります。
分かりやすいのは面接の中身です。会社を調べてきた人との面接は、質疑がかみ合い、見極めに時間を使えます。何も知らずに応募してきた人との面接は、最初の20分が会社説明で消えます。1件あたりの面接コストが違うというわけです。
母集団が細い会社ほど「まず数を」と考えたくなりますが、選考に人手を割けないのも同じ会社です。ここが噛み合いません。
理由②:求職者側もじっくり検討したい
求職者にとっても、転職は生活そのものを変える決断です。とくに地方では、現実的に通える範囲が片道1時間/25〜30km圏内に限られ、その中での転職は住まいや家族の生活と直結します。
「検討する間を与えない」設計は、この意思決定の性質と正面から衝突します。急かされて応募した人は、入社前に冷めます。「勢いで応募したものの、よく考えたら通えない」「家族に反対された」……。辞退の理由は、たいていこの形で返ってきます。
家族の存在も大きく効きます。地方の転職では、本人が納得しても配偶者や親に説明できなければ話が進みません。1ページで完結する設計は、この「持ち帰って相談する」という行動を想定していません。
求職者が繰り返し訪れて確かめられる場所が必要になる、というのが実情です。
結果、ミスマッチが増えてしまう
LPで一気に刈り取ると、会社をよく知らないまま応募した人が母集団に混ざります。書類選考と面接の工数が増え、内定を出しても辞退される。仮に入社まで進んでも「聞いていた話と違う」が起きやすくなります。
応募数という数字だけは増えるため、一見うまくいったように見えるのが厄介なところです。効果を測るなら、応募数ではなく面接まで進んだ人数で見てください。数か月後に追えるようであれば、入社後の定着まで確認すると精度が上がります。
採用サイトを回遊させて、応募前の理解度を上げる
一般企業が採るべきは、採用サイトの中を回遊してもらうことです。
- どういう会社なのか
- どういう仕事をしているのか
- どういう人と働くのか
この3つを読み進めるうちに理解してもらい、「ここで働きたい」という意欲が高まった段階で応募してもらう。これが一般的な採用のあるべき姿だと考えています。
回遊には「読ませるページ」が複数必要
回遊してもらうには、読む価値のあるページが複数必要です。社員インタビュー、仕事紹介、数字で見る会社、働く環境。1ページに詰め込むのではなく、知りたい順に読み進められる形に分けておきます。
【完全版】採用サイトで”絶対に”用意すべき「求職者向けコンテンツ」を徹底解説!
インターネット検索が主流となった昨今、地方における採用活動の中心は、求人広告から「採用サイト」へと移行しつつあります。 実際に岐阜市に本社をおく当社でも、近年の採用状況の【約8割】以上が、採用サイトからの応募です。 しかし、当然ではありますが「求職者が惹かれるコンテンツ」がサイト上になければ、せ
アクセス獲得には「求人媒体」での認知が必須
そもそも採用サイトに人が来ていなければ、回遊も何もありません。露出は求人媒体で確保するのが先です。
コーポレートサイト内の採用ページで足りるのか、独立した採用専用サイトを持つべきかで迷っている場合は、別の記事で判断軸を整理しています。
【求人・採用】採用専用サイトは必要?制作するときに必要なコンテンツは?
採用サイトは、新卒の学生や転職を考えている人に、どんな会社か知ってもらうためのホームページです。リーピーでは、“求人の応募者を増やすためには?”、“会社の魅力を伝えるにはどうしたら良いか?”という相談を受けることも多いのですが、そんなとき、この「採用専用サイト」をおすすめしています。 今回は、なぜ
「採用LP(ランディングページ)」が有効な2つの場面
では採用LPが不要かというと、そうではありません。「離脱したら二度と戻ってこない流入」がある場合に限って、LPは強力に機能します。具体的には次の2つです。
01. SNS広告などを出稿するとき
InstagramやFacebookなどのSNS広告を打つ場合です。求人媒体への出稿ではなく、自社で広告を運用するケースを指します。
「この職種で何名募集」という広告を見て流入したユーザーは、その場で応募させないと、離脱後に再訪してもらうことは極めて困難です。広告を見た文脈も、そのときの気分も、二度と再現できません。
この流入に対しては、回遊させるより1ページで完結させたほうが理にかなっています。広告とLPの組み合わせは、相性が非常に良いというわけです。
逆に言えば、広告を打つ予定がないのであれば、LPを作る前提そのものが成立しません。
02. 人材派遣会社が登録者を増やすとき
自社が抱える派遣候補者の数を、とにかく増やしたいというケースです。
派遣は、登録者という分母を確保することが事業の土台になります。一人ひとりをじっくり吟味するより、まず母数を積み上げる必要がある。この目的にはLPが噛み合います。
実際、上記01の広告運用とセットで、登録者を急ぎで大量に獲得したい場面では広く使われています。
ここで押さえておきたいのは、派遣の登録と正社員の応募では、求職者にとっての重さがまるで違うという点です。登録は「とりあえず選択肢を持っておく」行動なので、その場で決めても失うものがありません。だからLPの設計が噛み合います。
自社が人材派遣業でないなら、この前提はそのまま当てはまらないと考えてください。
採用LPを制作・依頼する場合に押さえておくべき点
広告出稿の予定がある、あるいは派遣の登録者獲得が目的である。そうした前提が揃っているなら、LPは有効な選択肢になります。その場合に押さえておくべき点を整理しておきます。
①並び:疑問が起きる順に並べる
LPは途中で他のページへ逃がさない構造なので、読み進める中で生まれる疑問に、その場で順番に答えていく必要があります。
- ファーストビュー:誰に向けた募集かを一目で分かる形に。職種・勤務地・雇用形態
- 共感:いまの職場で感じているであろう不満や不安を言語化する
- 解決:自社ではそれがどうなるのかを示す
- 仕事の中身:1日の流れ、任される範囲、使う道具や設備
- 働く人:一緒に働くメンバーの顔と声
- 条件:給与・休日・勤務地・福利厚生を隠さず出す
- 不安の解消:未経験でも大丈夫か、研修はあるか、よくある質問
- 応募ボタン:スクロール中も常に押せる位置に固定する
②フォーム:項目を減らすほど通る
LPの成否は、最後のフォームでかなり決まります。氏名・連絡先・希望職種があれば選考は始められます。職務経歴を入力させる設計にした時点で、その場での応募は激減します。
詳しい話は面談で聞けばよい、という割り切りが必要です。
入力項目は3〜4個が上限だと考えてください。スマートフォンで広告から流入した人が、その場で親指だけで完了できる分量かどうかが判断の基準になります。履歴書の添付を必須にすると、その時点でほぼ離脱します。
エントリーフォーム全般の見直し方は、別の記事で整理しています。
③費用:金額より「何を含むか」で見る
採用LP単体の制作費は、75万円〜125万円程度に収まることが多いところです。ページの長さ、撮影の有無、原稿を自社で用意するかどうかで動きます。
金額そのものより先に確認していただきたいのが、広告運用まで含むのか、LPを作るだけなのかです。LPは作って終わりではなく、広告を回しながら文言や画像を差し替えて成果を上げていくものだからです。ここを含まない見積もりだけを見て判断すると、作った後に運用の手が足りなくなります。
広告運用まで依頼する場合の月額は、広告の実費(出稿費用)に、運用会社への手数料が20%〜30%程度上乗せされる形が目安です。つまり出稿額が増えれば手数料も増えます。ここまで含めた総額で考えておいてください。
「採用LP」に関するよくある質問
Q1. 採用LPと採用サイト、両方作ることはできますか?
できます。広告用にLPを用意し、通常の流入は採用サイトで受けるという分け方です。ただし両方を維持する運用の手間がかかります。弊社がこれまで接してきた地方の中小企業では、採用担当者の約9割が専任ではなく兼務でした。運用の手間を考えると、まず採用サイトを整えてから、広告を始める段階でLPを足す順番が現実的です。
Q2. 採用LPだけ作って、採用サイトは作らないという選択はありますか?
おすすめしません。求職者は求人媒体で会社を知ったあと、ほぼ必ず社名で検索します。そこで出てくるのがLP1枚だと、会社を理解するための情報が足りません。LPは広告の受け皿であって、社名検索の受け皿にはならないと考えてください。
Q3. 既存の採用サイトから、LPだけ切り出して作れますか?
作れます。すでにサイトがあるなら素材も原稿も揃っているため、ゼロから作るより早く安く仕上がります。広告を始めるタイミングで検討するのが自然な順番です。
Q4. 応募数が増えるなら、多少のミスマッチは許容すべきでは?
母集団が細い会社ほど、その考え方は理解できます。ただし選考には人手がかかります。書類確認、日程調整、面接。合わない応募が10件増えると、その分だけ兼務の担当者の時間が削られます。応募数ではなく、面接まで進んだ人数で効果を測ってみてください。
採用LPの要否は「広告を打つかどうか」で決まる
採用LPを作るべきかどうかは、広告を打つ予定があるかどうかでほぼ決まります。予定がないのであれば、答えは出ています。
そのうえで、もう一段引いて見ておきたいことがあります。応募が来ない原因は、受け皿の形式(LPか採用サイトか)ではなく、そもそも見つけてもらえていないことにある場合が少なくありません。
求人媒体への露出、求人票の中身、社名で検索したときに出てくる情報。この3つが揃っていない状態でLPだけを作っても、流入のないページが1枚増えるだけです。
弊社は地方企業でありながら、採用広告を使わずに年間 1,152名 のエントリーを集めています。この状態をつくるまでに積み上げてきたやり方を、採用サイト制作と、採用活動の代行(リープ・リクルーティング)の両輪でご支援しています。
「LPと採用サイト、どちらが自社に合うのか」という段階のご相談で構いません。広告の予定や採用したい職種の数をうかがったうえで、必要な形をご提案します。作らないほうがよい場合は、その理由もあわせてお伝えします。
