【15項目】採用専用サイトは必要?作るか迷ったときの3つの判断軸
——採用サイトがあったほうがいいのは分かる。でも、コーポレートサイトの採用ページを充実させるのでは足りないのか……。担当者が本業との兼務であればなおさら、独立した採用サイトを一から立ち上げる判断は、そう簡単に下せるものではないと思います。
採用専用サイトを一から立ち上げるか、コーポレートサイトの採用ページを充実させるかは、会社の規模で決まるわけではありません。
この記事では、新設と拡充のどちらを選ぶかの判断の軸と、採用専用サイトに載せたいコンテンツ15項目を整理します。自社がどちらの型に当てはまるか、確かめながら読んでみてください。
この記事でわかること
- 採用専用サイトが必要になる3つの理由
- 新設と、コーポレートサイトの採用ページ拡充、どちらを選ぶかの判断軸
- 採用専用サイトに載せたいコンテンツ15項目と、それぞれの役割
- 公開したあとに効いてくる運用の考え方と、成果を左右する2つの要素
採用専用サイトが必要になる3つの理由
採用専用サイトが必要になるのは、求人票・求人媒体・合同説明会は、どれも情報量に上限を持っているからです。枠の大きさ、文字数、持ち時間。どれも先に決まっていて、会社側が伝えたい量に合わせて広げることができません。上限のない場所を1つ持つことで、はじめて「伝えきる」という選択肢が生まれます。
そして、上限に阻まれて届いていないのがどの情報なのかは、調査にはっきり出ています。2018年卒の学生を対象とした調査では、「知りたいと思っていたこと」と「実際に知ることができたこと」の差が大きかったのは、社内の人間関係が15.6ポイント、社風・企業文化が11.0ポイント、具体的な仕事内容が10.8ポイントでした。一方で、経営方針・事業戦略の差は3.7ポイントにとどまります。

届いていないのは数字や制度ではなく、「そこで働く人と空気」の側でした。求人票やコーポレートサイトで足りるかどうかは、この差をどこで埋めるかという話になります。
採用サイト全般の必要性や、制作で後悔しないための注意点は採用サイトが必要な理由と、制作で後悔しないための注意点で整理しています。ここでは、そのなかでも「独立した採用専用サイト」という選択肢に絞って掘り下げます。
採用専用サイトが必要になる理由は、大きく次の3つです。
01. 会社を理解した状態でエントリーが届く
求人媒体には、興味のある企業へ一括でエントリーできる機能があります。応募数の面ではありがたい仕組みですが、そのなかには内容をよく読まないまま送られてくるエントリーも混ざります。
採用専用サイト経由は、ページを読み進めたうえで応募ボタンが押されています。そのぶん、「こういう人と一緒に働きたい」「こんな働き方がしたい」と、何かしら引っかかった人である可能性が高くなります。説明会や求人票でまず社名を知ってもらい、伝えきれなかった部分は採用サイトで受け止める、という役割分担ができるわけです。
02. 入社後のミスマッチが起きにくくなる
エントリーの質が上がることは、そのまま離職率の話につながります。
入社後の仕事内容や社内の雰囲気を、応募の段階でイメージできるようにしておく。それだけで「入社前に思っていたイメージと違った」という事態は、かなりの部分を防げます。効くのは制度の説明より、入社後の景色がそのまま見えるページです。この記事の後半で、具体的な15項目として整理します。採用は入社がゴールではないので、ここを削った分は後工程で跳ね返ってきます。
03. 求人広告に頼りきらない導線を持てる
求人広告は掛け捨ての保険に近く、掲載期間が終われば効果もそこで止まります。
採用専用サイトは、ここに資産性を持ち込めるのが強みです。職種紹介や業種紹介のページを作り込んでおくと、Googleしごと検索やIndeedのような検索エンジン型の求人ポータルに「拾われる形」を用意できます。どちらも掲載は無料で、大手の求人ポータルと正面から張り合う必要もありません。
検索エンジン向けのSEOも、「岐阜 (職種名) 採用」のように地域と職種を掛け合わせた語で効くことはあります。ただし難易度のわりに検索されている数は多くないため、弊社では優先度の低い施策として位置づけています。
ただし、作れば人が来るという話ではありません。この点は記事の後半でもう一度触れます。
新設か拡充かは「人物像」と「語り口」で決まる
判断の分かれ目は会社の規模ではなく、伝える相手が分かれているかどうかです。採用したい人物像の幅と、語り口を変える必要があるかの2点で決まります。弊社に採用力強化のご相談をいただく場合も、採用情報ページの情報量が豊富なコーポレートサイトへリニューアルするパターンと、採用専用サイトを新しく立ち上げるパターンの2種類に分かれます。
「新設」がいいのは、伝える相手が分かれている会社
- 新卒・中途・職種で伝えたい内容が分かれる会社は、1ページに同居させると届きません
- 取引先に向けた会社の顔と、求職者に届ける媒体では、語り口も見せ方も別物です
- 人コンテンツを増やし続ける前提なら、最初から独立した器を用意するほうが構造を保てます
弊社の制作実績でいうと、株式会社ササキ 様(製造業/山梨県韮崎市)、佐藤歯科医院 様(歯科診療所/岐阜県美濃加茂市)、ALL DIFFERENT株式会社 様(旧・株式会社ラーニングエージェンシー/人材育成・研修)、鈴木建設株式会社 様(土木・建設業/千葉県旭市)などが、社員インタビューを軸に据えた採用サイトにあたります。いずれも、実際に働く人の顔を出しているのが共通点です。
下は、同じ考え方で作った税理士法人アイユーコンサルティング様の採用専用サイトです。社員9名が横一列に並んだ写真に、事業のメッセージを重ねています。

「拡充」で足りるのは、伝える内容がひとまとまりの会社
- 採用したい職種が絞られていて、伝える内容がひとまとまりに収まる
- 会社そのものへの信頼が応募動機に直結する業種で、コーポレートサイトの情報と切り離さないほうが自然
- まずは募集要項と職場の様子を整えるところから始めたい
コーポレートサイトの中で採用情報を整えた例を2つ挙げます。


拡充から入って、増えてきた段階で専用サイトへ切り出す進め方もあります。最初から完成形を目指す必要はありません。
なお、どちらを選ぶにしても次に出てくるのが費用の話だと思います。制作費がどう決まるのかは採用サイト制作の費用はどう決まる?内訳と価格帯ごとの中身を整理で解説しています。金額の目安が必要な方はそちらをご覧ください。
採用専用サイトに載せたいコンテンツ15項目
採用専用サイトに載せる内容は、大きく4つの役割に分かれます。応募判断の土台になる基本情報、働く姿を描かせるコンテンツ、社内の空気を伝える人コンテンツ、応募の一歩手前で迷わせないコンテンツです。15項目は多く見えますが、役割ごとに束ねると設計はぐっと楽になります。
役割①:応募判断の土台になる基本情報
01. 募集要項
まず思い浮かぶのが募集要項だと思います。応募を考える段階でほぼ確実に目を通されるので、独立したページを用意します。項目はハローワークや就活ナビサイトと同じ粒度で問題ありません。
- 仕事内容
- 勤務時間
- 勤務地
- 休日
- 昇給・賞与
- 保険
- 採用実績校 など
02. 会社概要
所在地や代表者名、沿革などをきちんと記載しておくことが、信頼できる会社であるという裏づけになります。コーポレートサイトの会社概要ページへリンクする形でも構いません。
03. 会社の歴史
100年企業のように歴史のある会社では、それ自体が安定性の裏づけになります。事業内容と重なる部分もありますが、物語風に書くことでとっつきにくさが消え、気軽に読める雰囲気を出せます。
- 創業者はどういう思いで創業したか
- 会社の転機 など
04. 事業内容
社会にどのような価値を提供しているか。「誰に」「何を」「そのために大切にしていること」を書きます。
ちなみに弊社では、このようなキャッチコピーを添えています。
- Web戦略支援:地方で展開される企業の方々に向けて、「Web」に関わる分野の全てをトータルで支援いたします
- 自社サービス:全国のお客様に向けて地方で事業展開しているからこそ分かる「ちょうどいい」Webサービスをご提供します
役割②:「自分がそこで働く姿」を描かせるコンテンツ
05. メッセージ
事業内容が社会に向けた言葉なのに対して、こちらは応募者に向けた言葉です。どんな人に応募してほしいのか、どんな働きや成長を期待しているのかを伝えます。動画を置くのも有効です。
- 事業ビジョン
- 当社が大切にしていること
- 私たちが世の中に提供したい価値
- 将来はこれを実現します
- 求める人物像
06. 職種紹介
仕事内容だけでなく、やりがいと必要なスキルまで書けると自分に引き寄せて読めます。新卒であればその仕事に興味を持てるか、中途であればこれまでの経験が活かせるか。判断の材料が増えます。
先ほど触れたとおり、職種ページは求人ポータルや検索から見つけてもらうときの受け皿にもなります。
- 主な仕事内容
- 仕事のやりがい
- 求める人物像
- 一人前になるまでの目安
07. 研修制度
「ついていけるのか」は、応募をためらう理由の上位に来ます。同業からの転職やアルバイト経験がないかぎり、応募者にとってその業種は未経験だからです。
研修制度の説明に加えて、「初心者にも先輩が教えるので心配ありません」といった一言が添えられていると、応募のハードルは下がります。
08. 福利厚生
社員旅行や歓送迎会などのイベントがあれば載せます。反対に、社内イベントが少ないこと自体がアピールになるケースもあります。
珍しい制度があれば、そこは他社との差別化になります。ちなみに弊社では、次のような制度を掲載しています。
- 男性も2週間の育児休暇を取得
- 美術館や映画鑑賞のための費用は会社から支給
- 眼精疲労予防に、PCメガネ・目薬を会社から支給 など
役割③:社内の空気を伝える人コンテンツ
09. 先輩社員インタビュー
実際に働いている人に話を聞いて載せます。◯年後の自分と、一緒に働く相手が同時に見えるページです。
可能であれば、年代・性別・職種が多様な複数人を載せられるとベストです。
- 入社の決め手
- 仕事選びの軸
- この会社ならではの魅力、やりがい
- 仕事をする上で大事にしていること
- 社員(社長)はどんな人か
- 他業種から入社して苦労したこと
- 新入社員へのメッセージ
10. 先輩スタッフの1日
朝から退勤までの流れを追うコンテンツです。働き始めてからの生活が具体的に想像できるようになります。
11. クロストーク(社員対談)
社員同士の対談を載せるものです。直属の上司と部下、同期4人、女性社員だけ、といったさまざまな組み合わせがあります。アットホームな会社では、社長と社員という顔合わせも見かけます。
会話が横に流れるぶん、会社の雰囲気や特色が漏れ出やすいコンテンツです。
- 入社当時を振り返ってどうか
- プロジェクトの中で苦労したこと
- 今後の夢
- 女性社員の目線から見たウチの会社
12. プロジェクトストーリー
業務の一部を取り上げ、ドキュメンタリー風に語るコンテンツです。手を挙げればチャンスが与えられる社風であれば、それを証明する材料になります。
- 新規事業への挑戦
- 大人数が関わって完成させたプロジェクト など
役割④:応募の一歩手前で迷わせないコンテンツ
13. 説明会情報
採用専用サイトのゴールは、多くの場合「説明会への参加」か「求人への応募」です。「まずは話を聞いてみよう」と思ってもらえれば、それだけ多くの求職者とつながれます。
会社によっては、気軽に質問しやすい「社員とのランチ(OB・OG訪問)」といった、応募より手前のゴールを設けるケースもあります。
14. 選考プロセス
面接の回数と流れを示します。地味な項目ですが、先が見えないこと自体が応募をためらう理由になります。
15. よくある質問(FAQ)
事前に質問と答えを置いておくと、不安の解消につながるうえに、問い合わせ対応のやりとりが円滑になります。一問一答なので読みやすく、流し読みでも情報が入るという利点もあります。
15項目すべてを初回公開時に揃える必要はありません。募集要項・会社概要・職種紹介・先輩社員インタビューあたりから着手して、更新しながら足していく形で構いません。
公開後の差は「更新が続くかどうか」で開く
採用専用サイトで最も多い落とし穴は、公開直後がピークになってしまうことです。最終更新が随分前。入社1年目として紹介されている社員が、いつのまにか4年目になっている。退職した社員の写真が、いつまでもサイトに残ったままに。求職者は、そういう部分をよく見ています。情報が古いまま止まっているサイトは、それだけで「人に手をかけない会社」という印象を残してしまいます。
だからこそ、最初から全部を作り込むより、更新し続けられる範囲で始めるほうが強いという結論になります。年に1〜2本でも社員インタビューが増えていけば、そのぶん会社の解像度は上がっていきます。
「採用専用サイト」に関するよくある質問
Q1. 採用専用サイトとコーポレートサイトの採用ページは、何が違いますか?
読み手と目的が違います。コーポレートサイトは取引先や顧客を含む幅広い相手に向けた会社の顔で、採用ページはそのなかの1コーナーです。採用専用サイトは求職者だけを読み手に想定するため、語り口・構成・写真の選び方まで求職者基準で組み立てられます。新卒と中途で伝える内容が分かれる場合や、人を主役にしたコンテンツを増やしていきたい場合は、独立させる価値が出てきます。
Q2. 社員数が少なくても、採用専用サイトは作れますか?
作れます。むしろ人数が少ない会社ほど、一人ひとりの顔と仕事が見えることが強みになります。社員インタビューを何十本も並べる必要はなく、全部署から数名、そして求職者の年齢層に近い人を含める形で十分に機能します。花形の社員だけでなく、支える側の人を入れることも意識してみてください。
Q3. 採用専用サイトを作れば、求人広告はやめられますか?
すぐにやめられるとは限りません。採用専用サイトは受け皿であって、そこへ人を連れてくる導線は別に必要だからです。まずはGoogleしごと検索やIndeedのような無料で使える求人ポータルへの対応から手をつけつつ、当面は求人広告と併用しながら、徐々に自社サイト経由の比率を上げていく進め方がおすすめです。求人広告を減らせる状態を目指す、という順序です。
Q4. 15項目すべてを揃えないと効果は出ませんか?
そうではありません。まずは募集要項・会社概要・職種紹介・先輩社員インタビューの4つを軸に立ち上げ、公開後に人コンテンツを足していく形で問題ありません。項目数より、更新が止まらないことのほうが効いてきます。
Q5. 写真は自社で撮影したものでも大丈夫ですか?
撮影だけはプロに依頼することをおすすめしています。スマートフォンでの撮影は光量・ピント・画質に限界があり、求職者が受け取る第一印象に直結する部分だからです。予算配分に迷ったときは、ページ数を減らしてでも写真の質を確保するほうが、結果的に効きます。
採用専用サイトの成果は「中身の質」と「露出」で決まる
コンテンツの項目は、この記事のとおりに並べれば揃います。ただ、同じ項目でも中身の質には差が出ます。たとえば写真です。弊社では、撮影前に「撮影指示書」を用意し、どんな場面・構図・雰囲気の写真が必要かを言語化してからカメラマンに渡しています。当日その場で指示を出さなくても、意図どおりの素材が上がってくるようにするためです。
まずは自社の採用ページを開いて、この記事の15項目と突き合わせてみてください。埋まっていない項目がそのまま、求職者が判断できずに離脱している箇所です。ここを埋めることが第一歩ですが、もう一段引くとより大きな問題があります。人が来ていなければ、どれだけ中身を作り込んでも意味がないということです。求職者に見つけてもらう活動(母集団形成)と、受け皿になる採用サイトは両輪です。採用専用サイトを作る判断とセットで、「どこから人を連れてくるか」を考えておく必要があります。
弊社は全国の地方企業に1,420社以上のウェブサイト制作・マーケティング支援を行ってきました。採用については、サイトを作って終わりではなく、求人媒体への露出から選考までを地方企業向けに一貫してご支援しています。製造・建設・運送・医療・飲食など、地方で人が採りにくいと言われる業種の現場を見てきました。
まずは御社の課題感をお聞かせください。うかがったうえで、近い業種でうまくいった進め方をご紹介します。「新設か拡充かを整理したい」という段階のご相談から承ります。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。