社長インタビューの作り方──採用サイトで効く質問例と引き出し方
「採用サイトに社長インタビューを載せたいが、何を聞けばいいのか分からない」「うちの社長は、そもそも話すのが得意ではない」——コンテンツの候補には挙がるものの、作り方が分からず後回しになっている会社は多いと思います。
先にお伝えすると、中小企業の採用において、社長インタビューはかなり割のいいコンテンツです。というのも、規模の小さい会社ほど、求職者にとって会社選びは「誰の下で働くかを選ぶこと」とほぼ同じだからです。社長の人柄と考え方が見える会社と、まったく見えない会社。比較されたとき、どちらが選ばれやすいかは想像がつくと思います。
この記事でわかること
- 社長インタビューが採用サイトで効く理由と、代表メッセージとの違い
- 構成・掲載項目の型と、本音を引き出す質問例
- 写真・動画を使った見せ方のコツ
社長インタビューはなぜ採用サイトで効くのか──求職者は「誰の下で働くか」を見ている
中小企業では、会社の雰囲気も方針も、社長という一人の人物で決まる部分が大きくなります。だからこそ求職者は、入社前に「どんな人がトップなのか」を確かめたがっています。社長インタビューは、その不安にQ&A形式で答えられる数少ないコンテンツです。飾った言葉より、人柄と考え方がにじむこと。それが効果の源泉です。
求職者が社長インタビューで確かめていること
求職者が読み取ろうとしているのは、経歴の立派さではありません。社員にどう接する人なのか、失敗をどう扱う会社なのか、これからどこへ向かおうとしているのか。とくに中途の求職者は、前職で「トップとの距離感」に悩んだ経験を持っている人が少なくなく、その確認のためにインタビューを読み込みます。質問に答える形式だからこそ、書き手が整えきれない「素の考え方」が伝わるわけです。
代表メッセージとの違い──「一方向の文章」か「Q&A形式」か
ここで、よく混同される代表メッセージとの違いを整理しておきます。
- 代表メッセージ:会社としての想いや決意を、代表が読者へ一方向に語りかける「文章」。会社の公式な看板
- 社長インタビュー:質問に答えるやり取りを通じて、人柄や考え方がにじみ出る「Q&A形式のコンテンツ」。人物の等身大の姿
つまり、メッセージは「会社の顔」、インタビューは「人となり」を伝える役割分担です。どちらか一方で足りるものではなく、両方あることで立体的になります。代表メッセージそのものの書き方は、こちらで企業規模別に解説しています。代表メッセージの書き方はこちら
社長インタビューはどう作るか──構成・掲載項目・質問例
作り方の要点は3つです。①構成(掲載項目)を先に決めてから取材する、②質問は事前に共有しつつ、当日は台本どおりに進めない、③原稿は話し言葉の温度を残して整える。この3つを押さえれば、社内制作でも形になりますし、外部に依頼する場合の判断軸にもなります。
構成・掲載項目の型
掲載項目は、おおむね次の流れが型になります。
- 創業の経緯・自身の歩み……なぜこの会社・この事業なのか
- 仕事観・大切にしていること……判断の軸が見える部分
- 社員への想い・社風のこと……どんな組織にしたいか
- これからの展望……会社がどこへ向かうのか
- 求職者へのひとこと……締めのメッセージ
順序は多少入れ替えて構いませんが、「過去→現在→未来→読者へ」という流れにすると、読み物として自然につながります。なお、採用サイト全体でどんなコンテンツを揃えるべきかは、こちらのピラー記事で整理しています。採用サイトのコンテンツ全体像はこちら
質問例──本音を引き出す質問リスト
質問は「正解を答えられる質問」より「考えたことを話したくなる質問」を選ぶのがコツです。使いやすい質問例を挙げます。
- 創業(入社)のとき、いちばん不安だったことは何ですか?
- これまでで一番の失敗と、そこから変えたことは?
- どんな瞬間に「この仕事をやっていてよかった」と感じますか?
- 社員に「これだけは守ってほしい」と思うことは?
- 逆に、社員から言われてうれしかった言葉は?
- 5年後、この会社はどうなっていたいですか?
- 入社を迷っている人に、正直に伝えたいことは?
「会社の強みは?」のような広報的な質問だけで構成すると、どこかで読んだような優等生の記事になってしまいます。失敗談や迷いを聞く質問を必ず混ぜてください。
引き出し方──「いい話」を聞こうとしない
取材で大事なのは、上手に話してもらうことではなく、具体的に話してもらうことです。抽象的な答えが返ってきたら、「たとえば、いつのことですか」「そのとき、実際は何と言ったんですか」と場面まで掘り下げる。話し下手な社長ほど、場面を聞けば具体的なエピソードが出てくるものです。むしろ流暢な「いい話」より、少し不器用な本音のほうが、読み手には信頼として届きます。
弊社では、採用サイトの取材を「社長インタビュー+現場社員2〜3名とのワークショップ」の2時間構成で設計しています。岐阜県の電気工事会社の制作では、引き出し方の原則を3つ決めて臨みました。
- 抽象語で終わらせない——「アットホーム」「風通しがいい」で止めず、エピソード・数字・固有名詞まで問いを重ねる
- 整える前の生の言葉を書き留める——きれいにまとめる前の、社長がそのまま口にした言い方を残す
- 「その会社だからこそ」まで絞り込む——出てきた答えに「それは通勤圏の同業266社でも言えることではないか」と問い返す
質問の形も工夫します。「社員は社長に、どんなことをどのくらいの頻度で相談しますか」「未経験で入った人が一人で現場を任されるまで、最短でどのくらいですか」——場面と数字で答えられる問いにしておくと、話し下手な社長からも具体的な話が出てきます。
この設計で取材に臨むと、多くの社長は途中で一度、言葉に詰まります。ふだん語り慣れた会社紹介ではなく、場面と数字で答える問いだからです。そして、その詰まったあとに出てくる言葉こそが、インタビューの核になります。用意された答えではなく、その場で思い出しながら語られた話は、文章に起こしたときの温度が違う。取材で狙うべきは、流暢な回答ではなく、この「思い出しながら話す時間」を作ることだと考えています。
どう見せるか──写真・動画で人柄を伝える
見せ方の基本は、文章より先に写真で人柄を伝えることです。腕組みの決めポーズ1枚より、オフィスで社員と話している自然な表情のほうが、この記事で伝えたい「人となり」に合います。動画を併用すれば声の調子や間まで伝わり、テキストと相乗効果が生まれます。
写真──決めポーズより「ふだんの表情」
社長インタビューの写真は、かしこまった一枚と、働く場面の自然な数枚を組み合わせるのが基本です。表情の硬さは記事全体の印象を左右するので、撮影だけはプロに依頼するコスト配分が妥当だと考えています。取材と同日に撮影まで済ませると、話した内容と表情がつながった写真になります。
動画インタビューという選択肢
テキストに加えて、1〜3分程度の動画インタビューを置く方法もあります。動画は人柄の伝達力が高い一方、制作の手間もかかるので、まずはテキスト+写真で公開し、反応を見て動画を足す順序で構いません。社員側の生の声は、複数人の掛け合いで見せるクロストーク(対談)形式が向いています。クロストークコンテンツの作り方はこちら
制作の前後で何が変わるのかを、構造としてお伝えしておきます。多くの会社の「代表挨拶」は、地域貢献や誠実といった、どの会社のサイトに載っていても成立する言葉で書かれています。これをインタビュー形式に作り替えると、同じ社長から出てくる情報の質が変わります。問いがあるから、失敗談や迷いが載る。話し言葉だから、人柄が残る。結果として、求職者が応募前に「どんな人の下で働くのか」を判断できる材料が1ページ増えることになります。面接で初めて社長の人柄に触れる会社と、応募前から人柄が見えている会社。入社後のギャップが小さいのは、間違いなく後者です。
社長インタビューでよくある質問
Q1: 1. 社長が話し下手でも成立しますか
成立します。インタビューは話術ではなく、聞き手の掘り下げで決まります。場面を尋ねる質問で具体的なエピソードを引き出せば、朴訥な語り口はむしろ誠実さとして伝わります。
Q2: 2. 代表メッセージと両方必要ですか
役割が違うので、両方あるのが理想です。メッセージは会社としての決意表明、インタビューは人柄を伝えるコンテンツ。ページを分けて相互にリンクさせてください。
Q3: 3. 文字量はどのくらいが適切ですか
読み物として成立させるなら2,000〜3,000字前後が一つの目安です。長さより、失敗談や具体的な場面が入っているかどうかのほうが読了率を左右します。
Q4: 4. 動画と文章、どちらを優先すべきですか
まずは文章+写真です。検索やAIからの流入の受け皿になり、制作の負担も小さいためです。動画は効果を見ながら後から追加できます。
社長の人柄は、中小企業のいちばんの差別化要素
給与や福利厚生で大手と真っ向勝負しにくい中小企業にとって、「トップの顔が見える」ことは数少ない、そして確かな武器です。社長インタビューはその武器を1ページに落とし込むコンテンツであり、一度作れば採用サイトに残り続ける資産になります。
とはいえ、質問設計から取材、撮影、原稿化までを自社だけで行うのは、それなりの手間がかかるのも実情です。弊社では採用サイト制作の一環として、取材・撮影を含めたコンテンツづくりまでお手伝いしています。「うちの社長で記事になるのか」という段階のご相談でも大丈夫です。まずは御社の状況をうかがったうえで、最適な構成をご提案します。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。