【事例10選】パステルカラーの採用サイトデザイン|配色設計の考え方
「採用サイトをやわらかい雰囲気にしたい。でも、パステルカラーでまとめると軽く見えないか、ぼやけて見えないか」——デザインの打ち合わせで、ここで手が止まる方は多いと思います。
先に結論をお伝えすると、パステルカラーの採用サイトがうまくいくかどうかは、雰囲気のセンスではなく配色設計の技術で決まります。色数の絞り方、コントラストの確保、締め色の置き方。この設計ができていれば、パステルは「やさしいのに、ちゃんとして見える」という両立が狙える色調です。
この記事でわかること
- パステルカラーと「ポップ・かわいい」の違い
- ぼやけさせない配色設計の4つの原則
- パステルカラーの採用サイトデザイン事例10選
- 業種との相性と、失敗しやすいポイント
パステルカラーとは——「ポップ・かわいい」と何が違うのか
パステルカラーとは、明度が高く、彩度を抑えた色調の総称です。淡いピンク、水色、ミントグリーン、クリームイエローなどが該当します。ポイントは、これが「かわいい」という印象のカテゴリではなく、色の作り方の話だということです。
「ポップ・かわいい」は、目指す印象の方向性です。その印象を作る手段は、イラスト・丸みのある書体・写真のトーンなどいくつもあり、パステルカラーはそのうちの1つにすぎません。印象の方向性から考えたい方は、こちらが入口になります。
参考記事:『【事例13選】ポップな採用サイトのデザイン|イラストで親しみをどう出す?』
この記事では、印象論ではなく「パステルという色調をどう設計するか」に絞って進めます。
パステルカラーの配色設計——ぼやけさせない4つの原則
パステルの失敗は、ほぼ「全体が薄くて、どこを見ればいいか分からない」という一点に集約されます。避けるための原則は4つです。
01. 原則1|パステルは「面」で使いすぎない
カラーパレットの基本は、ベースカラー(背景)・メインカラー・アクセントカラーの3層で考えることです。パステルを背景全面に敷くと、画面全体が霞んで見えます。ベースは白や生成りに近い明るい色でとり、パステルはセクションの区切りや見出しまわりなど「面積を絞った使い方」をするほうが、色が生きます。
02. 原則2|彩度を揃えて、明度差で階層を作る
複数のパステルを使う場合は、彩度(鮮やかさ)を揃えることが先決です。そのうえで、情報の優先順位は明度差とサイズで表現します。色相をあれこれ増やすより、同じトーンの2〜3色に絞るほうが統一感が出ます。
03. 原則3|締め色を1色だけ入れる
パステルだけで画面を構成すると、文字が読みにくく、ボタンも目立ちません。濃紺・チャコールグレー・深いブラウンなど、締め色を1色決めて、本文テキストと応募ボタンに使います。淡い色の中に濃い1色があるから、やわらかさが引き立つというわけです。
04. 原則4|フォントとあしらいは「細さ」で品を保つ
パステル×太い丸ゴシックは、幼い印象に寄りやすい組み合わせです。大人向けのやわらかさを狙うなら、細めのゴシック体や、あしらい(罫線・アイコン・装飾)も線の細いものを選ぶと品が保てます。あしらいを盛るほど対象年齢が下がって見えるため、どこまで盛るかはターゲット次第です。
なお、色ごとの心理効果も選定の手がかりになります。パステルピンクは親しみと安心感、パステルブルーは清潔感と誠実さ、ミントグリーンは穏やかさ、クリームイエローは明るさと気軽さ。どの印象を最初に届けたいかで、主役の色相を決めていきます。
パステルカラーの採用サイトデザイン事例10選
ここからは、パステルカラーの採用サイトでよく機能している10の型を、制作サイドの目線で見ていきます。判断の基準は「色がきれいか」ではなく、採用サイトとして機能しているかです。配色がターゲットに合っているか、本文の可読性が保たれているか、写真とトーンが揃っているか、の3点で見ています。なお、色やテイストを横断して事例を眺めたい方は、業種別のデザイン事例集が参考になります。
【業種別】地方企業でおしゃれな「求人・採用サイト」のデザイン事例集≪34選≫
求職者は、数多の企業から応募を検討するわけですから、第一印象に直結する「サイトデザイン」は非常に重要です。 しかし、漠然と「カッコよくしたい!」「オシャレにしたい!」というイメージだけで、「具体的なイメージまで落とし込めていない…」という方も多いのではないでしょうか? そこで本記事では、弊社がご
型1|淡いベース×締め色1点の基本型
画面全体を淡いトーンで通し、ボタンや見出しにだけ濃い色を1点入れる型です。締め色があることで、やわらかさを保ったまま視線の行き先が決まります。パステルで迷ったら、まずこの構成から考えます。
型2|医療・福祉の緊張をほどく清潔感型
淡いブルーやグリーンを基調に、白の面積を多めに残す型です。医療・介護は「きつそう」という先入観を持たれやすい一方、清潔感を落とすわけにいきません。寒色系のパステルは、その両方を同時に満たせます。
型3|保育・教育の「やさしさ」をそのまま出す型
淡いイエローやコーラルを主役に据え、子どもと関わる仕事の空気をそのまま画面に出す型です。事業内容と色の印象が一致しているぶん、説明なしで伝わります。保育・幼稚園・学童では定番の強さがあります。
型4|ピンク主体で女性ターゲットに寄せる型
淡いピンクを軸に、書体も細めで揃える型です。届く層が明確になるかわりに、他の層には届きにくくなります。採りたい人物像が女性中心だと決まっている場合の選択肢で、決めきれていないなら次の型のほうが安全です。
型5|ブルー・グリーン主体で性別を選ばない型
同じパステルでも、寒色系にすると性別による受け取られ方の差が小さくなります。職種を問わず広く募集したいとき、やわらかさだけを足したいときに使える組み合わせです。
型6|白の余白を多く取り、パステルを効かせどころに絞る型
淡い色を全面に敷かず、セクションの区切りや背景の一部にだけ使う型です。パステルは面で使うほどぼやけるため、面積を絞るほど品が保てます。硬さと柔らかさの配分を細かく調整したいときに向いています。
型7|コーポレートカラーをトーンダウンして翻訳する型
ロゴの色が原色でも、彩度と明度を調整してパステルに置き換えれば、ブランドの一貫性とやわらかさが両立します。ロゴの色をそのまま使うのではなく「翻訳」するのがポイントです。コーポレートサイトと採用サイトのトーンを変えたい会社に向いています。
型8|写真が主役でパステルは背景に徹する型
トーンを揃えた職場写真を大きく使い、パステルは写真を邪魔しない背景に回す型です。配色より写真の質で勝負する分、撮影への投資が前提になります。人の表情が最大の魅力の会社向きです。
型9|硬い業種で先入観をリセットする型
製造・建設・金融のように硬いイメージを持たれる業種が、あえて淡い配色を選ぶ型です。「思っていた業界と違う」という入口をつくれます。ただし業種イメージから離れる分、なぜ淡くするのかを言葉でも説明できることが条件になります。
型10|見出しだけ濃色にして可読性を守る型
背景は淡く、見出しと本文の文字色はしっかり濃く取る型です。パステルの採用サイトで最も多い失敗はコントラスト不足なので、文字だけは妥協しない構成にしておきます。求職者が条件を読み込む媒体である以上、可読性は見た目より優先されます。
業種との相性と、失敗しやすいポイント
パステルカラーと業種との相性は、「業種イメージとの距離」で考えると判断しやすくなります。医療・福祉・保育・食品のように、やさしさや清潔感がそのまま仕事の価値につながる業種は素直に合います。製造・建設・金融のような硬い業種でも、先入観をリセットする狙いで選ばれることがあります。つまり、相性の良し悪しよりも「何のために淡くするのか」が言えるかどうかです。
そのうえで、失敗パターンは3つに絞られます。
- コントラスト不足……淡い背景に淡い文字で、読みにくいサイトになる。採用サイトは求職者が意思決定のために読み込む媒体なので、可読性は見た目より優先です
- 幼く見える……色・書体・あしらいをすべて「かわいい」方向に振ると、対象年齢が実際のターゲットより下がって見えます。どれか1つは大人側に残すことです
- 写真とトーンが合わない……パステルの画面に、暗い蛍光灯の下で撮った写真が入ると、不一致だけが目立ちます。撮影だけはプロに依頼するコスト配分が妥当だと考えています
なお、やわらかさは欲しいけれど甘さは要らない、という場合は、ベージュ・ブラウン系の落ち着いた低彩度配色も選択肢になります。
パステルカラーの採用サイトに関するよくある質問
Q1. コーポレートカラーが原色でも、パステルの採用サイトにできますか
できます。ロゴの色をそのまま使うのではなく、同じ色相のままトーンを淡く翻訳する方法が定石です。むしろ注意したいのは、ロゴの色を無条件でサイトの主役にすることです。ロゴは会社の顔として設計された色で、採用ターゲットの感性に合うとは限らないからです。
Q2. パステルカラーにすると、男性の応募者に敬遠されませんか
色相とトーンの選び方次第です。ブルーやグリーン系のパステルは性別を問わず受け入れられやすく、締め色を濃紺などに置けば誠実な印象に寄ります。迷ったら「誰に来てほしいか」に立ち返ることです。全員に好かれる配色は、誰にも刺さらない配色になりがちです。
Q3. 何色まで使っていいですか
ベースの白系を除いて、パステル2〜3色と締め色1色が目安です。それ以上増やすと、トーンを揃えていても画面が散らかって見えます。
色から決めると、色で迷い続ける
パステルカラーの採用サイトは、配色設計の技術で成立します。ベースを明るく保ち、トーンを揃え、締め色を1色置き、フォントとあしらいの細さで品を調整する。この原則を押さえれば、「やさしいのに、ちゃんとして見える」サイトは作れます。
ただ、順番として色が最初ではありません。どんな人に来てほしいか、その人に最初に何を感じてほしいかが決まって、はじめて色が決まります。ここが曖昧なまま色見本を眺めると、社内の好みの多数決になって決まらなくなります。
ちなみに弊社では、採用サイトの制作フローとして「言葉が先、デザインが後」という順番を徹底しています。採りたい人物像とコンセプトを言語化したうえで、色彩心理学に基づくカラーチャートを参考に配色を選定する流れです。パステルにするかどうかも、その段階で自然に決まっていきます。
配色の相談だけでも構いません。まずは御社の採用ターゲットと、いまのサイトの見え方をうかがったうえで、最適な方向性をご提案します。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。
