ベージュ・ブラウンの採用サイトデザイン事例4選|配色の考え方
「派手な色は自社らしくない。かといって白だけだと素っ気ない」——採用サイトの配色を検討する中で、ベージュやブラウンが候補に挙がることはよくあります。落ち着きや温かみを感じる一方で、「地味にならないか」「若い人に響くのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
ここで、ベージュやブラウンを選ぶと地味になってしまうという誤解を解いておきます。実際には、他社との比較になった際にかえって目を引き、差別化につながります。この色でしか出せない印象があり、それが合う会社とそうでない会社があるからです。
この記事でわかること
- ベージュ・ブラウンが求職者に与える印象(心理効果)
- 制作実績4社の事例と、ベージュをどこに置いているか
- カラーパレットの組み方と「ロゴの色をそのまま使う」落とし穴
- フォント・あしらい・写真の合わせ方と、業種との相性
ベージュ・ブラウンが与える印象を色彩心理から見る
結論から言うと、ベージュ・ブラウンは「安心感・誠実さ・自然体・上質さ」を同時に伝えられる、数少ない配色です。土や木、紙、革といった自然物を連想させる色なので、見る人の警戒心を解き、「飾っていない会社」という印象を与えられます。彩度が低く目に穏やかなため、長く読ませる採用サイトとも好相性です。
心理効果の面では、こういった働きがあります。
- ベージュ:柔らかさ・安心感・清潔感。白ほど無機質にならない、肌なじみのいい背景色
- ブラウン:安定・信頼・歴史・上質さ。濃さによって「重厚」から「ナチュラル」まで振り幅がある
- 2色の組み合わせ:暮らしに近い温かみ。「この会社での毎日」を想像させるトーンをつくる
もう一つ、実務的に効く点があります。求人媒体や競合他社の採用サイトは、青や赤といったはっきりした色が多く使われます。その並びの中で、ベージュ・ブラウンのサイトは静かなのに目を引きます。強く主張しない色が、比較の場面ではかえって差別化になるのです。
ベージュ・ブラウンの採用サイトデザイン事例4選
ここからは、弊社が制作したベージュ・ブラウン系の採用サイトを4つ紹介します。並べると、この配色が同じ使われ方をしていないことが見えてきます。紙の地にするのか、余白にするのか、差し色の受け皿にするのか、写真そのものから取るのか。4社はここが分かれているので、自社がどれに近いかを考えながら見てください。
株式会社パールイデア 様|紙の地に写真を散らす

https://leapy.jp/works/recruit/recruit-pearl-idea/(制作:地方採用ワークス)
岐阜市の、店舗・オフィスの空間デザインから什器・マネキンの企画製造までを手がける会社です。ベージュを背景全面に敷いていますが、平らな色面ではなく紙のテクスチャとして扱っているのが、このサイトの特徴です。その上に、街を歩く社員の写真を大小のカードで散らしています。台紙に写真を貼ったスクラップブックのような画面になっています。
効いているのは、写真を全面に敷いていないことです。写真とベージュの境目が何度も出てくるぶん、地の色が最後まで消えません。手書き文字のコピーも、紙という設定があるから浮きません。ベージュを背景色ではなく素材として扱うと、写真を大きく使っても世界観が保てる、という例です。
株式会社ノエル 様|余白の側をベージュにする

https://leapy.jp/works/recruit/recruit-noel-garden/(制作:地方採用ワークス)
愛知・岐阜で外構・エクステリアのデザインを手がける会社です。パールイデア様とは逆で、写真は画面の右側にまとめ、左3分の1をグレージュの余白として空けています。その余白に明朝体の欧文と日本語のコピーだけを置いています。色数は地のグレージュと写真、それに筆記体の金だけです。
外構は写真の強い業種なので、放っておくと画面が写真で埋まります。それを片側に寄せて、残りを何も置かない色面にする手法です。余白に色を持たせると、余白が「空き」ではなく画面の一部になります。写真素材が豊富な会社ほど、この引き算は効果的です。
株式会社オンダテクノ 様|地に朱色を1点だけ差す

https://leapy.jp/works/recruit/ondatechno-recruit/(制作:地方採用ワークス)
オンダ国際特許事務所の採用サイトです。ベージュを地にして、人物写真は円形に切り抜き、そこへ朱色の丸をひとつだけ重ねています。文字は明朝体です。画面の中で彩度の高い色は朱色だけで、面積も小さいままです。それでも視線がそこに集まるのは、周りが低彩度で揃っているからです。
士業は堅さと親しみのどちらに寄せるかで迷いやすい業種です。このサイトは、地の色と明朝体で落ち着きを作ったうえで、朱色1点で温度を上げています。アクセント色は面積を絞るほど強くなるという定石が、そのまま画面に出ている例です。
株式会社白川田工務店 様|地の色を写真から取る

https://leapy.jp/works/recruit/shirakawada/(制作:地方採用ワークス)
鹿児島県さつま町の土木建設会社です。ここまでの3社と違い、ベージュ・ブラウンをCSSで指定しているのではなく、写真に写っている土と重機の色がそのまま配色になっています。掘り返した赤土、黄色い重機、作業着のカーキ。人工的に選んだ色は、右下のオレンジのバッジくらいです。
こういう作り方ができるのは、仕事の現場そのものが土の色をしている業種だけです。逆に言えば、土木や造園のように現場が茶系の会社は、配色を決める前に写真を決めたほうが早いといえます。縦組みの明朝体を白抜きで重ねているのも、写真の情報量に負けない文字組みを選んだ結果です。
4社を並べると、ベージュ・ブラウンの役割は紙・余白・地・写真の4通りに分かれます。自社が写真を大きく使いたいのか、余白を作りたいのかで、選ぶ役割は変わります。実在のサイトを見比べるときは、次の3点に注目してみてください。後の章の解説が、実例と結びついて読めるはずです。
- ベージュがどこに使われているか:背景全面か、余白か、写真の中か
- アクセント色に何を合わせているか:朱色・オレンジ・金など、少量の差し色
- 写真のトーン:写真そのものが世界観に揃えられているか
白の面積を増やして、ベージュを柔らかさの補助に回す作り方もあります。白を主役に振り切る場合の見せ方は、こちらで詳しく解説しています。
参考記事:『【事例10選】白の採用サイトデザイン|誠実さが伝わる余白の使い方』
業種を横断して参考サイトを探したい方は、こちらの事例集からどうぞ。
参考記事:『【保存版】採用サイトのデザイン事例32選|参考にしたい地方企業を業種別に』
カラーパレットは、ロゴの色をそのまま使わない
うまくいっているサイトは色数が少なく、配分が整理されています。カラーパレットを組むときは、ベース色を広く敷き、メイン色を要所に置き、アクセント色はごく狭い面積に留めるのが定石です。ベース70・メイン25・アクセント5くらいの面積比が、実務でよく使われる目安です。ベージュを背景のベース色に、ブラウンを見出しまわりのメイン色に、最後に残る5%へ何を差すかで印象が決まります。相性のいいアクセント色は、たとえばこのあたりです。
- 深緑:自然・誠実の印象を強める。製造・農業・住宅と好相性
- テラコッタ(れんが色):温かみと活気を足す。人の雰囲気を打ち出したいときに
- ネイビー:締まりと信頼感を足す。士業・医療など、きちんと感が要る業種に
- 白・生成り:余白と組み合わせて、抜け感と上質さに寄せる
そして、ここで一番お伝えしたい落とし穴が「ロゴの色をそのまま使いましょう」という決め方です。ロゴの色は会社の顔として設計されたものであって、採用ターゲットの感性に合わせて選ばれた色ではありません。20代の求職者に届けたいのに、創業時に決めた原色のコーポレートカラーで採用サイトを塗ると、届けたい相手とトーンがずれてしまいます。採用サイトの色は、会社側の事情ではなく「誰に届けるか」から逆算して決めるものです。
ちなみに弊社では、配色をキックオフでの擦り合わせ→ターゲット設定→コンセプト策定→色彩心理に基づく色の選定、という順序で決めています。色決めが最初ではなく最後に来るのは、この逆算のためです。
この配色はフォント・あしらい・写真の質感で差がつく
ベージュ・ブラウンは色の主張が控えめな分、フォント・あしらい・写真といった質感の要素が仕上がりを左右します。
- フォント:明朝体なら上質・和の方向へ、丸みのあるゴシック体なら柔らかく親しみやすい方向へ。どちらに寄せるかはターゲット次第です
- あしらい:紙や布のような質感、手書き風の線、たっぷりした余白。作り込みすぎない飾りが「自然体」を引き立てます
- 写真:ここが一番重要です。彩度の高い写真を置くと世界観が崩れるため、自然光を活かした落ち着いたトーンでサイト全体を揃えます
とくに写真は、配色を設計しても素材の質で台無しになりやすいところです。ベージュ・ブラウン系のサイトは「本当の日常が見えている感じ」が命です。自然光の入る時間帯に、普段の作業のまま撮る。撮影だけはプロに依頼するコスト配分をおすすめします。ちなみに弊社では撮影前に、欲しい場面・構図・雰囲気を言語化した撮影指示書を作ってカメラマンに渡し、世界観のずれを防いでいます。
この配色が効く業種と、その会社の条件
この配色が効きやすいのは、「人柄」「暮らし」「手仕事」「歴史」が魅力の中心にある会社です。
- 食品・菓子製造:素材感・安心感がそのまま伝わる
- 住宅・工務店・家具・木工:木の色との親和性が高く、仕事の世界観と直結する
- 介護・福祉・保育:威圧感のない温かさが、職場の空気を伝える
- 旅館・カフェなどの接客業/創業の長い会社・士業:上質さと誠実さを、堅苦しくなく見せられる
生成りと明朝体で和の世界観そのものを主役にしたい場合は、そちらの方向をまとめた記事もあります。
参考記事:『【事例10選】和風・和モダンの採用サイトデザイン|配色と書体の設計』
ただし「業種で機械的に決める」のは、ロゴ色の話と同じ落とし穴です。あくまで、採りたい人物像がどんなトーンに惹かれるかから逆算して選んでください。
一方で、スピード感や革新性を前面に出したい会社だと、この配色は狙いとずれることがあります。その場合はネイビーやモノトーン系のほうが噛み合うかもしれません。落ち着きと信頼を無彩色で出す方向は、グレーの記事で解説しています。
参考記事:『【事例9選】灰色(グレー)の採用サイトデザイン|落ち着きと信頼はどう出す?』
人の空気そのものを前に出したいなら、配色より見せ方の話になります。
参考記事:『【事例10選】アットホームな採用サイトのデザイン|「らしさ」はどう伝える?』
弊社がこの配色を提案するかどうかを判断するとき、見ているのは業種名ではなく次の3つの条件です。
- 採りたい人の転職動機が「安心して長く働きたい」寄りか
- 会社の魅力の中心が事業の派手さではなく人と日常にあるか
- その日常を撮った写真素材でトーンを揃えられるか
この3つが揃う会社には、業種を問わずベージュ・ブラウンを候補に入れます。逆に、採りたい人の動機が「成長したい・挑戦したい」寄りで、実際の社風もそちらに振れているなら、温かみより勢いの出る配色を選びます。色の提案理由を「業種がこうだから」ではなく「採りたい人がこう感じるから」で説明できるか。これが配色決定の最終チェックです。
ベージュ・ブラウンの採用サイトに関するよくある質問
Q1. ベージュ・ブラウンだと地味で、他社に埋もれませんか
むしろ逆です。埋もれるとすれば色ではなく、写真やコンテンツが弱い場合です。
Q2. ロゴが原色なのですが、ベージュ・ブラウンの採用サイトにできますか
できます。ロゴの色とサイトの配色は分けて考えて問題ありません。ロゴはアクセント的に置き、サイト全体はターゲットに合わせたトーンで設計する形がおすすめです。
Q3. ベージュ系は流行で、数年で古くなりませんか
自然物由来の色は流行の影響を受けにくく、むしろ長持ちしやすい部類です。古びるのは色よりも写真と情報の鮮度なので、公開後の更新体制のほうが寿命を決める要素になります。
色は「会社の顔」ではなく「求職者に届ける設計」
ベージュ・ブラウンは、地方の中小企業が本来持っている魅力と噛み合いやすい配色です。ただ、効くかどうかを決めるのは色そのものではなく、誰に届けるかという設計と、写真・フォント・あしらいまで揃える一貫性です。
他の色やテイストの事例も見比べたい方は、業種別にまとめたこちらから入るのが早いと思います。
【保存版】採用サイトのデザイン事例32選|参考にしたい地方企業を業種別に
「採用サイトのデザインを探しはじめると、たいてい途中で手が止まります。ギャラリーサイトを開けば都心の大企業や有名ブランドの事例ばかりが並び、『うちの規模でこれは無理だ』と閉じてしまう」——地方の中小企業で採用を担当している方から、よくお聞きする状況です。 ここで必要なのは、かっこいい採用サイト
色を決める前に、社内で1つ確かめておくと早く進みます。採りたい人の転職動機が「安心して長く働きたい」寄りか、「成長したい・挑戦したい」寄りか。前者ならこの配色は候補に残りますし、後者なら別の方向を見たほうが早く決まります。自社がどちらに当てはまるか、社内で整理してみてください。
配色は採用サイトづくりの一部で、その手前にターゲット設定とコンセプトの整理があります。「自社に合う色が分からない」という段階でも大丈夫です。まずは御社がどんな人を採りたいのかをうかがったうえで、配色を含めた見せ方をご提案します。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。
