【事例10選】和風・和モダンの採用サイトデザイン|配色と書体の設計

創業から数十年。地域で長く続いてきた会社ほど、採用サイトで歴史をどう見せるかに迷うと思います。「和の要素を入れたいが、古臭く見えないか」「若い求職者に届くのか」——この不安で、結局ありきたりなデザインに落ち着いてしまうケースは少なくありません。

先にお伝えすると、和風・和モダンのデザインは、歴史や地域性を採用の強みに翻訳するための設計です。うまく機能すれば、条件勝負とは別の「この会社にしかない空気」で選ばれる入口を作れます。鍵になるのは、和風と和モダンの使い分けと、配色・書体の設計です。

この記事でわかること

  • 和風と和モダンの違い、採用サイトでの使い分け
  • 和の印象を作る3つの要素(配色・フォント・あしらい)
  • 和風・和モダンの採用サイトデザイン事例10選
  • 業種との相性と、古臭く見せないための注意点

目次

和風と和モダンの違い——採用サイトではどちらを選ぶべきか

結論から言うと、この2つは「和の濃度」が違います。和風は、伝統的な様式(和柄・筆文字・縦書きなど)を主役に据えるデザイン。和モダンは、和の要素を現代的なレイアウトに一部だけ取り入れるデザインです。そして採用サイトでは、多くの場合和モダンが現実的な選択になります。

理由は読み手にあります。採用サイトの読者は、これから入社する若い世代が中心です。和の様式をそのまま強く出すと、「格」は伝わる一方で、「自分が働く場所」としては距離が生まれやすい。和の要素で会社の背景を語りつつ、情報の見せ方は現代的に保つ。このバランスが、伝統と採用を両立させる型です。

もちろん、老舗旅館や伝統工芸のように「和そのものが事業価値」である場合は、濃度の高い和風デザインが正解になることもあります。事業と和の距離で濃度を決める、と覚えておくと迷いません。

和の印象を作る3つの要素——配色・フォント・あしらい

和風・和モダンの印象は、感覚ではなく要素の組み合わせで作られます。分解すると3つです。

01. 配色|伝統色をカラーパレットに落とし込む

軸になるのは日本の伝統色です。藍色は誠実さと落ち着き、墨色は格と重厚感、生成りは温かみ、朱色は活気、抹茶色は穏やかさ。それぞれ心理効果の方向が違うため、会社の性格に合わせて主役を決めます。

設計のコツは、洋色のパステルやビビッドを混ぜないことです。カラーパレットは、生成りや白をベースに、伝統色のメイン1色+差し色1色まで。彩度を抑えたくすみのあるトーンで揃えると、それだけで画面に和の空気が宿ります。

02. フォント|明朝体を軸に、筆文字は「ここぞ」だけ

和の印象をいちばん手軽に作るのは書体です。見出しに明朝体を使うだけで、画面の格が一段変わります。筆文字はさらに強い和の記号ですが、多用すると読みにくく、演歌調の古さにも転びやすい。キャッチコピーや題字など、1〜2箇所に絞るのが定石です。本文は可読性を優先し、細めのゴシック体か読みやすい明朝体を選びます。

03. あしらい|和柄・縦書き・余白は「間」として使う

麻の葉や青海波などの和柄、縦書きの見出し、罫線のあしらいは、和の演出装置です。ただし主役は写真と言葉なので、あしらいは背景の隅やセクションの区切りに控えめに置きます。そして和のデザインで最も雄弁なのは、実は余白です。詰め込まずに「間」を取ること自体が、和の美意識の表現になります。

写真は、職人の手元、道具、所作、建物の細部。ポーズを決めた集合写真より、仕事の佇まいが写った1枚のほうが、和のトーンには馴染みます。撮影だけはプロに依頼するコスト配分が妥当だと考えています。

和風・和モダンの採用サイトデザイン事例10選

ここからは、和風・和モダンの採用サイトでよく機能している10の型を、制作サイドの目線で見ていきます。判断の基準は「和らしいか」ではなく、歴史や地域が採用の言葉に翻訳できているかです。なお、テイストを横断して事例を眺めたい方は、業種別のデザイン事例集も参考になります。

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型1|墨色×余白で「格」を出す老舗型

墨色を基調に、余白を大きく取って情報を絞る型です。要素を減らすほど一つひとつが重く見えるため、創業の長さや継承された技術を「古い」ではなく「続いてきた」として見せられます。老舗製造・伝統工芸で最初に検討する構成です。

型2|藍・紺を軸にした落ち着いた伝統型

藍や紺は、和の文脈と信頼感の両方を同時に出せる色です。黒ほど重くならないため、堅さを求められる業種でも近寄りがたさが出にくくなります。酒蔵・食品・地場の製造業と相性のいい配色です。

型3|明朝体の見出しで品を作る基本型

配色は抑えたまま、見出しを明朝体にするだけで和の印象が立ち上がる型です。和柄も筆文字も使わずに済むため、和風にしたいが古臭くしたくないという場合の最も安全な入口になります。

型4|生成り×やわらかい写真のもてなし型

生成りの背景に、温度感のある写真を合わせる型です。旅館・料亭・和菓子のように、もてなしが商品そのものである業種では、和の空気がそのまま職場の魅力になります。

型5|和柄を差し色にとどめる控えめ型

和柄は背景全面ではなく、区切りやアクセントにだけ使う型です。和の記号は重ねるほど可読性が下がり、演出過多に転びます。要素を絞るほど効くという判断です。

型6|縦書きを1箇所だけ効かせる型

キャッチコピーや理念など、読ませたい1箇所にだけ縦書きを使う型です。本文まで縦書きにすると読みにくくなるため、視線を止めたい箇所に限定するのが前提になります。

型7|レイアウトは現代、要素だけ和にする和モダン型

グリッドや余白の取り方は現代的に組み、和の要素は差し色と書体だけに絞る型です。「歴史はあるが、感覚は若い」を一枚で示せます。若手採用に開きたい老舗の第一候補です。

型8|職人の手元を主役にする技術訴求型

道具、手元、素材のディテールに寄った写真を軸に組む型です。何を作っているかではなく、どう作っているかが伝わるため、技術を身につけたい層に届きます。伝統工芸・社寺建築で機能します。

型9|地域・土地の文脈と結びつける地場型

地域の風景や祭り、取引先との関わりを織り込む型です。地方企業にとって和のデザインは土地の文脈と地続きなので、地域とのつながりまで見せると「この土地で働く」ことまで含めた志望動機になります。

型10|伝統色×若手の写真で世代の距離を埋める型

配色は伝統色で通しつつ、写っている人は若手中心にする型です。和の濃度を上げると職場も古い体質だと誤読されやすいため、いまの働き方と若手の姿をセットで見せて打ち消します。

業種との相性と、古臭く見せないための注意点

業種との相性は素直です。伝統工芸・酒蔵・和食・旅館・葬祭・社寺建築など、和が事業価値に直結する業種はそのまま強みになります。一方、事業に和の要素がない会社が雰囲気だけで和風を選ぶと、「なぜこのデザインなのか」が語れず、浮いてしまいます。歴史・地域・技術のどれかと結びついているかが採用の判断軸です。

そのうえで、注意点は3つあります。

  • 「和=年配向け」にしない……読み手は若い求職者です。和の濃度を上げすぎると、職場も古い体質だと誤読されます。伝統の話とあわせて、いまの働き方や若手の姿をセットで見せることです
  • 筆文字・和柄の多用……和の記号を重ねるほど、可読性が下がり、演出過多になります。要素は絞るほど効きます
  • 地域性と切り離さない……地方企業にとって、和のデザインは土地の文脈と地続きです。地域とのつながりまで見せられると、「この土地で働く」ことまで含めた志望動機になります

なお、墨色を基調に重厚な方向へ振りたい場合は、黒基調の設計論が参考になります。

参考記事:『信頼感を演出!「黒(ブラック)」を使った採用サイトのデザイン事例10選!

和風・和モダンの採用サイトに関するよくある質問

Q1. 創業が浅い会社でも和風デザインにしていいですか

構いません。ただし「なぜ和なのか」の根拠は必要です。事業内容・地域性・職人的な仕事観など、和と結びつく文脈があれば成立します。根拠なく雰囲気だけで選ぶと、面接で語れないデザインになってしまいます。

Q2. 縦書きは読みにくくなりませんか

見出しやキャッチコピーに限定すれば、むしろ目を引く効果があります。本文まで縦書きにすると、ウェブでは読みにくさが勝ちます。「縦書きは飾り、本文は横書き」という役割分担が実用的です。

Q3. 和風デザインにすると若い人の応募が減りませんか

濃度設計を間違えなければ、逆です。若い世代にとって、伝統や本物感は差別化された魅力になりえます。減るとすれば、和の演出だけが強く、働く人や仕事の実像が見えない場合です。デザインと中身の情報量はセットで設計してください。

なお、和とは別の「人の気配」で温かみを出すなら、手書き風の方向も選択肢になります。

歴史は、伝え方を設計してはじめて強みになる

和風・和モダンの採用サイトは、歴史・地域・技術という、地方の会社がすでに持っている資産を採用の言葉に翻訳する手段です。伝統色の配色、明朝体と筆文字の使い分け、あしらいと余白の設計。要素は多くありませんが、濃度の設計を間違えると「格」ではなく「古さ」が伝わってしまう。ここが分かれ目です。

そして、デザインより先に決めるべきものがあります。どんな人に来てほしいか、その人に歴史の何を誇りとして伝えるか。ちなみに弊社では、採用サイトの制作フローとして「言葉が先、デザインが後」という順番を徹底しています。採りたい人物像とコンセプトを言語化してから、色彩心理学に基づいて配色を選定する流れです。和の濃度をどこに設定するかも、この段階で決まります。

「うちの歴史は採用の武器になるのか」という段階のご相談でも大丈夫です。まずは御社の背景と採用の現状をうかがったうえで、最適な見せ方をご提案します。

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この記事を書いた人
【事例10選】和風・和モダンの採用サイトデザイン|配色と書体の設計 | テイストから選ぶ
たまちゃん

マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。

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