物流採用サイトのデザイン事例10選|運送・物流業の見せ方を解説
「ドライバーの求人を出しても、電話が鳴らない」――運送・物流の会社とお話ししていると、この悩みに行き着くことが本当に多いです。2024年問題で時間外労働の上限規制が始まり、「運べない」より先に「採れない」が経営の壁になっています。
若い世代は運送業に興味がないという誤解もありますが、そうではありません。求人票で会社を知った求職者は、応募する前に社名で検索して、どんな会社かを必ず確かめています。つまり、そこで表示される採用サイトの中身が、応募するかどうかの分かれ目になっているというわけです。
この記事でわかること
- 物流・運送業の採用サイトが果たす役割
- 載せるべきコンテンツ構成の基本4つ
- デザイン事例3選と、それぞれの見せ方の違い
- 「きつそう」を覆す写真・ビジュアルと制作ポイント
数字でも競争の激しさは出ています。2026年5月時点で、自動車運転従事者の有効求人倍率は2.37倍にのぼり、全職業平均の0.99倍を大きく上回ります(※1)。
※1 参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」参考統計表7-1「職業別 一般職業紹介状況[実数](常用(パートタイムを含む))」(2026年6月30日公表)。同表の職業計(全職業平均)の有効求人倍率は0.99倍。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html
物流・運送業の採用サイトは何のための場所か
結論から言えば、採用サイトは応募を迷っている人の背中を押す「最終確認の場」です。給与や休日は求人票でも分かります。求職者が採用サイトで確かめたいのは、「この会社で働く自分」を想像できるかどうかです。
運送業の採用が厳しいのは、御社だけの事情ではありません。ドライバーの高齢化が進み、若い世代はそもそもトラックの仕事を選択肢に入れていないケースもよくあります。そのため、限られた求職者を、同じ商圏の同業他社と取り合う構造になっています。
だからこそ、求人票から興味を持ってくれた人を、検索の一歩目で取りこぼさないことが先決です。荷主向けサイトの片隅に採用情報ページがあるだけの状態は、応募の入口で機会を逃していると考えます。
物流の採用サイトに載せるべきコンテンツは4つ
載せるべきは「仕事の分解」「労働時間の実際」「安全と設備」「数字で見る働き方」の4つです。おしゃれに見せることより先に、求職者の不安に順番に答える構成を作ります。
01. 仕事を職種で分解する
物流の会社にはドライバー以外の仕事もあります。配車、倉庫、整備、事務などです。ドライバーの中でも、地場配送か長距離か、何を運ぶかで働き方はまったく違います。「ドライバー募集」の一言でまとめず、職種ごとにページを分けて1日の流れまで書くと、求職者は自分がやる仕事を具体的に想像できます。
02. 労働時間の「実際」を隠さない
2024年問題以降、求職者がいちばん気にしているのは労働時間です。運行スケジュールの組み方、拘束時間、休憩の取り方などです。ここを曖昧にすると、「書いていないということは、悪いのだろう」と読まれます。正直に書くと応募が減りそうに思えますが、分かったうえで応募してくれた人は定着しやすいというのが正直なところです。
03. 安全への取り組みと車両・設備
車両の写真は、物流の採用サイトでいちばん力を発揮するビジュアル素材です。ただし、かっこいい車両だけでなく、点検・整備の場面、ドライブレコーダーやデジタコといった安全設備まで見せると、人を大切にする会社かどうかの判断材料になります。家族に反対されて応募をやめる、というこの業界の隠れた離脱理由にも、安全の見せ方は答えになります。
04. 数字で見る働き方
平均年齢、勤続年数、年間休日、免許取得支援の制度と利用実績などです。アイコンや図で見せる「数字で見る◯◯運送」のコンテンツは、文章を読み込まない求職者にも届きます。等身大の数字でも、公開していること自体が誠実さの証明になります。
運送・物流の採用サイトデザイン事例3選
ここからは、弊社が制作した運送・物流の採用サイトを3つ紹介します。同じ物流でも、何を主役に置くかで設計はまったく変わります。3社は「車両」「人」「多職種」と主役が分かれているので、自社がどれに近いかを考えながら見てください。
城南運輸株式会社 様|車両を主役にして、未経験歓迎を言葉で添える

https://leapy.jp/works/recruit/recruit-jyounan-unyu/(制作:地方採用ワークス)
ファーストビューは、自社トラックを横並びで大きく見せる構成です。青空と車体の白・青がそのままコーポレートカラーになっていて、トラックの仕事に誇りを持っている会社だということが写真だけで伝わります。
ただ、車両だけで終わっていないのがこのサイトの設計です。同じ画面の中で「社員の約半数が未経験スタート」「経験やスキルではなく、その人らしさを何より大切にする」と言葉を添えています。車両の写真は「かっこよさ」に寄りやすいぶん、未経験者を遠ざける危険もある。そこを言葉で打ち消しているのが読みどころです。
株式会社ユーエスロジテック 様|働く人の顔を主役にする

https://leapy.jp/works/recruit/recruit-us-logitec/(制作:地方採用ワークス)
こちらは車両を背景に回し、働く人を前に出した構成です。5名のうち2名が女性で、しかも「女性活躍中」と書かずに、写真の中に自然に収まっています。「女性も働けます」と書くより、実際に働いている姿を1枚見せるほうが早いという設計です。
コピーは「あなたらしい働き方で『届ける』のその先へ」です。本文には「社員の9割が未経験スタート」と入っています。城南運輸様が「車両+未経験」なのに対し、こちらは「人+未経験」です。同じ未経験訴求でも、入口の写真が変わると届く相手が変わります。
日の丸グループ 様|多職種をグリッドで見せる

https://leapy.jp/works/recruit/taxi-hinomaru-2/(制作:地方採用ワークス)
3社目は、タクシー・バスを中核に運送や小売まで手がけるグループの採用サイトです。荷物ではなく人を運ぶ会社ですが、多職種をまとめて募集するという条件は貨物運送とも重なるので、その見せ方として挙げます。
前の2社と違い、1枚の主役写真を置かずに、複数の職種の写真をグリッドで並べる構成です。整備、事務、営業、接客と、写っている仕事がすべて違います。ドライバー以外の職種も採りたい会社に向いた見せ方です。
もう一つの特徴が、白基調に縦組みの明朝で「まちと、人と、日の丸。」と置いたところです。運送業の採用サイトは青やダークトーンに寄りがちですが、白と明朝で「地域に根ざした落ち着き」を出す道もあるという一例です。
3社を並べると、主役は「車両」「人」「多職種」の3通りに分かれます。自社が採りたいのが誰かで、置くべき写真は変わります。
なお、業種を横断して参考サイトを探したい方は、こちらの事例集で解説しています。
参考記事:『【保存版】採用サイトのデザイン事例32選|参考にしたい地方企業を業種別に』
物流の採用サイトの作り方と、制作ポイント3つ
制作ポイントは「求職者目線への書き換え」「写真への投資」「更新できる設計」の3つです。デザインの好みを議論する前に、この3つを押さえるほうが応募への効果は大きくなります。
まず、求職者目線への書き換えです。運送会社のサイトは荷主向けの言葉で書かれがちです。「安全第一」「地域社会に貢献」といった言葉は荷主には届きますが、求職者が知りたいのは自分の毎日がどうなるかです。実際にあった例を挙げます。岐阜県の運送会社の求人原稿を改善したとき、もとの求人はトラックの車種や運行距離の説明が中心でした。荷主に説明するときの組み立てのままで、求職者が知りたい「自分の毎日がどうなるか」が読み取れない状態でした。これを「1週間の運行が見える」「普通免許から始められる長距離」といった働き方の軸に書き直し、高収入の理由(荷主に依存しない機動的な配車など)も社長に事実確認したうえで本文に入れました。書き手が荷主向けの言葉のままになっていないか。採用サイトでも求人票でも、最初に疑うポイントです。
次に、写真です。ビジュアルの印象は文章より先に届きます。スマートフォンで撮った写真では、光量や精細さでどうしても見劣りします。撮影だけはプロに依頼するコスト配分をおすすめします。車両・安全設備は、撮り方で意味が変わります。洗車したての車両を正面から撮った1枚は会社の顔にはなりますが、安全の証明にはなりません。点検中の手元、出発前の点呼やアルコールチェックの場面、ドライブレコーダーの画面といった「運用されている場面」の写真のほうが、安全にお金と時間をかけている証拠として機能します。設備名を羅列するより、使っている場面を1枚見せるほうが伝わるというのが制作側の実感です。
最後に、更新できる設計です。採用サイトは募集職種や数字を更新し続けてこそ機能します。自社で触れる仕組みにしておくことが、公開後の運用を左右します。
3つとは別に、もう1つ触れておきたいことがあります。採用サイトは応募者本人だけが読むものではないという前提です。運送業は、事故のニュースや長時間労働のイメージから、配偶者や親に反対されて応募が止まることのある職種です。本人は納得していても、家族に説明する材料がなければ、応募は静かに消えます。安全への取り組み、労働時間の実際、休日の過ごし方などを「家族が読んで安心できるか」という目線で書いておくと、この見えない離脱を減らせます。
物流の採用サイトについてよくある質問
Q1. おしゃれなデザインにすれば応募は増えますか?
おしゃれさ単体では増えません。デザインの役割は、仕事の中身と働く人の姿を信頼できる形で届けることです。見た目の洗練は、その中身が揃ってはじめて効いてきます。
Q2. 参考サイトはどう探せばいいですか?
同業だけでなく、近い構造の業種も参考になります。現場仕事のイメージをデザインで変えるという点では、製造業の事例が特に近いです。
参考記事:『【事例11選】製造業のイメージを変える採用サイトデザイン|若手にどう見せる?』
Q3. 採用サイトを作れば、早期離職も減りますか?
サイトだけでは解決しません。ただ、労働時間や仕事の実際を正直に見せておくと入社前後のギャップが減るため、早期離職の一因は抑えられます。
Q4. 荷主向けサイトに採用ページを足すだけではだめですか?
無いよりは良いですが、読み手が違う2つの情報が混ざると、どちらにも刺さりにくくなります。採用に本腰を入れるなら、求職者だけに向けた独立の採用サイトをおすすめします。
「採れない」を業界のせいで終わらせないために
2024年問題もドライバーの高齢化も、業界の構造として実在します。ただ、同じ商圏でも応募の集まり方には差が出ます。差を生むのは、仕事の中身をどこまで分解して見せているか、労働時間の実際を隠していないか、そして検索した求職者を受け止める採用サイトがあるかどうかです。
今日決められるのは、トップに置く1枚を何にするかです。車両か、人か、多職種か。3社のどれに近いかを選んだうえで、その写真がいま手元にあるかを確かめてみてください。無ければ、次の撮影で何を撮るべきかが決まります。
地方採用ワークスを運営する株式会社リーピーは、1,420社以上のウェブサイト制作・マーケティング支援の実績をもとに、地方の中小企業の採用サイト制作をお手伝いしてきました。
まずは御社の募集職種と今の見せ方をうかがったうえで、何をどの順番で整えるべきかからご提案します。サイトを作るかどうか迷っている段階でもご相談ください。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。