保育園の採用サイトデザイン事例|先生が集まる園の見せ方
「求人を出しても保育士が来ない」——配置基準ぎりぎりの人数で現場を回しながら、次の募集にも手応えがない。園長先生とお話ししていると、この状況は本当に多いです。
潜在保育士が多くいる一方で、現場は慢性的な人手不足が続いており、求職者側が園を選べる状況にあります。
「求職者が園を選ぶ決め手は、給与などの条件面だけだ」と誤解されがちです。しかし、実際には「どんな雰囲気の園か」「先生同士の関係はどうか」といった、求人票に書ききれない部分が重視されています。求職者は園名で検索して、こうした情報を確かめます。採用サイトの見せ方が、応募の分かれ目になっています。
この記事でわかること
- 保育園・幼稚園の採用サイトで伝えるべきコンテンツ構成
- 保育士を募集している法人の採用サイト事例と、その設計
- 「かわいいデザイン」で終わらせない写真・ビジュアルの考え方
- 保護者向けホームページと分けるべき理由
数字もこの実感を裏付けています。保育士の有効求人倍率は2.42倍(令和6年4月)と、全職種平均1.18倍の2倍を超えています。さらに、保育士登録者約185万人のうち、社会福祉施設等で働いていない人は115万人程度にのぼります(※1)。※1 引用:こども家庭庁「保育人材の確保のための総合的な対策」(令和7年10月掲載)。 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/f6ad1c76/20251029_policies_hoiku_181.pdf
保育園の採用サイトは「園の雰囲気」を伝える場になる
保育士が職場選びで最も確かめたいのは、人間関係と働く環境です。これらは求人票の文字だけでは伝わりません。採用サイトは、給与表の外側にある「この園で働く毎日」を見せられる、ほぼ唯一の場所です。
保育士の離職理由には、職場の人間関係や仕事量の多さが繰り返し挙がります。東京都が保育士登録者約1.8万人の回答をまとめた調査(2022年度実施)では、保育士を辞めた理由の1位は「職場の人間関係」で31.5%でした。次いで「仕事量が多い」が23.1%、「給料が安い」が22.1%となっています(※2)。※2 引用:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査」(都内の保育士登録者等52,856人を対象、有効回収18,239件。2023年4月公表)。 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shikaku/r4hoikushichousa
裏を返せば、求職者は次の職場で同じ思いをしたくないと考えて、園の空気を入念に調べます。見学を申し込む前に、まずサイトを確認します。そこで日常の様子が見えない園は、比較の土俵から静かに外れていきます。
保育園の採用サイトに載せるべきコンテンツ構成
採用サイトに載せるべきは、「園の1日」「保育方針と園長の人柄」「先生の声」「働きやすさの実際」の4つです。かわいく飾ることより先に、この4つに順番に答える構成を作ります。
園の1日と行事を写真で見せる
求職者が想像したいのは、朝の受け入れから降園までの自分の動きです。デイリープログラムを時系列に沿って、写真とあわせて見せてください。「ここで働く自分」の姿が具体的になります。子どもと先生の自然な表情が写った写真・ビジュアルは、どんなキャッチコピーより雄弁です。なお、園児が写る写真は、保護者の同意手続きを整えたうえで使用します。
保育方針と園長の人柄
同じ「のびのび保育」を掲げていても、園によって中身は違います。方針の言葉を載せるだけでなく、なぜその方針なのかを園長自身の言葉で語ってください。そうすることで、方針に共感した人が集まります。合わない人が応募前に離れることも、ミスマッチ防止という意味では立派な成果です。
先生の声とチームの関係
複数の先生のインタビューを掲載し、入職の理由や大変だったこと、今の支え合いを見せます。採用ターゲットと年齢層の近い先輩の声は、「自分もやっていけそうだ」と思える根拠になります。
働きやすさは「数字と仕組み」で示す
持ち帰り仕事や残業への不安は、保育士という職種で特に強いです。「アットホームな職場です」と書くのではなく、具体的な仕組みと数字で答えます。ICT化で書類作業をどう減らしたか、行事準備の分担の仕方、複数担任の体制、産休育休の取得実績などを記載してください。ブランクのある方向けの復職支援があるなら、それも明記します。
なお、幼稚園・こども園は募集職種が幼稚園教諭となり、訴求の力点も変わります。同じ原稿を流用せず、園種ごとに書き分けてください。
保育園を含む法人の採用サイトデザイン事例
ここからは、弊社が制作した採用サイトのうち、保育士の募集を含む2つを紹介します。2つとも保育園単体ではなく、介護・福祉と保育を一緒に運営する法人のサイトです。単独の園の参考にもなります。「園の外にある法人の広さを、どこまで見せるか」という設計の振れ幅が、この2つの事例にはっきり出ているからです。
株式会社ALTHEA 様|法人の全体像を文字組みで見せる

https://leapy.jp/works/recruit/althea/(制作:地方採用ワークス)
岐阜市で、介護・福祉・訪問看護・訪問リハビリと小規模保育所を一箇所に集約している法人です。ファーストビューは写真を主役にしていません。社名の英字ロゴタイプを画面いっぱいに組み、その隙間から各事業の現場写真をのぞかせています。車いすを押す職員、黄色いポロシャツのスタッフ、保育室で子どもを抱く職員などです。1枚の写真では収まらない「幼児から高齢者まで」の幅を、文字組みで一度に見せる構成です。
保育士の募集は、この法人が抱える職種のひとつとして置かれています。トップの明朝コピーは「共に生き、笑顔を咲かせる」です。園の名前より先に法人の理念が来るため、保育だけを見て応募する人には遠回りに見える構成です。それでも成り立っているのは、「職員の祖父母がデイサービスを利用し、子どもは同じ法人の保育所に通う」という特徴が、法人の広さと結びついているからです。広さを見せるなら、広いことの意味まで書く。ここがセットになっているかどうかが分かれ目になります。
和光会グループ 様|働く職員一人を主役にする

https://leapy.jp/works/recruit/wakokai-recruit/(制作:地方採用ワークス)
同じ岐阜市で、医療・介護・保育を手がける法人です。こちらは理念でも法人名でもなく、働いている職員を1人ずつ等身大で立たせる構成にしています。背景は実際のフロアで、本人の言葉と、職種・所属・入職年を添えています。画面の下には別の職員の顔が並び、切り替えると主役が入れ替わります。
保育士・幼稚園教諭の募集へは、職種の絞り込みから入る形です。トップで法人の全体像を語り切らず、「誰と働くか」を先に見せて、職種は求職者に選んでもらいます。法人が大きいほど、求職者は自分の配属先を想像しにくくなります。顔と所属をセットで出すのは、その不安に先回りする設計です。
2つを並べると、同じ複合法人でも、法人の広さを主役にするか、働く一人を主役にするかで、トップの作りは正反対になります。園単体で採用サイトを作る場合も、判断は同じところに戻ります。園の理念を先に語るのか、いま働いている先生を先に見せるのか。どちらが自園の魅力に近いかを決めてから、写真とコピーを選ぶ順番になります。
なお、業種を横断して参考サイトを探したい方は、こちらの事例集からご覧ください。
参考記事:『【保存版】採用サイトのデザイン事例32選|参考にしたい地方企業を業種別に』
保育園の採用サイトの作り方と、制作ポイント3つ
制作のポイントは、「保護者向けサイトと分けること」「求職者目線の言葉に置き換えること」「写真に投資すること」の3つです。
多くの園のホームページは、保護者向けに作られています。入園案内の隅に「採用情報」を置いても、読み手の違う情報が混ざってしまい、どちらにも届きにくくなります。採用に本腰を入れるなら、求職者だけに向けたページ群を独立させるところから始めます。
言葉の置き換えも重要です。「アットホーム」「子どもの笑顔があふれる園」といった定型句は、どの園も書いているため差になりません。行事の準備は誰がどう分担しているのか、休憩は実際に取れているのか。求職者目線の具体的な事実で語ることが、そのまま差別化につながります。「なぜアットホームだと言えるのか」を事実が出るまで掘り下げると、「行事の制作物は正職員全員で分担している」「若手が職員会議で普通に発言している」といった具体的な内容が出てくるはずです。園長先生へのヒアリングでは、「先生が長く辞めていない理由は何だと思うか」「見学に来た人がいちばん驚くことは何か」と聞いてみてください。園の中では当たり前になりすぎて、言語化されていない強みが出てきます。強みは、外から聞かれてはじめて言葉になることが多いものです。
そして写真です。スマートフォンで撮った写真では、光や精細さでどうしても見劣りしてしまいます。撮影だけはプロに依頼することをおすすめします。
園児の写真は、かわいさより先に同意の設計が必要です。入園時の包括的な同意だけに頼らず、採用サイトという用途を明示して同意を確認し直します。また、顔が写るカットと後ろ姿・手元のカットを分けて管理し、卒園後も掲載を続けるかどうかの扱いを先に決めておきます。ここを整えずに公開すると、後から差し替えに追われることになります。同意の取れた範囲で自然な表情を撮るほうが、結果的に運用は安定します。
保育園の採用サイトについてよくある質問
Q1. かわいいデザインにしておけば間違いないですか?
かわいさは入口の印象としては有効ですが、それだけでは応募の決め手になりません。求職者が最後に確かめるのは、働きやすさの中身です。デザインの型は、園の方針と採用課題に合わせて選ぶことをおすすめします。
Q2. 保護者向けホームページと兼用ではだめですか?
読み手が違うため、分けることをおすすめします。保護者が知りたいのは保育の内容ですが、求職者が知りたいのは働く環境です。ページ群を分けるだけでも、それぞれへの伝わり方が変わってきます。
Q3. 小規模な園でも採用サイトを作る意味はありますか?
あります。小規模な園ほど「どんな人と働くか」が職場のほぼすべてになります。そのため、園長と先生の顔が見えるサイトの効果はむしろ大きいです。規模の小ささは、距離の近さという魅力として見せられます。
Q4. 福祉系など他業種の事例も参考になりますか?
なります。働く環境への不安に対して、デザインでどう答えるかという構造は共通しているからです。
参考記事:『【事例10選】介護・福祉の採用サイトデザイン|「きつそう」はどう覆す?』
「選ばれる園」は、まず見せ方から変わっていく
保育士不足の構造は、ひとつの園の努力だけで変えられるものではありません。ただ、同じ地域でも応募の集まり方には差が出ます。差を生むのは、園の日常がどこまで見えるか、働きやすさを仕組みで語れているか、そして検索した求職者を受け止める採用サイトがあるかどうかです。
明日からできるのは、園の中で1つ聞いてみることです。「見学に来た人がいちばん驚くことは何ですか」。先生から返ってきた答えが、そのまま採用サイトの最初のページに書くべき強みになります。
地方採用ワークスを運営する株式会社リーピーは、1,420社以上のウェブサイト制作・マーケティング支援の実績をもとに、地方の中小企業・園の採用サイト制作をお手伝いしてきました。
まずは園の今の見せ方と募集状況をうかがったうえで、整える順番からご提案します。「何から手をつければいいか分からない」という段階でも大丈夫です。ぜひご相談ください。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。