歯科の採用サイトデザイン事例10選|衛生士に選ばれる医院の見せ方
「歯科衛生士の求人を出しても、問い合わせすらない」——歯科医院の先生方から、この声を聞くことが増えました。
歯科衛生士は資格職のなかでも採用難易度が高く、ひとりの求職者を多くの医院で取り合う状況が続いています。歯科医院の多くは、スタッフ数名から10名ほどの小さな職場です。そのため、働き心地は院長との相性と医院の雰囲気でほぼ決まります。求職者はそれをよく知っているので、応募の前に医院名で検索し、サイトの隅々から職場の空気を読み取ろうとします。
ここで応募が来ないのは、医院の魅力が足りないからではありません。求職者が知りたい職場の情報が、求人票やホームページに書かれていないことが原因です。
この記事では、歯科医院の採用サイトで伝えるべきコンテンツ構成から、実際のサイトの作り方、清潔感を伝える写真の考え方までを順にお伝えします。
この記事でわかること
- 歯科医院の採用サイトで伝えるべきコンテンツ構成
- 実際の歯科医院の採用サイトを分解した、トップの作り方
- 清潔感を裏切らない写真・ビジュアルの考え方
- 医院ホームページに求人ページを足すだけでは弱い理由
数字で見ると、競争の激しさがはっきりします。2024年度の歯科衛生士(新卒)の求人倍率は23.7倍。1人の卒業生を20以上の求人が取り合う水準です(※1)。しかも歯科診療所は全国に約6.5万施設(令和8年4月末概数で65,071施設)あり、同じ商圏に募集が重なりやすい構造です(※2)。※1 引用:全国歯科衛生士教育協議会「歯科衛生士教育に関する現状調査」(2024年度・日本歯科衛生士会サイト掲載)。 https://www.jdha.or.jp/merit/ ※2 引用:厚生労働省「医療施設動態調査(令和8年4月末概数)」(2026年6月30日公表)。 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m26/is2604.html
なお、病院やクリニックなど医療機関全般の事例は別の記事にまとめています。本記事は歯科医院に絞って解説します。
参考記事:『【事例11選】病院・クリニックの採用サイトデザイン|看護師に選ばれるには?』
歯科医院の採用サイトは「院長」を見せる場になる
歯科医院の職場選びは「院長がどんな人か」でほぼ決まります。数名規模の職場では、院長の診療方針も人柄も、日々の働き心地に直結するからです。求職者がいちばん知りたいのはそこなのに、求人票にはいちばん書けない情報でもあります。
前の職場を院内の人間関係で離れた求職者は多いです。だからこそ次の職場探しでは慎重になります。医院のサイトや院長の言葉、スタッフの写真から「入ってからの毎日」を想像しようとします。ここで情報が薄いと、比較の土俵から静かに外れていきます。
逆に言えば、院長の考え方と職場の空気を丁寧に見せている医院は、規模や立地で勝る医院にも競り勝てる余地があります。歯科の採用は、条件の勝負である前に、見せ方まで含めた総合点勝負だと考えてください。
歯科の採用サイトに載せるべきコンテンツ構成
載せるべきは「院長の人柄と診療方針」「院内の設備と清潔感」「衛生士のキャリア支援」「勤務時間と両立のしやすさ」の4つです。
院長メッセージは「診療方針×職場の空気」で書く
形式的な挨拶文ではなく、どんな診療を大切にしているか、スタッフとどう関わっているかを院長自身の言葉で書きます。文章の温度は、写真以上に人柄を伝えます。面接で聞きにくいことに先回りして答えるつもりで書くのがコツです。
院内・設備は写真の質で決まる
医療の現場で清潔感は前提条件です。ただ、実際の院内がきれいでも、暗い写真や粗い写真で載せると逆効果になります。ユニットや滅菌設備、受付まわりはプロの撮影で明るく精細に見せることをおすすめします。撮影だけはプロに依頼するコスト配分が良いと考えています。
参考記事:『【保存版】採用サイトの写真で会社イメージは決まる?応募が増える6つのコツ』
歯科衛生士のキャリア支援を具体的に
セミナー参加費の補助、認定資格の取得支援、担当患者制の有無、予防処置やホワイトニングにどこまで関われるか。衛生士としての成長環境は、経験者の転職理由に直結する情報です。「スキルアップ支援あり」の一行ではなく、中身まで書きます。
勤務時間と、ライフイベントとの両立
夜間診療の有無と最終受付時刻、週休の取り方、時短勤務の実績。女性の多い職場だからこそ、結婚・出産後も続けられるかは応募前の大きな関心事です。実績があるなら人数まで、まだ無いなら制度と考え方を正直に書きます。
歯科医院の採用サイトデザイン事例
弊社が制作した歯科医院の採用サイトは、いまのところ1件です。数を並べるより、1つを細かく分解したほうが役に立つと思うので、そうします。
佐藤歯科医院様|衛生士を横並びで主役にする

https://leapy.jp/works/recruit/dentist-sato/(制作:地方採用ワークス)
岐阜県美濃加茂市の、医療法人社団神明会 佐藤歯科医院様の採用サイトです。ファーストビューに院長を置かず、歯科衛生士を含むスタッフ7名を横一列に立たせる構成にしています。淡いブルーグリーンの光で全体を包み、筆記体の英字と明朝の「いい笑顔をつくる仕事」を重ねる。清潔感を色で作りながら、主役は設備でも院長でもなく人、という宣言になっています。
前の章で「歯科医院の職場選びは院長で決まる」と書きました。この医院はそれを否定しているわけではありません。院長を出すことと、院長をトップに置くことは別だということです。実際、下の階層では「チーム医療に挑戦する当院は、働きやすい環境づくりにも挑戦しています」と院長の言葉で語られています。トップは働く仲間の顔、その次に医院の考え方。順番の設計です。
もうひとつの読みどころが、働きやすさの見せ方です。産前産後・育児休暇、時短勤務、最大40日の有給、完全週休2日制、最大毎月7万円の育児支援金、奨学金返済助成制度。制度名を並べるだけでなく、数字が付いているものは全部数字を出しています。「充実しています」では伝わらない部分が、ここで一気に具体になります。
職種の見せ方も、歯科医院としては幅があります。歯科医師や歯科衛生士、歯科助手のほかに、歯科技工士、クリーンスタッフ、地域連携室の介護福祉士まで並んでいて、「ONE TEAM」という言葉で束ねられています。衛生士だけを募集する医院でも、チームの全体像が見えると職場の想像がつきやすくなる、というのがこの構成の効きどころだと思います。
1件しかないので、これを歯科の正解として一般化はしません。ただ、トップに誰を置くか、制度をどこまで数字にするか、チームをどこまで見せるかという3つの判断は、規模を問わず自院でも同じように決められるはずです。
なお、業種を横断して参考サイトを探したい方は、こちらの事例集からどうぞ。
参考記事:『【保存版】採用サイトのデザイン事例32選|参考にしたい地方企業を業種別に』
歯科の採用サイトの作り方と、制作ポイント3つ
制作ポイントは「患者向けサイトと分けること」「院長が出ること」「清潔感を写真で裏付けること」の3つです。
多くの歯科医院のホームページは患者向けに作られています。診療案内の隅に求人ページを足しても、読み手の違う情報が混ざり、どちらにも届きにくくなります。読み手を患者から求職者に切り替えた、求職者目線のページ群を独立させることが出発点です。
次に、院長が出ること。顔と言葉を出すのは気恥ずかしいものですが、出ていないサイトは「様子の分からない医院」として比較から外れがちです。凝った演出は要りません。診療への考え方を等身大で語れば十分です。
最後に、写真。清潔感は「清潔です」と書いて伝えるものではなく、写真で証明するものです。
院長メッセージを作るときのヒアリングには、質問の型があります。「なぜ今の診療方針にしたのか」「スタッフが長く続いている理由は何だと思うか」「患者さんからよく言われる言葉は何か」。この3つを聞くと、院内では当たり前になりすぎて言語化されていない医院の強みが出てきます。強みは、外から聞かれてはじめて言葉になるものです。
歯科衛生士向けのコンテンツで差がつくのは、「衛生士に何をどこまで任せているか」の明文化だと考えています。経験者は給与の数字と同じくらい、自分の裁量と成長の余地を見ています。担当患者制の有無、予防処置に関われる範囲、勉強会の頻度。ここを具体に書けるかどうかが、キャリア特化型の見せ方の中身になります。そして患者向けサイトとの分離は、効果を測る前に理屈で決められる話です。読み手を求職者一人に絞ったページは、それだけで読まれ方が変わります。
歯科の採用サイトについてよくある質問
Q1. 医院のホームページに求人ページを足すだけではだめですか?
無いよりは良いですが、患者向けの文脈に採用情報が埋もれると読まれにくくなります。採用に本腰を入れるなら、求職者専用の採用サイト、または独立したページ群をおすすめします。
Q2. 審美系のおしゃれなデザインを真似てもいいですか?
自院の診療方針と合っていれば有効です。ただ、見た目の印象と職場の実態がずれると、入職後のギャップになります。デザインの型は「どんな人に来てほしいか」から逆算して選んでください。
Q3. 院長が顔を出すのは避けたいのですが、必須ですか?
必須ではありませんが、顔の見える医院と並べて比較されたときに不利になりやすいのは確かです。写真が難しければ、まず診療方針を自分の言葉で書くところから始めてみてください。
Q4. 病院・クリニックの採用サイト事例も参考になりますか?
なります。清潔感と信頼感の作り方は共通です。組織規模の大きい医療機関の見せ方は、冒頭で紹介した病院・クリニック編の記事で解説しています。歯科医院との違いは、院長個人をどれだけ前に出すかの比重です。
選ばれる医院は、診療と同じ丁寧さで「見せ方」を作る
歯科衛生士の採用難は、この先も構造として続きます。ただ、同じ駅前・同じ条件でも、応募の集まり方には差が出ます。差を生むのは、院長の考え方が見えるか、職場の空気が伝わるか、清潔感が写真で裏付けられているか。いずれも採用サイトで整えられることばかりです。
今日院内でできるのは、制度の棚卸しです。有給の日数、産休・育休を取った人数、時短勤務の実績、勉強会の頻度。数字を付けられるものに付けていくと、書ける材料は思ったより残ります。こうして整理した情報を自院のホームページに載せるだけでも、求職者への伝わり方は変わるはずです。
地方採用ワークスを運営する株式会社リーピーは、1,420社以上のウェブサイト制作・マーケティング支援の実績をもとに、地方の中小企業や医院の採用サイト制作をお手伝いしてきました。
まずは医院の今の見せ方と募集状況をうかがったうえで、整える順番からご提案します。求人ページを直すだけでいいのか、採用サイトまで作るべきか。その判断からご一緒できます。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。