求人票の例文集|職種別の見本と「コピペで終わらせない」直し方
「求人票を書こうとして、白紙のまま手が止まっている」——求人媒体の入力画面を前にして、まずは例文やテンプレートを探し始める方は多いと思います。実際、他社の求人票の言い回しをほぼそのまま写して出している例も、地方の中小企業ではよく見かけます。
ここでよくある誤解が、例文の言い回しをそのまま写せば求人票が完成する、というものです。
例文を参考にすること自体は決して悪くありません。問題は、例文を完成品として使ってしまうことです。どの会社の求人にも書ける言葉で埋まった求人票は、比較の中で選ばれません。つまり例文は、骨組みとして借りて、中身を自社の事実に入れ替えるのが正しい使い方です。
この記事では、求人票の例文をそのままコピペすると応募が来ない理由をお伝えします。そのうえで、職種別(製造・建設・事務・介護)の例文と直しのポイント、例文を自社用にアレンジする3つの手順とNGな使い方を順番に解説します。
この記事でわかること
- 求人票の例文をそのままコピペすると応募が来ない理由
- 職種別(製造・建設・事務・介護)の例文と直しのポイント
- 例文を自社用にアレンジする3つの手順と、NGな使い方
求人票の例文は「そのまま使う」と効かない
結論から言うと、同じ例文は他社も見ているからです。インターネットの検索で見つかる例文やテンプレートは、同じ商圏の競合他社も同じように参照しています。そのまま使えば、求職者の目にはどこも同じことが書いてある求人が並ぶだけです。これでは比較のしようがありません。
いまの採用は、求職者にこちらを選んでもらう取り合い合戦です。求職者は複数の求人を並べて見比べたうえで、最終的な応募先を決めます。この比較の場面で効くのは、上手な言い回しではなくその会社にしか書けない事実です。例文の役割は、事実を入れる器の用意までと考えてください。器に何を入れるかは、自社の中からしか出てきません。
どの職種でも共通する求人票の骨組み
職種別の例文に入る前に、まずは求人票の骨組みを押さえておきます。媒体によって項目名は変わっても、基本的な構造は共通です。
- キャッチコピー:一覧で目に留まり、詳細を開いてもらうまでが役割
- 仕事内容:何を、誰と、どんな流れでやるのか。求人票の本体
- 応募資格(必須・歓迎):どこまで必須にするかで応募数が大きく変わる欄
- 労働条件:給与・勤務時間・休日など。2024年4月から明示すべき項目が広がっているため、古い雛形の使い回しは要注意(※1)
※1 2024(令和6)年4月1日から、募集・求人申込み時の明示事項に「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」が追加された(職業安定法第5条の3、同法施行規則第4条の2)。参考:厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
- 会社の情報:事業内容だけでなく「どんな人が働いているか」まで
このうち、いちばん書きあぐねるのがキャッチコピー欄だと思います。ここだけ先に見本を挙げます。架空の例です。
❌ 未経験歓迎!アットホームな職場で一緒に働きませんか?
⭕ 未経験から2年で現場を任される。社員18名、平均年齢38歳の製造会社です。
⭕ 週3日・9〜14時から。ブランクありの復職者が今年2名入っています。
上の2つに入っているのは、期間・人数・年齢・曜日・時間といった数字だけです。キャッチコピーに気の利いた言い回しは要りません。一覧に並んだときに、自社だけが持っている数字が1つ入っていれば、それで役割は果たします。
各欄の書き方そのものは、こちらのハブ記事で一通り整理しています。この記事は「例文をどう使うか」に絞って進めます。
参考記事:『【保存版】求人票の書き方は?テンプレ代わりに使える3つの型と具体例を解説』
職種別の求人票の例文集と、仕事内容欄の直し方
ここからが本題です。応募の分かれ目になりやすい「仕事内容」欄を中心に、職種別の見本を挙げます。以下はあくまで記事内の見本(架空の例)です。数字や体制はすべて、自社の実際の内容に差し替えてください。盛った数字は入社後のギャップになり、早期離職につながります。
製造(機械オペレーター)の例文
自動車部品の加工機オペレーターです。1日の流れは、朝礼→段取り替え→加工→寸法検査。入社後3か月は先輩と2人体制で、まず1台の機械から覚えます。社員24名のうち7割が業界未経験からのスタートです。
直しのポイントは、「機械操作・検品」の一行で終わらせないことです。1日の流れと育成の道筋までしっかり書きます。未経験者に「自分にもできそうか」を判断させる材料が具体性です。
建設(現場職)の例文
地元の戸建て住宅の大工職です。現場は会社から車で30分圏内が中心で、泊まりの出張はありません。道具・作業着は会社支給。まず先輩につき、3年を目安に一人で現場を任せる育成計画です。
直しのポイントは、求職者の不安を先回りして打ち消すことです。現場の範囲、出張の有無、道具代の負担などを明記します。書いていない不安は、そのまま応募のブレーキになります。
事務の例文
電話・来客対応、請求書の発行、受発注データの入力が主な仕事です。残業は月平均5時間で、17時台に退社する社員が多数派。子どもの学校行事に合わせた休みの調整もしやすい環境です。
直しのポイントは、労働条件の実態と本文の記載が食い違っていないか、公開前に突き合わせることです。事務職は応募が集まりやすい分、条件の食い違いによる辞退も起きやすい職種だからです。
介護の例文
デイサービスでの介護職です。夜勤はありません。入浴介助は必ず2人体制で、記録はタブレット入力のため持ち帰りなし。無資格の方は、働きながら初任者研修の取得を会社負担で支援します。
直しのポイントは、「体力面・夜勤・資格」の3つの不安に答えられているかです。ここが応募の分かれ目になります。ないものは「ない」と明記するだけで、求職者の安心感が変わります。
例文をコピペしても、たいてい効きません
ここまで職種別の例文を並べてきました。しかし、そのまま貼っても成果は出にくいと考えています。理由は2つあります。
1つは、前章で見たとおり、全員が同じ例文を使えばまた比較の土俵に戻ってしまうからです。
もう1つは、例文には自社の事情が入っていないからです。そして例文をどう磨いても、条件そのものが競合に見劣りしていれば覆りません。 同じ商圏で同じ職種を募集している会社の条件を調べ、それより良くする。まずここが必要です。
そのうえで書き方の話になります。求人票には法律で決まっている記載事項こそありますが、それ以外に「こう書かなければいけない」という決まりはありません。決まった欄を埋めて終わりにせず、自社の事情を補足として足していいのです。
たとえば、年間休日が同業より少ないとします。「年間休日105日」とだけ書けば、並んだ数字の比較で終わります。しかし、そこに「現在この水準を目標に改善を進めています」と一行足すとどうでしょうか。数字は同じでも、読み手が受け取るものが変わります。書けない事情があるなら、その事情ごと書く。 例文から持ち帰っていただきたいのは、表面的な文面ではなく、この態度のほうです。
例文を自社の求人票にアレンジする3つの手順
見本を自社用に直す手順は、次の3つです。
- 事実の棚卸しをする:現場の社員に「入って意外と良かったこと」「同業の友人と比べて恵まれている点」を聞きます。経営側が思いつかない言葉は、たいてい現場にあります。
- 抽象語を具体に置き換える:「アットホーム」を「社員24名、全員の顔と名前が分かる規模」のように事実で言い換えます。数字が使えるなら数字を使ってください。
- 同じ商圏の競合と並べて読む:完成した求人票を、実際に募集中の他社求人と並べます。他社に貼り付けても違和感がない文面なら、まだ差になっていません。
求職者は比較の中でこの文面を読みます。そのため、検証も比較の中で行うのが理にかなっています。とはいえ、競合の求人条件を調べて文面を練り直す作業は、本業と兼務しながらやるにはかなりの手間がかかります。
例文の使い方でつまずく、求人票のNG例4つ
例文の使い方を誤ると、出しても反応のない求人票になります。よく見かける4つを挙げます。
- NG例1|コピペのまま出す:情報量ゼロの求人票は、掲載しても出していないのと同じ状態になります。
- NG例2|例文の数字だけ差し替えて盛る:「残業月5時間」で実態が月30時間なら、すぐ見抜かれます。求人票と労働条件の食い違いは、早期離職と悪評の両方を招きます。
- NG例3|社内用語・専門用語のまま書く:経験者にしか伝わらない言葉で埋めると、未経験・若手の応募が消えます。ターゲットが未経験者なら、噛み砕きすぎるくらいでちょうどいいです。
- NG例4|応募資格を厳しくしすぎる:「合わない応募を減らしたい」という気持ちから必須要件を積み増すと、応募そのものが止まります。兼務で採用を回している会社ほど裏目に出やすいパターンです。
NG例3と4の中間のような例を挙げます。三重県の金属加工メーカーでは、賞与年2回・給与改定・退職金という制度が仕事内容欄に一度も出てこず、給与欄の下で読み流される状態でした。そこで冒頭100文字に「賞与年2回・給与改定・退職金」を置きました。月給25.8万〜30万円という具体額とあわせて、先頭ブロックで見せる形に書き換えています。
この会社の場合は、競合と比べて条件そのものが劣っていなかったので、置き場所を変えるだけで効きました。条件で見劣りしている場合は順番が逆です。まず商圏の競合の条件を調べ、上げられるところを上げるのが先になります。
求人票の例文に関するよくある質問
Q1. 求人票のテンプレートや例文集は配布していますか
配布はしていません。この記事の見本と3つの手順を、自社の事実に当てはめて使っていただくのが確実です。配布型のテンプレートは同じ形の求人票を増やし、かえって差がつきにくくなります。
Q2. 自社の職種がこの例文集にない場合はどうすればいいですか
骨組みは全職種共通です。「1日の流れ」「育成の道筋」「その職種の求職者が持つ不安への回答」の3点を仕事内容欄に入れる型で書けば、どの職種でも同じように作れます。
Q3. 例文どおりに書き直せば応募は増えますか
増えると断言はできません。そもそも求人が求職者の目に触れていなければ、文面がどれだけ良くても読まれないからです。露出が足りている前提で、比較の中で選ばれる確率を上げる打ち手だと捉えてください。
選ばれる求人票は自社の事実からしか書けない
応募を決めるのは例文の上手さではなく、そこに入れた自社の事実の濃さです。現場の声を集め、抽象語を具体に置き換え、同じ商圏の競合と並べて検証する。この流れさえ踏めば、条件で勝てない会社でも比較の土俵に上がれます。条件の見せ方や比較での差のつけ方まで踏み込みたい方は、こちらが参考になります。
また、求人票を読んだ求職者の多くは、次に社名で検索して採用サイトを確認します。求人票と採用サイトの募集要項は「露出と受け皿」の両輪なので、受け皿側もあわせて整えておくと取りこぼしが減ります。
参考記事:『【保存版】募集要項とは?必須9項目の書き方と、求人票との違いをまとめて解説』
今日できるのは、いまの求人票から抽象語を3つ拾い出すことです。「アットホーム」「風通しが良い」「やりがいのある」。拾った3つに、社内で聞いた事実を1つずつ当てていくところから始められます。
求人票の設計は、競合調査から媒体ごとの出し分けまで含めると、思っている以上に手のかかる仕事です。全部を自社で抱える必要はありません。まずは御社の職種や商圏の状況をうかがったうえで、最適な進め方をご提案します。「いまの求人票を見てほしい」という段階でも大丈夫です。
この記事を書いた人

たまちゃん
マーケティングデザイン部 マネージャー/Webマーケター 大学在学中に、複数Webメディアを立ち上げ、アフィリエイターとして法人化。設立から2年後、社会貢献などの「働きがい」を求め、リーピーにジョイン。 現在は、現場で培ったWebサイトの運用経験を元に、お客様サイトの運用代行や自社コーポレートサイトの運用など、幅広いマーケティング領域を担当。